2014年05月06日
感染るんです
午前8時。
実家のキッチンで、スクランブルエッグを作っていると、オフクロがやってきて、リビングの椅子に腰掛けました。
僕は、ミルクを温めて、テーブルへ。
「おはよう。あれ、じいさんは?」
いつもなら、オヤジのほうが先に起きてきて、
「あー、ハラ減った~! メシはまだかな~」
と、うるさく僕をせきたてるのですが……。
「それがね、散歩に行ったまま、まだ帰ってこないんだよ」
「いつ、出かけたの?」
「5時半」
「ご、ご、5時半だーーーーっ!!!!!」
もう、2時間半も経っているではありませんか。
「どこまで行ったんだい?」
「駅だと思うけど」
「それにしても、遅いよ。迷子になったとか、事故に遭ってないだろうね」
と、僕は急に心配になりました。
なのに、オフクロったら、
「もう、じきに帰って来るよ。それより、朝食はまだかね? 私ゃ、おなかがすいたよ」
と、いうことで、とりあえず、オフクロの朝食の用意だけしました。
でも、オヤジは、まだ帰ってきません。
「あれ、今日の新聞は?」
「たぶん、お父さんが部屋に持って行ったんだと思うよ」
ったく、オヤジは目が悪くて新聞なんて読めやしないのに、昔からの習慣で、必ず朝起きると郵便受けから新聞を取り出して、部屋に持って行ってしまうのです。
で、仕方なく僕は両親の部屋へ、新聞を取りに・・・
ギェーーーーーっ、で、で、出たーーーーっ!
オヤジの幽霊だーーーっ!
いや、まだ死んでないから幽霊じゃない。
生霊かもしれない。
どこかで事故か事件に巻き込まれて、助けを呼びに魂だけ飛んで来たのか?
んなわけ、ねーよな。
間違いなく、そこにいるのは生きたオヤジです。
一人で、こたつに入って、ボーっと宙を見つめています。
「じ、じ、じいさん、いるんじゃないか!」
「あ~、ハラが減った」
「散歩へ行ったんじゃないの?」
「わかんない。あ~、ハラか減ったよ。メシはまだかね~」
オヤジは、とっくに散歩から帰っていたのです。
なのに、同じ部屋にいて、その存在に気づかずにいたオフクロ。
困ったもんです。
オヤジのボケが、オフクロにも感染(うつ)ってしまったようです。
Posted by 小暮 淳 at 13:20│Comments(2)
│つれづれ
この記事へのコメント
笑い話しで済んで良かったです。
ドキドキしながら読んじゃいました。
流石です!
ドキドキしながら読んじゃいました。
流石です!
Posted by 優・寛の母さん at 2014年05月06日 21:02
優・寛の母さんへ
でも、困ったもんです。
これでオフクロまでも本当にボケてしまったら、我が家は、いったい、どうなってしまうんでしょう!
笑い話で済んでいるうちが、華なんでしょうね。
でも、困ったもんです。
これでオフクロまでも本当にボケてしまったら、我が家は、いったい、どうなってしまうんでしょう!
笑い話で済んでいるうちが、華なんでしょうね。
Posted by 小暮 淳 at 2014年05月07日 02:05