2025年05月04日
老いては元スタに従え
いまだに、僕のことを 「編集長」 と呼ぶ人たちがいます。
25年前、僕が編集人をしていた生活情報誌のスタッフらです。
雑誌自体は現在もありますが、僕が去った後に、彼らも編集室を去り、それぞれ別の人生を歩んでいます。
それでも連絡は途切れず、今でも年に数回、ランチ会や懇親会を開いて、僕を呼んでくれています。
当時、30代だったO君、M君は、今は50代。
20代だったSさんも40代です。
みんな、立派なお父さんとお母さんになりました。
「編集長、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
「編集長、ラジオ聴きましたよ」
と、何かにつけて彼らは、電話やメールをくれます。
こんなことを言われたこともあります。
「編集長は、だいぶ丸くなりましたよね」
「そうかね?」
「えー、そりゃ~、あの頃はツンツンに尖っていましたから(笑)」
当時、僕は40代です。
そんなに、ツッパッて生きていたんですかね。
でも振り返ると、あの頃は、毎日が夢と希望と野望に満ちあふれていた時代でした。
彼らとは、プライベートでも登山や旅行に、たびたび出かけていましたものね。
一般的な会社の、上司と部下の関係ではなかったと思います。
ていうか、僕は社員ではなく、外部から来た “雇われ編集長” だったのであります。
だから僕には彼らを 「部下」 という意識がなく、彼らも僕を 「上司」 とは思っていなかった思います。
スタッフ、もしくは同じ夢を追うチームの一員だったのです。
その中で 「編集長」 という立場は、指揮を執る監督、もしくは指導するコーチの役割を果たしていたのだと思います。
いわば、同じ釜の飯を食った “仲間” なのです。
以前、Sさんから、こんなことを言われたことがありました。
「もう、編集長じゃないんだから、“小暮さん” でいいよ」
と僕が言うと、
「編集長は、編集長なんです! ニックネームだと思ってください」
と、きっぱり断られてしまいました。
その断り方が、実に気持ち良くて、うれしかったのを覚えています。
先日、O君から、こんなメールが来ました。
「編集長、連休中に、ひとっ風呂いかがですか?」
彼はときどき、こうやって僕を誘い出してくれます。
そして彼は、僕の生態についても熟知しています。
風呂に入れば、酒が呑みたくなることも……
昨日、指定の時間に、彼は我が家にやって来ました。
まるで、お抱え運転手のように!
「お疲れ様です。どこに行きますか? 編集長の好きな温泉へ行きますよ」
好きも嫌いもありません。
汗を流せて、さっぱりしたら、酒が呑みたいだけです。
「じゃあ、近場でいいですね」
「ああ、どこでもいいよ」
かくして、湯上がりに生ビールをたらふくいただき、帰りは、また我が家の玄関前まで送っていただきました。
持つべきものは、元スタッフであります。
いつも、ありがとうね。
みんな、老後は頼んだよ~!
「老いては元スタに従え」 であります。
Posted by 小暮 淳 at 11:04│Comments(2)
│つれづれ
この記事へのコメント
浦島太郎の亀でないけれど、若かりし頃のお返しに、日帰り温泉にご案内いたします♨
Posted by お〜 at 2025年05月04日 21:56
お~さんへ
えっ!?
お~さんは、あのとき助けたカメだったのですか!
だったら今度、べっぴんの乙姫様がいる竜宮城へ連れて行ってくださいな!
冥途の土産にいたします。
えっ!?
お~さんは、あのとき助けたカメだったのですか!
だったら今度、べっぴんの乙姫様がいる竜宮城へ連れて行ってくださいな!
冥途の土産にいたします。
Posted by 小暮 淳
at 2025年05月04日 23:04
