2025年01月18日
幸せの恩返し
彼女は長年勤めた職場を辞め、勉強をして資格を取り、昨年から障碍者施設で介護師として働き出しました。
それだけでも僕は感心していたのですが、その理由を聞いて、涙をこらえることができませんでした。
彼女との出会いは、かれこれ10年近く前になります。
そもそも彼女は、僕の読者でした。
そして、いつか僕に会いたいと思ったそうです。
どうしたら会えるのか?
出した答えが、僕が講師を務める温泉講座を受講することでした。
しかし、僕の講座日は月1回、しかも平日です。
勤め人の彼女には不可能でした。
それでも彼女は僕に会いに来てくれました。
毎月、有給休暇を取ってまで受講してくれたのです。
時は流れ、彼女は講座で知り合った受講生仲間とともに、会を発足しました。
僕の読者を集めた 「弟子の会」 であります。
2カ月に1回、定期的に集まり、酒を酌み交わしながら温泉談議をしたり、人生相談をしたり、時には下ネタ交じりのバカっ話をして笑い転げています。
発足当初、僕はメンバーに、こんなことを話しました。
「中国の古いことわざに、こんな言葉があります。“縁ある人は万里の長城をも越えてやって来る”。みなさんは、まさに万里の長城を越えてまで会いにやって来た賢者たちです。この出会いは偶然ではありません。出会うべくして出会った必然だったのです」
先日、今年最初の例会がありました。
彼女の語る新しい人生に、誰もが興味津々です。
障碍者の介護というものが、どんなに大変な仕事なのか?
想像するに余りあります。
でも彼女は、楽しそうに嬉々として話してくれました。
なんで、そんな大変な仕事に、しかも、この歳になってから就いたのでしょうか?
(僕は彼女の正確な年齢は知りません)
その時は訊けませんでしたが、翌日、彼女から僕にメールが届きました。
<先生やみんなに出会えた私は本当に幸せです。この幸せをを少しだけど恩返しできるように、困っている方の支援に努めます。>
ケータイの画面が、見る見るうちに涙で歪んでしまいました。
万里の長城を越えた者は、常に前向きに徳を積み続けているのですね。
見習いたいと思います。
Posted by 小暮 淳 at 12:28│Comments(0)
│つれづれ