2013年01月25日
うのせ温泉 「上越館」②
ついにマジック点灯!
残り、あと6軒となりました。
僕は1年半前から、群馬県みなかみ町にある18温泉地の全(※)75軒の宿を取材して回っています。
※(みなかみ町観光協会加入旅館)
昨年の9月に、『みなかみ18湯〔上〕』(上毛新聞社) として、水上温泉と猿ヶ京温泉の2温泉地34宿をすでに発表していますから、下巻で紹介する残りの宿は41軒となります。
この41軒は、昨年の夏から取材を続けています。
で、未取材の宿は、いよいよ、残りあと6軒となりました!
“終わりのない旅はない”
そーです。
どんなに長い旅でも、必ずいつかは終わりが来るのであります。
あと、6つ!
登山で言えば、九合目。
ほら、山頂が、見えてきましたよ!
と、いうことで、昨日は69軒目の温泉旅館に泊まってきました。
うのせ温泉 「上越館」。
2年半ぶりに、訪ねました。
戦前、水上温泉が 「湯原の湯」 と呼ぶのに対して、ここは 「鵜の瀬の湯」 と呼ばれていました。
また、湯の温度が低かったこともあり、地元では 「ぬる湯」 とも呼ばれ、湯治客が訪れていた小さな温泉地です。
当時は、「神峡楼」「奥利根館」「鳴滝旅館」「山景館」「鹿野沢館」という5軒の湯宿がありましたが、それぞれ廃業や経営者が変わり、現在では3軒になっています。
この中の 「山景館」 を戦後、現主人の祖父が購入して 「上越館」 となりました。
「お久しぶりです。その節は、ありがとうございました。今日は泊まって、ゆっくりしてください」
と、3代目主人の阿部聡一さんが、あの日と変わらぬ笑顔で迎えてくれました。
阿部さんとは、2010年に出版した拙著 『群馬の小さな温泉』(上毛新聞社) の取材以来の再会であります。
「今でも、あの本を持って泊まりに来られる方がいるんですよ」
とは、うれしいですね。
著者冥利に尽きるというものです。
この宿の一番の売りは、何と言っても、利根川河川敷に造られた野趣あふれる露天風呂です。
何はともあれ、部屋で旅装を解いたら、ぐずぐずせずに陽のあるうちに出かけましょう!
と言っても、ここの露天風呂は、旅館内にはありません。
旅館を出てから、利根川沿いの坂道を湯屋まで歩いて行きます。
貸切露天風呂 「蛍」。
名前のとおり、夏には天然のホタルが飛び交います。
露天風呂ということですが、正確には “野天風呂” ですな。
※(露天は屋根がある。野天は屋根がない。)
しかも、湯舟の左右にすだれのような仕切りがあるだけ。
それ以外に、視界をさえぎるものは、何一つありません。
かなり、ワイルドです。
前回訪ねたのは、初夏のこと。
ラフティングを楽しむ人たちが、素っ裸の僕に、手を振りながら利根川を下って行ったことを思い出します。
でも今回は、冬。
絶景の雪景色です。
しかも、向かいの山のてっぺんには、早々と月が昇っています。
「雪見風呂」 と 「月見風呂」
なんと贅沢(ぜいたく) な湯浴みでしょうか!
これが仕事なんだから、なお、たまりませ~ん!
湯から上がれば、キーンと冷えた生ビールとともにいただく、主人の手料理。
和食とイタリアンを学んできただけあり、絶妙に和洋が折衷された創作料理です。
「イワナの刺身には、白ワインが合いますよ」
だなんて、仕事とはいえ、だんだん公私混同してきましたよ。
「では、次は冷酒を・・・」
う~ん、イワナの刺身は、日本酒にだって、もちろんピッタリ合います。
ホロリ、ホロホロ・・・
と、ほどよく酒もまわり、無事に69軒目の取材が終わりました。
Posted by 小暮 淳 at 17:45│Comments(0)
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