2013年02月07日
赤岩温泉 「誠法館」②
秘湯とは、必ずしも深山幽谷の人里離れた地にある温泉とは限りません。
“人に知られていない温泉” という意味では、国道沿いにあっても秘湯です。
僕は以前から、赤岩温泉(みなかみ町須川)の一軒宿 「誠法館」 は、群馬の秘湯の1つだと思っています。
「いやいやいや~、お久しぶりです!」
相変わらず血色のいい顔に、満面の笑みをたたえながら、出迎えてくださいました。
ご主人の冨沢房一さんです。
拙著 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) の取材以来ですから、お会いするのは約3年ぶりになります。
この笑顔、この笑い声。
懐かしくもあり、うれしくもあり、元気までもらえそうな気分になる人です。
でも、なんだが足がお辛そうで・・・
「ああ、もう歳だからね。こっちも今年から辞めちゃったんだよ」
と、銃を撃つマネをしました。
そうなんですよ。
ご主人は、この界隈では名だたるハンターなんです。
前回、訪ねたときは、ハンター仲間の話や狩猟の話をたくさん聞きましたっけね。
今回は、温泉の湧出秘話を、たっぷりお話してくださいました。
大正時代のこと。
板割職人をしていた房一さんの祖父が、裏山で木を切り出して、担いで下りようとしたとき、足を滑らしてスッテンコロリン転がった。
起き上がろうと、手を突いた水たまりが温かい。
「おお、ここには湯があるぞ!」 と、手掘りで掘削を始めた。
でもね。なにせ手掘り(かずさ掘り) ですから、そんなに深くは掘れませんって。
80メートルまで掘って、出てきたお湯は17度とぬるかったようです。
執念とは恐ろしいものです。
祖父は、その後、材木商で金を稼いで貯めて、再度チャレンジをします。
昭和36年、見事、現在の源泉を掘り当てました。
宿の営業は、昭和40年から。
祖父の遺志を継いで、房一さんが温泉宿を始めました。
「祖父は旅館の完成を見ずに他界してしまいましたが、温泉には死ぬまで入っていました」
深イイ~!話では、ありませんか!
“湯の数だけ 歴史がある” のですね。
源泉名は 「太子の湯」。
木工職人の守護神として崇(あが)められている聖徳太子にちなんで、祖父が命名したとのこと。
源泉の湧出する敷地内には、高さ約3メートルもある聖徳太子の石像が祀られています。
これも、祖父が建立したものです。
“宿の数だけ 物語がある” のです。
そして秘湯は、国道沿いにもあるのです。
Posted by 小暮 淳 at 19:09│Comments(2)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
人に知られていない温泉=秘湯
昨日、姉からこんなメールがきました
三山温泉また行こうね!
友達(栃木県在住の人らしい)にも紹介しといたから…
こうやって秘湯の口コミは広がってゆくんですよね(笑)
『たのやく』読み始めましたよ!
人にしられていない雑誌ですね(笑)
TIホテルは、独自の活動されていますね。刺激になります。
本屋さんにちょっと寄った感をあじわえたり、新感覚の雑誌です!
昨日、姉からこんなメールがきました
三山温泉また行こうね!
友達(栃木県在住の人らしい)にも紹介しといたから…
こうやって秘湯の口コミは広がってゆくんですよね(笑)
『たのやく』読み始めましたよ!
人にしられていない雑誌ですね(笑)
TIホテルは、独自の活動されていますね。刺激になります。
本屋さんにちょっと寄った感をあじわえたり、新感覚の雑誌です!
Posted by ぴー at 2013年02月08日 09:36
ぴーさんへ
『たのやく』 は名前のとおり、楽しく役に立つ雑誌ですね。
何よりも、制作の発想が素晴らしい!
目からウロコが落ちました。
『たのやく』 は名前のとおり、楽しく役に立つ雑誌ですね。
何よりも、制作の発想が素晴らしい!
目からウロコが落ちました。
Posted by 小暮 at 2013年02月08日 17:39