2023年03月13日
絹の国の人だもの
『繭と生糸は日本一』
ご存知、「上毛かるた」 の 「ま」 の読み札です。
現在でも繭の生産量は、群馬県が日本一だといいます。
でも若い人は、ピンとこないかもしれませんね。
僕が子どもの頃 (昭和30年代) は、まだ我が家の周りも一面の桑畑でした。
クラスの中にも何人か養蚕農家の子がいました。
どの子も蚕(かいこ)のことは、「おかいこさん」 とか 「おかいこさま」 と大切に呼んでいました。
蚕のことを 「おこさん」 と呼ぶ地方もあるんですね。
昨日、初めて知りました。
高崎市箕郷文化会館で上演された養蚕演劇 『蚕影様物語 (こかげさんものがたり)』 を観てきました。
舞台は明治期の相馬村 (旧箕郷町) の養蚕農家。
家族みんなで大切にお蚕を育てています。
しかし、ある日、突然、晴れていた空が急に暗くなり、雷鳴がとどろき、雹(ひょう)が降り積もり、あたり一帯は氷の海と化し、桑畑が大打撃を受けました。
桑の葉がないと、お蚕の飼育を続けることはできません。
村人たちは、涙ながらに生きたままのお蚕を土の中に埋め、その供養と、この時の惨状を後世に伝えるため 「蚕影碑」 を建てました。
物語は、この 「蚕影碑」 を元養蚕教師の夫婦が訪ねる現代のシーンから始まります。
脚本・演出の岡本優子さん (高崎市箕郷町在住) は、この物語の劇化について、こう語っています。
<私は養蚕農家に生まれ、子供の頃は蚕影碑の近くで育ちました。そして当時の大人から 「地の底で蠢くお蚕様の叫び声、そして必死に這い出して来ようとする、夥しい数のお蚕様の姿を想像してごらん」 と言われ、胸が苦しくなった思い出があります。(中略) 忘れてはいけない過去の歴史を演劇により未来へと語り継いでいきたい、という願いを込めて本日皆さまにお届けします> パンフレットより
まさに、知られざる養蚕国群馬の歴史を垣間見ました。
“絹の国” として発展した影には様々な困難と、それを乗り越えてきた農民の並々ならぬ苦労があったのです。
今回、なぜ僕は、この演劇を知り、観覧したのか?
それは、出演女優と知り合いだったからです。
その女優とは?
このブログにも、たびたび登場する紙芝居仲間の画家・須賀りすさんであります。
とにかく、彼女は多彩な才能の持ち主です。
本業は画家でありイラストレーターですが、アマチュアちんどん屋のメンバーでもあり、ラジオなどで小説の朗読もしています。
そんな彼女のもう一つの顔が、役者です。
今回も兄を落雷で亡くす、貧しい農家の娘役を見事に演じ切っていました。
素晴らしい!
次は、どんなジャンルに挑戦するのでしょうか?
Posted by 小暮 淳 at 12:09│Comments(0)
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