2023年03月09日
温泉という名の銭湯
その昔、まだ僕が温泉本を出版していない頃。
JR東日本が発行している 『駅からさんぽ 両毛線』 という冊子の取材で、両毛線沿線の銭湯をすべてめぐったことがありました。
新前橋駅 (群馬県)~栃木駅 (栃木県) まで、当時、営業していた全駅の全銭湯を調べ上げ、何カ月もかけて入浴してきました。
当然、取材ですから風呂に入るだけではなく、経営者に苦労話なども聞いて書きました。
その後、僕は温泉へと惹かれ、平成21(2009)年に初の温泉本 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社)、翌年に 『群馬の小さな温泉』(同) を出版しました。
すると時を同じくして抜井諒一さんが、『群馬伝統 銭湯大全』(クレインダンス) を出版しました。
抜井さんはWebサイト 「めっかった群馬」 の編集長で、当時 (平成22年2月現在) 群馬県内に29軒あった銭湯を、すべて取材して、一冊の本にまとめました。
“温泉” と “銭湯”
似て非なる、非して似ている2つの伝統文化。
その本を書いた2人の対談を企画した新聞社があり、初めて抜井さんとお会いしました。
僕よりは、かなりお若い方でしたが、並々ならぬ銭湯愛にあふれていました。
2時間以上にわたる対談でしたが、温泉と銭湯に共通していたのは、日本人の “湯” へのこだわり。
まさに、そこには柔道や剣道、茶道や華道に相通ずる 「湯の道」 があったのです。
と、いうこで、今話題の映画 『湯道』 を観てきました。
湯の道と書いて、「ゆどう」 と読みます。
監督は、「HERO」 や 「プリンセス トヨトミ」、「本能寺ホテル」 などの鈴木雅之。
企画・脚本は、「おくりびと」 でアカデミー賞外国映画賞を受賞した小山薫堂。
そして主演は、生田斗真と濱田岳。
その他、小日向文世、吉田鋼太郎、柄本明ら豪華キャストが脇を飾ります。
ストーリーは、亡き父が残した実家の銭湯 「まるきん温泉」 に突然帰ってきた長男と、跡を継いだ次男とのマンション建て替えをめぐるドタバタ劇。
そこに下町人情たっぷりのお節介な面々が加わり、さまざまな人間模様が繰り広げられます。
まだ観ていない人のために、内容の解説はここまでにしますが、特筆すべきは、とにかくリアル!
僕は完全に、現存する銭湯でのロケだと思っていたのですが、すべて一から作り上げたセットだったんですね (観終わってから知りました)。
でもね、確かに違和感はあったんです。
まず、風呂場のデザイン。
浴槽が洗い場の中央にありました。
ということは、設定は関西?
(関東では、ふつう浴槽は奥にあります)
それとタイル絵の富士山。
こちらは、関東の定番です。
(東西折衷のようです)
極めつきは、屋号の 「まるきん温泉」 です。
(関東ならば、「○○湯」 ですもの)
銭湯のことを “温泉” と名乗るのは、完全に関西です。
まあ、映画の楽しみ方は、いろいろです。
温泉ファンも銭湯ファンも、また両方好きな方も、みんなが楽しめミュージカル仕立てのエンターテインメントお風呂ムービーです。
ぜひ、ご覧ください。
Posted by 小暮 淳 at 12:08│Comments(2)
│つれづれ
この記事へのコメント
『湯道』を見た人は、PrimeVideoにて配信されるているスピンオフドラマ『湯道への道』を見ると、さらに楽しめます。
映画制作にまつわる内幕劇や映画にかける制作陣の奮闘と、本当にありそうな映画制作の秘密、脚本の元になった取材先での感動秘話などをフィクションとして描いています。
PrimeVideoを見れる人は、ぜひご覧ください。
昨日、PrimeVideoを見ていたら、発見しました(笑)
映画制作にまつわる内幕劇や映画にかける制作陣の奮闘と、本当にありそうな映画制作の秘密、脚本の元になった取材先での感動秘話などをフィクションとして描いています。
PrimeVideoを見れる人は、ぜひご覧ください。
昨日、PrimeVideoを見ていたら、発見しました(笑)
Posted by ヒロ坊 at 2023年03月09日 16:37
ヒロ坊さんへ
いつも貴重な情報をありがとうございます。
「風呂で人を幸せにする」
を座右の銘にし、湯道を精進いたします。
いつも貴重な情報をありがとうございます。
「風呂で人を幸せにする」
を座右の銘にし、湯道を精進いたします。
Posted by 小暮 淳
at 2023年03月10日 10:26
