2015年01月04日
大胡温泉 「三山の湯 旅館 三山センター」⑧
本日、“初湯” に行ってきました。
昨年の暮れも暮れ、大晦日の晩のこと。
「今年も1年間ありがとうございました。おかげさまで震災以降、一番いい年になりました。これも小暮さんのおかげです。たくさんの方が、本を見て来てくださいました」
と、突然、大胡温泉 「三山センター」 の女将、中上ハツヱさんから電話をいただきました。
大胡温泉(現前橋市、旧大胡町) は、自宅から一番近い温泉宿ということもあり、取材だけでなく、プライベートでも、ちょくちょく湯を浴みに立ち寄っているお気に入りの1軒であります。
「来年は4日から開けていますから」
と言われれば、行かないわけにはいきません。
今年の “初湯” は、大胡温泉に決まりだ!
ということで、両親の介護の合い間に、息抜きとリフレッシュを兼ねて、女将さんの “初笑顔” を見に行ってきました。
いや~、驚きました!
駐車場は満車であります。
今日が大胡温泉の初湯日ということを知っている人が、こんなにもいるのですね。
「あけましておめでとうございます」
と玄関を入って新年のあいさつをすれば、
「わぁ~、本当に来てくれたのね~!」
と着物姿の女将さんが、満面の笑みをたたえて出てきました。
フロントまわりが、以前に増して、にぎやかであります。
なにかと思えば、NHK大河ドラマ 『花燃ゆ』 関連の前橋市観光パンフレットの類いです。
そういえば今日は、1月4日でしたね。
放送開始日でした。
でも観光パンフにまざって、僕の著書も販売されています。
と思えば、本のポスターや新聞広告まで、僕関連の物もベタベタと壁に貼られていました。
女将さん、ありがとうございます。
「私はね、20年前まで、この近くに住んでいたんですよ。今は伊勢崎から通っています。ここの湯は温まるんで、昔から好きなんですよ」
と湯舟の中で、初老の男性に声をかけられました。
「ですよね~」
と答えると、
「腰とか背中の痛みも取れるしね」
と、かなりのお気に入りようです。
まさに、女将のリウマチを治した “奇跡の井戸水” であります。
※(詳しくは、僕の著書をお読みください)
湯上がりは、もちろん、名物の 「焼きまんじゅう」 をリクエスト!
八丁味噌と西京味噌がブレンドされた、県内最強の焼きまんじゅうであります。
1串5個で、200円というのも魅力です。
「小暮さん、ビールでも飲めばいいのに?」
「いえいえ、車ですから」
「だったら飲んで、夜までゆっくりしていけばいいのよ」
「それが、ゆっくりできないんですよ」
そーなんです。
これから実家に戻って、両親の食事を作らなければならないのです。
「残念ですが、また、ゆっくり来ます」
と、早々においとましたのでありました。
女将さん、スタッフのみなさん、ごちそうさました。
そして、今年もよろしくお願いいたします。
2015年01月03日
餅と老人
みなさんは、どんな正月を過ごしていますか?
我が家は、元日に全員が顔を合わせただけで、すでに昨日からは、てんでんバラバラの生活をしています。
家内と息子は、2日から仕事とバイトへ。
娘は受験生のため、自分の部屋に閉じこもったままです。
僕は・・・
僕は、まだ取材もなく、急ぎの執筆もないので、三が日くらいはのんびりしようと考えていたのですが、そうは問屋が卸してくれませんでした。
というのも、早々に今朝、兄夫婦が東京へ帰ってしまったのであります。
と、いうことは、実家には、頭の不自由なオヤジと、足の不自由なオフクロが残されることになります。
ゆえに、2人の介護は、僕の役目となります。
ので、新年早々今日から実家に泊まり込むことになりました。
「ばあさん、昼は何が食べたい? うどんでも、こしらえようか?」
と訊けば、
「お汁粉が食べたい」
と言います。
お汁粉なら、義姉が元日に作った残りが、まだ鍋にあります。
「お汁粉だけで、いいんかい?」
「餅も食べるに決まっているだろう」
「もち? 餅はダメだよ。年寄りに餅は、危険だ!」
というのも、今朝の新聞で、
<餅のどに詰まらせ9人死亡>
の記事を読んだばかりだったのです。
記事によれば、元日と2日の夕方までに、ノドに餅を詰まらせて救急搬送された老人が、全国で128人もいたそうです。
うち9人が、帰らぬ人となりました。
もう毎年のことですからニュース自体は驚きはしませんが、我が家ではご法度であります。
なのに、オフクロは息子の言うことを聞きません。
「ばあさんは、ともかくさ、じいさんは無理だろう?」
「大丈夫だよ。小さく切ってくれれば。お正月だもの、お父さんだってお餅が食べたいよね」
といっても、オヤジには聞こえていないし、聞こえたところで理解ができません。
結局、みつ豆の寒天みたいに餅を細かく切り刻んで、スプーンで食べさせることにしました。
「じいさん、よーく噛んで食べるんだぞ」
「ああ、わかった」
「これは餅だからな」
「ああ、わかった」
「おいしいかい?」
「ああ、おいしい」
本当かな? 分かっているのかな?
でも、いいや。
無事に完食してくれたもの。
長い長い、僕の正月休みが始まりました。
2015年01月02日
元年宣言
「今年は “再生元年” ですね」
毎年2日は、午前中に年賀のあいさつに出かけるのが恒例です。
もう、かれこれ30年近く、同じ人を訪ねています。
僕にとって、物書きの道を指南してくださった人生の師、野村たかあき先生です。
先生は木彫家であり、絵本作家でもあります。
冒頭のセリフは、今日、お会いした時の先生の第一声です。
実は僕、先生と知り合った翌年から毎年、年賀状にその年の志しを記してきました。
<今年は○○元年です> と・・・
これは意志の弱い僕なりの自分を鼓舞するアイデアだったのです。
自分は、黙って実行する 「不言実行タイプ」 の人間じゃない。
だったら恥をしのんでも言葉に出して、有言実行できる人間になろう!
そして、どうせなら一番厳しい人に聞いてもらって、その1年間を評価してもらう!
そんな思いから始まった “元年宣言” であります。
今年は、「再生」 がテーマです。
もちろんNPO法人 『湯治乃邑(くに)』 として、従来の湯治場の復活および再生を目指すことがメインですが、でも、それだけではありません。
今年は、フリーのライターとして活動を始めて、ちょうど20年になる節目の年でもあります。
初志貫徹!
もう一度、原点にかえり、自分の生き方が間違っていなかったかどうかを確かめながら、仕事をしたいと思ったのです。
温泉地=湯治場、だったはずが、いつしか観光地化されています。
同じように、自分自身の “ズレ” や “ゆがみ” を発見して、軌道修正をしたいと思うのです。
そして同時に、再生する喜びを味わえたらと・・・
2015年01月01日
年頭所感 ~もう一人の自分~
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
と、いうことで、我が人生57回目の新年を迎えました。
でも、なんということはない、いつもと同じ朝でした。
午前9時半、起床。
(夜型の僕としては、いつものことです)
階下へ下りると、すでに家内も娘もいません。
これも、いつもと同じ光景ですが、不在理由が異なります。
通常だと、“勤めと学校のため” ですが、元旦の今日は “初売り” に出かけたようです。
なぜだか、女性は 「福袋」 が好きなんですね。
男には、理解できません。
その、理解できない男が、もう一人。
彼女と年明けを祝った、朝帰りの息子が、パジャマ姿でリビングにいました。
「おめでとう」
と言えば、
「おめでとう」。
そして、ひと言・・・
「おやすみ」
いいですね、若者って!
僕も彼の年齢には、大晦日から一晩中遊んで朝帰りしたものです。
「おやすみ。あ、午後はお前も、おばあちゃんちへ行くんだろ?」
「ああ」
年賀状に目を通して、返信を書いていると、もう昼です。
大きな紙袋を抱えた家内と娘が帰って来ると、時を計ったように、嫁いだ長女一家がやって来ました。
「あけましておめでとうございます」
と、娘ムコに続いて、
「ジイジ~、おめれとう!」
と4歳の孫が、飛びついて来ました。
そうなんです。
僕は、正真正銘のおじいちゃんなのでした。
ふだんは娘夫婦と同居していないものですから、抱き上げた両手に違和感と戸惑いを感じます。
しばらく会わない間に、大きくなったし、日本語もしっかりしてきました。
素直に、可愛いと思います。
こんなとき、僕は、どんな顔をしているのでしょうか?
こんなにも賑やかな我が家は、久しぶりであります。
僕と家内と長男と次女。
これに長女夫婦と孫の7人が、2台の車に分乗して、大移動であります。
家内の実家へ新年のあいさつに寄ってから、僕の実家へ。
小暮家の新年会の始まりです。
うちの7人に、僕の両親、そして兄夫婦と姪っ子が加わり、総勢12人が顔を合わせました。
「オレとばあちゃんが結婚したら、こんなにも家族が増えました。ありがとう。乾杯!」
と、90歳のオヤジの音頭で始まりました。
「おじいさん、長生きはするものですね」
「ああ、そうだな」
「これを幸せっていうんですよ」
と、オフクロも嬉しそうです。
なんか、とてもヘンな気分であります。
なんだか、僕が僕でないような、不思議な空間でした。
息子がいます。娘たちがいます。孫もいて、ムコもいる。
僕は、この人たちから見たら父であり、義父であり、祖父なんだと・・・
そして、僕にも兄と父と母がいて・・・
いつもいつも夢ばかり見て、自分のことばかり考えて生きている僕にとって、正月は、なんだか異次元の世界に迷い込んだようであります。
自分勝手に、いい加減に生きてきたつもりだけど、こうやって同時に現実も築いてきたんだ・・・
と、改めて家族の顔を一人一人、眺めてしまいました。
正月って、いいものですね。