2023年06月09日
吉井三山と羊太夫
高崎市吉井町には、「吉井三山」 と呼ばれる山があります。
牛伏山(うしぶせやま)、八束山(やつかやま)、朝日岳(あさひだけ)。
すべて標高は500メートルにも満たない低山です。
牛が伏せたような山容から、その名が付いた牛伏山には、こんな伝説があります。
昔、山頂の松の木に天狗が住んでいました。
天狗は町の娘に恋をしました。
天狗は若者に姿を変え、牛に乗って毎日、娘に会いに行きました。
しかし娘の心は動かず、あきらめきれない天狗は、娘の姿を山に変えてしまいました。
その山が 「多胡美人」 と呼ばれる朝日岳だといいます。
多胡とは、上野国多胡郡(こうづけのくにたごのこおり) のこと。
吉井町の旧地名です。
多胡といえば、『昔を語る 多胡の古碑』。
群馬県民なら誰でも知っている 「上毛かるた」 の 「む」 の札です。
日本三古碑の一つですが、この碑に 「羊」 という文字が書かれていることから 「羊太夫(ひつじだゆう)」 の伝説が生まれました。
昔、奈良に都があった頃のこと。
八束山には城があり、藤原羊太夫宗勝という城主がいました。
彼は文武両道にすぐれた若者で、領民からも慕われていました。
ある日、その徳をうわさに聞いた長者から一頭の馬を献上されました。
この馬が 「権田の栗毛」 といわれる上野国一の名馬でした。
ところが、この馬、ただの名馬ではありません。
一日で奈良の都を往復してしまうという駿馬だったのであります。
(この続きは、各自でお調べください)
ということで今週、僕は高崎市吉井町の吉井公民館にて、約2時間にわたる講演を行ってきました。
演題は、「ぐんま謎学の旅 ~民話と伝説の舞台~」。
さらに、副題が続きます。
“民話や伝説は何を伝えようとしているのか?”
“99%の嘘と1%の真”
“舞台がある限り、謎は解ける!”
僕は数年前から群馬県内の公民館をまわり、その土地にまつわる民話や伝説の話をしています。
ただ物語の話をするだけなら本の朗読と変わりませんので、「なぜ?」 「どうして?」 「何を伝えようとしているのか?」 といった謎にせまり、その謎を会場のみなさんと一緒に解く講演を続けています。
来月は、高崎市の北部の町へ行きます。
どんな民話や伝説が眠っているのでしょうか?
みなさんと一緒に解き明かしたいと思います。
Posted by 小暮 淳 at 11:49│Comments(0)
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