2024年10月19日
エルタのいた庭
♪ あるこう あるこう わたしはげんき
僕の一番古い記憶は、幼稚園での読み聞かせです。
60年以上も昔のことなのに、本を読んでくれた先生の顔も、話の内容も、はっきりと覚えています。
『かえるのエルタ』 と 『いやいやえん』
とっても不思議な話でした。
『かえるのエルタは』 は、男の子が拾ったカエルのおもちゃが、雨に濡れると本物のカエルになり、カエルの城に連れていかれる話です。
『いやいやえん』 は、親の言うことをきかない男の子が、なんでもワガママが通る自由だけど、だらしない保育園に通わされてしまう話です。
どちらも奇想天外なストーリーで、ワクワクしながら何回も先生にせがんで、読んでもらった記憶があります。
その作者、児童文学者の中川李枝子さんが亡くなられました。
89歳でした。
小学生になってからは図書館で、中川さんの代表作となった 『ぐりとぐら』 や 『そらいろのたね』 なども読みました。
中でも 『ぐりとぐら』 シリーズは大好きで、繰り返し読みました。
長じて、東京の書店でアルバイトをした時に、改めて全シリーズを買い集めたくらいです。
だから今でも、僕の手元には 『ぐりとぐら』 の絵本があります。
新聞で訃報を知った時、まっさきに思い浮かんだのは、幼稚園の庭でした。
カエルを見つけて、「エルタだ!」 「エルタだ!」 と言いながら、追いかけまわした光景です。
「エルタ~、お城へ連れてってよ~」
みんなでカエルを追いかけた夏の庭。
遠い遠い思い出です。
ちなみに、アニメ映画 『となりのトトロ』 のオープニング曲 「さんぽ」 の作詞も中川李枝子さんです。
ご冥福をお祈り申し上げます。
Posted by 小暮 淳 at 12:07│Comments(0)
│読書一昧