2013年10月31日
丸沼温泉 「環湖荘」②
<昂奮の後のわびしい心になりながら沼のへりに沿うた小径の落葉を踏んで歩き出すと、ほどなくその沼の源ともいうべき、清らかな水がかなりの瀬をなして流れ落ちている処に出た。そして三十、四十間その瀬について行くとまた一つの沼を見た。大尻沼より大きい、丸沼であった。>(『みなかみ紀行』より)
大正11年10月、歌人の若山牧水は丸沼湖畔に投宿して、翌日、金精峠を越えて日光に向かっています。
著書の 『みなかみ紀行』 に記されている、群馬県内最後の宿泊地です。
でも、丸沼に 「環湖荘」 の前身である 「丸沼温泉ホテル」 ができたのは、昭和8年のこと。
ですから、牧水が泊まったのは、旅館ではありません。
湖畔に建つ、養殖の管理小屋でした。
こんな一文があります。
<C-家がこの丸沼に紅鱒の養殖を始めると農商務省の水産局からC-家に頼んで其処に一人の技師を派遣し、その養殖状態を視る事になって、もう何年かたっている。老人はその技師であったのだ。>
この老人が管理小屋の番人であり、C-家というのが丸沼の持ち主。
現、「環湖荘」 のオーナーであります。
丸沼は、日光国立公園の中にありますから、現在でも丸沼には 「環湖荘」以外の人工物は、一切ありません。
まさに、群馬を代表する秘湯の宿といえます。
で、雪深い地にある 「環湖荘」 は、来月から冬期休業に入ってしまいます。
ならば、その前に、ぜひ、泊めていただこうということになり、行ってきました。
目的は?
はい、牧水も食したであろう、魚料理であります。
以前、僕が講師を務める野外温泉講座で訪ねたときも、受講生のみなさんからヤマメの塩焼きに絶賛をいただきました。
とにかく、魚料理が美味しい宿です。
と、いうことで、温泉の取材と撮影は、サクサクっと済ませて食堂へ。
まずは、地酒のコップ酒をキュー、キューっと、ふた口。
そして、ニジマスの天ぷらに、パラリと塩をひとつまみ。
もー、たまりません!
サクサクの衣に、ふっくらした白身が、口の中で絶妙な食感に変わります。
こんなフワフワしたニジマスなんて、初めて食べました。
ほどよくして、焼きたてのヤマメが・・・
「よっ、待ってました!真打登場!」
と、期待が膨らみます。
その昔、最初に泊まった晩に、このヤマメの塩焼きに、胃袋をワシづかみにされてしまったのです。
そして、今回も、その味は裏切りませんでした。
肉厚で、しっかりと身がしまっています。
ふくよかなボディは、「山女」 と書くくらいですから、実に女性的で色っぽいですね。
箸で、チョンチョンと突きながら飲む酒は、極上であります。
もう、進む進む!
しっかり、地酒のお替りをしてしまいました。
丸沼は紅葉も終わり、早くも冬支度の真っ最中。
11月中旬から4月下旬までは、クローズとなります。
2013年10月30日
白根温泉 「加羅倉館」④
まさに、今が旬!
「紅葉狩り」 のハイシーズンです。
金精峠を越えて日光中禅寺湖へ抜ける、通称 「日本ロマンチック街道」 の国道120号は、ただいま山が錦に燃え上がっています。
仕事でなければ、もっと楽しいのですが、仕事でも充分に堪能してきました。
「今年の色づきは、イマイチだね」
と、清流・大滝川に架かる赤い橋の上で、5代目主人の入澤眞一さんが出迎えてくれました。
「今朝、やっと霜が下りたんだもな。色づくには、遅いよね」
入澤さんに、初めてお会いしたのは、かれこれ10年ほど前。
「これは特別だよ。メニューにはないからね。たまたま今日、友人が撃ってきたんだよ」
と、夕食に出されたテンコ盛りの “鹿刺し” にビックリ仰天したものでした。
そういえば、国道の端に立つ看板が気になりました。
<鹿の飛び出し注意!>
「相変わらず、鹿が多いんですか?」
と問えば、
「ああ、ヤツラは突然、車道に飛び出してくるからね。危ねえったら、ありゃしねーよ」
そして、
「やっぱりさぁ~、いい湯ってーのは、口コミで広がるんだね。『人から聞いた』 ていう県外からの客が、だいぶ来るようになったからね」
と、いつものように湯の自慢話が始まりました。
とにかく入澤さんは、自分とこの湯が、大好きな人なんです。
18年前。
それまで水上温泉で働いていた入澤さんは、知人から加羅倉館の管理人を頼まれました。
当然ですが、奥さんは猛反対でした。
知り合いもいない、山奥の一軒宿ですからね。
でも入澤さんは、ここの湯に惚れ込んでしまったんです。
「とにかく 『湯がいい』 の一点張りで、押し切られてしまいました」
とは、女将となった奥さんの澄子さん。
まあ、僕は、入澤さんの気持ちが分かりますけどね。
だって、源泉が13本も湧いているんですよ。
しかも、すべて自然湧出!
とにかく、湯量豊富で高温度の温泉が、ジャンジャンと湯水のごとく湧き出しているのです。
ここでは、“源泉かけ流し” という表現は、当てはまりません。
だって、半分以上の湯が使いきれずに、目の前の川へ流れてしまっているのですから。
これこそが、“源泉たれ流し” であります。
その湯は、けれんみのない、直球ストレートの単純温泉。
まるで、湧き水のように澄んでいて、キラキラと光り輝いています。
僕は、「生一本の湯」 と呼んでいます。
それゆえ、入浴するときは、僕もいい加減な気持ちでは入れません。
ピーンと背筋が伸びてしまう、優等生と対話しているような真面目な浴感なのであります。
やや熱めですが、正統派の温泉好きには、おすすめの湯です。
2013年10月28日
元気が出る○○
鬼の霍乱(かくらん) か?
バカは風邪を引かないというけど、どうやら、これは風邪のようです。
滅多に寝込まないんですけどね。
先週は、4日間も講演や講座、取材で出張に出かけていたものですから、さすがに体力的に参ってしまい、週末は寝込んでしまいました。
熱はないのに、脱力感で体が動きません。
最初はクシャミから始まって、次にセキ、そして鼻水と、完全に風邪の諸症状です。
ま、大したことがないので、市販の薬を飲みながら、体をだましだまし、仕事を続けていました。
そしたら週末になって、体がエンストしてしまいました。
風邪の諸症状は止まったんですけどね。
体がイヤイヤをして、ベッドから起きようとしないんです。
自分の体なのに、自分の体じゃないような、ただの重い肉のかたまりになってしまいました。
こんなときは寝ているに限ると、2日間寝込んでいましたが、さすがに今日はあわてて、重い体を起こしました。
だって、このままでは、仕事はたまる一方だし、明日からはまた出張取材に出かけなくてはなりません。
そーだ!
こんなときのために、いるんじゃないか!
主治医が!
と、朝一番で駆け込んだのであります。
「どうしました? 両親の介護疲れがでましたかね?」
と、開口一番。
先生は、うちの両親の主治医でもあります。
「まあ、それもありますが、ただの風邪だと思いますけど・・・」
と言うと、先生は、
「だったら、いつもの1本、射っとく?」
なんて、誘惑をするのです。
元気が出る注射のことです。
ただのビタミン剤なんですけどね。
僕は時々、この元気が出る注射を打ってもらいます。
「そーですね。明日からまた出張なもんで」
と、お願いしました。
てきめん、元気になりましたよ。
今日は午後から仕事に取りかかっていますもの。
ま、無理をしないのが、一番体には良いことは分かっているんですけどね。
でも、無理してやらないとできないのが、ライターという仕事でもあるんです。
いったい、いつまで、こんな人生が続くのでしょうか?
ずいぶんと因果な仕事を生業に選んでしまったものです。
2013年10月27日
暴言 vs 暴力
「人を殴ってしまった・・・」
旧友から電話があり、突然、告白されました。
話を聞けば、酒の席でのことだといいます。
「で、相手にケガを負わせてしまったのか?」
「いや、でも……オレはあやまる気はない」
殴られた人は、飲み屋で偶然一緒になった知人のようです。
でも、僕には、納得がいきません。
だって、僕は何十年と彼と付き合っていますが、絶対に他人に手を上げるようなタイプの男じゃないんです。
その彼が、人を殴った!
よっぽどの事情があったに、違いありません。
「暴言を吐かれた」
と言います。
それも、彼に対してではなく、一緒にいた彼の奥さんに向かってだったようです。
それでも、僕は納得がいきません。
僕の知る彼は、実に穏和な性格の男です。
たった1回、そんなことを言われたくらいで、キレル男ではありませんって。
「それだけが理由じゃ、ないだろう?」
「ああ、実は、この時が初めてじゃなかったんだ」
以前にも、他の店で同じようなことがあり、その時は彼の友人の奥さんがからまれたのだといいます。
「最初は我慢していたんだけど、ついに許せなくなってしまってね」
「そして、殴ってしまったのか?」
「ああ、追いかけて行って、店の外で・・・」
決して僕は、暴力を肯定するわけではありません。
ただ、わざわざ電話してきてまで真実を話した彼を、僕は擁護します。
僕も過去に、人を殴ったことがあります。
でも、その時の記憶は、今も鮮明に残っています。
きっと殴られた人は、もう、忘れているかもしれません。
まして、殴られる原因となった自分が吐いた “暴言” など、覚えていないでしょうね。
でも、殴ったほうは、シッカリと今でも、浴びせかけられた汚らしい言葉の数々を忘れはしません。
そして、人を殴ってしまった罪の意識も。
だから僕は、彼の気持ちが痛いほど分かります。
「オレは絶対にあやまらないよ。悪いと思ってないから・・・」
そう言って電話を切った彼に、僕はなんて言ってやるべきだったんでしょうか?
友人として、ちゃんと話を聞いて上げられたのでしょうか?
傷ついているのは、人を殴ってしまった彼自身なのですから ……。
2013年10月26日
滝沢温泉 「滝沢館」②
今年も、また、この日がやってきました!
恒例、プロフィール写真撮影日です。
なぜか毎回、この撮影にはチカラが入ります。
一昨日、赤城山中にある滝沢温泉(群馬県前橋市) の一軒宿、滝沢館にて、来春出版予定の新刊本用のプロフィール写真を撮ってきました。
シリーズ6冊目となる今回のカメラマンは、綱島徹氏であります。
そーです!
賢い読者は、もう、お気づきですね。
シリーズ第1弾 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) の表紙およびグラビア写真を撮影したカメラマンであります。
4年ぶりに、ふたたびコンビを組むことになりました。
実は彼と僕は、中学~高校の同級生なんですね。
昔は、散々悪いこと(?)をして遊んだ悪友なんであります。
だったら、大人になっても一緒に “悪いあそび” をしましょう!ということで、こうやって仕事にかこつけて、温泉旅館で密会(?)をして楽しんでいるのであります。
先に宿に着いた僕とディレクターのK氏が、部屋でビールを飲んでいると、ほどなくして
「お連れさまが、お着きになりました」
と仲居さんに通されて、カメラと機材を抱えた彼が登場!
「もう、やってるのかよ。小暮らしいな」
と言いながら、まずは彼もグラスを手に取り、駆けつけ2杯をキューっとあおったのであります。
「で、今回は、どんな写真にしますか?」
僕の温泉本のプロフィール写真は、シリーズを重ねるごとに、だんだんと凝ってきています。
最初は白黒の後姿、2冊目はカラーの後姿でした。
3冊目の四万温泉の本から顔を出していますが、まだ、この時は横顔です。
次の 『みなかみ18湯』 は、カメラマンが凝って “文豪” スタイルで撮り出しました。
4冊目の上巻では、浴衣に丹前姿で広縁のイスに座る “文豪”。
5冊目の下巻では、夜の露天風呂に桶を浮かべて、升酒を飲む “文豪” であります。
で、今回、シリーズ6冊目のプロフィール写真は?
ディレクターいわく、
「囲炉裏端で熱燗を飲む“文豪”」
なんだ、そうです。
と、いうことで、3人で瓶ビールを4本空けたところで、撮影開始!
まずは、露天風呂の入浴シーンから・・・
ところが、外は雨!
頭に笠をかぶっての入浴という、かつてない不思議な写真となりました。
食後、ほろ酔い加減で、囲炉裏のあるロビーへ。
宿の女将さんが、ちゃんと熱燗の徳利を2本用意してくださいました。
「ああ、ダメダメ! そんなシブイ顔しちゃ。今回は、秘湯の宿で風呂上りに熱燗を飲み、ホッとしている “文豪” なんだから」
とディレクターが叫ぶ。
「じぁ、さぁ、もっと目線を上に向けて。そう、酒を口にふくんでから、視線は宙を舞う。そうそう、いいね~」
とカメラマンにおだてられ、
「はい、もう1回」 「では、もう1回」
と、そのたびに酒を飲んでいるので、撮影が終わった時には、完全に出来上がってしまいました。
もちろん、そのあとは、部屋にもどって、注しつ注されつ、 夜が更けるまで3人で酔いしれたことは、いうまでもありません。
さて、いったい、どんなプロフィール写真に仕上がっているのでしょうか?
来春までの、お楽しみであります。
2013年10月25日
赤城高原温泉 「山屋蒼月」②
僕が赤城高原温泉の一軒宿、「山屋蒼月(やまやそうげつ)」 に、最初に取材で泊まったのは、もうかれこれ10年近くも前のことです。
その後も、何度か取材で訪れていますが、訪れるたびに、何かが変っている旅館です。
この10年で、変ったもの・・・
まず約5,000坪という広大な敷地が、立派な庭園に仕上がっていました。
昔は、手つかずの荒地になっていた記憶があります。
別館が改築され、庭園内に3棟の離れ客室が新設されました。
そして今回、訪ねてみると、本館の客室がリニューアルされていました。
11部屋あったところを8部屋に縮小し、そのぶん1部屋分のスペースが広くとられています。
うち、6部屋には、露天風呂もしくは半露天風呂が付いているという贅沢な部屋に変身していました。
「うちの特長はさ、部屋に風呂があるところだからね。思い切って部屋数を減らして、風呂付の部屋を増やしたのよ」
そう言いながら、2代目主人の手島安榮さんが、ひと部屋ひと部屋、案内しながら説明をしてくれました。
驚いたのは、その露天風呂の大きさ!
「これが部屋に付いている風呂ですか?」
と驚く僕に主人は、
「だって、そこがうちの売りだもの」
「そのぶん、値段もお高いんでしょうね?」
と問えば、
「都会の人からみれば、熱海や箱根の旅館と比べると、かなり安いと思うよ」
実際、後で宿泊料金を聞いてみてビックリ!
県内の同クラスの温泉旅館の料金と比べても、平均的な金額なのです。
それでいて、このゴージャスな露天風呂が部屋に付いているのですから、かなりのお得感があります。
「常連客はさ、部屋の名前で予約をしてくるんだよ。その部屋が空いてないと、空いている日を予約する。お客さんによって、
好みの部屋が違うんだね」
確かに、みんな微妙に部屋の雰囲気とタイプが違います。
純和風、和風モダン、民家風、ロッジ風と、年齢層や趣味趣向によっても部屋を選べるようになっているんですね。
温泉旅館は、時代の流れの中で、世の中のニーズに合わせながら変化しているのですね。
大変、勉強になりました。
最後は、ゆっくりと内風呂と露天風呂に入って、取材終了!
あいにくの曇天でしたが、晴れていて条件が良ければ、はるか眼下にスカイツリーが見えるんですって。
関東平野を一望する、なんとも贅沢なお宿であります。
2013年10月24日
人気ブログランキング1位
やったーーー!
本日、初の登頂に成功しました!
といっても、山を登ってきたわけではありません。
今、みなさんが見ている 「グンブロ」 というサイトの人気ブログランキングで、初めて1位になったんです。
思えば、あれは2010年の寒い冬の日でした。
当時の 「グンブロ」 の担当者からブログの執筆を勧められ、パソコン音痴の僕は、わけも分からず、見よう見まねで、手取り足取り指導していただきながら、書き出した記憶があります。
苦節、3年8ヵ月
記事数、1,157回
アクセス総数 約31万アクセス
なんとか、ほぼ毎日、書き続けることができたのも、読んでくださる読者がいたからにほかなりません。
読者のみなさんに、お礼を申し上げます。
いつもいつも、本当にありがとうございます。
これにおぼれることなく、地道に取材活動を続けながら、よりライブな情報を日々お届けしたいと思います。
今後とも、ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。
2013.10.24 小暮 淳
2013年10月23日
著者冥利の夜
サイン会とは、面映(おもはゆ) いものです。
一昨日、「みなかみオンパク」 のフィナーレイベントが上牧温泉「辰巳館」で開催され、「小暮淳のみなかみ温泉考座」 と題した講演をしてきました。
そしてイベントの終了後に、昨秋と今春に出版した新刊 『みなかみ18湯』(上毛新聞社)上・下巻の販売とサイン会が行われました。
平日の夜だというのに、たくさんの人が来場してくださり、著書まで買っていただけるなんて、なんて幸せなことでしょうか。
さらに 「本をご購入された方には、もれなくサインと握手をしていだけます」 なんていうアナウンスが流れたものだから、販売所には行列が、できてしまいました。
こんな時は、緊張するものです。
だって、大切な大切な読者様に、粗相のないように応対しなくてはなりませんもの。
「埼玉から来ました」
「私は、千葉からです」
なーんて声をかけられると、ますます恐縮してしまいます。
埼玉県から来たという女性は、
「ホンモノの温泉に入りたいので、先生の本はいつも参考にしています。あ、この本にもサインしていただけますか?」
と差し出されたのは、
な、な、なんと!
2009年に出版した 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) ではありませんか!
しかもボロボロで、ビッシリと付箋紙が貼られています。
「私のバイブルなんです。もう少しで全部、回り切ります」
だなんて・・・
もーーーーーっ、涙がチョチョ切れそうであります。
ここまで著書を読み込んで、大切に使っていただけているだなんて、著者冥利に尽きるというもの。
著者として、これ以上の喜びが、あるでしょうか!
と、思ったら、今度は年配の男性。
「私も、今日買った本じゃないけど、これにもサインしてもらえますか?」
と、手渡されたのは、これまた年季の入った 『群馬の小さな温泉』(上毛新聞社) でした。
「だいぶ使い込まれていますね?」
と言葉を返せば、
「この本を見ながら家内と温泉を回るのが、私の楽しみなんですよ」
とは、著者には、この上もない賛辞であります。
本当に、本当に、ありがとうございました。
「読者って、ありがたいなぁ~」
と、つくづく感じた夜でした。
来場された、すべての方に、感謝を申し上げます。
2013年10月22日
別所温泉 「臨泉楼 柏屋別荘」
僕が講師を務めるNHK文化センターの野外温泉講座は、今年で5年目を迎えています。
今年度(4月~9月) の本講座 『群馬の名湯・秘湯めぐり』 は終了して、今月からは追加講座が始まりました。
題して、 『群馬隣県の名湯・秘湯めぐり』 !
そう、群馬のおとなりの県である長野県や栃木県や新潟県の温泉をめぐる講座です。
今日、その第1回が開催され、長野県の別所温泉へ受講生らとバスで行ってきました。
別所温泉へ行ったのは、14年ぶりのこと。
以前、家族で旅館に泊まった思い出があります。
懐かしいですね。
温泉街にバスが入っていくと、忘れていた記憶が、まるでデジャビュのようにポンポンよみがえってくるのです。
「あ、ここだ! 長女と一緒に歩いた路地は・・・」
「そうそう、この外湯に小学生だった息子と入りに行ったんだよな」
な~んてね。
そう、本当にデジャビュのようなんです。
だって、記憶の中の可愛かった娘も息子も、今は影も形もないんですからね。
しばし、風景の中に、かつての我が家の楽しかった時間を見つけていました。
今回、講座でお世話になったのは、明治43年創業の 「臨泉楼 柏屋別荘」。
温泉街の1番奥にある、木造4階建ての純和風旅館です。
そのたたずまいは、宮崎駿監督のアニメのモデルになりそうな、廻り廊下のある楼閣。
さすが、別所温泉を代表する旅館であります。
その昔、川端康成や有島武郎、北原白秋、西条八十、斎藤茂吉など、多くの文人たちを魅了した老舗です。
川端康成は、ここで 「花のワルツ」 という小説を執筆しました。
「偉大なる文人が浴した湯に、我も浴されたーーい!」
ということで、ロビーで小休止をした後、浴室へ。
う~ん、ほのかに香る温泉臭。
湯に体を沈めれば、さらに、その香りが、やさしく体を包んでくれます。
そうです、泉質は無色透明の単純硫黄泉。
群馬県では、数少ない泉質の温泉です。
硫黄の匂いが、なんとも、やすらぎを与えてくれます。
別所温泉に来たら、やはり外湯めぐりは欠かせません。
昼食後は受講生らと、草履(ぞうり)を履いて、温泉街の散策へ。
あいにく、宿から1番近い “真田幸村の隠し湯” と呼ばれる 「石湯」 は定休日。
「では」 と、わずか数十メートル先にある 「大師湯」 へ。
なんでも平安時代に、比叡山延暦寺の座主円仁慈覚大師が、北向観音堂建立のため当地に来錫した際に好んで入浴したため、大師湯と名付けられたのだとか。
入浴料は大人150円と大変お安いのですが、さらに宿で前売りの 「外湯入浴券」 を購入したため、1人100円で入ることができました。
僕には、「温泉は、安ければ安いほど、湯が良い」 という自分流の定義があるものですから、これは期待に胸がふくらみます。
「ここの湯が別所じゃ、一番さ! ここの湯に入らなきゃ、別所に来た意味がねーよ」
なんて、脱衣所で地元のオジサンに言われれば、もう、居ても立ってもいられませんって!
こうなりゃ、“忍法 一気脱ぎの術” を使うしかありません。
アッという間に、スッポンポンになり、湯舟の中に。
うーーーーーーーっ、ブラボー!
これは、たまらんです。
最初は、ちょっと熱めで、ものの1分後にはスーッと染み入ってくる、この絶妙な浴感は、タダ者じゃありません。
宿と同じ源泉のようですが、湯が少し白くにごりを見せています。
また、肌をさすったときのキシキシ感も異なります。
こちらの方が、源泉の湧出地に近いんでしょうかね?
なんだか、湯が若いような気がします。
湯が “元気” です。
「う~ん、いい湯ですね。体が喜んでいるのがわかりまよ」
と、受講生らも大満足の様子。
こんなときが、講師をしていて一番うれしいときなのであります。
もちろん、御多分にもれず、北向観音堂や安楽寺の国宝・八角三重塔なんかも、しっかりと観光してきました。
でも、やっぱり受講生のみなさんは、湯の素晴らしさに感動していましたね。
さて、来月はどこへ?
はい、次回は東隣の県へ行きま~す!
また、元気にお会いしましょうね。
2013年10月20日
ヌードの市民権
昨晩は、子ども会育成連合会の上期の慰労会に出席してきました。
うちの子たちは、とっくに子ども会を卒業しているんですけどね。
なぜか、父親の僕が地区の役員として残ってしまったんです。
ま、ほかに、やる人がいなくて、仕方なくお手伝いをしています。
が、このところ忙しくて、なかなかお手伝いに行けてません。
秋の最大イベントでもある市民運動会さえ、オヤジの介護のため参加できませんでした。
ところが、ちゃっかり慰労会(飲み会) だけには、顔を出す僕です。
「すみません。いつも、こんな席にしか参加できなくて」
と、役員のみなさんに詫びると、
「いいの、いいの。小暮さんは、行事に出られなくても、飲み会に顔を出してくれればさ」
なーんて、会長から言われてしまいました。
みなさん、本当にすみません。
酒の席だけ現れる “幽霊会員” で・・・
「上期、お疲れさまでした」
と、僕が隣の席のSさんにビールを注ぐと、
「毎回、小暮さんのヌードを楽しみにしてたのに、脱がなくなっちゃって残念ですよ」
と言われました。
どうも、朝日新聞の連載記事のことを言っているようです。
2年間連載していた 『湯守の女房』 というドキュメン記事は、必ず僕の入浴写真が掲載されていました。
が、シリーズは今年の3月で終了。
この4月からは、『小暮淳の温泉考座』 とタイトルを替えて、温泉うんちくを語るコラムがスタートしました。
よって、写真の掲載はありません。
Sさんは、このことを言っているようです。
「そうですか、最初の頃は不評だったんですよ」
「あれが良かったんじゃない。本当に温泉に入って書いているって分かって」
僕は、新聞や雑誌の連載、著書も含めて、すべての温泉記事に僕自身が入浴している写真を掲載しています。
「おっさんのハダカなんか、見たくねーよ」
「なんで女性モデルを使わないの?」
という声を、散々耳にしてきました。
かのジャーナリスト木部克彦氏も、著書 『続・群馬の逆襲』 の中で、こんな風に書いてます。
< (前略) この連載に毎回毎回 「セルフヌード」 を載せるという暴挙に出ているのです。これは許せん(笑) (中略) オジサンの全裸入浴写真が、朝刊を開くと目に飛び込んでくるのです。>
とね。
裸をさらし続けて、苦節約10年。
誹謗・中傷・嘲笑の声は、あまたと浴びました。
それでも、やめなかったのは、記事のドキュメント性を高めたかったのと、臨場感を出したかったからにほかなりません。
そして、ここ最近になって、この取材スタイルが、認知されてきたように思われます。
やっと、市民権を得たのかもしれませんね。
これからも取材スタイルは変えずに、大好きな温泉の魅力を読者のもとへ届けたいと思います。
オジサンのヌードとともに・・・
2013年10月18日
オンパクフィナーレ 「みなかみ温泉考座」
現在開催中の 「みなかみオンパク “cocoira(ココイラ)”」 が、いよいよ来週月曜日にフィナーレを迎えます。
みなかみオンパクとは、地元の人が地元の人を案内して、みんながこの町を大好きになるための小さなプログラムの集まりで、温泉地として地域の活気とつながりを再生するまちづくりイベントです(パンフレットより)。
9月17日の 「温泉スリッパ卓球」 から始まり、その後、ほぼ毎日、みなかみ町の全域でプログラムを開催しています。
そして迎える10月21日のフィナーレでは、僕が 『小暮淳のみなかみ温泉考座』 と題して、講話をいたします。
昨年9月に上巻、今年の4月に下巻と2回に分けて 『みなかみ18湯』(上毛新聞社) を出版したという縁もあり、みなかみ町観光協会様より声がかかりました。
当日は、みなかみ町にある18温泉地の魅力や取材秘話などをお話します。
ミニライブほか、著書の販売とサイン会も行います。
当日の午前中まで、申し込みが可能です。
時間と興味のある人は、ぜひ、お越しください。
お待ちしています。
オンパクフィナーレ!みんなで歌って踊ろう
小暮淳の 「みなかみ温泉考座」
●日 時 10月21日(月) 16:00~18:00
●会 場 上牧温泉「辰巳館」 TEL.0278-72-3055
(群馬県利根郡みなかみ町上牧2052)
●料 金 1,000円(1名様)
(辰巳館入浴料+オリジナルコーヒー付き)
●申 込 10月21日(月) 午前中まで
●持 物 タオル、手拭いなど
●申込・問合 みなかみ町観光協会 TEL.0278-62-0401
http://minakami-onpaku.jp
2013年10月17日
生きてるのには意味がある
今週、オフクロが退院をして、実家に帰ってきました。
3ヶ月ぶりに、前の生活にもどりました。
あれは7月16日のこと。
アニキが東京へ帰ったため、僕が朝から実家を訪れ、オヤジをデイサービスへ送り出した後でした。
オフクロが、「買い物に連れて行ってほしい」 というので、車のエンジンをかけて待っていたときです。
戸締りをして出てきたオフクロが、「フラフラする。気持ちが悪い」 と言って、急に倒れ込んでしまいました。
「少し横になれば、大丈夫だよ」
と言ったまま、動けなくなってしまいました。
見る見るうちに、左半身の感覚がなくなり、マヒしていくのが分かりました。
すぐに医者に連れて行き、検査を受けると、案の定 「脳出血」 を起こしていました。
昨年は心臓病で倒れて、入院。
退院後は、心臓に負担がかからないようにする薬を飲んでいました。
そしたら、今度は、脳に負担がかかってしまったようです。
無理もありません。
オフクロは昭和2年生まれの、満86歳だもの。
この歳まで生きていることすら、家族にしてみれば “奇跡” なんです。
それ以前に、ガンの手術を2回も経験しているのですから・・・。
入院と退院を繰り返す人生。
そのたびに、家族は 「これが最後かも」 と覚悟を決めてきました。
そして、またもやオフクロは、死の淵から生還してきました。
「また帰って来れたね。こうやって生きているということは、神様が 『まだ死ぬな』 って言ってるんだろうね。きっと、生きている意味があるっていうことだね」
リハビリの成果なんでしょうね。
杖を使わずに、自分の足で歩いての帰宅であります。
「この人の生命力は凄い!」
って、つくづく感心してしまいました。
「生きている意味はさ、お父さんを見送ることなんだろうね。その役目が終わるまでは、死ねないってことだよ」
そう言ってオフクロは、60年以上連れ添ってきたオヤジの手を握り締めました。
「お父さん、また帰ってきましたよ。よろしく、頼みますね」
その時だけは、オヤジも
「おうおう、ばあちゃん、帰ってきたか。うれしいね~」
と笑顔で喜ぶのですが・・・
オフクロの姿が見えなくなると、
「ばあちゃんは、いったい、いつ退院して来るんだろうなぁ~」
と、思いっきりボケをかましてくれるのです。
いやはや、なんとも、滑稽 (こっけい) であります。
でも、なんだか、ほほえましくもあるのです。
2013年10月16日
錦秋をめぐる絶景温泉
10月とは思えない、暖かな陽気が続いています。
台風一過の今日も、吹き返しの強い風が吹いているものの、Tシャツ1枚で過ごせる暖かさです。
そのためか、今年の紅葉は遅れていて、色づきも悪いとか・・・
それでも標高の高い山岳地帯からは、ちらほら錦秋の便りが届いています。
と、いうことで、今年も僕がコメンテーターを務める明日の群馬テレビ 「ニュースジャスト6」 では、恒例 “群馬の紅葉温泉” をご紹介します。
まあ、群馬県内には約100ヶ所もの温泉地があり、そのほとんどが山のいで湯ですから、どこの温泉へ行ったって紅葉は見られるわけです。
でも、そこは、温泉のプロにおまかせください。
その中でも、えりすぐりの絶景スポットと、極上の湯が湧く温泉地をご紹介します。
ご期待、ください。
●放送局 群馬テレビ(地デジ3ch)
●番組名 「ニュースジャスト6」
NJウォッチのコーナー
●放送日 10月17日(木) 18:00~18:30
●ゲ ス ト 小暮 淳 (温泉ライター)
●テーマ 「錦秋をめぐる絶景温泉」
2013年10月14日
『エッセイスト』 にあこがれて
玉村豊男・著 『エッセイスト』(中公文庫)
僕がフリーランスのライターになって、しばらくして手にした本でした。
当時、すでに玉村氏はエッセイストの他にも、画家や農園主、ワイナリーオーナーとしても知られる作家でした。
まだ駆け出しのフリーライター(自営文筆業者) だった僕には、ことのほか、この本との出合いは、その後の人生の大きな指針となりました。
取材の仕方や編集者との付き合い方、原稿料や印税についてのあれこれ・・・。
読めば読むほど、「よし、オレも玉村さんのような物書きになるぞ!」 と、より情熱と決意が増した記憶が、今もよみがえってきます。
今日、待ちに待った玉村豊男氏の講演会へ行ってきました。
会場は、群馬県佐波郡玉村町の玉村町文化センター 「にしきのホール」。
“玉村さんが、玉村町に来る”
というのが、話題の1つだったようです。
「玉村という町が群馬県にあることは知っていて、行ってみたいとは思っていたが、今日、やっと来ることができました」
という話から始まり、玉村姓の由来から、自分の出生秘話など、著書ではあまり触れられていない生い立ちを話されました。
もちろん、どうしてエッセイストになったか? その波乱万丈、紆余曲折の人生と、恵まれた人脈により運命が切り開かれた話は、おこがましくも自分と当てはめてしまい、いやに納得しながら聴いていました。
職業柄、というか、僕も講演活動を行っていることもあり、近くで著名な人の講演会があるときは、なるべく聴きに行くようにしていますが、講演会というと、各ジャンルの専門家の話が多くて、勉強にはなりますが、共感することは少ないものです。
でも今日の講演は、同じ文筆業の大先輩の話とあって、興味深く、またモノを書くことへの勇気をもらってきました。
<すぐれたエッセイは作り話がなく、ノンフィクションよりも私的で、随筆よりも考察的、そして面白い。>
これは 『エッセイスト』 のカバーに書かれている宣伝文句です。
自分も、そんなエッセイが書けるライターでありたいと、深く、深く、思うのであります。
2013年10月13日
無礼講は自分へのご褒美
今年も、行って来ました!
年に1度の “13時間飲み放題の旅” であります。
フリーランスで仕事をしている僕にとって、団体でワイワイやりながら行く社員旅行は、あこがれ中のあこがれ!
その、あこがれの社員旅行に、某社のご厚意により7年前から参加させてもらっています。
昨日、午前7時。
JR高崎駅東口。
大型バスに乗り込むやいなや、「旅のしおり」 とともに、おつまみ袋と缶ビールが配られました。
この瞬間ですよ、「ああ、1年間頑張ったから、今年もこうやってバス旅行に参加することができたんだ」 と、感慨無量になるんです。
プシュ、とプルタブを引き上げるとき、なんとも言えぬ充足感を味わいます。
なにせ、まだ朝の7時ですからね。
これから13時間、飲み続けるわけです。
ワクワクしてきます。
「え~、それでは、今年も我が社の懇親旅行に参加してくださいました、ライターの小暮さん、ひと言、お願いします」
なんて、マイクをいただいたので、簡単にスピーチをさせていただきましたけど、もう、それどころではありません。
だって、僕と同席のK君たら、すでに缶ビールが3本目なんであります。
僕は、まだ2本です。
「飛ばしますね」
と声をかけると、
「いや、とりあえず、ここまでにしておきます。次のサービスエリアまでトイレを我慢できる範囲で・・・」
とは、さすがバス旅行に慣れています。
午前8時15分。
栃木県壬生PA。
一斉にトイレに駆け込みました。
みなさん、スッキリしたんでしょうね。
飲む気満々であります。
「そろそろ日本酒にしませんか? さあ、どーぞ!」
と、Y社長自らが一升瓶を取り出して、僕の紙コップにドボドボと純米酒を注ぎ入れてくださいました。
おつまみも、乾き物系から漬け物などのシットリ系が車内を回りだします。
午前9時30分。
「アクアワールド 茨城県大洗水族館」 に到着。
海辺は、10月とは思えないほどのギラギラの太陽が照りつけています。
ここが今回の旅のスタート地点。
子ども連れの社員もいるので、その配慮のようです。
でも、飲兵衛には、そんなの関係ねぇ~~!
早くバスに戻って、続きを飲みたいのであります。
だから、水槽の中を泳ぐイワシの群れを見ても、「おいしそうだね」 なんていう感想しかありません。
昼は、那珂湊で、海鮮料理。
さすが、ネタがいい。
酒も、進みます。
その後、バスは 「あみプレミアム・アウトレット」 や 「牛久大仏」 といった観光名所を回りましたが、やっぱり飲兵衛には、
そんなの関係ねぇ~~!
午後8時半。
バスは、無事に高崎駅東口に帰ってきました。
えっ、さぞかし酩酊状態だろうって?
そんなことはありませんよ。
朝飲んだ酒は昼にはさめて、午後に飲んだ酒は夕方にはさめていますから、バスを降りたときは夕方から飲んだ酒に酔っている程度なんですね。
だから、ほろ酔い状態で帰路に着くことができました。
これは、年に1度の自分へのご褒美なんです。
「よし、また1年間、頑張って、いい仕事をするぞ!」
ていう英気の源でもあるんですね。
R社さん、年に1度の無礼講に、また来年も呼んでくださいね。
社員旅行って、本当に楽しいものです。
2013年10月11日
日本一温泉を愛してる県
今日は、早朝より車を飛ばして、群馬県北部の利根郡片品村へ。
某団体からの依頼により、利根沼田地区の会員を対象にした研修会の講師に呼ばれて、1時間半の講演をして来ました。
やっぱ、早起きは、ツライっすねー!
そもそも、ライターなんていう仕事をしていること自体、夜型人間の証拠ですからね。
夜ふかしは、めっぽう強いが、早起きはまるでダメです。
だって僕の、ふだんの起床時間は、午前10時ですからね。
まずは、起きられるかが心配でした。
目覚まし時計を2個。
さらにケータイのアラームをセットして、昨晩は早めに床に就きました(といっても0時過ぎですが)。
いや~、参りました。
30分も前に、目が覚めてしまったんです。
(耳元で蚊がうるさくてね)
ついでだからと、トイレに立ったら、もうダメです。
怖くて、怖くて、眠れません。
だって、これでまた寝たら、絶対に起きられない自信がありますもの。
と、いうこで、開演より40分も前に会場に着いてしまいました(遅刻するよりは良い)。
講演の内容は、群馬県内の温泉全般についてですが、やはり導入は、片品村にある10ヶ所の温泉地の話題から。
尾瀬戸倉温泉、片品温泉、丸沼温泉、座禅温泉、白根温泉、東小川温泉、鎌田温泉、摺渕温泉、幡谷温泉、花咲温泉。
みなさんは、ご存知でしたか?
県内有数の温泉村であります。
そして、旬の話題として、大分県の 「おんせん県おおいた」 の商標登録認可にも触れました。
大分県は、このことで、県民の温泉への意識が、より高まったと思うんです。
それが、一番大事なんですよ!
“商標登録” なんて、どーでもいいんですよ。
数字だけを競い合う “日本一” なんて、いりません。
でも、日本一温泉を愛してる県民ではありたいと思うのです。
では、どうしたら、群馬県民が日本一温泉を愛してる県民になれるのか?
それは、自分の県の温泉を知ること!
そして、その素晴らしさと大切さに気づくことです。
そのために僕は、早起きをしてでも、群馬県内を東奔西走しながら、取材および講演活動を続けているのです。
群馬県民のみなさ~ん!
もっともっと、群馬の温泉のことを知りたいと思いませんか?
2013年10月10日
なんで、こーなるの!?
「お前さ、彼女にフラレたら、いさぎよくあきらめるんだよ」
突然、リビングで家内が、息子に向かって言い出しました。
なんのことかと振り返ると、テレビでは三鷹市で起きたストーカー殺人事件のニュースをやっています。
バイトから帰って来るなり、いきなり母親からそんなことを言われた息子は訳が分からず、キョトンとした顔をしています。
「だって、この犯人、お前と同じ歳だよ」
と、家内の無理やりなこじつけが始まりました。
「殺された娘も、彼女と同じ歳じゃないか。くれぐれもバカなマネはしないでおくれよ」
だなんて、完全に家内は、息子が彼女にふられて、しかもストーカーになりはしないかと過剰に心配しているのであります。
息子を見れば、我関せず、まったく聞く耳を持っていません。
それよりも腹ペコの様子で、遅い夕飯を夢中になって食べています。
「ちょっと、母さん。息子が加害者になることを心配するのもいいけどさ。うちには年頃の娘もいるんだよ。そっちのほうが心配だろ!」
傍聴していた僕も、家内のあまりのしつこさに、とうとう口をはさみました。
だって、そーでしょう。
ふつう、このテの事件が起きたときには、まず、被害者の立場になって心配しますよね。
しかも、うちには娘がいるんですから。
そしたら、家内のやつ、なんて言ったと思いますか?
「あの子は、大丈夫。だって、そんなに可愛くないし、モテないから」
ですって!
なんという、母親ですかね。
「そんなことないさ。人の好みはいろいろだし、見ようによっては、可愛いぞ。顔は、オレに似てるけどな」
と、言い返したところで、リビングに話の主人公が登場!
隣の部屋で、一部始終を聞いていたようです。
「あのね、傷つくんだけど!」
と、僕に向かって娘が、食ってかかってきました。
「母さんが言ったんだよ。お前のことを可愛くないとか、モテないとか」
と言い返したら、
な、な、なんと! 娘ったら
「そこじゃなくて、おとうさんに似ているってとこ! マジ、いやだ!」
そう言って、リビングから出て行ってしまいました。
トホホ、のホであります。
なんで、こーなるの・・・
悪いのは、みーんな母さんなのに!
“女の子はな、父親似のほうが幸せになれるんだってよ”
なーんて、言いたかったけど、到底、言える雰囲気じゃありませんでした。
なんで、こーなるの!?
母さんの、バカヤローーーーーっ!
2013年10月09日
花敷温泉 「花敷の湯」
『 山桜夕陽に映える花敷きて
谷間に煙る湯にぞ入る山 』
建久3(1192)年、源頼朝がイノシシ狩りの際に湯を発見し、その時に詠んだとされる歌です。
“花敷” という温泉名も、この歌から名づけられたといいます。
と、いうことで、久しぶりに群馬県中之条町(旧・六合村) に湧く秘湯、花敷温泉の一軒宿に泊まってきました。
かつて、ここには3軒の旅館がありました。
1軒、また1軒と姿を消して、現在では 「花敷の湯」 だけが湯と歴史を守り継いでいます。
創業は、昭和39(1964)年。
先代が 「花敷温泉ホテル」 を開業しました。
ところが・・・
主人が若くして亡くなってしまったため、しばらくは休業状態が続いていました。
今から約20年前に、息子で現主人の山田豊さんが、2代目を継承。
「囲炉裏の御宿 花敷の湯」 として、リニューアルオープンさせました。
僕は、過去に何度も取材で訪れているのですが、今回初めて、じっくり泊まって、のんびり湯に入って、ゆっくり料理をいただいてきました。
やっぱり、ここの魅力は、貸切の露天岩風呂でしょう!
「たぶん全国でも、もっとも古い露天風呂の1つだと思います」
と主人。
昭和30年代に崖の途中に造られた、なんともレトロな湯舟なんです。
話によれば、源泉の権利を持っていた先代が、村の人たちのために造ってあげた混浴の共同湯だったとか!
その後、崖の下に現在の共同湯(地元の人しか入れません) を造ったため、旧・花敷温泉ホテルの所有になったとのことです。
浴室から崖の下を覗き込むと、下から石段が上っているのが分かるんですよ。
当時の共同湯だったころの名残りなんですね。
まさに、「22世紀に残したい群馬の温泉遺産」 であります。
ひと風呂浴びたら、作務衣(さむえ) に着替えて・・・
この作務衣というのが、ミソです!
客室には、浴衣もあるんですけど、作務衣も置いてあるんです。
どちらも選べます。
で、お迎えのマイクロバスに乗って・・・
えっ、どこへ行くんだって?
はい、食事処です。
宿から約800メートル離れたところに、別邸 「囲炉裏の庵(いおり) 」 があるのです。
そこへ、主人自らが送迎してくれます。
ま~、圧巻ですよ!
先代が木材商を営んでいただけのことはあります。
樹齢1千年ともいわれる山桜や山栗の巨木が、ニョキニョキと200畳の日本家屋の中に生えているのです。
と思ったのですが、これが柱です。
この大きな柱に囲まれた囲炉裏端で、「深山懐石料理」 をいただきました。
川魚、和牛、地鶏、野菜を炭火で焼きながら、冷酒をいただく至福の時!
特筆すべきは、すべての料理が地の食材を使っていること。
一切、海のモノはありませんでした。
海へ行ったら海のモノを・・・
山へ来たら山の物を・・・
あー、群馬って、美味しい山の幸がたくさんあるんだな~!
と、しみじみ思った夜でした。
ご主人、取材協力ありがとうございました。
2013年10月08日
敵ながらアッパレ!
今日の新聞を見て、ビックリしました。
“「おんせん県」 商標OKに”
あれ?確か、認められなかったんじゃなかったっけ?
どーしてなの?
と、よくよく記事を見れば、
末尾に 「おおいた」 を付けて、再度申請をしていたんですってね。
何が驚いたって、その根性ですよ!
以前にもこのブログに書きましたが、大分県は他にもいろいろ名物や名産や名所があるのに、あえて観光を 「温泉」 1本にしぼってPRに出てきた勇気に、僕は嫉妬します。
群馬県や他の自称 “おんせん県” たちは、批判はしたけれど、名乗り出て、真っ向から闘わなかったですものね。
そのくせ、商標登録が認められなかったときは、「そうだそうだ」「そのとおり」 と不認可に、ホッと胸をなで下ろしていたのです。
かく言う僕も、そんなヤジ馬の一人でした。
講演や記事で、「群馬県こそが日本一の温泉県である」 なんて声高に叫んでいたのですから・・・
でも大分県は、よっぽど不認可がくやしかったんでしょうね。
こうなったら、意地でも 「おんせん県」 と呼ばせてみせるぞ!って、秘策を考えて再戦してきたわけです。
アッパレ!です。
そして、うらやまし~~~い!
だって、群馬県には、この勇気がありまか?
こうなったら、僕は1人でも闘いますぞ!
「湯の国ぐんま」
「群馬は温泉パラダイス」
そう、叫び続けます。
まずは、大分県さん、おめでとうございます。あなたたちの粘り勝ちです。
2013年10月06日
玉村町で講演します
「小暮さんの講演は、どこへ行けば聴けますか?」
と訊かれることがありますが、僕も決まった会場で定期的に講話をしているわけではありません。
しかも企業や団体からの依頼がほとんどですから、特定の人たちの聴講に限られてしまいます。
一般の人が参加できる講演やセミナーは、年にいくつもないんです(ごめんない)。
でも、久々に一般参加も可能な講演を、今月と来月に続けて行いますので、興味のある方は、ぜひ、ご来場ください。
今月は10月21日(月) に上牧温泉「辰巳館」 で開催される 「みなかみオンパク」 のフィナーレとして、『小暮淳の「みなかみ」温泉考座』 と題した1時間の講話をします。
参加は有料、定員制で、事前の申し込みが必要です。
※(詳しくは、当ブログの2013年9月22日 「今年もオンパク開催中!」 を参照)
来月は11月12日(火) に、玉村町の 「ふるハートホール」 にて、講演を行います。
当日は、著書の販売もします。
詳細は、下記のとおりです。
第19回 ぱる交流会
『群馬は温泉パラダイス』
~人が元気 地域も元気~
●日時 : 2013年11月12日(火) 13:30~15 30
●会場 : ふるハートホール(群馬県佐波郡玉村町)
●講師 : 温泉ライター 小暮 淳
●料金 : 入場無料
※申し込みは不要です。当日会場にお越しください。
●問合 : 玉村町住民活動サポートセンター「ぱる」
TEL.0270-65-7155