2013年10月27日
暴言 vs 暴力
「人を殴ってしまった・・・」
旧友から電話があり、突然、告白されました。
話を聞けば、酒の席でのことだといいます。
「で、相手にケガを負わせてしまったのか?」
「いや、でも……オレはあやまる気はない」
殴られた人は、飲み屋で偶然一緒になった知人のようです。
でも、僕には、納得がいきません。
だって、僕は何十年と彼と付き合っていますが、絶対に他人に手を上げるようなタイプの男じゃないんです。
その彼が、人を殴った!
よっぽどの事情があったに、違いありません。
「暴言を吐かれた」
と言います。
それも、彼に対してではなく、一緒にいた彼の奥さんに向かってだったようです。
それでも、僕は納得がいきません。
僕の知る彼は、実に穏和な性格の男です。
たった1回、そんなことを言われたくらいで、キレル男ではありませんって。
「それだけが理由じゃ、ないだろう?」
「ああ、実は、この時が初めてじゃなかったんだ」
以前にも、他の店で同じようなことがあり、その時は彼の友人の奥さんがからまれたのだといいます。
「最初は我慢していたんだけど、ついに許せなくなってしまってね」
「そして、殴ってしまったのか?」
「ああ、追いかけて行って、店の外で・・・」
決して僕は、暴力を肯定するわけではありません。
ただ、わざわざ電話してきてまで真実を話した彼を、僕は擁護します。
僕も過去に、人を殴ったことがあります。
でも、その時の記憶は、今も鮮明に残っています。
きっと殴られた人は、もう、忘れているかもしれません。
まして、殴られる原因となった自分が吐いた “暴言” など、覚えていないでしょうね。
でも、殴ったほうは、シッカリと今でも、浴びせかけられた汚らしい言葉の数々を忘れはしません。
そして、人を殴ってしまった罪の意識も。
だから僕は、彼の気持ちが痛いほど分かります。
「オレは絶対にあやまらないよ。悪いと思ってないから・・・」
そう言って電話を切った彼に、僕はなんて言ってやるべきだったんでしょうか?
友人として、ちゃんと話を聞いて上げられたのでしょうか?
傷ついているのは、人を殴ってしまった彼自身なのですから ……。
Posted by 小暮 淳 at 22:13│Comments(0)
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