2023年03月03日
湯守失格
「小暮さんは、どう思われますか?」
知人との雑談の中で、不意に意見を求められました。
福岡県の温泉旅館で、基準値の最大3,700倍のレジオネラ属菌が検出されたニュースについてです。
運営会社社長の記者会見を見れば、ただただ、あきれるばかり。
起こるべくして起きた、まったく客のことを考えていない怠慢経営であります。
「愚の骨頂! 湯守(ゆもり)失格」
これが、僕が知人に返した感想でした。
まず、週に1回以上必要な浴槽の湯の取り換え清掃を怠っていたこと。
それも驚くべきことに、盆と正月の年2回だけだっというから、開いた口が塞がりません。
ちなみに “週1回以上” というのは、循環ろ過式の浴槽の場合の施行条例です。
これが完全放流式 (かけ流し) となると、毎日の換水清掃が義務付けられています。
僕が知る限り、源泉かけ流しの宿では、必ず毎日清掃時間があり、その間は客の入浴を断っています。
これが、正しい湯守のいる宿なのです。
もう一つ、記者会見で気になることがありました。
社長は、「塩素のにおいが嫌いだった」 と言います。
これ、過去のレジオネラ菌による死亡事故の際にも、たびたび経営者から語られた言葉です。
「客から塩素くさいといわれるので……」
という理由から定められた塩素量の消毒を怠ったといいます。
“嫌い” は結構です。
その人の主観ですからね。
僕も嫌いです!
でもね、循環式である限り、仕方がないことなのです。
世の中が便利になれば、便利になるほど、その代償も大きいのです。
それが面倒くさいというなら、浴槽を小さくして、完全放流式にしなさい!
そうすれば、換水清掃も楽だし、塩素消毒も必要ありません。
※(都道府県によっては、かけ流しでも塩素消毒を義務付けている自治体があります)
とかなんとか知人には、うんちくを述べながら説明しましたが、今回の一件は、ただただ残念です。
僕は知らなかったのですが、昭和天皇も宿泊したことのある歴史ある老舗旅館なんですってね。
従業員は気づいていたようですから、老舗にありがちなワンマン経営が起こした不祥事といえそうです。
即刻、社長更迭!
経営陣を総入れ替えして、その歴史と伝統を引き継いでいってほしいものです。
Posted by 小暮 淳 at 11:42│Comments(2)
│温泉雑話
この記事へのコメント
私レベルの知識の人間でも
この件に関して「どうなんですか?」「どう思いますか?」と周りから問われました。
一応、職場などでは温泉の人、みたいなので。
答えはやはり小暮先生と同じようになってしまいます。あり得ない。あぐらをかいた商売。
今朝、ばんどうの湯の貸切風呂へ行きましたがフロントで「今日は湯花が多くて、一番風呂ですから」と言われ「それは、いいじゃないですか!」と返しましたが、そんな事を言わなければいけない、勘違いする人がまだいるのかな?と少し悲しくなりました。
この件に関して「どうなんですか?」「どう思いますか?」と周りから問われました。
一応、職場などでは温泉の人、みたいなので。
答えはやはり小暮先生と同じようになってしまいます。あり得ない。あぐらをかいた商売。
今朝、ばんどうの湯の貸切風呂へ行きましたがフロントで「今日は湯花が多くて、一番風呂ですから」と言われ「それは、いいじゃないですか!」と返しましたが、そんな事を言わなければいけない、勘違いする人がまだいるのかな?と少し悲しくなりました。
Posted by みわっち at 2023年03月05日 20:23
みわっちさんへ
知識が必要なのは、利用者ではなく、経営者です。
赤ちゃんからお年寄りまで、安心して利用できる入浴施設であることが最重要だと思います。
知識を身に着けなければ利用できない施設なんて、愚の骨頂!
湯守失格であります。
知識が必要なのは、利用者ではなく、経営者です。
赤ちゃんからお年寄りまで、安心して利用できる入浴施設であることが最重要だと思います。
知識を身に着けなければ利用できない施設なんて、愚の骨頂!
湯守失格であります。
Posted by 小暮 淳
at 2023年03月06日 11:35
