2022年04月16日
ガラケーは強し!
「ア゛ーーーー!!」
と叫んだと同時に、僕の胸ポケットから飛び出した携帯電話が、そのまま弧を描きながら真下の便器にダイブ!
「ア゛ーーーー!!」
と叫び終わる前に、すかさず右手を便器の中に突っ込み、底に沈む前にキャッチ!
「ああ、これで俺のガラケー人生も終わったな」
あわてて、備え付けのタオルにくるみました。
思えば、長い付き合いだったよな。
「絶対に携帯電話は持たない」
という信念を貫こうとしていた僕を説得したのは、タウン誌編集部のS嬢でした。
「だったら編集長は一歩も出ないで、一日中、編集室にいてください」
のひと言に負けて、
「何でもいいから携帯電話を持って来い! そしたら持ってやる!」
と啖呵を切ったのが、ガラケーとの出合いだもの。
20年以上の付き合いになります。
もちろん、機種は何台も変わりました。
そして時代も変わりました。
携帯電話は、誰もがスマホを持つようになりました。
それでも、かたくなに僕は 「絶対にスマホは持たない」 と意地を張りながら信念を貫き通そうとしていたのです。
でも、潮時が来たようであります。
これで踏ん切りが付くというものです。
携帯会社からは再三、DM通知が届いています。
<現在お使いの携帯電話は……>
というガラケーでの通信が終了するというお知らせです。
でも、終了までには、まだ間があります。
「がんばれ! 僕のガラケー!」
と励まし、騙し騙し、今日まで仲良く互いに支えながら暮らしてきたのです。
きれいに体を拭き拭きしてあげ、一か八か、電源を入れてみました。
すると、点きました!
でも、光量が弱い。
全体が暗く、画面の上部にカードマークが表示され、「☓」 印が点灯しています。
「おい、ガラケー! お前は、まだ生きているんだな!」
人間で言えば、瀕死の重体状態のようです。
「待ってろよ、絶対に助けてやるからな!」
と僕は、改めて電源を切り、本体から裏蓋をはずし、電池とチップを取り出しました。
「こんなにも濡れているじゃないか! ごめんよ、気づかなくて」
ティッシュと綿棒を取り出し、体内を清掃。
電池とチップもきれいに拭いて、しばらく置いて、中を乾燥させることにしました。
1時間後。
電源、ON!
「おおおおおおおーーーーーー!!!!」
凄いぞ、ガラケー!
何事もなかったように、いつもの画面に戻りました。
データもすべて残っています。
もちろ、電話もメールも通常通り使用できます。
ガラケーは強し!
あれから1週間が経ちました。
今でも僕と一緒に暮らしています。
なんだか以前より増して愛着が湧き、いとおしさまで感じるようになりました。
でも、やがて別れの日が来るんですね。
その日まで、よろしくガラケー!
Posted by 小暮 淳 at 12:05│Comments(0)
│つれづれ