2022年11月22日
小麦の国の人だもの
「群馬の人は、そばの味が分からない」
と言われます。
ご多分に漏れず、僕も分かりません。
だって、生まれてこの方、“麺” と言えば、“うどん” ですから!
群馬は、焼きまんじゅう、おっ切り込み、すいとん、と小麦粉まみれの食文化。
その、もっとも身近な粉モノが、うどんです。
「うどんは買うものではない。家で作るもの」
きっと群馬県人は、そう思っていると思います。
そして一軒一軒、家庭ごとに家庭の味があるソールフードであります。
では、群馬県民は、そばの味は分からないけど、うどんの味は分かるのか?
ハイ、分かります!
ただし、一番うまいうどんの味だけです。
たとえば僕ならば、子どもの頃に、ばあちゃんが打ってくれた太くてモチモチとした田舎うどんです。
そして、少しとろみのある甘めのお汁。
この味に近ければ近いほど、「うまいうどん」 ということになります。
先週、久しぶりに、この味に出合いました。
現在、僕は 「湯治乃邑(くに)」 というNPO法人の代表理事をしています。
事務所が高崎にあり、月に1回、役員が集まり会議を開いています。
時間は、午前11時から午後1時まで。
そーなんです、毎回、ランチ会議をしています。
だからといって、仕出し弁当やデリバリーではありません。
ちゃんと、シェフがいるんです!
役員の一人が、玄人はだしのアマチュア料理研究家なのです。
和洋中、何を作らせても腕はプロ級。
パスタでもラーメンでもチャーハンでも、すべてが手作りというこだわりよう。
スープは出汁から、麵は手打ち、チャーシューだって自家製です。
僕は毎回、会議よりランチが楽しみで通っています。
月替わりのメニューは、シェフにお任せです。
「今日は、寒くなると思って、うどんにしたんだけど、暖かくなっちゃったね。ごめん」
と、テーブルに運ばれた丼には、見た目、ふつうのうどんが盛られていました。
豚肉にキノコとネギ……
ただし麺は、太くて不ぞろいの田舎風です。
ひと口、食べて驚いた!
ウルウルウル……
「おいしい」 と味覚を感じる前に、「なつかしい」 と叫んでいました。
そして、ばあちゃが一生懸命にうどんを打っている姿が、目に浮かびました。
「これですよ、これ! これが群馬の、いや上州のうどんです!」
「手打ちですけど、足踏みはしていないんです。コシが強くなり過ぎてしまいますから」
とシェフ。
そーだったのか、だから太くても硬くなく、モチモチとした食感なんですね。
なにより、お汁がうまい!
キノコの風味と豚肉のコク、そこへ青ネギが出しゃばらずに薬味として控えています。
バランスが見事です。
「小暮さん、おかわりできますよ?」
「ハイ、いただきます!」
たかが、うどん。
されど、うどん。
豪華じゃなくても、こんなにも心と胃袋をみたしてくれるうどんて、スゴイ!
群馬にだって、こんなにもおいしいものが、あるじゃないか!!
小麦大国、バンザーイ!
Posted by 小暮 淳 at 11:23│Comments(0)
│湯治乃邑