2014年05月07日
青春の抜け殻
「その後、どうーよ?」
「相変わらず、欲のない人生を送ってますよ」
と、自由業の旧友。
久しぶりに会って、茶を飲みました。
「そっちこそ、どーよ? また本なんか出して、忙しそうじゃないの?」
「忙しいもんか! ヒマだから、こうやって平日に遊んでるんじゃないか」
しばらくして、彼が、こんなことを言いました。
「歳のせいかね。最近は、昔みたいに熱くならないね」
言われてみれば、僕も同感です。
「そうだね、腹が立たなくなった。昔なら 『ちっくしょー!』 とか 『今に見てろよ!』 なんて、すぐにムキになったものな」
「なんだか、自分の実力が自分で分かってしまったみたいだね。無駄な情熱を燃やさなくなったよ」
そして彼は、まるでひとり言のように、
「みんな、年下だもの……」
「ん? どーゆうこと?」
「ああ、本を読んでいてさ、『この作家は凄い!』 と思ってプロフィールを見ると、自分より年下のわけよ。それって、ショックじゃねぇ?」
ある、ある、ある!
確かに、あります。その瞬間。
今、僕が夢中になって読んでいる好きなミステリー作家たちは、みんな年下です。
テレビのニュース番組の解説者やコメンテーターも、ほとんど年下。
さらには、僕が暮らす前橋市の市長だって年下だものね。
「それって、参っちゃうよね。『オレって、今まで何して生きてきたんだ?』 なんて、落ち込んだりしてね」
と苦笑いをする友人。
「そこまで自分を卑下することはないだろうが、気持ちは分かるよ。だって、あと何年かすると、同級生たちは定年退職して、老後を迎えるわけだからな」
と言えば、
「そうそう、我々には終わりがない。だから余計、あせるわけよ。このままで、いいのかって」
なんだか、まるで “青春の抜け殻” みたいな会話になっちゃいました。
お互い、「燃え尽き症候群」 をわずらっているんでしょうかね。
Posted by 小暮 淳 at 20:50│Comments(0)
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