2024年12月09日
まだバナナが高級だったころ
「結構毛だらけ、猫灰だらけ、寺のまわりは墓だらけ!」
威勢のいい口上と、軽妙な話術。
バチンバチンと机を棒でたたく音が境内に、鳴り響きました。
一昨日と昨日の2日間、伊勢崎市と玉村町の神社境内にて、「昭和レトロ縁日」 と銘打ったイベントが開催されました。
これは、3年前から定期的に開いている街頭紙芝居のスペシャルバージョンです。
ゲストにチンドン屋など大道芸人らを招き、昔懐かしい “昭和の縁日” が再現されました。
今回のスペシャルゲストは、“日本一のバナナ売り芸人” 「楽し家舘助」 師匠!
みなさんは、「バナナのたたき売り」 って知っていますか?
昭和30年代には、決まって縁日と言えば出ていた定番中の定番の大道芸です。
僕は子どもの頃、見ていました。
ただし、その頃は、バナナは高級品で、庶民には高根の花。
年に一度の遠足か、風邪を引いた時くらいにしか、口にしたことはありません。
そんなバナナが、縁日では房で売られていました。
今の価格で、ウン千円~ウン万円だったと思います。
だから、親に連れられ見ていても、「買ってほしい」 なんてことは、口が裂けても言えなかったのです。
高度成長期以降、台湾バナナから価格の安いフィリピンバナナが輸入されるようになり、庶民の口にも入るようになりました。
するとバナナは、主役の座から降ろされ、珍しくもありがたくもない果物になってしまいました。
そんな波乱万丈なバナナに、令和の現代にスポットライトを当て続けているのが、舘助(かんすけ)師匠であります。
会場は2日間とも超満員。
各回とも、立ち見客で人の壁ができました。
「え~、500円から、400円! 300円!」
「ハイ!」
「売った!」
言葉も返さない無人精算機での買い物が主流となりつつある令和の時代に、この売り手と買い手の駆け引きは、なんとも温かい光景であります。
「おい、ちょっと待て! こっちへ来い!」
帰ろうとした客は、師匠に呼び止められます。
「お前、いくつだ?」
「15歳です」
「中学生か?」
「はい」
「だったら学生割引がきく」
そう言って、百円玉を返します。
これが人情です!
売り手と買い手のキャッチボールこそが、昭和の醍醐味なんですね。
積まれたバナナの山は、見る見るうちに売りさばかれていきました。
その光景は、高度成長にわく昭和の商店街を見ているよう。
懐かしさはノスタルジーじゃないんですね。
このワクワク、ドキドキ感は、まるでテーマパークです。
これからも僕らは、“昭和” というテーマパークを探し続けていきたいと思います。
勘助師匠、大変お疲れさまでした。
また群馬に、バナナを売りに来てくださいね!
Posted by 小暮 淳 at 10:35│Comments(2)
│神社かみしばい
この記事へのコメント
見事なわくわくテーマパークにご一緒できました。楽しかった~。
途中、勘助師匠に「頼みがあるのだけど」と耳打ちされ、あの昭和の遺産ともいうべき拡張機の電源ONをさせて頂きました(笑)
バナナ買ってそそくさ帰ろうとしたら「おいっ!」とツッコミ頂き嬉しい限りです。
途中、勘助師匠に「頼みがあるのだけど」と耳打ちされ、あの昭和の遺産ともいうべき拡張機の電源ONをさせて頂きました(笑)
バナナ買ってそそくさ帰ろうとしたら「おいっ!」とツッコミ頂き嬉しい限りです。
Posted by たけちゃん at 2024年12月09日 12:37
たけちゃんへ
スタッフとしての参加、ご苦労様でした。
ランチの焼きまんじゅうとバナナは、昭和的ごほうびです。
人と人が面と向かって、手間をかけて物を売るって、いいですよね。
消えゆくものを時代のせいにせず、残し続ける人たちがいます。
微力ながら、お手伝いをしたいと思います。
今後も、力を貸してください。
スタッフとしての参加、ご苦労様でした。
ランチの焼きまんじゅうとバナナは、昭和的ごほうびです。
人と人が面と向かって、手間をかけて物を売るって、いいですよね。
消えゆくものを時代のせいにせず、残し続ける人たちがいます。
微力ながら、お手伝いをしたいと思います。
今後も、力を貸してください。
Posted by 小暮 淳 at 2024年12月09日 23:03