温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2023年12月31日

ゆく年くる年 ゲゲゲのゲ~!


 今年も一年間、ブログにお付き合いいただきありがとうございました。
 無事今日、開設14年の年を終えることができました。
 これもひとえに、熱心に閲覧していただいている読者様のお陰と感謝申し上げます。
 ありがとうございました。

 いよいよ来年は15年目に入ります。
 どんな新しい年が待っているのでしょうか?


 まず、年明け早々から新春講演会があります。
 2月からは某新聞紙上で連載がスタートします。

 現在、高崎市のフリーペーパー 「ちいきしんぶん」 にて連載中の3つのシリーズ。
 『令和版みなかみ紀行』 『続・民話と伝説の舞台』 『ぐんま湯の里ハイク』 の取材も続きます。


 毎月開催している 「神社かみしばい」 (伊勢崎市)、隔月開催の 「玉村かみしばい」 (玉村町) も、今まで通り開催します。
 新作紙芝居の制作も同時進行いたします。

 NPO法人 「湯治乃邑(くに)」 主催によるパネルディスカッションの再開。
 来年も 「ぐんま温泉サミット」 を開催します。

 制作が暗礁に乗り上げていた 『ぐんま温泉かるた』、出版が遅れている新刊本の発行もしなければなりません。


 なんだかんだと来年もやらねばならぬことが、てんこ盛りです。
 健康で、元気に、自分らしく生きるしかありませんね。

 読者のみなさま、引き続き来年もよろしくお願いいたします。 
 


 それでは、今年も最後に恒例、故・水木しげる先生の 『ゲゲゲの七か条』 (幸せになるための知恵) を、ご一緒に唱和いたしましょう!


 <第一条>
 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。

 <第二条>
 しないではいられないことをし続けなさい。

 <第三条>
 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし。

 <第四条>
 好きの力を信じる。

 <第五条>
 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。

 <第六条>
 怠け者になりなさい。

 <第七条>
 目には見えない世界を信じる。


 よいお年をお迎えください。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:47Comments(2)つれづれ

2023年12月30日

友が師を語るとき


 イラストレーターの飯塚裕子さん (前橋市在住) とは、長い付き合いになります。
 27~8年前、学生向けの雑誌に劇画を掲載する仕事で出会いました。
 その時、脚本を書いたのが僕で、飯塚さんは作画を担当しました。

 彼女の明るい性格は、仕事の仲間内でも人気者。
 一緒にバンドを組んだり、旅行へ行ったり、公私ともに親しくしていただいている友人です。

 ちなみに僕の著書 『ぐんまの里山てくてく歩き』(上毛新聞社) の表紙画は、彼女の作品です。


 そんな彼女が、このたび前橋市の情報サイト 「me bu ku」(めぶく) の最新版に大きく掲載されました。
 こんなタイトルが付いています。

 “チャーミングな七福神や縁起物 飯塚裕子さん 粘土細工で福を呼ぶ”


 彼女は今、イラストレーターのジャンルを広げ、クレイアート (粘土細工) 作家としても活躍しています。
 記事では、その原点となったエピソードが語られています。

 今年7月に亡くなられた木彫家で絵本作家の野村たかあきさんとの出会いです。
 彼女もまた僕同様に、野村さんとの出会い無くしては、今の人生を歩んでいなかったアーティストの一人です。


 飯塚さんが色紙を持った写真が掲載されています。
 生前に野村さんからいただいた色紙です。
 こんな言葉が書かれています。

 『夢にむかっている事は うれしい事です』


 野村さん、見てますか?
 あなたの弟子たちは、あなたの言葉を胸に、みんな夢に向かって歩いていまよ!


 裕子ちゃん、来年もいっぱい笑って、いっぱい仕事をしようね。
 師匠に恥ずかしくないように……


 ●情報サイト 前橋新聞 「me bu ku」
  https://mebuku.city/news/watch/post-27525

   


Posted by 小暮 淳 at 11:08Comments(0)つれづれ

2023年12月29日

H納め ~静かなる日々~


 タイトルを見て、良からぬ想像をした人はいませんか?

 「H」 とは、僕が通っている呑み屋の頭文字です。
 日々の暮らしの中で、頑張った自分へのごほうびとして与えているルーティン。
 かれこれ15年以上も続いています。


 2023年も残り少なくなりました。
 今年は、思いのほか忙しい年でした。
 サプライズあり、出会いあり、飽きることのない充実した一年だったと思います。

 まだ年内にやるべき仕事は残っているのですが、ここらで小休止。
 昨日は一日オフにして、自分へごほうびを上げることにしました。


 まずは映画。
 カンヌ国際映画祭で、主演の役所広司さんが最優秀男優賞を受賞した 『PERFECT DAYS』。
 監督はドイツの名匠、ピム・ベンダース。
 トイレ清掃員の男の日常を描いた人間ドラマです。

 古いアパートに一人で暮らし、同じ時間に目覚めて、仕事道具を積んだ車に乗り、洋楽のカセットテープを聴きながら、いくつもの公衆トイレを黙々と丁寧に清掃して回る毎日が、淡々と描かれています。
 大きな事件は起こりません。
 ドラマチックな展開もありません。
 同じルーティンを繰り返しているだけの日々。

 「何が楽しくて生きているのだろうか?」
 そんな疑問は、映画を観ているうちに消えていました。
 いつしか、彼のような生き方を 「うらやましい」 と思っている自分がいたのです。

 舞台は日本の東京。
 登場する主要人物もすべて日本人。
 なのに、どこか古い洋画を見ているような懐かしさを覚えました。


 映画館を出ると、僕は主人公のように風呂屋へ向かいました。
 湯に浸かり、外を眺めると、青空が見えました。
 主人公の平山は、仕事の合間や休憩の際に、よく空を眺めます。
 そして木々の間からこぼれる光を、フィルム式のコンパクトカメラに収めていました。

 「こもれび」 です。

 僕もまた、湯舟の中で木漏れ日を探していました。


 湯から上がり、その足で 「H」 の暖簾をくぐりました。
 カウンターに座れば、黙っていてもおしぼりと生ビールが出てきます。

 「ジュンちゃん、一年間、お世話になりました」
 「こちらこそ、いい一年をありがとうございました」
 そう言うと、僕はグラスをひと息で飲み干しました。

 「もう一杯」
 「この後は何にする? 焼酎? ウィスキー?」
 「う~ん、焼酎からのウィスキー、締めに日本酒で」


 いつもの僕のルーティンが始まりました。
 そして、これが今年の “H納め” となりました。

 ママ、常連客のみなさん、来年もよろしくお願いいたします。
 よい(酔い)お年をお迎えください。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:19Comments(0)シネマライフ

2023年12月28日

祝! NYWSC金賞


 「赤城山」

 なんて読むでしょうか?


 山名は 「あかぎやま」、酒名は 「あかぎさん」 です。

 ということで、今日は 「ぐんまの地酒大使」 からの嬉しいお知らせです。
 近藤酒造 (みどり市) の 「遠心分離搾り純米大吟醸 黒檜(くろび) 赤城山」 が、アメリカで開催された酒類品評会 「ニューヨーク・ワールド・ワイン&スピリッツ・コンペティション (NYWSC)」 で栄えある金賞に輝きました。

 おめでとうございます!


 あまり日本酒では聞きなれない言葉ですが、“遠心分離搾り” って知ってましたか?
 実は僕、2年前に取材で近藤酒造を訪ねたときに、この遠心分離機なる機械を見せてもらいました。

 まあ、見た目は、身の丈ほどの銀色に輝く、ふつうの円筒状のタンクなんですけどね。
 これが、かなりの優れものなんです。
 しかも県内初の画期的な技術でした。


 本来は圧力をかけて、布でろ過する工程を、1分間に約3,000回転という遠心力で酒と粕に分離してしまうのです。
 搾りに無理な圧力がかからないため、雑味のない高品質の酒が造れるとのことでした。

 もちろん僕は、この 「遠心分離搾り」 の純米大吟醸をいただいてきました。
 鼻腔をくすぐる芳醇な香り、口に含んだ時のまろやかな旨み。
 それでいてキレがあり、品と華がある洗練された味わいがありました。


 あのとき呑んだ酒が、海を渡り、遠い異国の地でも評価されたのですね。
 まさに群馬の誇りであります。

 まだの人は、ぜひ一度 「遠心分離搾り」 を味わってみてください。
  


Posted by 小暮 淳 at 09:21Comments(3)大使通信

2023年12月27日

スカスカおせちとグチャグチャケーキ


 そのクレーム (相談件数) に驚いた!
 約1,200件 (26日午後8時時点)。

 某大手百貨店がオンライン販売したクリスマスケーキの一部が、破損して配達されていたというニュースです。
 一部ということですから予約数は、その何倍もあったというわけです。


 このニュースを聞いて、すぐに思い出したのが10数年前に話題になった 「スカスカおせち」 でした。
 2万円以上もする高級おせち料理を半額で販売したところ予約が殺到。
 届いたおせち料理は、中がスカスカだったという笑うに笑えない珍事件でした。

 似てるよね、この2つのニュース!
 「おせち」 と 「クリスマスケーキ」 の違いはあっても、僕ら昭和世代にとっては、どちらも特別な日の特別な食べ物だったからです。


 おせちは、買うものではなく、作るもの。
 昭和では、当たり前でした。
 正月の三が日は、どこも商店が開いてませんから、おせち料理と餅を食べて過ごすしかありませんでした。

 クリスマスケーキなんて、僕が子どもの頃は、お大尽の家の子しか買ってもらえませんでした。
 それだって、バタークリームのケーキです。
 冷蔵庫が普及していなかった時代のこと。
 まだ、生クリームの存在すら知らなかったのです。

 それでも給食で、小さなバタークリームのケーキが出たときは、うれしかった!
 みんな学校では食べないで、そーっと、そーっと形が崩れないようにして、家まで持って帰ったものです。
 そして、小さなケーキを家族みんなで、一口ずつ分け合って食べました。

 それが、一般的な昭和の家庭のクリスマスケーキの思い出です。


 時代は変わり、令和のクリスマスケーキはオンラインショップで販売されました。
 有名なパティシエが監修したとのことですが、製造は工場です。
 5,000個以上の注文があったといいます。

 では、なぜ、グチャグチャに破損したケーキが届いたのでしょうか?
 配送業者が、雑な扱いをしたから?
 でも、中身は冷凍とはいえ、レーキですからね。
 プロが、そんな扱いをしたとは思えません。
 しかも、1,200個ですよ?

 ということは、製造過程でトラブルが起きたのでしょうか?
 完全に冷凍されていない状態で出荷された?


 きっと、原因は数日のうちに解明されるでしょうね。
 ただ、これだけは言えます。
 なんでも、かんでも、“便利” で “お得” な世の中になった結果じゃないのかなって。

 この “便利” で “お得” な商戦の中で、悲鳴を上げている人たちが必ずいるということです。
 キャパオーバーによる人材不足が、原因じゃないのかな?
 製造も配送も、結局はマンパワーですもの。


 おせちは家で作り、ケーキは洋菓子店に買いに行っていた時代には起こらなかった、令和ならではの珍事件じゃないでしょうか。 
   


Posted by 小暮 淳 at 12:01Comments(2)昭和レトロ

2023年12月26日

笑う年には福来たる


 今年も日本漢字能力検定協会が、その年の世相を漢字一字で表す 「今年の漢字」 を発表しました。
 「税」 でした。

 ん~、なんとも言えませんな。
 もっと気の利いた漢字はなかったのですかね?
 でもアンケートで一番多かった漢字だっといいますから、仕方ありませんね。
 庶民の実感ということでしょうか。


 さてさて、僕も毎年恒例の私的 「今年の漢字」 を発表します。
 今年は迷わず、パッと漢字一字が浮かびました。

 「笑」 です!


 いや~、一年間よく笑いました。
 笑いっぱなしの一年でした。
 楽しかっただけではなく、常にワクワクドキドキがあり、毎日飽きることがありません。
 手帳にスケジュールが書き込まれるたびに、「よっしゃー!」 と叫んでいましたもの。

 まず、毎月どこかで講演会がありました。
 そのテーマも、温泉あり、民話あり、地酒あり。
 若山牧水をテーマにしゃべったこともありました。
 聴講者らと、よく笑いました。

 街頭紙芝居も楽しかった!
 伊勢崎神社 (伊勢崎市) での 「神社かみしばい」 は毎月、玉村八幡宮 (玉村町) での 「玉村かみしばい」 は隔月に公演しました。
 寒い日も暑い日も風の日も、たくさんの人たちが訪れてくれて、一緒に笑いましたね。


 プライベートでは、落語会へ足を運びました。
 プロアマ問わず、話術だけで観客を楽しませる芸に酔いしれました。
 そして笑いました。


 またテレビやラジオにも多く出演した年でした。
 群馬テレビの 『ぐんま!トリビア図鑑』 では、シリーズ 「温泉王国ぐんま」 のリポーターとして3本出演しました。
 エフエム群馬、ラジオ高崎の番組にもゲスト出演して、楽しいおしゃべりをしてきました。

 そして極めつきは、やっぱりコレ!
 フジテレビの 『ホンマでっか!?TV』 に、スタジオ出演したことでしょうね。
 あの “お笑い怪獣” こと明石家さんまさんと共演するとは、夢にも思っていませんでした。
 そして、中山秀征さん、井森美幸さんをはじめとする群馬勢。
 ブラックマヨネーズ、カミナリ、EXITといったお笑い芸人とのトークバトル。

 笑い続けた90分の収録時間でした。


 ということで、今年の漢字は 「笑」 以外にありませんって。
 “笑う門には福来る” といいます。
 当然、よく笑った一年ですから、たくさん福が来るでしょうね。

 来年が楽しみです。
 福よ、来い!
   


Posted by 小暮 淳 at 11:11Comments(2)つれづれ

2023年12月25日

レジが怖い


 フジテレビ 『ホンマでっか!?TV』 のオンエアから2カ月。
 依然、“明石家さんま” というパワーワードの効力は衰えません。


 昨日もイベント会場で、見知らぬ夫婦から声をかけられました。
 「小暮先生ですか?」

 僕のことを “先生” と呼ぶ人たちは限られています。
 講座や講演の受講生らです。
 稀にですが、温泉ファンや読者から呼ばれることがありますが、雰囲気からして、この夫婦は違いました。


 「さんまさんのテレビ、観ました」
 これが “先生” と呼んだ真相でした。
 番組での僕の肩書は 「群馬魅力評論家」。
 収録では、さんまさんも僕のことを 「先生」 と呼んでいました。

 「よく、分かりましたね?」
 知りたいのは、ただこの一点です。
 テレビで一度見た人を、偶然訪れたイベント会場で分かるものでしょうか?

 「はい、すぐに分かりました」
 とは、僕は一度見たら忘れられない顔ということですか?
 ちょっと、怖くなりました。


 そういえばテレビ放送後、親しい友人から、
 「小暮さん、これからは、やたらなことはできませんよ。誰が見ているか分かりませんからね」
 と釘を刺されました。
 「大げさな」 と思ったのですが、その時に2つの誓いを立てました。

 ①コンビニでエロ本の立ち読みをしない。
 ②スーパーで半額シールが貼られた食品を買わない。

 ①は、今でも守っています。
 ただ難しいのは②です。
 ついつい人が見ていないときに、サッとカゴに入れてしまいます。
 特に、焼き鳥の 「ぼんじり」 が残っていたりすると、周りに客がいようがいまいが、反射的に手が伸びてしまいます。


 でも問題は、その後のレジです。
 以前、会計の時、レジの女性から 「サインください」 と、いきなり著書を差し出されたことがありました。
 そのことがトラウマとなり、レジを通過する際は、必ずマスクをするようになりました。

 今のところ、レジで声をかけられたのは、その1回だけです。
 ていうか、その後、そのスーパーへは行っていません。
 (僕は小心者なのです)
  


Posted by 小暮 淳 at 10:46Comments(2)テレビ・ラジオ

2023年12月23日

霧積温泉 「金湯館」⑪


 「小暮さんの本は、すぐ売れちゃうのよ。また送っといてね」

 会うたびに、満面の笑みをたたえて出迎えてくれた大女将の佐藤みどりさん。
 先日の新聞で、訃報を知りました。


 僕が最初に霧積温泉の一軒宿 「金湯館」 を訪れたのは、20年ほど前。
 まだ、その頃は親戚が営む 「きりづみ館」 があり、一軒宿ではありませんでした。
 確か、雑誌の取材だったと記憶しています。

 その後、2011年に 『群馬の小さな温泉』(上毛新聞社) という本の取材で、再度、訪れています。
 まだ3代目主人の敏行さんも健在で、電気のない時代の苦労話を、たくさん聞きました。


 大女将との思い出は、2011~13年の2年間にわたり朝日新聞群馬版に連載した 『湯守の女房』 での取材です。
 このシリーズでは、県内の温泉宿の女将をインタビューしながら “湯守の女房” としての苦労話や自慢話を紹介しました。
 「金湯館」 は、シリーズ第16話で訪ねています。

 紙面には、大女将のみどりさんと若女将の和美さんが仲良く並んで笑っている写真が大きく掲載されました。
 この時、みどりさんは敏行さんとの馴れ初めを話してくれました。
 それは、夏休みに金湯館にアルバイトに来たのがきっかけだったとか。

 すると知美さんも、長男の淳さんとの出会いが、まったく同じでした。
 ともに旧松井田町(安中市)の出身で、アルバイトに来て知り合ったという親子二代のラブストーリーを記事にしました。
 (当ブログのカテゴリー 「湯守の女房」 参照)


 それからも雑誌や新聞の取材ほか、著書 『新ぐんまの源泉一軒』 『西上州の薬湯』 の出版でも大女将にはたびたびお世話になました。

 新聞記事に、こんな一文がありました。
 <若女将に聞けば、前夜までいつも通りにしていて、朝起きて来ないので見に行ったら、亡くなっていたという。>

 なんとも大女将らしい最期ではありませんか!
 生涯、“湯守の女房” を貫いたのであります。


 みどりさん、大変お世話になりました。
 ありがとうございました。

 ご冥福をお祈りいたします。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:33Comments(0)温泉地・旅館

2023年12月22日

「書道」 もいいけど 「温泉」 もね


 国の文化審議会は今月18日、国連教育科学文化機関 (ユネスコ) の無形文化遺産登録を申請する候補に 「書道」 を選びました。
 これにより群馬県内の旅館やホテル、観光、自治体関係者が登録推進協議会を立ち上げて、登録活動を行っている 「温泉文化」 の最短登録目標 (2026年) は絶望的となりました。

 思えば5年前、2018年12月に群馬県庁で開催された登録推進協議会の発会式には、僕もNPO法人 「湯治乃邑(くに)」 の代表として参加しました。
 残念ではありますが、引き続き次回の登録を目指して、微力ながら応援と協力をしていきます。


 5年前、「なにかNPOとして、援護射撃ができないだろうか?」
 と考えて活動を始めたのが、『ぐんま温泉かるた』 の制作でした。
 今年4月、読み札が完成したためクラウドファンディングにて制作費の協力を募りましたが、結果、目標額には到底およびませんでした。

 惨敗であります。

 支援していただいた方々には、大変申し訳なく思っています。
 ただ、あきらめたわけではありません。
 現在でも制作は続いています。

 ただし、いかんせん予算がありません。
 ので、最小限の部数発行を目指しています。
 遅々たる歩みではありますが、少しずつ前には進んでいます。
 どうか支援してくださっているみなさま、大きな心で、もうしばらくお待ちください。
 必ずや、お手元に 『ぐんま温泉かるた』 をお届けします。


 ということで昨晩、反省会を兼ねたNPO法人 「湯治乃邑」 の忘年会を開きました。
 そして役員一同、来年に向けての抱負を語り合いました。

 ①かるたの完成!
 ②パネルディスカッションの再開!

 この2点を胸に秘め、役員たちは新しい年を迎えます。
 どうぞ今後とも、NPO法人 「湯治乃邑」 へのご支援をよろしくお願いいたします。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:10Comments(0)湯治乃邑

2023年12月21日

相間川温泉 「ふれあい館」⑧


 相間川温泉 (旧・倉渕村) に温泉が湧いたのは平成7(1995)年のこと。
 以来の付き合いだから、かれこれ30年近く通っていることになります。
 もう何十回と、湯に入っています。

 が、そのほとんどが、車で訪ねています。


 昨日、10数年ぶりに電車とバスを乗り継いで、相間川温泉まで行ってきました。
 (前回の様子は、2011年に上毛新聞社から出版された 『電車とバスで行く ぐんまの里山てくてく歩き』 に収録されています)

 で、今回は、現在、高崎市のフリーペーパー 「ちいきしんぶん」 に不定期連載されている 『ぐんま湯の里ハイク』 の取材で訪れました。
 このシリーズでは、ただ温泉に入るだけではなく、温泉地の周辺を歩きながら散策をして、最後に温泉に入るという群馬県民ならではの日帰りハイクの楽しさを提供しています。


 では、なぜ、車を使わずに、わざわざ不便な公共交通機関を利用するのか?
 それには、以下の3つの理由があります。

 ①湯上りにビールを呑みたいから!
 ②マイカーを持たない人たちにも温泉を楽しんでほしいから!
 ③ゆっくりのんびり小さな旅に出かけてほしいから!


 車で移動したら半日で終えてしまう “目的” 重視の行楽ではなく、丸一日かけて、たっぷり “過程” を楽しむ旅を提案したいからです。
 今回も電車で高崎駅に降り立ち、バスを乗り換え、乗客や運転手と触れ合いながらのバス旅を満喫してきました。

 もちろん、あの黄金色した鉄分と塩分と油分たっぷけの温泉にも、たっぷりつかってきました。
 そして湯上りには、お約束の生ビールを豪快にジョッキでいただきました。


 ※次回 『ぐんま湯の里ハイク』 は、「ちいきしんぶん」 2024年1月19日号にて掲載されます。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:13Comments(0)温泉地・旅館

2023年12月19日

   G 


 泣けた、泣けた。
 不覚にもラストシーンで、涙があふれ出た。
 まさか、ゴジラを観て泣くとは思いませんでした。

 映画 『ゴジラ-1.0』 を観てきました。


 思えば、物心ついた頃からゴジラ映画を観て育ちました。
 第1作目の 『ゴジラ』 は1954年ですから、まだ僕は生まれていません。
 記憶に残っているのは、7作目の 『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966) や8作目の 『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967) あたりからです。
 大人になってから、それ以前の作品もくまなく観てきました。
 (ただしメカゴジラを除く)

 来年は、ゴジラ誕生から70周年を迎えます。
 そして今作品は、ちょうど30作目になります。

 前作の 『シン・ゴジラ』 から7年ぶりのゴジラ映画です。
 前回は 「新世紀エヴァンゲリオン」 の庵野秀明が総監督ということで話題になりました。
 そして今回は、「ALWAYS 三丁目の夕日」 の山崎貴監督がメガホンを取ったということで、個人的には大変期待していました。
 彼は、日本のVFX (実写とCGを合わせた特殊効果) の第一人者ですからね。
 その技術がゴジラ映画に、どう効果的に使われているか?
 それが興味の対象でした。

 なのに……
 まさか……


 山崎監督は、脚本家としても天才だったのですね。
 あのラストの展開は何ですか?
 想定していたエンディングを裏切る2段オチ、さらには3段オチに、涙腺を破壊されてしまいました。
 間違いなく、ゴジラ映画の最高傑作だと思います。

 この 『ゴジラ-1.0』 は、海の向こうでも大絶賛されているとのこと。
 すでに全米興収が、歴代邦画実写作品1位に輝いているといいます。
 海外のコメントを見ると、やはり描かれている人間ドラマに泣かされたようですね。


 でもね、正直なことをいうと、僕がこの映画を観に行った一番の理由は、浜辺美波ちゃんが出演しているからなんですよ。
 そして、前作の 『シン・ゴジラ』 は、石原さとみちゃんが出ているからでした。

 すみません!
 相変わらず、昔取った杵柄の 「美少女研究家」 の肩書が取れなくて (笑)


 まだの人は、だまされたと思って、観てみてください。
 ゴジラも最高に怖いですから!
   


Posted by 小暮 淳 at 13:26Comments(0)シネマライフ

2023年12月18日

玉村名物三昧


 満員御礼!
 たくさんの方のご来社、ありがとうございました。

 2日間にわたり玉村八幡宮 (群馬県佐波郡玉村町) で開催された今年最後の 「玉村かみしばい」。
 200人以上の方が、地元の民話を題材にした紙芝居を観覧してくださいました。


 思えば、「玉村かみしばい」 は今年3月に第1回を開催したばかりです。
 それが一年も経たずに、あれよあれよのうちに第5回を迎えていました。
 なんで?
 主催者側も驚くばかりです。
 でも、これには玉村町の人たちの並々ならぬ熱意と協力があったのです。
 町長をはじめ副町長、教育委員会と役場のみなさんの力をお借りして、開催しています。

 何よりも毎回、会場を提供してくださっている玉村八幡宮の宮司とスタッフには、ただただ感謝しかありません。
 今年一年間、本当にありがとうございました。


 ということで、今回は街頭紙芝居の開催だけではなく、打ち上げを兼ねてスタッフ一同で、一年間の互いの労をねぎらい合いました。
 なんと、宮司のはからいにより、神社に泊まり込んでの忘年会であります!

 宴のテーブルには、焼き鳥や刺身の盛り合わせのほか、豪華な料理が並びました。
 「一年間、大変お世話になりました。乾杯!」
 まずはビールから始まり、焼酎、日本酒とテンションは上がり続けます。

 そこで、宮司が取り出した珠玉の一品!
 知る人ぞ知る、玉村名物の 「たまむらとうふ」 であります。
 濃厚な豆の風味がたまりません。
 ざる豆腐と湯葉に、日本酒のピッチが上がります。


 一夜明けて……

 開催2日目の昼は、地元の人に連れられて、これまた玉村名物を食べに 「三和食堂」 へ。
 店内は満席の超人気ぶり。
 そして見渡す限り、ほとんどの人が 「唐揚げ定食」 を食べています。

 その唐揚げの大きさにビックリ!
 1個で、通常の2倍ほどの大きさです。
 なのに、やわらかい!
 口の中で広がる肉汁に、飯が進みます。

 午後は、いつまでも口の中に唐揚げの香りが残っていました。


 そして、3時のおやつには、玉村名物の王道 「ロールケーキ」 の差し入れが!
 群馬県民なら知ってますよね?
 30年くらい前に大ブームとなって、僕も前橋から買いに来たことがありました。

 しっとりしたスポンジとフワフワの生クリームの絶妙なバランスが、後を引きます。
 いくつでも食べられてしまう魔法のスイーツです。
 まだの人は、ぜひ一度、魅惑の味体験を!
 (注) ロールケーキの名店は2軒ありますので、食べ比べてみてください。


 いや~、玉村町って、いいところですね。
 ますます好きになりました。

 また来年も玉村を舞台にした新たな紙芝居を制作したいと思います。
 玉村町のみなさん、来年もよろしくお願いいたします。
 よいお年をお迎えください。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:35Comments(2)神社かみしばい

2023年12月16日

イブは神社で紙芝居


 今年最後の 「神社かみしばい」 です。
 毎月、伊勢崎神社 (伊勢崎市) で開催している街頭紙芝居。
 僕は3年前から友人の紙芝居師・石原之壽(いしはらのことぶき)君と、地元の民話を紙芝居にして上演しています。

 演目は 『いせさき宮子の浦島太郎』 『女堀と桜姫』 (文/小暮淳、画/須賀りす) のほか、今年7月に亡くなられた絵本作家・野村たかあきさんの創作紙芝居 『焼きまんじゅうろう 旅すがた』 シリーズ3部作などを披露します。


 今年最後の 「神社かみしばい」 の開催日は、クリスマスイブです。
 教会もいいけど、日本人なら神社でメリークリスマス!
 ケーキもいいけど、あめ玉をなめながら昔懐かしい街頭紙芝居も乙なもの。
 サンタクロースは来ないけど、良い子には紙芝居師のおじちゃんからプレゼントがあります。

 クイズやなぞなぞを解いて、賞品をゲットしよう!

 温かい格好で、ご来社ください。
 お待ちしています。


 ※小暮は24日のみ在社いたします。



       「神社かみしばい」 12月口演
 
 ●日時  2023年12月23日(土)、24日(日)
       10時、11時、12時、13時 
       ※屋外開催 (悪天候時は室内)
 ●会場  伊勢崎神社 境内 (群馬県伊勢崎市本町21-1)
 ●入場  投げ銭制 ※ペイペイ可
 ●問合  壽ちんどん宣伝社 TEL.090-8109-0480
  


Posted by 小暮 淳 at 13:44Comments(0)神社かみしばい

2023年12月15日

来週オンエア! 四万温泉の魅力と謎


 お待たせしました~!

 群馬テレビ 『ぐんま!トリビア図鑑』 の人気シリーズ 「温泉王国ぐんま」 の第5弾が、いよいよ来週放送されます。
 今回は、僕が温泉大使を務める四万温泉が舞台です。

 日本で最初の国民保養温泉地に指定された四万温泉の知られざる魅力を、僕がリポーターとなって隅々まで紹介します。
 さらに番組では、四万温泉の最大の謎に迫ります。


 四万温泉は、なぜ “四万” でなければならなかったのか?
 その地名の由来をたどります。

 乞う、ご期待!



          『ぐんま!トリビア図鑑』
            温泉王国ぐんま
         国民保養温泉地 四万温泉

 ●放送局  群馬テレビ (地デジ3ch)
 ●放送日  2023年12月19日(火) 21:00~21:15
 ●再放送  12月23日(土) 10:30~ 25日(月) 12:30~
  


Posted by 小暮 淳 at 11:25Comments(0)テレビ・ラジオ

2023年12月14日

大使に大麻は似合わない


 驚いた!
 テレビのニュースを見ていたら突然、画面に自分の名前が映し出されました。

 <小暮 淳>


 「なんで?」 って、思いますよね。
 「何か犯罪に手を染めたのか?」 って。

 でもね、犯罪に手を染めたのは僕じゃなかったんですよ。
 俳優の村杉蝉之介容疑者(58)でした。
 大麻などの規制薬物を譲り受けたとして、麻薬特例法違反の疑いで12月11日に逮捕されました。


 村杉容疑者といえば、NHKの朝ドラなどにも出演した個性派の俳優です。
 僕は彼の名バイプレーヤーぶりが大好きでした。
 それだけに、今回の報道は大変残念です。

 で、なんで、村杉容疑者の逮捕を報道するニュース番組に、僕の名前が出たのかって?
 実は、僕も彼も中之条町観光大使なんです。
 しかも、彼は僕が温泉大使を務める四万温泉の出身。

 いつかは、お会いして、酒を酌み交わしながら、じっくりと話せると思っていたのに……(クヤシイです!)

 逮捕報道を受け、すでに中之条町はホームページの観光大使一覧から村杉容疑者の項目を削除しています。
 で、その削除したホームページの画面が、ニュース番組で流れたというわけです。
 映し出された観光大使一覧の中に、僕の名前がありました。


 思わぬニュースの思わぬ画面で、自分の名前を見つけたショックって、分かります?
 好きな俳優さんだっただけに、このショックは、しばらく続きそうです。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:47Comments(0)大使通信

2023年12月13日

追悼 「ノミを持った風来坊」


 今日の朝日新聞群馬版 (12月13日) に、大きく掲載されました。
 今年7月に73歳で亡くなった木彫家で絵本作家の野村たかあきさん (前橋市) の追悼記事です。

 全5段組みという破格の扱いです。
 記事では、奥様の澄江さんの目線で、作家の生涯を追っています。


 冒頭から開口一番、澄江さんは若き日の野村さんのことを、こう語ります。
 「昔は 『ノミを持った風来坊』 だったそうなんです」

 中学生の時に円空の作品に出合い、高校卒業後、いったんは東京の印刷会社に勤めるも、すぐに “風来坊” となってしまいます。
 その後、円空が残した作品をめぐる旅に出ます。


 野村さんに出会ったのは、今から36年前。
 僕が29歳、野村さんが38歳の時でした。 
 すでに野村さんは、自宅の隣に工房 「でくのぼう」 をつくり、作家として活動していました。

 当時、野村さんからは、その “風来坊時代” の話を、たくさん聞きました。


 7年前、病気が見つかり、野村さんは入退院をくりかえしていました。
 僕らも、うすうすは知っていましたが、まさか、そんなに重い病気とは思っていませんでした。
 「俺はそんなに偉い人間じゃないから」 と、家族には 「病気を人に知らせるな」 と言っていたそうです。

 その間、僕は野村さんと紙芝居の制作を続けていました。
 『焼きまんじゅうろう 旅すがた』
 シリーズ3部作を作り上げ、僕に手渡すと、旅立ってしまいました。


 新聞記事では、今月16・17日に玉村町で開催される 「玉村かみしばい」、23・24日に伊勢崎市で開催される 「神社かみしばい」 についても触れています。
 野村さんの追悼口演の意味も込めて、今年最後の街頭紙芝居を開催しますので、みなさん、ぜひ、お越しください。
 ※(紙芝居についての詳細は、当ブログのカテゴリー 「神社かみしばい」 を参照ください)


 野村さん! 見ていてくださいね。
 あなたから託された群馬のヒーローを、僕らが立派に世に送り出しますからね。

 ほら、まんじゅうろうの名ゼリフがが神社の境内に響き渡りますよ!

 「目に染みたか、身に染みたか、心に染みたか~!!」
  


Posted by 小暮 淳 at 11:48Comments(0)つれづれ

2023年12月12日

記憶にございません


 机の上を整理していた時でした。
 うず高く積まれた書籍や資料の間から、一通の封筒が出てきました。
 某団体からの会費の請求書でした。

 封は開けられていたので、確認済みのようです。
 が、中からは未払いの振込用紙が出てきました。
 期限を見ると……

 なななんと! 今年の8月末日ではありませんか~!!

 ヤバ!
 こんなことは初めてです。
 血液型はA型、几帳面な性格の僕としては、ありえないミスです。
 「どうしよう? 3カ月も過ぎている!」
 当然ですが、この振込用紙は、すでに無効です。

 あわてて電話をしました。


 「はい、どうされましか?」
 オペレーターの女性が出ました。
 「うっかり、会費の振り込みを忘れてしまいました」
 「では、会員番号をお願いします」

 告げると、思わぬ言葉が帰ってきました。
 「小暮淳さんですね。ちゃんと入金されていますよ」
 「えっ、何かの間違えではありませんか? だって、ここに振込用紙があるんですから……」
 すると、
 「少々お待ちください。ただいま確認します」
 と間が空いて、
 「9月にコンビニから支払われていますね」
 「えつ、コンビニ? だって、ここに振込用紙が……」

 オペレーターの次の言葉で、謎が解けました。
 「はい、8月末の時点で、お振り込みがなかったので、再度、お送りした用紙で払われています」


 「な~んだ! 良かった!」
 と思ったのは、束の間でした。

 まったく記憶にないのです。
 刹那、恐怖が襲ってきました。

 もしかして、認知症が始まったのか?
 (ガーーーーーン)


 臆病の僕は、その日以来、自分に対して疑心暗鬼な日常を送っています。


 “物忘れ” と “認知症” の違いとは?
 よく例えとして言われるのが、「昨日の昼食について、思い出せるかどうか」 です。
 「何を食べたか?」 を思い出せないのは、物忘れ。
 「食べたかどうか?」 を思い出せないのが、認知症。
 とのことです。

 で、僕の場合は、どっちなんでしょうか?
 お金を振り込んだかどうかの記憶がありません。

 ああああ~、イライラする~!


 えっ、そんなこと、どうでもいいじゃないかって?
 確かに、振り込んだつもりで振り込んでなかったよりは、救いがあると思います。

 それにしても、オレオレ詐欺じゃなくって、良かった!
 犯人に払っていないつもりでいて、実は払っていたなんて、笑い話にもなりませんものね。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:49Comments(2)つれづれ

2023年12月11日

せっかちなサンタクロース


 えー、世の中には、おかしな名前の人たちがいるものでして。
 キャンドルジャンだとか、タブレット純だとか、同じ “じゅん” として見過ごすわけにはいきません。
 なんで彼らは、そんな芸名(?) を付けたんでしょうな?

 なーんて、陰であざ笑っていたら、火の粉が飛んできて、もらい火をしてしまいました。
 どこの、どなたか知りませんけどね、僕のことを 「ボクスイジュン」 なんて呼ぶ輩が現われたんですよ。


 「なんで?」
 「そりゃ小暮さんが、令和の牧水だからですよ」
 「牧水って、若山牧水のこと?」
 「ごもっともで」
 「いやいや僕は、あそこまで酒に意地汚くはありませんよ」

 というのが先日、呑み屋で交わされた会話です。


 まあ、歌人の若山牧水については、先月から高崎市のフリーペーパーで 『牧水が愛した群馬の地酒と温泉』 なんていうエッセイの連載がスタートしたばかりですから、嫌いじゃありませんけどね。
 しかも、酒と温泉が好きなところは、確かに似ています。

 けどね、あそこまでは呑めませんって!
 朝2合、昼2合、夜に6合=計一升を365日毎日たしなんでいたんですぞ!

 でもね、せっかく偉大な歌人の名前を冠にいただいたのですから、大切に名乗らさせていただきます。
 「ボクスイジュンと申します。 以後よろしゅうお願いいたします」 


 ていうか、気が付いたら僕の酒好きは、知れ渡っているようであります。
 今年一年間を振り返っても、日本酒、焼酎、ウィスキー、ビールが、ひっきりなしに届きました。
 ま~、すべて消耗品ですから、いくらあっても邪魔にはなりませんので、ありがたくいただくことにしています。

 と思ったら、つい先日も、ビールが届きました。
 それも銘柄は、このブログのプロフィール写真に写り込んでる “某社の某搾り” であります。
 見ている人は、見ているんですね。
 これまた、ありがたくいただきました。


 それにしても、せっかちなサンタクロースがいたもんですな。
 クリスマスには、まだ2週間もありますぜ!
 ひと足も、ふた足も早くクリスマスプレゼントが届いたことになります。

 え、なに?
 クリスマスプレゼントじゃない!?

 これ、「お歳暮」 っていうの!

 お後がよろしいようで……(ジャンジャン)
  


Posted by 小暮 淳 at 11:53Comments(0)酔眼日記

2023年12月10日

奇祭のゆくえ


 あれは30年前、極寒の1月深夜のこと。
 僕は岩手県水沢市 (現・奥州市) にいました。

 1000年以上前から伝わる黒石寺の 「蘇民祭(そみんさい)」 を取材するためです。


 当時僕は、群馬県内のタウン誌編集者のかたわら、東京に本社を構える某企業の会報誌の記者を兼務していました。
 その会報誌の中の 「日本の奇祭」 というシリーズ記事を担当していました。


 日本三大奇祭の一つ 「蘇民祭」。
 当時はまだ、女人禁制でした。
 それには理由がありました。

 いわゆる “裸祭り” なのです。
 しかも……


 お祓いを済ませた男衆が、続々と境内に集まって来ます。
 全員、ふんどし姿です。
 のはずですが、中には……

 松の木を井桁に組んだ塔に火が放たれると、男衆から一斉に 「オ――!」 という雄叫びのよな奇声が上がりす。
 それが合図となり、男たちは火の燃え盛る井桁の塔を登っていきます。
 (過去には、この炎の中に落ちて、大やけどをする人が何人もいた聞きます)


 炎は、人を興奮させるようです。
 男たちの股間は、見る見るうちに反応していきます。
 そして……

 全裸の男が、てっぺんに立ちました。
 そして、てっぺんにぶら下がる袋を手にしました。
 ここからが 「蘇民袋」 の強奪戦の始まりです。
 これが、五穀豊穣と無病息災を祈る伝統の祭り 「蘇民祭」 なのです。


 井桁を駆け下り、何百人もの裸の男たちが、くんずほぐれつ団子になり、境内を転げまわり、石段を転げ落ちていきます。
 危険なシーンが多ければ多いほど、ギャラリーからは喚声が上がります。

 日の出とともに、ホイッスルが鳴り、ゲームは終了となります。
 その時点で、蘇民袋を握っていた男の村に、その年1年間の五穀豊穣と無病息災が約束されるのです。


 僕は夢中になってカメラのシャッターを切っていましたが、帰社後に現像してみると、ほとんどの写真が掲載NGでした。
 分かりますよね?
 男性自身が映り込んでいる写真ばかりなのですから……

 かろうじて前半に撮った、遠景からの写真を掲載した記憶があります。


 そんな奇祭が来年1月で中止となり、1000年の歴史に幕を下ろすとのニュースが飛び込んで来ました。
 主催者側の高齢化や担い手の人手不足が理由のようであります。
 実際、ピーク時には3,000人もいた参加者が、今年の祭りでは100人あまりだったといいます。

 「蘇民祭」 といえば、平成20(2008)年にポスターが話題になりました。
 ひげ面の男の顔のアップと、ふんどし姿の男たちの裸が 「不快である」 との声が寄せられ、JRの駅構内からポスターが姿を消したというニュースです。

 不快?
 言われてみれば、そうかもしれませんが、これが祭りなのです。
 女人禁制というしきたりも、時代に合わなくなったのかもしれませんね。


 祭りとは、その土地のものです。
 外からとやかく口をはさむものではありません。
 ところが、いつしか奇祭は観光の目玉となってしまったんですね。
 すると、今までのしきたりが現代社会の規範に合わなくなってしまいます。

 昭和から平成へ、平成から令和へ。
 祭りの在り方が変わってしまったようです。


 世知辛い世の中になったと感じるのは、僕だけでしょうか?
   


Posted by 小暮 淳 at 11:51Comments(0)執筆余談

2023年12月09日

スマホを持たぬ者、市民にあらず


 前橋市から大きな封筒が届きました。
 中には 「市民との協働のまちづくりにあなたのご意見を」 と書かれた22ページにわたるアンケート用紙が入っていました。
 なんでも15歳以上の市民の中から無作為に抽出された5,000人のうちの一人に、僕が選ばれたようであります。

 もちろん、健全なる郷土を愛する一市民として、快くアンケートに答えました。


 アンケート内容は、みなさんがお察しの通りの、よくある質問ばかりです。
 環境や交通、教育など、住みやすさに関する設問が延々と続きます。

 なのに最後に、こんな設問がありました。
 <あなたはスマートフォンやタブレットを利用していますか?>

 なぜに突然?
 と思いましたが、反射的に僕は4番の 「まったく利用しない」 に○を付けました。

 ページをめくると、さらに設問は続きます。
 <3または4と答えた方へお聞きします。スマートフォンやタブレットを利用しない理由は何ですか?>

 なぜに執拗に問うのか?
 と思いましたが、迷うことなく6番の 「自分の生活には必要ないと思っているから」 に○を付けていました。


 さらに設問は続きます。
 <あなたは、スマートフォンやタブレットを使って、どのようなサービスを利用したいと思いますか?>

 ここで、はたと手が止まりました。
 え?
 この設問って、利用している人限定じゃないの?
 なのに 「利用しない」 と答えた人にも、しつこく訊ねているのです。

 選択肢の一覧には、インターネットやオンラインを使った様々なサービスが並んでいます。
 <当てはまるものすべてに○を付けてください>


 だから~、僕は、さっきから、利用しないし、必要ないと答えているんですよ!
 と、いらだち始めていると、最後の一行が目に入りました。

 「利用したいと思わない」
 迷わず○を付けました。


 ははは~ん、そういうことなんですね。
 三段落ちなんです。
 「利用していない」 (なぜ?) → 「必要ないから」 (今後は?) → 「利用したいとは思わない」
 まるでスマホを買わせたいがための営業マンとの会話のようです。

 これに対して、すでにスマホを利用している人への設問は、一切ありませんでした。


 現在の日本国民のスマホ保有率は、96.3%です。
 もしかして行政は、残りの3.7%が許せないのですか?
 この数字を100%にしたとき、一網打尽に市民を統括した何かを始めようとしているのではありませんか?

 な~んてね、勘ぐってみたりもしましたが、素直にアンケートに答えました。


 “スマホを持たぬ者、市民にあらず”
 っていう意味じゃ、ありませんよね(笑)。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:11Comments(2)つれづれ