2013年01月02日
正月は子孫繁栄の図
呑兵衛にとって正月は、免罪符、治外法権、無礼講・・・なのであります。
朝から酒を浴びても、誰も文句を言いませんからね。
元旦、午前9時。
夜型の僕にとっては、いつもより早い起床であります。
前夜の酒が抜け切れぬまま、階下へ。
大学生の長男しかいません。
「かーさんは?」
と問えば、
「買い物」
とのこと。
福袋目当ての初売りに、出かけたと言います。
「お前、早いな?」
と訊けば、
「ああ、初日の出見に行ってきた」
とは、さすが若者です。
そういえば、オレだって20歳の頃は、一晩中車をすっ飛ばして、友だちと太平洋の初日の出を見に行ったけ・・・うんぬんと、独りごちながら、雑煮をほお張りつつ、年賀状に目を通しました。
年々、増える年賀状。
ばら撒いた名刺の数に比例して、新顔の年賀状が増していきます。
「ブログ読んでます」
この言葉が、今年は多かったですね。
このブログも、開設して丸3年。
少しずつでありますが、認知されてきたようであります。
雑煮を食ったら、初飲みに近くの公民館へ。
うちの町内では、毎年元旦に「互励会」が行われています。
読んで字のごとく、互いに励ます会です。
と、言っても、ただの飲み会です。
だからって、タダではありません。
会費は、500円。
ですから、すぐに元は取れます。
自治会長のあいさつのあと、乾杯となり、ビールや焼酎、日本酒が飛び交います。
「はい、小暮さん。グーっと空けちゃって!」
「テレビ、見てますよ。あんたは町内の有名人だ」
「新聞の連載記事、読んでますよ。あれは、本にならないのですか?」
と、おだてられて、持ち上げられて、調子に乗って、グビ、グビ、グビ~!
「みなさーん、小暮さんに我が町内史を書いてもらいませんか?」
と長老が言い出したもんだから、僕もあわてて、
「原稿料はしっかり、いただきますよ!」
と、釘を刺しつつ、笑いをとりました。
だって、たった100戸しかない町内です。
売れても100冊ですから、元を取るのは大変です。
定価を1万円にしないと作れませんよ。
「町会費でまかなえ!」
と誰かが叫んだけれど、その町会費は、我が家からも徴収するんでしょう?
だんだん、現実味のない話になっていきました。
ホロホロ酔いで、我が家へ帰ると、長女夫婦と孫が待っていました。
「ジジーーッ」
と言って抱きついてくる孫は、2歳半の男の子。
孫の成長は、早いものです。
子どもは毎日見ているので、その成長に気づきませんが、たまにしか会わない孫は、会うたびに驚かされます。
小暮家の正月恒例儀式のために、車2台に分乗して、僕の実家へ。
実家にて、両親と兄家族と合流。
宴の始まりです。
昨年、両親の兄弟が相次いで亡くなり、また義姉の父が亡くなったこともあり、本家は喪中。
よって、「おめでとう」 は無しの乾杯のみの新年会となりました。
メンバーは、父(88歳)と母(85歳)、兄夫婦と姪(東京在住)、僕と家内と長男と次女、そして長女夫婦と孫であります。
「おい、ばーちゃん! 見てごらん、すごいねぇ~。俺とばあちゃんの2人が、12人になっちゃったよ」
とボケ老人のオヤジが、嬉しそうに笑っています。
「そうですよ、私とおじいさんが一緒になっただけでね。これこそが生きている意味ですよ」
と、喜ぶオフクロ。
確かに、不思議な話です。
オヤジとオフクロが出会わなければ、残りの10人は、今ここにいないのですから。
「これを子孫繁栄って言うんだよ。ありがたいね」
と、オフクロが言えば、
「おい、そこにいる子どもは、誰だ?」
と、僕の孫を指さすオヤジ。
「子か孫か? 誰だ?」
さっきまで、ダッコして名前を呼んでいたのに、突発的にボケが始まります。
「おじいさん、何を言ってるんですか、あなたの“ひ孫”ですよ!」
とオフクロが言えば、
「ひぇ~、ひ孫か! 本当かい、すごいね。俺には、ひ孫がいるんだ」
と、ボケの連発をかまします。
しまいには、隣で飲んでる僕の顔を覗き込み・・・
「お前は、誰だ?」
と、大ボケる。
「マジかよ。じーさんは、息子の顔も名前も忘れちまったのかよ!」
と、突っ込みを入れれば、
しばらくして、
「そーだ、ジュンだ。俺の息子だった」
と、オチをつけて、全員から笑いをとる始末です。
でもね、いいんですよ。
昨年は、オヤジもオフクロも入院した年でしたからね。
こうして、一族が元気に顔を合わせられただけで。
あと、何年、こうして正月を迎えられるのだろうか・・・
笑うオヤジとオフクロの顔のシワを、マジマジと見つめていた元日の夜でした。
今年が、良い年でありますように・・・
Posted by 小暮 淳 at 14:33│Comments(0)
│酔眼日記