2023年05月15日
東京再会物語<番外> M嬢の誘惑
「明日は12時に新宿で待ち合わせて、一緒にランチをしましょう!」
そうM嬢に誘われて、待ち合わせ場所へ行くと、そのまま駅の雑踏を抜け、路地裏へ連れて行かれました。
“思い出横丁”
路上に張り出した軒下では、すでに昼日中から老若男女が酒を酌み交わしています。
ここが、彼女が僕のために用意してくれた “スペシャルランチ” だったのです。
24年ぶりに訪ねた旧友が営むカレーハウス。
45年ぶりに訪ねた我が青春の喫茶店。
そして、僕のことを 「アニキ」 と呼ぶミュージャンが出演したライブハウス。
これら1泊2日の東京再会ツァーを企画して、ツアーコンダクターを買って出てくれた人が、何を隠そうM嬢だったのです。
※(「嬢」 といっても年齢不詳です。)
M嬢との出会いは、4年前になります。
彼女は、その10年ほど前から僕のことを知っていたようであります。
いわゆる読者様だったのです。
そんな彼女から、ある日突然、出版社に僕あての手紙が届きました。
手紙の内容は、とてもプライベートなことなので、ここでは公表できませんが、とにかく彼女は、一度、直接僕と合って伝えたいことがあるとのことでした。
連絡を取り合い、数か月後。
前橋市内で2カ月に1回開催される 「弟子の会」 に、彼女を招待しました。
「弟子の会」 とは、僕の読者で温泉好きな人たちの集まりです。
彼女は、わざわざ東京から参加してくださったのです。
今回のツアーは、東京在住の彼女ならではの粋な計らいでした。
とにかく、ツアコンとしての腕は完璧でした。
駅を降りたら酒、どこへ行っても酒、朝昼晩、酒酒酒の酒三昧の呑んだくれツアーを企画していてくれました。
弟子ならではの、師匠の好みを知り尽くした憎いツアーです。
そして最終日、彼女は、とっておきのランチを用意してくれました。
「カンパーイ!」
「先生、お疲れさまでした」
「こちらこそ、楽しい2日間だったよ。ありがとう」
「また来てください」
「もちろん、秋くらいにもう一度、ツアーを企画してよ」
まずは生ビールを1杯、2杯……
レトロな居酒屋の店内に 「ホッピー」 の文字を見つけてからは、ただ、ひたすらにホッピーと焼酎を注文し続けました。
「先生、大丈夫ですか? 帰れますか?」
新宿駅構内は、田舎者から見ると、まるでお祭りのような混雑です。
「ああ、楽しかった。ありがとう!」
「お気をつけて」
まだ午後の2時を過ぎたところです。
雑踏の中に、手を振るM嬢の小さな背中が消えていきました。
持つべきものは、弟子ですな。
読者様は、神様なのであります。
ライター冥利に尽きる2日間でした。
Posted by 小暮 淳 at 12:29│Comments(2)
│つれづれ
この記事へのコメント
まったく羨ましい限りです。
高崎のフリーナレーターの彼女と言い、
モテまくりじゃないですか。
小暮さんのことますます知りたくなりました。でも飲み過ぎないようにしてください。
高崎のフリーナレーターの彼女と言い、
モテまくりじゃないですか。
小暮さんのことますます知りたくなりました。でも飲み過ぎないようにしてください。
Posted by まいちゃ at 2023年05月15日 23:55
まいちゃさんへ
いえいえ、僕がモテているわけじゃありませんよ。
著書が読者を連れてきてくれているだけです。
だから僕は自分の仕事に、いつも感謝しています。
いえいえ、僕がモテているわけじゃありませんよ。
著書が読者を連れてきてくれているだけです。
だから僕は自分の仕事に、いつも感謝しています。
Posted by 小暮 淳
at 2023年05月16日 11:22
