2010年03月08日
安全な温泉 あぶない温泉
2002年の夏、宮崎県日向市の温泉施設で起きた、レジオネラ菌集団感染の事件は、まだ記憶に新しいと思います。被害者総数およそ300人、死者7人という未曾有の大惨事でした。保健所が立ち入り調査したところ、循環風呂にもかかわらず、浴槽の残留塩素濃度がゼロだったという事実も後日判明。つまり、まったく殺菌がきれていなかったということです。
この事件によって、「循環風呂」という言葉が、一般の人にも知れ渡り、「循環風呂は危ない」という不信感を持つようになってしまいました。でも、あぶないのは循環風呂だけではない。かけ流し風呂にも、レジオネラ菌は発生する!と警鐘を鳴らしている本がありました。中澤克之・著『安全な温泉 あぶない温泉』(草思社)です。
私たちは温泉を語るとき、泉質や湯量など、ついつい源泉の良し悪しばかりに気をとられがちで、なかなか実際に入浴する浴槽内の湯の状態というものに無頓着だったようです。全国の温泉の7割がレジオネラ菌に汚染されているという事実。それゆえに塩素消毒が必要とされている現状。
著者の中澤さんは、実際に消毒業務を行っている温泉衛生コンサルタントです。ちまたには温泉地や温泉旅館を紹介する本はあまたとありますが(僕も書いてます)、浴槽を清掃・消毒する業者の立場から書いた温泉本は、大変珍しいと思います。これだけ温泉をめぐっている僕でさえ、清掃と消毒の現場については知らないことばかりでした。まさに目からうろこの温泉本です。
中澤さんは著書の中で、こんなことを言っています。
「レジオネラ菌は、湖、沼、湿地、土壌に発生する菌で、昔のように森林が豊かであったら、レジオネラ菌は誕生しなかったのではないか…」と。
緑地の砂漠化、森林の伐採により、樹木が発するフィトンチッドが減少しているといいます。フィトンチッドのもつ殺菌力の低下が、レジオネラ菌の繁殖を引き起こしたのではないかと、中澤さんは推測しています。でも、確かに昔の山のいで湯の小さな浴場では、起こらなかった現代の感染病です。
塩素漬けの温泉もいただけませんが、レジオネラ菌の繁殖は死亡事故につながる大問題です。
安全で、清潔で、新鮮な湯が、豊富に浴槽内で使われている温泉……。
僕の新たな温泉めぐりのテーマになりました。
この事件によって、「循環風呂」という言葉が、一般の人にも知れ渡り、「循環風呂は危ない」という不信感を持つようになってしまいました。でも、あぶないのは循環風呂だけではない。かけ流し風呂にも、レジオネラ菌は発生する!と警鐘を鳴らしている本がありました。中澤克之・著『安全な温泉 あぶない温泉』(草思社)です。
私たちは温泉を語るとき、泉質や湯量など、ついつい源泉の良し悪しばかりに気をとられがちで、なかなか実際に入浴する浴槽内の湯の状態というものに無頓着だったようです。全国の温泉の7割がレジオネラ菌に汚染されているという事実。それゆえに塩素消毒が必要とされている現状。
著者の中澤さんは、実際に消毒業務を行っている温泉衛生コンサルタントです。ちまたには温泉地や温泉旅館を紹介する本はあまたとありますが(僕も書いてます)、浴槽を清掃・消毒する業者の立場から書いた温泉本は、大変珍しいと思います。これだけ温泉をめぐっている僕でさえ、清掃と消毒の現場については知らないことばかりでした。まさに目からうろこの温泉本です。
中澤さんは著書の中で、こんなことを言っています。
「レジオネラ菌は、湖、沼、湿地、土壌に発生する菌で、昔のように森林が豊かであったら、レジオネラ菌は誕生しなかったのではないか…」と。
緑地の砂漠化、森林の伐採により、樹木が発するフィトンチッドが減少しているといいます。フィトンチッドのもつ殺菌力の低下が、レジオネラ菌の繁殖を引き起こしたのではないかと、中澤さんは推測しています。でも、確かに昔の山のいで湯の小さな浴場では、起こらなかった現代の感染病です。
塩素漬けの温泉もいただけませんが、レジオネラ菌の繁殖は死亡事故につながる大問題です。
安全で、清潔で、新鮮な湯が、豊富に浴槽内で使われている温泉……。
僕の新たな温泉めぐりのテーマになりました。
Posted by 小暮 淳 at 21:08│Comments(0)
│温泉雑話