温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2011年03月31日

2つの温泉講座

 今日は午後より、前橋カルチャーセンター(けやきウォーク前橋 2F)にて、僕が講師を務める平成23年度新講座 『小暮淳と行く 湯けむり散歩』 の説明会がありました。
 昨年度の説明会は、イトーヨーカ堂で行いましたが、ヨーカ堂の廃業と同時にカルチャーセンターが「けやきウォーク前橋」に移転したため、初の会場での説明会となりました。

 だいぶ宣伝をしていただいたようで、たくさんの人が集まってくださいました。
 店長から開講にあたっての説明があり、次に講師の紹介となりました。
 震災後の温泉地の状況や温泉の在り方、この講座でめぐる温泉地の話など、30分ほどスピーチをしました。

 当然、平日の講座を受講できる人たちですから、年齢層はかなり高いのですが、今年の参加者はちょっと昨年とは雰囲気が違います。
 昨年の受講生たちは、温泉旅行に参加した感覚の人が多かったのですが、今回の出席者は完全に温泉を学ぼうとしている感じです。とにかく、温泉に詳しい。そして、みなさん、実に良く僕のことを知っています。
 これには驚きました。

 ま、昨年までは、そんなに知名度がなかったということですかね。
 でも、今日の説明会では、だいぶ僕の話がでました。
 質疑応答の時間では、「先生の本を参考に温泉地を回っています」とか、「先生と温泉を回りたくて参加しました」という人の声が多かったのですよ。うれしーじゃ、あ~りませんか!

 最後は受講希望者が10人ほど残って、入会手続き等を行いました。
 今日の説明会には出席していなくても、すでに予約されている人たちもいるので、なかなかの人数になりそうです。

 でも、すでに本を持っている僕の読者が多かったせいか、著書はあまり売れませんでしたね。
 新刊だからでしょうか、『ぐんまの里山 てくてく歩き』 を買い求める人が多かったのですが、手持ちが少なかったもので、持って行っただけ全部売れてしまいました。
 「1階の紀伊国屋書店に売っています」と告げると、僕から買えなかった人は、帰りに書店へ向かったようです。
 ありがとうございまーす!

 今回の震災の影響で、多少のコース変更はありましたが、無事、開講することができそうです。
 集まってくださったみなさん、今日はありがとうございました。

 今なら、まだ空席があります。ご興味のある方は、お問い合わせください。

 ●問い合わせ・申し込み
   前橋カルチャーセンター(けやきウォーク前橋 2F)
   TEL.027-223-5121


 そして、もう1つの温泉講座、NHK文化センター 『探訪! ぐんまの小さな温泉』 は、おかげ様で満席となりました。
 ありがとうございました。
 現在、キャンセル待ちの状態が続いています。
 欠席者が出た場合は、連絡が行くことになっていますので、希望される方はセンターまでお申し込みください。
 また、秋~冬には追加講座が開講しますので、予約登録をしてお待ちください。

 『探訪! ぐんまの小さな温泉』 は、4月~9月の毎月第4火曜日に開講いたします。

 ●問い合わせ・申し込み
  NHK文化センター(群馬県昭和庁舎 3F)
   TEL.027-221-1211
   


Posted by 小暮 淳 at 22:17Comments(2)講座・教室

2011年03月29日

うおっ、ギンヒカリ

 「ギンヒカリ」って、ご存知ですか?
 お米じゃありませんよ。魚の名前です。

 群馬県産の最高級ニジマスのことです。
 平成14年に商標登録された群馬の大型ブランド魚なのですが、当時は知名度も低く、まったく売れなかったと聞きます。
 ところが最近は、県の地産地消の推進を受けて、徐々に私たちの口にも入るようになりました。

 まだまだスーパーや一般の飲食店では見かけませんが(最高級魚ですから)、温泉旅館などでは、新しい群馬の食材として、食卓を彩っています。
 僕も何度か食べたことがありますが、「えっ、これがニジマス!?」とは思えない色と食感に驚かされます。

 通常、ニジマスの肉は白身ですよね。
 でもギンヒカリは鮮やかなサーモンピンク色なんです。
 生臭さがなく、刺身や切り身で食すところなど、川魚とは思えない食味であります。

 でも、食べたことはあっても、生きている姿を見たことがある人は、少ないんじゃないですかね。
 と、いうことで、僕は今日、そのギンヒカリに会いに行ってきました。


 長い自粛生活が続いていたので、実に久しぶりの取材であります。
 「ああ、この感じ~!」 たまりません!
 カメラマンと打ち合わせをしながら取材現場へ向かう、“この感じ” ですよ。

 僕が何十年と、雑誌の編集や執筆の仕事を飽きもせずに続けていられるのかといえば、それはズバリ!“取材が大好き” だからなんです。
 20数年前、この世界に入ったとき、取材の面白さを知ってしまったのです。
 知らない土地へ行ける、知らない人たちに会える、知らない事を知れる……
 このハラハラ、ドキドキ、ワクワク感がたまらんのですよ。

 で今回、訪ねたのは、吾妻郡東吾妻町の「あづま養魚場」です。
 ここでは、県内シェアの50%以上のギンヒカリを生産(養殖)しています。

 さっそく、ご対面!

 うおっっっ、と、でで、でっか~い!

 姿形はニジマスでありますが、大きさは優に30cm以上あります。
 体重が1kg以上あるものを「ギンヒカリ」と呼ぶとのこと。なかには2㎏を越えるものもあるとか。
 名前どおりの銀色の光沢が、美しいではありませんか!
 まさに、これは群馬を代表するブランド魚であります。

 池田社長の話にもありましたが、全国の大型ブランド鱒のなかでも「最高の味に仕上がった」絶品のニジマスとのことです。

 ぜひ、みなさん。
 まだ食されていない方は、群馬のブランド魚「ギンヒカリ」を一度召し上がれ!

 温泉とギンヒカリで、群馬のブランド力は、ますます向上しますよ。
 間違いなし!
   


Posted by 小暮 淳 at 21:28Comments(7)取材百景

2011年03月28日

『湯守の女房』連載再開!


 朝日新聞社から連絡があり、連載が止まっていた 『湯守の女房』 が再開することになりました。

 いや~、正直、ホッとしています。
 自粛、自粛のムードの中、何から何までキャンセル状態でしたから、何か自分にできることはないかと、ウズウズしていたんですよ。
 と、いうことで、1ヶ月ぶりに連載が始まることになりました。

 次回の掲載日は4月6日(水)。
 この日より隔週の掲載となります。

 連載の再開にあたり、通常掲載の本文に加え、僕から温泉地へ向けてメッセージ記事が追加掲載されることになり、さっそく新聞記者から取材を受けました。
 現在、県内の温泉地は、軒並みキャンセル被害に遭っています。
 このままでは、支援はもとより、共倒れになりかねません。
 そこで、僕から温泉地の皆さんへ、励ましメッセージを送るという企画です。
 「必ずや、温泉の癒やしを求めて、お客さんはやって来ます。湯の力を信じましょう」とコメントをしました。


 さてさて、連載が再開するとなると、取材へ出かけなくてはなりません。
 震災以降、取材を自粛していたため、まったく記事のストックがありません。
 あわてて、取材延期を申し入れていた温泉地へ電話をして、取材要請をしました。

 「もう、このままでは廃業に追い込まれてしまいますよ」
 そんな声が返って来るなか、
 「こんなときだからこそ、温泉の必要性を世の中に訴えて行きましょう。ぜひ、取材にご協力ください」
 と申し入れました。

 旅館を開けるも地獄、閉めるも地獄のようです。

 原発事故の避難住民の受け入れに追われている温泉地や旅館もあります。

 当然、まずは被災地の復興からです。
 でも同時に、支援する側の元気も取り戻さなくてはなりません。

 今、自分に何ができるか?

 日本中の人たちが、考えて、動いています。

 僕にできることは、やはりペンを振るうことです。
 群馬の温泉地を元気にするために…… 
   


Posted by 小暮 淳 at 17:54Comments(5)執筆余談

2011年03月27日

群馬DCに向けて

 群馬DCの開催まで、あと4ヵ月を切りました。

 業界では、盛んに「DC、DC」と合言葉のように交わされていますが、一般の人たちには、まだまだ馴染みのない言葉です。
 群馬DCとは、「群馬デスティネーションキャンペーン」の略です。
 直訳すれば、“デスティネーション”は「目的地」、“キャンペーン”は「宣伝活動」ですから、「群馬を目的地とした宣伝活動」の期間ということになります。
 今年の7月から9月までの3ヵ月間、群馬県内の市町村や観光関係者と全国のJR6社などが一体となって、群馬への観光誘客のためのキャンペーンを行います。

 自粛ムードが漂う、この時世ですから、開催自体が危ぶまれていましたが、連日の新聞報道で周知のとおり、県内の観光地(特に温泉地)ではキャンセルによる深刻な状況が続いています。よって、県内の関係機関は、改めて戦略の見直しを強いられているようであります。

 そんなおり、群馬県観光情報誌 『ググっとぐんま』 の制作依頼がありました。

 『ググっとぐんま』は、群馬県がDCに向けて、昨年の春から発行しているフリーペーパーです。
 すでに2010年の「創刊春号」「夏号」「秋冬号」、そして2011年の「春号」が発行されています。

 僕は創刊号より、この雑誌の編集および温泉記事の執筆に参加しています。
 創刊号では、草津温泉をはじめ、伊香保や水上、四万、老神温泉など「文人たちが愛した名湯」を紹介しました。
 夏号は尾瀬。秋冬号はスキー場近くの山の温泉。そして今年の春号では、磯部温泉や八塩温泉など “里に湧くいで湯” と、順次、湯の国群馬の魅力あふれる温泉地を紹介しています。

 いよいよ、次号は群馬DC開催直前の発行となる最終号であります。
 季節は、夏。
 テーマは 「川に抱かれ、上州の旅」。
 特集は、ラフティングやキャニオニング、カヌーなどのウォーターアドベンチャー体験から群馬の名水図鑑、ダムサイト涼風散歩、夏祭りなどなど、盛りだくさんの企画で制作が進められています。

 もちろん温泉情報もありますよ。
 ズバリ! “川沿いに湧くいで湯” であります。


 長年、雑誌の編集に携わってきて、一番に思うことは「群馬には温泉をはじめ素晴らしい観光資源がたくさんある」ということ。
 なのに、「そのPRの仕方がヘタな県だ」と何十年と感じ続けています。

 いいモノを持っていても、それを伝えられないのでは 「宝の持ち腐れ」です。
 もったいないと思いませんか?

 ぜひ、一般の人たちも、この群馬DCを機に、群馬の魅力を再発見して、“素晴らしい群馬” を胸を張ってアピールしてください。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:57Comments(0)執筆余談

2011年03月26日

湯の国ぐんまの底力

 いよいよ、始まりました!
 県内の温泉地から、地震の被災地や原発事故の避難所に温泉を届ける「配達作戦」。

 第1弾は、草津温泉。
 昨日、福島県福島市内の避難所に届けられました。
 今後、伊香保、水上、四万、磯部の各温泉地から福島県内の避難所に温泉が届けられる予定です。

 これぞ、群馬の底力です。
 支援の仕方はそれぞれです。金、モノ、人……
 でも、群馬には “温泉” という他県では真似できない資源が豊富あるのです。
 これぞ、癒やしの救援物資!

 さらに草津町は、原発事故の避難住民の受け入れを始めました。
 ペンションや旅館、約40軒を開放しています。
 さすが、温泉界の横綱であります。
 草津あっての “湯の国ぐんま” ですものね。


 ところが一方で、深刻な事態が続いています。
 県内温泉地の宿泊キャンセルです。
 新聞の報道によれば、25日現在、県内主要温泉地の宿泊予約の取り消しは、およそ10万人にのぼっているとのこと。
 これは、あくまでも “主要温泉地” ですから、小さな温泉地も含めれば、甚大な数字になることでしょう。

 依然、鉄道のローカル路線は運休しています。
 さらに計画停電やガソリン不足、おまけに世の中の自粛ムードが拍車をかけているのでしょうね。

 これは深刻な事態であります。
 観光業界は、大打撃を受けていることでしょう。
 でも、それは温泉地だけに限ったことではありません。
 今は日本中が、我慢を強いられている時です。

 大切なのは、今、何ができるか?
 すべての業界、自治体で、その真価が問われているのではないでしょうか?


 「情は人の為ならず」

 情はめぐりめぐって返ってくるものです。
 群馬の温泉で癒やされた人たちが、将来、必ずや恩返しにやって来ますよ。
 今こそ、群馬の底力が試されているのだと思います。 
   


Posted by 小暮 淳 at 11:27Comments(3)温泉雑話

2011年03月25日

涙の救援物資

 突然、九州から宅配便が届きました。
 大きな段ボール箱を開けてみると、中には……

 米、缶詰、カップ麺、菓子、缶ビールなどなど

 あれだけ、「群馬は大丈夫だよ」って言ったのに。
 大げさなんだよなぁ~、とひとりごちた後、急に胸の奥のほうが痛くなって、目頭が熱くなってきました。


 先週からたびたび、鹿児島県の友人とメールのやりとりをしています。
 最初に僕が「そちらは、いつもの生活ができていますか?」と送ったら、かなり関東と九州では温度差があるようで、意味が良く分からなかったようです。
 彼は、何度か群馬にも来たことがあるので、東北と群馬は離れているという意識があったのでしょう。

 「停電やガソリン、食料品不足のことはニュースで知っていましたが、震災地付近だけだと思っていました」

 そんなメールが返って来て、やり取りが始まりました。

 K君は鹿児島市内の印刷会社に勤めています。
 今から12年前のこと。
 僕が 『ヨー!サイゴン』(でくの房 傀儡新書) というベトナム旅行記を執筆したとき、印刷と製本を手がけてくれたのが彼でした。
 当然、そのときは面識はありませんでしたが、後日、旅行を兼ねてお礼を言いに、僕が鹿児島へ訪ねて行ったのが交流の始まりです。
 この10年で、僕が2回鹿児島へ、彼が3回群馬へ来ました。


 開けた段ボール箱を前に、すぐに彼に電話を入れました。

 「小暮さん、大丈夫ですか? 元気ですか?」
 彼の声を聞くなり、僕の涙腺は壊れてしまいました。
 「ありがとう」と言いたいのに、ノドの奥に何かが詰まっていて、声が出ません。

 やっとの思いで、「ありがとうね、あんだけ食料は足りているって言ったのに…」

 すると彼は
 「だって、ガソリンと電気は送ってあげられないでしょう。何がいいか分からなくって、適当に突っ込んじゃいました」
 と、薩摩弁のイントネーションで答えました。
 ああ、このしゃべり方、懐かしい……。九州は遠いけど、陸続きじゃないけど、日本って1つにつながっているんだなぁ~と感じたのです。

 「水は大丈夫ですか?」

 だいぶ温度差が無くなったようですね。
 関東圏のニュースを気にして見てくれているようです。

 「群馬は大丈夫だよ。すぐは会えないかも知れないけど、日本が復興したら会いましょう」
 そう言って、電話を切りました。


 改めて、段ボール箱の中を見て、苦笑いをしました。
 ふつう、救援物資の中に、缶ビールは入れませんよね。
 このへんが、K君らしい。
 さすが、僕のことを「群馬の小原庄助さん」と言った、張本人です。
 今晩は、ありがたく缶ビールをいただきたいと思います。


 人の心って、温かいですね。

 がんばろう、日本! 
   


Posted by 小暮 淳 at 10:49Comments(3)つれづれ

2011年03月24日

「湯けむり散歩」無料説明会

 少しずつ、世の中が動き出してきたようです。

 4月から開講予定の前橋カルチャーセンター主催、「小暮淳と行く 湯けむり散歩~温泉めぐり&健康ウォーク~」を開講する方向で準備が進んでいるとの連絡がありました。

 「開講の時期については、遅らせるかどうか現在検討中ですが、すでに予約がだいぶ入っていますので、説明会は予定通り行いたいと思います。よろしくお願いいたします」とのこと。

 嬉しいですね。
 僕は、もう十中八九中止だろうと、あきらめていたのですよ。
 ま、こんなご時世ですし、温泉=贅沢という風潮もありますし……ね。

 と、いうことで、予定通りに無料説明会を今月31日に行うことになりました。
 ただし、計画停電とかち合った場合は、前日に開催されることになりました。

 本年度の温泉講座「湯けむり散歩」は、サブタイトルでお分かりのように、温泉地を訪ねながら、周辺の名所旧跡や景勝地をウォーキングし、最後に温泉に入って汗を流すという欲張り、かつ健康志向の講座です。
 昨年までは温泉オンリーだったのですが、僕が今年になって 『ぐんまの里山 てくてく歩き』(上毛新聞社) を出版したものだから、急きょ、ウォーキングもセット販売されることになりました。

 訪ねる温泉は、県外の名湯と県内の秘湯を予定し、すでに新聞チラシ等で発表されていますが、今回の地震の影響を受けて、若干変更されることとなりました。ご了承ください。
 詳しいことは説明会にて、センター側と僕からお話をさせていただきます。

 参加希望の方、話だけでもお聞きになりたい方、無料説明会へ、ぜひ、お越しください。
 尚、無料説明会への出席は、事前にご予約ください。
 また、開催日の実施・変更については、センターへお問い合わせください。

 当日は会場にて、著書の販売もいたします。



 ●講座名 / 『小暮淳と行く 湯けむり散歩』
          ~温泉めぐり&健康ウォーク~
 ●期 間 / 2011年4月~7月(全4回)
         ※変更あり
 ●受講料 / 10,500円(全4回)
         ※バス代、昼食代別途
 ●説明会 / 2011年3月31日(木) 14:00~ 無料
         前橋カルチャーセンター(けやきウォーク前橋 2F) 
         ※計画停電の場合は前日
 ●問合せ / 前橋カルチャーセンター
         TEL.027-223-5121
   


Posted by 小暮 淳 at 14:46Comments(2)講座・教室

2011年03月23日

番組名は『群馬は温泉パラダイス』

 自粛、自粛のご時世です。
 軒並みイベント関連も、やむなく中止へ追い込まれています。
 僕がかかわっていた4月のイベントも、早々に中止が決まりました。

 そんななか、NHK-FM放送局から連絡がありました。
 「以前、お話を差し上げたとおり、4月から温泉番組を放送することになりましたので、よろしくお願いいたします」
 とのことでした。

 いやいや、中止とは申しませんが、延期にはなるだろうなぁ…と思っていましたので、ビックリです。

 放送は、4月から1年間、毎月第3火曜日の午後6時~6時50分。
 「トワイライト群馬」という番組の中で、僕が毎回、20分間、群馬の温泉の魅力についてお話します。
 タイトルは『群馬は温泉パラダイス』。

 群馬には、どんな温泉があるのか?
 どんな温泉が、いい温泉なのか?
 秘湯や名湯のエピソードなどなど、僕の知るかぎりの温泉ネタを紹介していきたいと思います。

 番組のお相手は、金井一世アナウンサーです。
 まだ、お会いしていませんが、写真を見たかぎり、とても可愛らしい女性ですよ。
 惚れちまわないように気をつけながら、仲良く1年間努めたいと思います。

 金井さん、そしてリスナーのみなさん、よろしくお願いいたします。



 ●放送局/NHK-FM (81.6MHz)
 ●番組名/トワイライト群馬 『群馬は温泉パラダイス』
 ●放送日/2011年4月19日(火)から1年間
        毎月第3火曜日、18:00~18:50(内20分間)
  


Posted by 小暮 淳 at 14:54Comments(4)温泉雑話

2011年03月22日

豊かさの違い

 「お客さんが変わった」

 老舗と言われる、昭和以前から商いをつづけている古い旅館に話を聞くと、必ず返って来る言葉です。

 昔の客は “泊めていただく”、今の客は “泊まってやる” なのだそうです。
 「温泉が、有り難かった時代の話です」と話す主人もいました。

 その背景には、戦後の高度経済成長が大きく関係しています。
 温泉地が、湯治場から観光地へと目的を変えたからです。
 「長期滞在型」から「1泊2日型」へスタイルも変えました。

 前者は、もちろん湯治が目的であり、自炊または半自炊をしながら質素な食事を採り、療養をつづけるために温泉地へやって来ました。よって、湯と床を提供してくれる宿に対しては「泊めていただく」という感謝の気持ちが存在したのです。

 後者の目的は、完全に観光およびストレスの発散場所です。上げ膳据え膳の豪華な料理と、殿様扱いされる優越感を求めてやって来るようになりました。だから「泊まってやる」という横柄な態度になってしまったのです。

 “お湯が神様” から “お客が神様” へと、優先順位の転倒が起きたといえます。


 僕は取材をつづけながら、この端境期(はざかいき)を探していました。
 必ず主人たちに「いつ頃から極端に変わりましたか?」と尋ね、その統計を取っています。
 
 その結果、顕著に表れたのは約20~30年前くらい。
 ちょうど昭和から平成へ世の中が移り変わるあたりです。
 世の中はバブルの真っ只中です。
 豊かさの価値が、温泉の価値をも変えたようです。

 そして……

 平成元年には、温泉地にとって衝撃的な出来事が全国を襲いました。
 竹下内閣による「ふるさと創生資金」のばらまきです。
 全国の自治体が、一億円の使い道に、こぞって温泉の掘削を始めました。
 これにより、日本全国の街中に温泉が湧き出しのです。

 「日帰り温泉の出現が、一番大きいかもね」と、老舗旅館の主人たちは口を揃えます。

 湯治場を支えていたお年寄りたちが、近場の温泉施設へ足を運ぶようになったのですから。
 車を持たないお年寄りたちにとって、徒歩やバスで行ける日帰り温泉施設が、現代の“湯治場”となったようです。

 でも、時間とお金のあるお年寄りたちこそ、温泉地へ戻って来て欲しいお客様なのです。


 「質素な料理でも長期滞在しながら湯を浴んでいた時代と、1泊で豪華な料理をお腹いっぱい食べて帰る現代と、どっちが豊かなんでしょうねぇ?」
 そう言った女将さんがいました。

 豊かさの違い……

 時代は繰り返されるとも言います。
 今回の震災を機に、日本人の豊かさの価値も、一変するかもしれませんね。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:37Comments(4)温泉雑話

2011年03月21日

震災ダイエット

 以前より増して、我が家の冷蔵庫の中は、スッカラカンであります。

 昨年の暮れに、ひとまわり大きな冷蔵庫に買え変えたのですが、見事に容量を満たしていません。
 ふだんから買いだめをしない家なので、さらに何もなくなってしまいました。

 「納豆が全然なくて買えないのよ~」
 と家内が言ったので、
 「納豆なんて、食わなくても、死にゃーせん!」
 と一喝してやりました。

 すると今度は……

 夕食時のごはんの盛りは少ないし、おかずも1、2品少ない。
 「これだけかよ~」
 とグズる僕に家内は、
 「避難所では、1個のおにぎりを分け合っているのよ。温かいみそ汁がいただけるだけでもありがたいと思わなくっちゃ。それにね、こんなとき腹いっぱい食って、太っている場合じゃないのよ。国民全員が震災ダイエットするの! 一石二鳥よね~」

 ということで、我が家の流行語は「震災ダイエット」となりました。

 ①買いだめはしない。その日、必要なモノだけを買う。よって毎日買い物へ行く。
 ②緊急時以外、車を使用しない。よって自転車または徒歩で、すべての用事を済ませる。
 ③無駄なものは一切買わない。間食をしない。米の節約のため、茶碗一杯のごはんの量を減らし、おかずも、その日手に入った食材で用意する。

 幸いにも我が家には、家族人数分の自転車があります。
 ふだんは車派の家内も、自転車に乗るのが楽しくなったようで、午前に午後にと、回数を分けて買い物へ出かけて行きます。
 僕は以前から自転車派ですから、前橋市内ならどこへでも走ります。
 医者や薬局、実家や友人、知人のお宅まで。スーイ、スイであります。

 相変わらずガソリンは不足しているようですね。
 今日、友人から電話があり、ガソリンスタンドに1時間半並んだら、その列は「ハイオクのみ」だったとかで、無駄足になってしまったと嘆いていました。
 また別の知人は、3時間並んだ末に、その前で品切れてしまい、買えなかったとメールが来ました。

 自転車が飛ぶように売れていると聞きます。
 いいことではないでしょうか。
 エコですし、健康にもなれます。

 僕は地震発生の翌日から、まだ一度も車に乗っていません。
 ただそれだけで、体重は2kg減りました。

 恐るべし、震災ダイエット!
 (太っている場合じゃありませんって)
  


Posted by 小暮 淳 at 14:49Comments(0)つれづれ

2011年03月20日

温泉地からの声

 朝日新聞に隔週連載しています 『湯守の女房』 の次回掲載日は3月23日の予定でしたが、震災報道を優先に紙面を構成する都合により、延期されることになりました。

 そのことを連絡するために昨日、掲載が予定されていた大胡温泉へ電話を入れました。
 そうです。僕が地震発生時にいた温泉です。

 「あの時は、ありがとうございました。心強かったですよ」
 女将さんは元気そうです。
 でも、その後に影響は出ているようです。

 「今週は休んでいたのよ。でも今日は計画停電は実施されないっていうから、開けているんですけどね。お客さんは来ないわね」

 大胡温泉は、源泉温度約15℃の冷鉱泉です。
 よって加熱と循環をしなくてはなりません。不足している灯油と電気が必需品です。
 それでも今週は、自衛隊員の宿泊所として開放したと言います。

 「頑張ってくださいね。必ず癒やされに、人々が温泉へ向かいますよ。待っていてください。僕も頑張りますから」
 と励ましの言葉をかけて、電話を切りました。


 温泉地は、どこも深刻な状況です。
 このままでは、被災地支援の前に共倒れてしまいます。
 支援する側が、元気でなくてはなりません。


 四万温泉からは、温泉協会長よりメールが届きました。

 「計画停電実施後、JR吾妻線など県内の在来線は、ほぼ全面ストップしています。
 中之条-四万温泉間の路線バスも燃料入手が困難になり、間引き運転を行っています」
 と交通機関の現状に触れた上で、計画停電について、

 「当地域に東京電力の主要設備がある関係で、停電対象から除外されております」
 とメッセージが寄せられました。

 四万温泉は停電しない!

 最大のセールスアピールですね。

 各温泉地のみなさん、必ずお客さんは戻って来ますよ。
 その時、体力がなくては、元気に受け入れることができません。
 温泉で元気にする人たちが、まずは元気でいなくっちゃ!
   


Posted by 小暮 淳 at 12:20Comments(2)温泉雑話

2011年03月19日

不要不急の身なれど

 まったくもって、我が身の無力さに打ちひしがれております。

 世の中には、衣食住にかかわる“生活に欠かせないモノ”と、“とりあえず無くても困らないモノ”があります。
 今回のような窮状では、当然ですが、後者は不要不急とされ、後回しとなります。

 ま、温泉ライターという仕事も、後者に属する職業です。
 よって現在、毎日が日曜日となってしまいました。
 せめて「不要」の存在にならぬよう、今は「不急」とされている原稿(出版予定の本)をしたためている日々です。


 不要不急の仕事をしている人は、世の中に大勢います。
 芸術家もその一人です。

 昨日は、あまりにも時間を持て余してしまい、さりとてガソリンも底をついてしまっているため、自転車に乗って、市内のギャラリーまで行って来ました。
 知人の彫刻家・三谷慎さんの 『ドローイング展』 です。

 三谷さんとは、かれこれ20年以上の付き合いになります。
 最初は、僕がタウン誌記者の駆け出しの頃、シリーズで県内の芸術家ばかりを訪ねるインタビュー取材で知り合いました。
 その後は、共通の友人や知人らと、イベントを開いたり、飲んだり、騒いだりする仲間として、付き合っていただいている大切な知人の一人であります。

 彫刻家である三谷慎さんは、ふだんはブロンズをメインに、レリーフなのどの彫刻を手がけていますが、今回は大変珍しいドローイング(素描)を集めた展示会です。

 個展会場は、僕の実兄の友人のアトリエです。
 僕の実兄は建築家でして、その友人も建築家。
 実は、今回の個展は、実兄が企画・主催した特別展なのです。

 会場には実兄はもちろん、三谷さんもいらっしゃいました。
 他に、実兄の建築家仲間も2人ほど……。
 しかし、駐車場に車は一台も停まっていません。
 その代わり、自転車が人数分置かれていました。

 見事に、会場にいる全員が、ガソリン不足のため車を捨てて、行動していたのです。

 「淳ちゃんも会期中は毎日おいでよ、美味しいコーヒー入れてあげるから」
 そうアトリエの主人に言われ、
 「そうも行かないでしょう、仕事の邪魔をしてしまいますよ」
 と気をつかってみたのですが、
 「何言ってんの、仕事なんて誰もあるわけないじゃない!」
 と笑い飛ばされてしまいました。

 見渡せば、会場にいる人たちは、みーんな不要不急の仕事をしている人たちばかりではありませんか。

 そんな我々にできることは?
 芸術家、建築家、文筆家にとって、支援とは?

 コーヒーをすすりながら、熱く熱く語り合ったのでありました。 




          記


    三谷 慎 ドローイング展

 ●会期/2011年3月18日(金)~20日(日)
            3月25日(金)~27日(日)
           12:00~18:00
 ●会場/D-HOUSE  〔1F 居間部分〕
       前橋市六供町722-6
       tel.027-221-1035 (会期中)
    


Posted by 小暮 淳 at 12:30Comments(4)つれづれ

2011年03月18日

癒やしの力③

 昨日の続報です。
 新聞社を通じて、詳細が入って来ました。

 東京電力福島第一原発の放射能漏れ事故による被災者の受け入れを始めた温泉は、みなかみ町内の旅館や民宿などでした。
 すでに300人余りの人が避難して来ているとのこと。
 1,000人の受け入れを予定しているようです。
 みなかみ町では、一億円の町予算を投じると発表しました。

 湯の国群馬の底力を発揮するときですね。
 “癒やしの力”の輪を広げましょう!

   


Posted by 小暮 淳 at 13:31Comments(2)温泉雑話

2011年03月17日

癒やしの力②


 本日、まだ未確認ではありますが、朗報が入って来ました。

 群馬県内の某温泉旅館(まだ確認が取れていないので)が、被災者たちを受け入れる方向で、準備をしているそうです。

 昨日も書きましたが、現在、温泉地はキャンセルの嵐に遭っています。
 空いた部屋を、避難所として提供しようという動きです。

 畳と布団のある部屋、そしてなによりも温泉に入って“癒やしの力”を存分に浴むことができます。

 ただ、現在の旅館は、昔の湯治場のような長期滞在者向けには造られていません。
 炊事用具、洗濯機などの生活必需品の用意が必要です。
 現在は、この準備に追われているとのこと。

 湯の国群馬だからできる、素晴らしい支援活動だと思われます。
 これを機に、他の温泉地や自治体でも考えてみたらいかがでしょうか?

 「客が来ない」と嘆くより、空き部屋の開放を!
 湯の国群馬を全国へアピールする、絶好のチャンスだと思うのですが……


 ※今後、この情報は詳しいことが分かり次第、お知らせします。
    


Posted by 小暮 淳 at 22:29Comments(0)温泉雑話

2011年03月16日

癒やしの力

 “温泉”とは、贅沢品なのでしょうか?

 昔は、湯治場であり、民間の療養場所であったはず。
 いつしか西洋医学の発達と、日本人の生活レベル向上とともに、温泉は湯治場から観光地へと変貌していきました。
 そうなると、温泉=観光地=贅沢という公式がなりたってしまいます。

 現在、日本がこのような事態に窮しているとき、当然、温泉は不要品扱いとなります。
 また、その温泉を生業としている僕のような職業も、とりあえずは不要ということになります。

 日に日に、この業界にもキャンセルの波が押し寄せています。
 今日現在、新聞2紙から“連載の延期”と“寄稿原稿の掲載中止”の報告を受けました。
 また、1紙からは“現在、延期の方向で検討中”という連絡をもらっています。


 そんな中、1社から次のようなメールが来ました。

 「未曾有の災害を受け、貴殿におかれましても様々な障害が生じていらっしゃるかと思われます」
 とした上で、
 「発刊につきまして社内で協議しましたが、経済活性化で微力ながら貢献致したく、予定通り発刊することと致しました」
 との内容でした。
 「ついては……」と、僕が寄稿した原稿が組まれたページの校正を依頼してきました。

 確かに、かつて経験したことのない未曾有の災害を我々日本人は受けました。
 復興への思いや被災者への思いは、国民全員が同じです。
 でも、その解釈や貢献の仕方は、人様々なのだと思われます。


 昨晩、深山にある某温泉地の一軒宿に電話を入れました。
 「地震での被害はありませんでしたか?」
 と聞くと、女将さんは
 「おかげさまで土砂崩れなどもなく、建物の損壊もなく、私どもも元気にやっております」
 と言った後、
 「でもキャンセル電話が鳴り止みません」
 と言葉を続けました。

 キャンセル理由を聞くと、
 「ガソリンがないから行けませんという方がほとんどです」
 とのこと。

 おまけに鉄道各線も運休しています。
 「小暮さん、どうしらいいでしょうねぇ?」
 そう問われて、僕はこう言うしかありませんでした。

 「これから、ますます日本は癒やしの時代に入りますよ。日本人にとっての最大の癒やしの場所は温泉です。待っていてください。これからの時代、必ず本来の温泉の利用に日本人が気づきますから」と……。

 昔から、日本人は温泉で気分転換を図ってきました。
 これは日本人のDNAに組み込まれた危機回避法の1つなのです。

 温泉の持つ、癒やしの力を信じてやみません。 
    


Posted by 小暮 淳 at 17:33Comments(5)温泉雑話

2011年03月15日

温泉地への影響

 続々と県内温泉地からの情報が入っています。
 土砂崩れ等の直接的な災害は免れたものの、源泉に泥水が入り込み湯がにごってしまったという報告がありました。

 なによりも現在、県内温泉地は地震以降、キャンセルの嵐が吹いています。
 世の中がこんな事態ですから、地震発生直後から想定されていたことなのでしょうが、某温泉地は「連日、朝からキャンセル電話が止まりません」と言ってきました。

 こんなとき、温泉を生業としている僕のような職業のものは、その対応に戸惑いを感じています。

 自粛すべきなのか?
 温泉地も困っているのだから救済すべきなのか?

 その答えは、現在、さまざまな形で返ってきています。

 新聞、雑誌などは、“温泉記事”を自粛しています。
 すでに何本か予定していた取材が見送られています。

 そんな中、昨日から泊り込みで四万温泉へ入り込み、取材活動をつづけて来ました。

 前日から、「取材に入るべきか、中止にすべきか」は、二転三転していました。
 実際に、一軒の宿からは「温泉の給湯ができなくなった」という理由で、取材の延期を申し出てきました。
 最終的には、温泉協会の判断にゆだねることにしました。

 そして今朝になり、「温泉街にまったくお客様がいません。こんなときだからこそ、将来のためにじっくり取材をして、いいものを書いてください」との申し入れがあり、昼過ぎより予定どおり温泉街へ入りました。

 毎週のように入り込んでいますが、こんなにも閑散とした温泉街を見るのは初めてです。
 人っ子ひとり歩いていません。
 「こんなときに、お越しいただき、ありがとうございます。閉めている旅館も多数ありますが、取材可能な宿に連絡をしました」
 と協会職員。

 2軒の宿を取材しましたが、宿泊客はゼロ。
 それでも快く、女将さんやご主人が話を聞かせてくれました。

 昨晩は、ご厚意により温泉協会長の宿「柏屋旅館」に泊めていただきました。

 昨日になって急きょ、温泉地などの宿泊施設があるエリアは、計画停電の対象から除外されたそうです。
 おかげさまで、終日、電気は通じていました。
 それでも温泉街全体で節電に協力して、最低限の光量のなかで、数軒の宿が営業していました。


 今、僕は、僕にできることは何かを考えています。

 節電も協力します。 
 義援金も送ります。
 防災についても取り込みます。

 で、その上でできることを……


 僕は温泉ライターですから、愛すべき温泉地のためにペンを振るうことが使命だと考えています。
   


Posted by 小暮 淳 at 17:27Comments(2)温泉雑話

2011年03月13日

ケンちゃんからの電話

 「ジュンちゃーん、新聞、届いたよ~!」

 懐かしい旧友から、電話がかかって来ました。
 ケンちゃんは、僕と同じ歳。30年以上前に、東京で出会いました。
 でも、たまーに、こうやって数年に一度、声を聞くだけで、互いの姿をもう20年以上見ていません。

 ケンちゃんは、R子ちゃんのご主人です。
 R子ちゃんは、先日僕が取材をして、新聞記事になった松の湯温泉「松渓館」の女将、小池すみ子さんのご主人といとこなのです。

 えっ、ややこしくて分からないって?
 では、もう一度、今度は逆に説明しますね。

 シンガーソングライターを夢見て上京した淳青年が19歳の頃、ライブハウスで同じように歌を歌っていた鳥取県出身のケンちゃんと出会いました。2人は良く酒を酌み交わし、夢を語り合って、同じステージにも一緒に立っていました。
 当時のケンちゃんの彼女(現・奥様)がR子ちゃんです。
 で、彼女は僕と同郷の群馬県でした。それも吾妻郡小野上村(現・東吾妻町)です。

 だから、拙著 『ぐんまの源泉一軒宿』 にも書いたように、僕は25年前、当時の新妻(今はかなり古くなりました)を連れて、里帰りをしていたケンちゃんとR子ちゃん夫妻に会うために松の湯温泉まで会いに行ったのです。
 (R子ちゃんが、いとこの旅館を予約してくれたのです)

 で、今回、新聞記事を送ってあげたのです。
 (現在、夫妻は埼玉県春日部市に住んでいます)

 「ジュンちゃんが記事を書いてくれたおかげで、すごく予約が入ったらしいよ」
 とは、嬉しいじゃありませんか。

 思えば、僕らが最後に会ったのは20代です。
 「でもジュンちゃんは、あの頃のままだね。変わってないよ、歳はとったけど(笑)」
 本も一緒に送ったので、プロフィール写真を見ての感想のようです。

 「えっ、まだ歌うたってるの?!」とケンちゃん。
 「もちろん、まだ夢が叶っていないんでね」と僕。
 「ジュンちゃんは、すごいね~」と彼。

 でもケンちゃんの方が、よっぽど夢を追いかけているんですよ。
 彼は今、東京赤坂で音楽製作会社の社長さんをしています。
 選曲家という道を歩み、映画やテレビドラマに流れる曲を選ぶ仕事をしています。
 時々、番組の終わりに流れるテロップに、彼の名前を見つけます。

 「会いたいね」
 「会いたいな」
 そう言って、なんだかんだと20年以上の月日が経ってしまいました。

 「じぁ、松の湯温泉で!」
 「そうしょう!」

 今年の夏、旧友と再会したいと思います。
 手土産は、もちろん、“夢のつづき” です。
   


Posted by 小暮 淳 at 21:17Comments(4)つれづれ

2011年03月12日

大胡温泉ふたたび


 地震により被災された方々へお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。



 昨日、地震の発生時、僕は大胡温泉にいました。

 ひとしきり女将さんとお茶しながら話し込んだあと、「お風呂入って行きなさいよ」という女将さんに対して「今日は、この後がありますから、そろそろ行ってみます」と告げ広間を出て、玄関先で従業員さんたちにあいさつを交わした瞬間でした。

 グラッ、グラッ… … ググググーラ~~~

 「とりあえず、外へ出ましょう!」
 僕のひと言で、全員が駐車場へ飛び出しました。

 とっさのことなので、何がなんだかわかりません。
 分かっていることは、「地震だ」ということと、「それも体験したこともない大きな地震だ」ということだけです。
 駐車場の真ん中にかたまって、揺れが治まるのを待ちました。

 桜や松の木がユッサユッサと揺れ、ガレージのトタン屋根がガリガリと音を立てています。
 駐車中の車はグラグラと左右に波打って動き出し、「これは、ただ事ではないぞ!」と怖気ふるえました。

 「テレビのニュース!」そう言って、揺れが治まると同時に、女将の息子さんが旅館の中へ入って行きましたが、すぐに戻ってきました。
 「ダメです。停電してます」

 余震が起こるたびに、女将と女性従業員が悲鳴を上げて、立ちすくんでいます。
 「長いこと生きているけど、こんな大きな地震は初めてだよ」と女将。

 しばらくすると、息子さんが車を取りに行って、駐車場へまわしました。
 「寒いから、みんな 車の中へ! テレビが映りますから」と、全員を呼び入れました。

 前橋市 震度5弱、桐生市 震度5強 ……

 震源地は宮城県の沖合い ……

 「えええー、じぁあ、東北はどーなっちゃってるんだろう?」

 30分ほどして、旅館の中へ戻りました。
 「一生忘れられない日になってしまいましたね」と女将。
 「余震には十分気をつけてくださいね。では、また来ますから」
 と別れを告げ、大胡温泉をあとにしました。

 予定していた用事は、すべて返上して、前橋市街地の自宅へ向かいましたが、道路は渋滞です。
 信号機はすべて消えています。
 コンビニの電気も消えています。
 「大変なことになった。群馬でこれなら東北はどうなっているんだ……」

 不安の中で、無事帰宅。
 案の定、我が家の中で、僕の仕事場だけが大惨事と化していました。
 本とCDが散乱して、足の踏み場もないほどです。

 すぐに家族や実家に連絡を取り、全員の無事を確認してから仕事場の片付けをしました。


 読者のみなさん、温泉地のみなさん、大丈夫でしたか?

 “天災は忘れた頃にやってくる”
 まさに、この言葉を噛みしめました。
   


Posted by 小暮 淳 at 10:40Comments(2)つれづれ

2011年03月10日

写メールコンテスト開催

 ただいま、帰ってまえりました!
 四万温泉は、今日も寒かったな~。

 ということで、毎週のように通っている四万温泉ですが、今日はいつものカメラマン氏とではありません。
 ちいきしんぶん(ライフケア群栄)の編集担当者のYさんとであります。
 あっ、そーか。Yさんは僕の拙著 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 の全写真を撮ってくれたカメラマンですから、匿名でなくてもいいんですね。
 はい、吉田勝紀さんです。

 ということは、いつもの取材ではありません。
 ちいきしんぶんのイベントシリーズ 『四万温泉 写メールコンテスト』、略して「四万写メコン」の企画会議に出席するために行って来たのであります。

 「四万写メコン」とは、2008年からスタートしたイベントで、今回で3回目。
 ちいきしんぶんと四万温泉協会によるタイアップ企画であります。
 期間中に四万温泉に訪れて、気に入った景色、風景、光景を写真に撮り、その場でケータイメールにて応募すると、グランプリ作品には温泉宿の宿泊券がプレゼントちれちゃうという、なんとも画期的なイベントなのであります。
 で、僕はその第1回から記事の執筆と審査員をしています。

 四万温泉に着いたのは昼。
 温泉街を見下ろす高台に建つ、そば屋「なが井」にて、昼食をとりつつ、吉田氏とタイトルコピーなどを打ち合わせ。
 午後は少しロケハン(ロケーションハンティング)をしようと、日向見薬師や御夢想の湯(共同湯)のある日向見地区へ足を運んではみたのですが、寒い! それも半端ない寒さで、即刻退散しました。

 「ねぇ、小暮さ~ん。温泉入りながら、企画を練りませんか~?」
 「さんせーい!」

 ということで、温泉口にある日帰り入浴施設「清流の湯」へ直行しました。
 実は、こんだけ四万温泉に通っていながら、恥ずかしながら僕は「清流の湯」に入るのが初めてなんですね。
 (本当は、ちっとも恥ずかしいなんて思っていませんけど)
 四万温泉には無料の共同湯もあるのですが、今日は、湯上りに資料を広げて打ち合わせをしたかったものですから、休憩室のある有料施設へ向かったのです。

 湯上りは、ビール!
 といきたいところなのですが、この後に大事な会議が控えています(ガマン、ガマン)。

 で、午後3時半より予定通り、四万温泉協会事務所の2階会議室にて、協会員さんたちと会議をスタート。
 3回目ということもあり、会議はトントントーンとスムーズに進み、あっという間に話はまとまり、「では、よろしくお願いしまーす!」と元気にあいさつをして、夕暮れの四万温泉を後にしたのでありました。


 読者のみなさーん、ぜひ、コンテストにご応募くださいね。
 四万温泉の無料宿泊券をゲットするチャンスですぞ!

 第3回 『四万温泉 写メールコンテスト』 は、2011年4月1日~5月31日までの2ヵ月間開催されます。
 詳しくは、4月1日発行の「ちいきしんぶん」紙上、または「グンブロ」にてチェックしてください。
   


Posted by 小暮 淳 at 21:16Comments(3)執筆余談

2011年03月09日

ふたりの女将

 今日は朝から、よく電話が鳴ります。

 朝日新聞に隔週連載している『湯守の女房』の掲載日ということもあり、記事関係の電話がほとんどですが…


 「もう、起きていらしてましたか?」
 と、こちらの気をつかってかけて来られたのは、本日掲載記事の主人公、松の湯温泉「松渓館」の女将、小池すみ子さんでした。
 「ええ、もう10時ですから、とっくに起きてましたよ」
 (ウソウソ、起きたばっかです。それでも今日は早いほうで。ふだんは平気で昼近くまで寝ていますから)
 「朝日新聞の方にお聞きしたら、『もう起きているでしょう』と言われたものですから、ご迷惑と思いながらお電話をさしあげました」と女将。
 どーも業界では、僕は朝寝をしているイメージが強いようです(群馬の小原庄助さんですから!)

 女将いわく「新聞にあんなに大きく写真が出るなんて、一般の人は悪いことでもしない限り、載らないですものねぇ」
 と言いつつ、大変喜んでくださいました。
 なんでも、今日は朝から電話がたくさん来たとか。町長さんからもあったそうです。
 良かったですね、女将さん。

 で、こんなことも言ってましたよ。
 「小暮さんのブログを読んだという常連のお客さんから数日前に、『近々、新聞に載りますね』 という電話も来ました」とさ。
 へぇー、温泉好きは、このブログをチェックしているんですかねぇ~。

 ブログを読んでいる、といえば、先週取材した大胡温泉「三山の湯 旅館 三山センター」の女将、中上ハツ枝さんからも電話がありました。
 「小暮さんが取材に来てくれた日から、なんだか初めてのお客さんが増えたのよ。なんでもブログとかに、うちのこと書いてくれたの? 『小暮先生のファンです』 っていう若い女性もいたわよ。まだ新聞記事にはなってないわよね?」
 ほほー、殊勝なお方がいたもので。誠に恐縮であります。
 はい、原稿は今日書いて送ったばかりです。大胡温泉の記事は、3月23日の朝日新聞に掲載されます。

 と、いうことで、このブログを読んでいる温泉ファンが、僕の取材先へ出没しているようであります。
 嬉しいですなぁ~!
 みなさーん、いつかバッタリお会いしたら、「ブログ読んでます」って声をかけてくださいねぇ。


 ちなみに明日は、昼前から四万温泉を徘徊しております。
    


Posted by 小暮 淳 at 17:42Comments(3)執筆余談