2023年07月31日
スマホ断ちのすすめ
以前、“スマホ断ち” をした男性の話を書いたところ、反響をいただいたことがありました。
(当ブログの2019年12月16日 「さよなら時間泥棒」 参照)
あれから3年半……
スマホ依存症に悩む人たちは、増え続けています。
この現象について、こう警鐘を鳴らす人がいます。
<現代社会でもっとも大きな問題の一つかもしれません。>
作家の高橋源一郎さんです。
高橋さんは、毎日新聞紙上で 「人生相談」 の回答者をしています。
50代の女性から、こんな相談が寄せられていました。
<高1の娘は休日、朝から晩までソファに寝転がってスマホを見ています。平日は帰宅したらずっとスマホです。動画を見ていることが多く、スマホ依存がひどいと感じます。(中略) スマホを取り上げるのは現実的ではないので、お力をお借りしたいです。>
高橋さん自身は、スマホを持っていません。
その理由について、こう述べています。
<便利なことは知っています。それが恐ろしいのです。>
僕も、まったく同意見です。
さらに、こう続けます。
<「スマホ」 は全知全能の神のようです。スイッチを入れれば、知識も情報も無限に引き出すことができる。いつでも、誰とでも 「つながる」 ことができる。社会は 「スマホ」 の依存を前提にして設計されようとしています。>
この文章を読んで、鳥肌が立ちました。
あえて “スマホ” や “つながる” に 「」 を付けているところに、作家のスマホへの恐怖心が強調されているように思われます。
そして作家は、
<実際、わたしも 「スマホ」 がないために不自由な目にあうこともあるのです。>
と前置きした上で、スマホを持たない理由として、さらに警告を鳴らします。
<けれども、その圧倒的な利便性の故にこそ、わたしたちは多くのものを失いつつあります。気が付かぬうちに。>
世の中が便利になることは、良いことです。
昭和の時代から僕も、便利になる世の中を見てきました。
新幹線が走り、電話やファックスやパソコンが普及すると、大幅に時間が短縮されました。
冷蔵庫や洗濯機や電子レンジが家庭に登場すれば、家事の負担が軽減されました。
それらにより “時間” と “余裕” が生み出され、私たちはより “豊かな生活” を手に入れました。
でも……
スマホは、今までの “便利” とは質が異なるようです。
逆に人々から、“時間” を奪ってしまっています。
時間泥棒です。
最後、作家は相談者に、こうコメントしています。
<「スマホ」 の中にあるのは、小さくゆがんだ、世界の一部にすぎない。世界はもっとずっと豊かで広い。そのことを彼らに伝えねばなりません。>
今年、僕は携帯電話を買い換えました。
4Gになっても、やはりスマホにする勇気はありませんでした。
相変わらず、二つ折りのガラケーを使っています。
2023年07月30日
3つ言えますか?
友人3人との雑談中。
なぜか、“大仏” の話になりました。
「日本三大大仏って知ってる?」
ちょっぴり物知り顔で、僕がうんちくをひけらかしました。
「奈良の大仏と鎌倉の大仏以外にあるの?」
と、みなさん知らなかったようなので、教えてあげました。
正解は、東大寺の大仏(奈良県) と鎌倉大仏(神奈川県) と、もう1つは高岡大仏(富山県) です。
僕は3つ全部行ったことがありますが、3人は高岡大仏の存在すら知りませんでした。
ちなみに大仏とは、像の高さが丈六(1丈6尺のこと。約4・8m) を超える仏像を指します。
「東大寺の大仏」 14・85m、「鎌倉大仏」 11・35m、「高岡大仏」 約8mですが、日本一大きい大仏(座像)は千葉県鋸南町にある日本寺の大仏 (31・05m) だそうです。
えっ?
なんで、そんなに詳しいのかって?
はい、実は僕、“日本三大フェチ” なのであります。
バイブルは、『あなたは3つ言えますか? 「日本三大」 雑学236』(幻冬舎文庫) であります。
ということで、ここからは群馬県の 「日本三大○○」 をご紹介します。
「日本三大名ねぎ」
岩津ねぎ (兵庫県) 博多万能ねぎ (福岡県) 下仁田ねぎ (群馬県)
「日本三大うどん」
讃岐うどん (香川県) 稲庭うどん (秋田県) 水沢うどん (群馬県)
「日本三大駅弁」
いかめし (北海道) 鱒の寿司 (富山県) 峠の釜飯 (群馬県)
「日本三大奇勝」
寒霞渓 (香川県) 耶馬渓 (大分県) 妙義山 (群馬県)
あなたは、いくつ知っていましたか?
ついでなので、群馬の温泉も紹介いたします。
「日本三大名泉」
下呂温泉 (岐阜県) 有馬温泉 (兵庫県) 草津温泉 (群馬県)
「日本三大名湯」
有馬温泉 (兵庫県) 道後温泉 (愛媛県) 草津温泉 (群馬県)
「日本三大薬湯」
有馬温泉 (兵庫県) 松之山温泉 (新潟県) 草津温泉 (群馬県)
「日本三大美人の湯」
龍神温泉 (和歌山県) 湯の川温泉 (島根県) 川中温泉 (群馬県)
さすが天下の草津温泉ですね。
三大タイトルを独占しています。
ちなみに 「日本三大美人の湯」 は、川中温泉の下流にある松の湯温泉(東吾妻町) も含み、「四大美人の湯」 とする説もあります。
まだまだ、ありそうですね。
興味がある方は、ぜひ、調べてみてください。
2023年07月29日
称賛の言葉が底をつきました!
「打った」 と言えば、少し前ならワクチンのことでした。
でも今、「打った」 と言えば、それは、もうオオタニサンに決まっています。
さる場所で、若い男性と中年女性が立ち話をしていました。
「俺の妹をもらってくれねぇかな」
「何言ってるのよ、うちの娘よ。そのためなら私は、一緒にアメリカまで行くわよ」
何のことかと思えば、大谷翔平の嫁さん候補の話でした。
あまりに突拍子もない妄想話に、盗み聞きをしていた僕は、クスリと笑ってしまいました。
でもさ、この人たちは、大谷翔平の年収87億円という金が目当てなだけですよね?
野球とは関係ないところで話題になるところが、スパースターがスパースターであるゆえんなのですね。
それにしても快進撃が止まりません。
昨日、タイガースとのダブルヘッダー第1試合に先発して、メジャー初完封を飾っと思ったら、第2試合では2打席連続の37号と38号のホームランを打ちました。
その時の米アナウンサーの実況が、あまりにも印象的でした。
「称賛の言葉が底をつきました!」
人は、想像を超えた偉業を目の当たりにすると、言葉を失うのですね。
と思ったら一夜明けた今日、またまたまた打ってました!
3打席連続の39号ホームランです。
なんですか、これ?
“言葉が底を尽きた” アナウンサーは、なんと実況したんでしょうね?
世の中には、秀才といわれる人や天才といわれる人はいますが、すでに大谷翔平は、そのくくりには収まらないようです。
やはり世間が言うように、彼は宇宙人以外の何物でもありません。
日本中で、いや、世界中が宇宙人にあこがれ、宇宙人のお嫁さんになりたいと思っているのですね。
これからも地球外生物の活躍から目が離せません。
2023年07月28日
博士の庭
もうかれこれ40年以上も昔のことです。
僕は東京都練馬区に住んでいました。
最寄りの駅は、西武池袋線 「大泉学園」。
ある日のこと、駅のホームでバッタリと故郷・群馬の友人と会いました。
高校時代、学校も学年も違うのに、知り合いを通して遊んでいた仲間でした。
「こんな偶然って、あるのだろうか?」
彼もまた、大泉学園に住んでいたのです。
当時、僕は書店でアルバイトをしながら、ミュージシャンを夢見てライブ活動をしていました。
彼もまた、アルバイトをしながら夜間の専門学校に通う苦学生でした。
その日以来、2人は互いのアパートを行き来するようになり、友情を深めていきました。
2人の共通の趣味は、文学。
会えば、酒を呑みながら読書の話で盛り上がりました。
ある日のこと、彼が大学ノートを差し出しました。
「ジュンちゃん、交換小説を書こう!」
「交換小説?」
「そう、面白いと思わない?」
恋人同士の交換日記みたいで照れ臭かったのですが、これが始めると面白い。
テーマと登場人物の設定だけ決め、あとは自分の好きなように自由に書いて、切りのいいところで相手に渡すのです。
「次は、どんな展開になるのだろうか?」
と、彼から返ってくる大学ノートを開くのが楽しみになりました。
成人した男同士です。
駅のホームや電車の中でノートを手渡すわけにはいきません。
ので、書き上げたら互いのアパートを訪ねることにしました。
僕は駅の北口に住んでいましたが、彼は南口です。
今のように携帯電話などない時代のこと。
連絡を取ることもなく、自分の担当分の章を書き上げると、大学ノートを抱えて約30分の道を歩きました。
運よく彼が居ることもあれば、不在の時もあります。
不在の時は、近くで時間をつぶしてから再度、訪ねることにしていました。
その時間つぶしの場所が、植物学者・牧野富太郎博士の庭でした。
「練馬区立牧野記念庭園」
博士が死去した翌年の昭和33(1958)年から開放されている住居跡地です。
庭園を歩き、博士ゆかりの品々が展示してある部屋を見て、時間をつぶした記憶があります。
あの頃も入園無料でしたが、ネットで調べてみたら今でも無料なのですね。
牧野博士がNHK連続テレビ小説のモデルとなり、今話題になっています。
博士の名前を聞くたびに僕は、あの頃の大泉学園の街がよみがえってきます。
同時に、大学ノートに書いたつたない小説までもが……
あの大学ノートは、今どこにあるのでしょうか?
今度、彼に会ったら聞いてみたいと思います。
若いって、無駄が多くて、いいですね。
2023年07月27日
僕はどう生きてきたか
人生100年時代、といわれます。
「そんなには生きられないよ」 と思いつつも、現実味を帯びてきました。
だって、僕の両親も90歳以上生きましたもの。
下手すると僕は、それ以上生きてしまうかもしれません。
思えば、すでに長い長い人生の3分の2を生きてしまいました。
還暦を過ぎたあたりからでしょうか、無性に人生を振り返るクセがつきました。
今までの人生は間違っていなかったのか?
このままで良いのか?
まだ出来ることはあるのか……と。
最近、富に思い出す言葉があります。
それは10代の頃、オヤジに口酸っぱく言われた言葉です。
「人生は何をするかではなく、どう生きるかだ」
僕が、この言葉の重さを知るのは、もっともっと先のことです。
若き僕は、夢を追いかけることに懸命で、“何かを残す” ことだけに気を取られていました。
これは後から知ったことですが、オヤジのこの言葉は、思想家・内村鑑三の受け売りだったんですね。
『人生、何を成したかより、どう生きるか』 という著書がありました。
そして、この言葉の意味を還暦過ぎた今、つくづく噛みしめています
たとえ、お金を残しても有効に使われなければ、何の意味もありません。
絵画や書物や音楽も同じことです。
作ることに意味があるのではなく、そこに作者の生きる姿勢があるからこそ、人々に感動を与えるのだと思います。
人生の残り3分の1を、どう生きるか?
目下の僕の課題であります。
ということで、オヤジの言葉とタイトルが似ているというだけで、宮崎駿監督の最新作 『君たちはどう生きるか』 を観てきました。
まだ観てない人もいるでしょうから、ここでは内容については触れません。
感想だけを述べさせていただきます。
ひと言、賛否両論に分かれる映画だと思います。
ジブリファンと、そうでない人で見方が変わると思いました。
僕は、そうでない人なので、ちょっぴり難解でした。
ファンタジーではなく、もう少し説教くさい哲学的なものを期待していたようです。
でも、いくつか腑に落ちない箇所がありましたので、もう一度、観てみたいと思います。
宮崎監督、これが最後だなんて言わないで、死ぬまで映画を作り続けてくださいな!
2023年07月26日
河童は忘れた頃にやって来る
<「ありがとうございやした」 と返してもらった腕を抱えたカッパは、飛び上がりながら川へと帰って行ったが、クルリと振り向くと大きな声で、こう言った。「けど、7年に1度は出てやるぞ!」。>
(『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』 より)
夏休みになり、海や川での水難事故が増えています。
先週、福岡県では痛ましい事故が起きてしまいました。
≪小6女児3人溺れ死亡≫
≪夏休み初日、普段着姿≫
県警や女児らが通う小学校によると、夏休みの初日の21日正午過ぎ、死亡した3人を含む女児7人と男児1人の6年生計8人で川に向かったといいます。
前日の終業式では校長先生が、「子どもだけで川に行かないように」 と呼びかけていました。
テレビの報道番組では識者が、「支流と本流の合流地点では川底がV字にえぐれ水深が増す」 とか、「この時期は農業用水確保のために川を堰き止めるため水かさが増す」 など、川の危険性を説いていましたが、子どもたちは知る由もありません。
遊びに夢中になるがあまり、深みへとはまっていったのでしょう。
もしくは……
最近は見かけなくなりましたが、僕が子どもの頃には、川や沼や池の周りには必ず、こんな看板が立ってました。
『およぐな! きけん』
そして、カッパの絵が描かれていました。
その意味は?
水の中には、魔物が棲んでいるからです。
その魔物は、ふだんはおとなしいのですが、ある日突然、牙をむきます。
それは、7年に1度のこと。
“7年” とは、人間の記憶が消えかかるころ。
忘れた頃に魔物は、人間への戒めのために現れます。
僕が取材した県内の河童伝説が残る川では、今でも水難事故が起こると 「今年は7年目に違いない」 と言って、子どもたちには川遊びをさせないといいます。
暑い夏が続きます。
水の中には魔物がいることを、お忘れなく!
2023年07月25日
妖精のいる夏
またまたまたまた、妖精を見ました。
これで、5回目になります。
最初に見たのは15年ほど前の冬の夜。
自転車を漕いでいたところ、頭上を光の帯が飛んで行きました。
2回目は夏、我が家の庭でした。
3回目は春、我が家2階の仕事場の窓から。
4回目は初夏、雨の夜に仕事場の窓からでした。
過去4回の目撃談は、当ブログの下記の日付から閲覧することができます。
① 2010年11月16日 「妖精目撃」
② 2018年8月15日 「妖精ふたたび」
③ 2021年4月23日 「三度目の妖精」
④ 2021年5月21日 「妖精多発地帯」
ここで読者には、お断りしておかねばならないことがあります。
それは、“妖精” の解釈です。
僕が目撃したのは、一般に伝わる羽を持った小さな女の子ではありません。
たぶん、昆虫です。
大きさは、カナブン~カブトムシくらい。
飛翔しながら尻 (後方より) 光の筋 (ロケット花火の火花のような) を噴射しています。
ただ目撃の季節は、まちまちです。
また天候も関係ありません。
はたして、そんな昆虫が日本に存在するのでしょうか?
5回目の目撃は、昨晩の午後9時頃でした。
スーパーの帰り道、僕は自転車を漕いでいました。
(1回目の目撃時と条件は似ていますが季節が違います)
我が家から300メートルほど西にある中学校の跡地前を通過中でした。
突然、「シュ―――――ッ」 という音がして、頭上を見上げると、またしても妖精が火の粉を散らしながら飛んでいました。
「あっ、また出た!」
と思った瞬間、妖精は驚くべき行動に出ました。
突然、方向を変えたのです。
しかも、かなりのスピードでヘアピンカーブのようなUターンをしました。
光の帯も、ハッキリとUの字を描くのが見えました。
そして、次の瞬間、「パン」 と小さな音を立てて消えてしまいました。
1回目の目撃時、友人に話したところ “妖精” であることを知りました。
ただ本当の正体は、いまだに不明です。
図鑑やネットでも調べてみましたが、そんな生物は日本にも世界にも棲息していないようです。
読者のみなさんへ
同じ生物を目撃したことがあるという方は、ご一報ください。
また、正体を知っているという方は、個人的にお会いしたいと思います。
2023年07月24日
1年1組のジジイたち
開演15分前。
ホールに入り、会場を見渡すと、すでに、かなりの座席が埋まっていました。
「えーと、どのあたりにしようかな……、空いている席は……」
気のせいでしょうか?
中段、やや左側の席に並んで座っている3人の客が、こちらに向かって手を振っています。
目を凝らしてみれば、3人は男性で、しかも全員高齢者です。
「いや、俺に対して振っているんじゃないな。だって、この土地に知り合いなんていないもの」
と無視しながら、通路を上り出しました。
チラリと先ほどの3人組に目をやると、まだ手を振っています。
しかも3人の視線は、完全に僕に向けられています
「えっ、誰?」
でも……
「あれ? 見覚えがあるぞ! その顔……、えーと、えーと、そうだ、MとKとAじゃねーか!! なんで、ここに居るんだよ? あ、そうか、僕らは全員、同級生じゃないか~!!」
先週末、僕は茨城県土浦市へ行ってきました。
高校の同級生で、現在は土浦市在住の紙芝居師・石原之壽(いしはらのことぶき)君が主催する演劇の公演を観るために、わざわざ群馬からやって来たのです。
(当ブログの2023年7月18日 「ヒロシマ」 参照)
「おー! ジューン! 久しぶり」
「ジュンも来ると思ったよ」
「なに? ジュンは作家先生になったんだと!」
各々が、声をかけてくれました。
それにしても、3人が3人とも、見事にハゲ散らかしています。
それでも同級生だと分かったのは、目と鼻と口の位置と形が変わってなかったからなんでしょうな。
「どこのジジイたちかと思ったよ」
と僕が言うと、Aが応えました。
「1年1組のジジイたちだよ」
1年1組?
そうなのか……。
僕には自分が何組だったかなんていう記憶はありませんでした。
しかも3年ではなく、1年の時の同級生だったんだ。
そうだ、そうだ、2年からは文系と理系に分かれてしまったんだね。
「石原さ、頑張り過ぎだよな」
「定年過ぎたんだから、もっとゆっくり生きればいいのに」
「体壊すんじゃないかって、心配だよ」
3人が言いました。
「いいんだよ、ヤツは今が一番人生で輝いているんだから」
と、現在、一緒に街頭紙芝居の活動をしている僕は、言葉を返しました。
でもさ、同級生って、いいよね。
こうやって遠路はるばる昔の仲間のために、駆けつけて来るんだもの。
これって、友情なのかな?
ま、理由なんて、なんでもいいさ。
なんだかんだ、彼らをジジイ呼ばわりしたけど、僕だって、正真正銘の全白髪のジジイだ。
そして、5人揃って今年からは、前期高齢者の仲間入り。
これからも、よろしくな!
1年1組のジジイたちよ!
2023年07月23日
紙芝居画展 開催決定!
読者から、こんなメールが届きました。
<先日、伺った際にイラストレーターの栗原様がいらしていて、いつも 『民話と伝説の舞台』 をバッグに入れて持ち歩いているので、そちらにサインをいただきました。(握手もしてもらいましよ~)>
読者が “伺った” というのは、毎月、伊勢崎市で開催している 「神社かみしばい」 の会場のことです。
そして “栗原様” とは、長年、僕の著書の装丁を担当しているデザイナー兼イラストレーターの栗原俊文氏のことです。
拙著 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) では、魑魅魍魎の妖怪変化の表紙画を描いてくれました。
その画力は、つとに折り紙付きで、本の発売と同時に話題となり、前橋・高崎の両都市で 「表紙画展」 の巡回展が開催されたほどでした。
そんな栗原氏と僕は今年、新たな仕事でタッグを組みました。
紙芝居の制作です。
僕が脚本した物語に、彼が作画をしてくれました。
地元の民話を題材にした 『五料のカッパと妙義のカッパ』 であります。
その完成披露口演が先週、開催されました。
読者は、僕が不在だった会場で、たまたま居合わせた栗原氏に出会ったようであります。
彼は、サインだけでなく、握手も求められたのですね!
人気のほどが知れます。
そんな彼が描き出す、独特の画風が、またまた話題を呼んでいます。
紙芝居 『五料のカッパと妙義のカッパ』 の舞台である群馬県佐波郡玉村町では、教育委員会が動き出しました。
さらに先日の玉村八幡宮での完成披露口演には、町長と副町長までが会場に足を運んでくださいました。
ということで、なななんと!
玉村町内で、この紙芝居の展示会を開催していただけることになりました。
しかも!
2会場でのリレー開催というから驚きです。
今年9月の開催予定ですが、期間の日時等は現在、調整中です。
決まり次第、追って報告いたします。
お楽しみに!
2023年07月21日
『ぐんま温泉かるた』 制作中!
「く」 群馬は湯の国 温泉パラダイス
これはメインの札です。
「ひ」 東の横綱 天下の草津
「き」 金銀名湯 伊香保温泉
「よ」 4万の病を癒やす 四万温泉
「み」 みなかみ湯の町 18湯
これらは四大温泉地の札です。
NPO法人 「湯治乃邑(くに)」 では、現在 『ぐんま温泉かるた』 を制作中です。
読み札と絵札の数は、ともに44枚。
「いろはかるた」 ですから 「い」 から始まり 「す」 で終わります。
札には、群馬県内の70カ所以上の温泉地が読み込まれています。
「えっ、札の数が44枚しかないのに?」
と思われましたか?
そこが、構想7年の苦心の末にたどり着いた技なのであります。
たとえば、温泉郷や国民保養温泉地などは、1枚の札で数カ所の温泉地名を読み込むことができました。
また泉質が似かよった温泉地なども、ひとくくりにすることで複数の温泉地を紹介することができました。
現在、当法人では作画の作業に入っています。
原画を依頼したイラストレーターと共に、綿密な打ち合わせをしながら44枚の絵札を制作しています。
進捗状況は、逐一報告させていただきます。
今後ともご支援のほど、よろしくお願いいたします。
NPO法人 「湯治乃邑」 代表理事 小暮 淳
2023年07月19日
温泉サミットのオフ会 in 幡谷温泉
【幡谷温泉 ささの湯】
泉質は無色透明のアルカリ性単純温泉。トロンとした肌に張り付くような浴感は、実に滑らかだ。それだけで美肌効果があることがわかる。何よりも浴槽の縁全体からザバザバと滝のようにあふれ出ている湯量に驚かされる。毎分約260リットルという豊富な湯を、たった一軒で使い切っているとは、なんと贅沢なことだろう。
(『尾瀬の里湯』 より)
2020年より開催している 「群馬温泉暖議(サミット)」。
僕は毎年、講師として参加しています。
が、そんなに堅苦しくなく、もっとラフに集まり、大好きな温泉の話をしながら一晩中、酒を呑みたい!という意見が多く、公式のサミットと別に “オフ会” も開いています。
昨年の5月に幡谷温泉(群馬県片品村) の 「ささの湯」 で第1回を開催したところ大変好評だったため、今年も開催されることになりました。
イベント内容は?
●温泉マニア・温泉好き・温泉に興味のある方なら誰でも参加OK!
●温泉についての質問や自慢の温泉話を紹介し合いましょう!
●「ささの湯」 の美味しい料理と地酒に酔いしれましょう!
※日帰りの方は、通常料金で会場を利用できます。
※当日は全館貸切となります。
僕も参加しますが、今回は講師ではなく一般参加となります。
気軽に呑み明かしましょう!
温泉サミットのオフ会 in 幡谷温泉
第2回 「温泉大好き集まれ!」
日時/2023年8月26日(土) 午後~27(日) 午前 ※昼食はありません。
会場/幡谷温泉 「ささの湯」 群馬県利根郡片品村幡谷535
定員/先着25名
会費/10,000円 (1泊2食)
締切/2023年8月15日(火)
申込/幡谷温泉 「ささの湯」 TEL.0278-58-3630 (荒井)
群馬温泉サミット事務局 TEL.080-1023-9558 (関口)
2023年07月18日
ヒロシマ
熱中症警戒アラートが発令された連休に開催された 「神社かみしばい」(伊勢崎神社) と 「玉村かみしばい」(玉村八幡宮)。
猛暑の中にも関わらず、予想をはるかに超える大勢の人たちが会場に足を運んでくださいました。
心より御礼申し上げます。
僕は3年前から友人の紙芝居師・石原之壽(いしはらのことぶき)君の活動のお手伝いをしています。
主に地元の民話を題材にした 「ご当地紙芝居」 の制作を担当し、運営スタッフとしても動いています。
彼は、高校の同級生です。
卒業後、僕は東京へ、彼は神奈川で暮らしていましたが、ときどきは会っていました。
その後、僕は群馬にUターンし、彼は営業マンとして全国を転々としました。
再会したのは40代半ばでした。
彼が病を発し、一時、家族と離れて群馬の実家に戻って来たからでした。
「チンドン屋になりたい」
その時、そう告げられました。
そして彼は60歳で定年退職を迎えると、居住地である茨城県土浦市で 「壽(ことぶき)ちんどん宣伝社」 を立ち上げ、本当にプロのチンドン屋として活動を始めたのでした。
同時に街頭紙芝居の口演もスタートしました。
「ジュン、群馬でも口演がしたい。ついては地元のご当地紙芝居を作りたい」
そう相談を受けたのが、2020年夏のことでした。
一方、彼は地元・土浦市でも独自の街おこし活動を開始しました。
市民団体 「つちうら駄菓子屋楽校」 を立ち上げ、代表を務めています。
家族向けの催し 「子ども広場」 の開催や、土浦ゆかりの花火やカレーを題材にした創作紙芝居などを披露しています。
そんな彼が、3年前から心血を注いでいる活動があります。
それは、今を生きる子どもたちのための平和活動です。
<2019年、チンドン屋の先輩でもある俳優・演出家の嶋崎靖さん(67)に、「ヒロシマ」 の上演を手伝ってほしいと頼まれ、東京で初めて公演を見た。>
<「ヒロシマ」 は嶋崎さんの作・演出による約70分の劇。原爆に遭いながら今も広島の街を走る路面電車を擬人化したおばちゃんを主人公に、被爆直後の惨状などを描く。>
(2023年7月2日 朝日新聞茨城版より)
この記事の中で彼は、こう語っています。
「出征した男子に代わり女学生が電車を運行していたことや、原爆の悲惨さにドーンと衝撃を受けた。ぜひ土浦でも見てもらいたいと思った」
今年も今週末、開催いたします。
平和の意味を考える、いい機会になればと思います。
ぜひ、ご観覧ください。
音楽劇 「ヒロシマ」
日時/2023年7月22日(土) 14時~、17時~
会場/土浦市県南生涯学習センター 多目的ホール
料金/大人1,500円 大学生以下無料
問合・予約/つちうら駄菓子屋楽校 TEL.090-8109-0480 (石原)
2023年07月15日
『さよならの夏』 が聴こえる②
♪ 光る海に かすむ船は
さよならの汽笛 のこします
ゆるい坂を 下りてゆけば
夏色の風に 逢えるかしら ♪
誰にでも1曲や2曲、そのメロディーを聴いただけで胸が締め付けられ、目頭が熱くなる歌というものがあるものです。
古い読者ならば、覚えている人もいるかもしれませんね。
12年前の夏、やはり同じタイトルのブログを書いたことがありました。
(当ブログの2011年7月28日 「『さよならの夏』 が聴こえる」 参照)
その年は、アニメ映画 『コクリコ坂から』 が公開された年でした。
そして、その映画の主題歌が 『さよならの夏』 でした。
昭和51(1976)年に、森山良子さんが歌った名曲です。
翌52年、僕は夢を抱えて、花の都・東京へ出ました。
そこで出会った2人の女性。
J子ちゃんとKルちゃん。
ともに地方から上京してきた予備校生でした。
2人とも歌が好きで、週末になると僕のアパートに足しげく通っていました。
僕がギターを弾いて、彼女たちが美しいハーモニーを奏でます。
翌年、2人の大学合格を機に、本格的に音楽活動をスタートしました。
コーラスデュオ 「Hamo Hamo」 の誕生です。
僕は2人のプロデュースと、楽曲の提供をしました。
2人との出会いのきっかけが、『さよならの夏』 でした。
「歌のとっても上手い2人がいるから紹介したい」
と知人からデモテープを渡されました。
♪ 光る海に かすむ船は
さよならの汽笛 のこします
ゆるい坂を 下りてゆけば
夏色の風に 逢えるかしら ♪
声とハーモニーの美しさもさることながら、その旋律に魅了されてしまいました。
あれから47年……
昨晩、またテレビで 『さよならの夏』 を聴きました。
アニメ映画 『コクリコ坂から』 が放送されたのです。
何度も観て、物語は知っているはずなのに、やはりラストシーンでは涙がこぼれました。
「来るぞ、来るぞ……」
エンディングに近づくにつれ、僕は身構えます。
そして、あのメロディーが流れた途端、一瞬にして、“あの夏の日” がよみがえってきました。
暑い暑い夏の日。
大都会の真ん中のビルとビルに挟まれた小さなアパートの一室。
扇風機もない六畳一間の部屋で、汗だくになって練習した日々。
でも、僕らには夢がありました。
J子ちゃん、Kルちゃん、どこで何をしているのかな?
あの遠い夏の日を覚えていますか?
『さよならの夏』 を歌った夏を……
2023年07月13日
名物とヒーローが初対面!
♪ ハアー 背でころがす からっ風
焼きまんじゅうろう 旅すがた
あまから みそだれ 一刀流
ハアー 今宵 三日月 出てござる
悪を憎んで 手加減無用
あまから剣法 みそだれ返し
やんやん焼きまん まんじゅうろう
こげ目ほどほど 香ばしや
やんやん焼きまん まんじゅうろう
見た目べたつく 面(つら)がまえ
でも内はさっぱり 心意気 ♪
(『焼きまんじゅうろう旅すがた』 より)
生まれは関東、上州でやんす。
大利根の清き流れに産湯をつかい、からっ風に育てられ。
義理と人情のためならば、ガブッと焼きまんじゅうを頬張って。
悪を憎んで弱きを助け、西東。
姓は 「焼き」、名は 「まんじゅうろう」。
甘辛みそだれの股旅野郎とは、オイラのことよ!
いや~、いよいよ、オイラを主人公にした紙芝居と落語の共演日が近づいてきやした。
本邦初の試みでやんす。
オイラの生みの親は、前橋市在住の絵本作家・野村たかあき先生。
テーマソングを歌うのは、このブログの主人で温泉ライターの小暮淳氏ひきいる 「じゅん&クァ・パラダイス」 の面々。
今回、玉村八幡宮で上演される演目は、どちらも地元・玉村宿が舞台でやんす。
紙芝居は 『焼きまんじゅうろう旅すがた~宿場につめてぇ風が吹く』。
落語は、『焼きまんじゅうろう旅姿~玉村宿の決闘』。
江戸時代に日光例幣使街道が通り、諸国の旅人でにぎわった玉村宿 (現・玉村町)。
博打場をつくって、大儲けををしようとたくらむ 「どどめ一家」 の親分と用心棒たちを、オイラがバッタバッタと打ちのめす痛快喜劇でありやす。
で、「まんじゅうろう」 といえば、「焼きまんじゅう」 が付きもの。
ということで当日、会場には老舗焼きまんじゅう屋の 「忠治茶屋」(伊勢崎市) さんが、キッチンカーの出店をしてくださることになりやした!
ぜひ、上州名物を頬張りながら、上州のニューヒーローの活躍をご覧くだされ!
※当日は猛暑日予報のため、屋内開催となりました。
玉村ご当地物語
~すごいぞ! 紙芝居と落語~
●日時 2023年7月17日(月・海の日)
紙芝居/10時、11時、13時、14時
落語/11時30分、13時30分
●会場 玉村八幡宮 境内 (群馬県佐波郡玉村町下新田1)
●入場 投げ銭制 ※ペイペイ可
●問合 壽ちんどん宣伝社 TEL.090-8109-0480
≪紙芝居タイムテーブル≫
『五料のカッパと妙義のカッパ』 10時~ 14時~
『焼きまんじゅうろう旅すがた』 11時~ 13時~
※落語は2回上演とも 『焼きまんじゅうろう旅姿』 。
2023年07月12日
団扇の効用
「団扇」 と書いて、「うちわ」 と読みます。
その存在は知っていても令和の現在、家にはない人が多いのではないでしょうか?
エアコンに扇風機の暮らしに慣れてしまい、今では無用の長物になってしまいましたが、かつて昭和の時代は “夏の必需品” でした。
我が家には、あります。
それも何本も!
が、すべてプラスチック製です。
過去に祭りやイベントでもらった広告入りの販促品ばかりです。
その時は屋外で使ったのでしょうが、家に持ち帰った途端、やはり “無用の長物” になりました。
でも、僕は家以外の場所で、頻繁に使っています。
そこは、ご存知、我らのたまり場、酒処 「H」。
そう、昭和をこよなく愛するオジサマやオバサマが足しげく通うレトロな “居酒屋テーマパーク” であります。
店内は細長く、カウンターだけの8席のみ。
毎日が満員御礼で早い者勝ちですから、常連客らは連日の猛暑の中でも日中から通います。
僕も、その一人です。
で、この時期、カウンター席に腰かけると、まず最初に出てくるのが、冷たいおしぼりと団扇なのです。
それも、ちゃんと職人の手で造られた竹製の団扇です。
「わ~、気持ちいい~!」
と、まずは、おしぼりで顔と手を拭きます。
「とりあえず、ビールね!」
と告げると、客らは一斉に、パタパタと団扇をあおぎだします。
「今どき、団扇?」 って思いますか?
「エアコンは、ないの?」 って?
そこが、この店のいいところなんです。
そこそこ冷房は効いています。
が、涼しくはありません。
ギリギリ、汗が出ない程度の冷房です。
しかも、入口のドアは開いています。
全開です。
えっ、「もったいない」 って?
そこが、昭和をこよなく愛する人たちへのママの気の使いようなんですね。
時おり流れ込む天然の “風” を感じてほしいという、心憎いサービスなのです。
で、団扇が大活躍をするというわけです。
こっちでパタパタ、あっちでパタパタ、となりでパタパタ……
キーンと冷えたビールを呑みながら客たちは、もう片方の手で団扇をあおぎます。
そんな時、カウンターの中でママは何をしているのかといえば?
ゆ~っくり、ゆ~っくり、こちらに団扇を向けてあおいでいます。
“おくり風” であります。
昭和の時代、寝ている子どもや来客者に対して、母親やそのうちの奥様は団扇で、このやさしい風を送っていました。
“もてなしの心” なんですね。
愛情を感じます。
僕らはママから愛されているんだ!
そう思うと、ちょっぴり目頭が熱くなってきました。
「ジュンちゃん、どうしたの?」
「いや、いいなぁ~と思ってさ」
「何が?」
「ママのあおぐ団扇の風だよ」
「あら、そう?」
「うん、とっても懐かしいよ」
「うちは、昭和だからね」
そう言いながらママは、手を休めることなく、僕らに風を送り続けてくれました。
昭和って、いいな~!
2023年07月11日
第一の人生
テレビのドキュメンタリー番組で、51歳のキックボクサーがいることを知りました。
立嶋篤史さんです。
中学時代にキックボクシングを始め、1990年代前半に人気ボクサーとなりましたが、03年に交通事故に遭い重傷。
6年後の09年、39歳で復帰しました。
昭和~平成~令和の時代をまたいで、いまだに戦い続けている現役ボクサーの姿に胸が熱くなりました。
なぜ、キックボクシングを辞めないのか?
テレビでは、こんな彼に質問を投げかけていました。
「引退して、第二の人生は考えないのですか?」
すると彼は、静かに、こう言いました。
「まだ第一の人生が終わっていません」
“人生は一本の道である”
僕も、そう信じて生きてきました。
真面目に働き、定年退職を迎え、悠々自適に第二の人生を謳歌する人もいます。
それはそれで、素晴らしい生き方だと思います。
でも、彼の言葉を借りるなら、「第一の人生が終わらない人もいる」 ということです。
“己に決着をつける” 生き方も存在するということです。
では、その決着とは?
納得できているか、できていないか、だと思います。
僕は、できていません。
たから彼同様、僕もまだ “第一の人生” を歩んでいます。
覚えている読者もいるかもしれませんね。
僕は以前、還暦を迎えた年に、「人生は稲作に似ている」 と書きました。
土壌を耕した10代
種を蒔いた20代
苗床を育てた30代
田植えをした40代
やっと穂を付けた50代
そして60代は、いよいよ稲刈り、収穫の時を迎えます。
と……
人生は人それぞれです。
第三、第四の人生を歩んでいる人もいます。
でも僕は、彼の言葉に勇気をもらいました。
“第一の人生” が終わらないことの素晴らしさを。
さーて、今日も田んぼに出て、稲刈りに励みますか!
2023年07月10日
『夢十夜』 を占ってみました
僕は、夢を見るのが好きです。
人生の目標となる “夢” も好きですが、寝ているときに見る “夢” も好きです。
子どもの頃から朝目覚めたときに、見た夢を日記のように書き留めておくクセがあったくらいです。
だから大人になった今でも、僕は夢を記します。
このブログでも何度か紹介してきました。
摩訶不思議な夢は、僕に何を伝えようとしているのか?
それが知りたくて……
(当ブログのカテゴリー 「夢占い」 参照)
過日、そんな僕のブログを読んだ知人から、こんなメールが届きました。
「まるで夏目漱石の 『夢十夜』 のようですね」
ゆめじゅうや?
タイトルだけは知っていますが、恥ずかしながら僕は、まだ読んだことがありませんでした。
ということで、図書館で借りて来て、すぐに読みました。
『夢十夜』 は明治41(1908)年に新聞連載された短編集です。
そのとき、漱石は41歳。
<こんな夢を見た。>
という有名な冒頭から始まる10話の不思議な夢の話を描いています。
高校の教科書にも載った作品なので、覚えている人も多いと思います。
たとえば 「第一夜」 は、こんな話です。
<こんな夢を見た。腕組みをして枕元に座っていると、あおむきに寝た女が、静かな声でもう死にますという。>
こんな書き出しで始まります。
そして死ぬ間際の女は、「死んだら大きな真珠貝で穴を掘って埋めてください。そして墓の前で百年待っていてください。また会いに来ますから」 と自分に告げます。
女の墓の横で待ち始めた自分は、赤い日が東から昇り、西へ沈むのを何度も見るうちに、女に騙されたのではないかと疑い始めます。
苔の上に座り、丸い墓石を眺めていると、やがて石の下から青い茎が伸びてきて、一輪の真白な百合の花が咲きました。
自分は、白い花弁に接吻をします。
そして気づきます。
百年が過ぎていたことを……。
所詮、夢の話ですからね。
難解なのは仕方ありません。
僕の夢ですら不可解なのですから、文豪が見た夢は、さらに奇々怪々であります。
でもね、現代には 「夢占い」 という文明の利器があるのです。
ちょいっと、漱石さんの深層心理とやらを推測してみたいと思います。
まず、“真珠貝” ですが、これは恋愛運の上昇を意味します。
その真珠貝で墓穴を掘るのですから、愛情の深さを知ることができます。
次に、“墓石” が出てきます。
夢の中での死は再生を意味しますから、過去の悲しい思い出や失敗からの決別を表しています。
生まれ変わりを願っているようです。
最後に、真っ白な百合の花が咲きます。
百合の花言葉は、純潔や無垢、無邪気……。
夢占いでも、純粋、純潔、気高さや品性などの象徴です。
一見、難解な夢のようですが要約すると、愛する人の生まれ変わりを信じている一途な夢であることが分かります。
さすが文豪ですね。
奥深い夢であります。
2023年07月09日
7月はW紙芝居
日本の夏がやって来た!
夏と言えば、街頭紙芝居。
昭和レトロな日本の夏をお届けします。
しかも、今月は2会場で連日開催!
どちらも由緒ある神社境内での屋外口演!
ここでしか観覧できない、オリジナルのご当地紙芝居です。
そして、なんと玉村町では、本邦初 “紙芝居と落語” の夢の共演が実現!
江戸の玉村宿を舞台に、上州のニューヒーロー 「焼きまんじゅうろう」 が大活躍します。
また紙芝居では、いよいよ 『五料のカッパと妙義のカッパ』 の完結編を上演いたします。
乞う、ご期待!
ぜひ、お出かけください!
※小暮は16日・17日に在社いたします。
会場では著書の販売をいたします。
「神社かみしばい」 7月口演
●日時 2023年7月15日(土)、16日(日)
10時、11時、12時、13時
※屋外開催 (悪天候時は室内)
●会場 伊勢崎神社 境内 (群馬県伊勢崎市本町21-1)
●入場 投げ銭制 ※ペイペイ可
●問合 壽ちんどん宣伝社 TEL.090-8109-0480
玉村ご当地物語
~すごいぞ! 紙芝居と落語~
●日時 2023年7月17日(月・海の日)
紙芝居/10時、11時、13時、14時
落語/11時30分、13時30分
※屋外開催 (悪天候時は室内)
●会場 玉村八幡宮 境内 (群馬県佐波郡玉村町下新田1)
●入場 投げ銭制 ※ペイペイ可
●問合 壽ちんどん宣伝社 TEL.090-8109-0480
≪紙芝居タイムテーブル≫
『五料のカッパと妙義のカッパ』 10時~ 14時~
『焼きまんじゅうろう旅すがた』 11時~ 13時~
※落語は2回上演とも 『焼きまんじゅうろう旅姿~玉村宿の決闘』 です。
2023年07月08日
昭和のにぎわい
<中央通りは、今、久し振りに人の波が押し寄せて来ています>
いつもの店のいつものカウンターで、数名の常連客らと酒を呑み交わして時でした。
一本のメールが届きました。
送信主は、前橋市の中心商店街で店を商う友人でした。
「今日は、七夕まつりなんですね」
と僕が言えば、
「そうなのよ、珍しく人通りが絶えないのよ」
とママが応え、
「今さ、通り抜けてきたんだけど、まっさか(かなり)、すごい人だいね」
と常連が言葉を継ぎました。
夏の風物詩 「前橋七夕まつり」 は、昭和26(1951)年から開催されている北関東最大級を誇る祭りです。
でもね、娯楽の少なかった昭和の時代を知っている我々以上の世代からすると、平成以降の祭りは、年々、規模も小さくなり、人出も少ないように映っていたのであります。
それが皆が皆、口をそろえて 「すごい人」 と言うのだから、この目で確かめるしかありません。
「あれ、ジュンちゃん、もう帰るの?」
「ああ、ちょっくら、その “にぎわい” とやらを検証してこようと思ってね」
ママとの会話に、常連が口をはさみます。
「小暮さん、痴漢はするなよ」
「ちかん? なんだい、それ?」
「それくらい若い女の子が、いっぱいいるっていうこと。とにかく、すごい人だから」
そんなヤジに見送られて、僕は早々に店を出ました。
大通りを渡ると、すでにバリケードで規制線が張られ、警官が何人も立っていました。
「本当だ、なんだか物々しい警備だな」
と思って、一歩、中心商店街に足を踏み入れた途端、人、人、人、人……
「うそ!? なんだ、この光景は!?」
目の前は、まるで昭和40年代にタイムスリップしたかのような世界が広がっていました。
色とりどりの吹き流しや短冊が風になびいています。
射的や金魚すくい、たこ焼きに人形焼き……
屋台が軒を並べ、露店商らの声が響きわたっています。
「昭和だよ、昭和だ」
オヤジとオフクロとアニキと出かけた、遠い遠い夏の思い出がよみがえってきました。
あっという間に人波にのみ込まれ、思う方向にも歩けず、ただ流れに任すだけ。
家族連れもいますが、夜ということもあり、圧倒的に若者の姿が目立ちます。
浴衣姿の男女が仲睦まじく、かき氷を頬張ったり、紙コップの生ビールを呑んだり……
ああ、なつかしい。
まだ日本には、こんなにもノスタルジーな世界が残っていたんですね。
でも、令和ならではの光景もあります。
それは、外国人の多さ。
留学生なのでしょうか?
慣れない浴衣を着て、日本の夏を笑顔いっぱいに楽しんでいます。
ん~、いい。
実にいい。
これぞ正しい、日本の夏の姿よ!
それにしても、この人たちは、ふだんはどこに、いるんでしょうかね?
というより、前橋という街に、こんなにも人がいたことが驚きです。
コロナの影響もあり、4年ぶりの完全開催ということも、この人出を招いたんでしょうね。
祭りの喧騒をあとに、ほろ酔い気分で夜風に当たりながら家路をたどりました。
2023年07月07日
なぜ今、民話なのか?
先日の会合でのこと。
初めてお会いする男性から声をかけられました。
「小暮さんって、あの民話の小暮さんですか?」
この会合では、僕は “温泉ライター” の肩書で出席しています。
なのに、この男性は、あえて “民話の” と訊ねてきたのです。
聞けば、僕の読者でした。
しかも、温泉ではなく、民話の。
昨年、紀伊國屋書店 (前橋市) で開催された僕の 「著書フェア」 にも来てくださったようで、その時、初めて “温泉の本” も書いていることを知ったそうです。
昨日は、こんな電話がありました。
「○○公民館の××さんから紹介を受けました、△△公民館の□□と申します。ぜひ、うちでも講演をしていただきたいのですが?」
県内の公民館同士で連絡網があるらしく、講演を行った公民館から紹介された新たな公民館から依頼が来ることは、珍しくありません。
よくあることなので、もちろん快諾しました。
ところが、いつもと違ったのは、この先でした。
「お受けいたします。で、講演のテーマは、温泉でよろしいでしょうか?」
「ええ、ああ……。できましたら民話でお願いしたいのでが……」
「民話?」
「はい、□□さんから先生の民話の話が、大変面白いと聞いたものですから」
最近は、温泉よりも民話をテーマにした講演が増えているのは事実です。
でも、それは一度、温泉の話をしたことのある会場からの依頼です。
3回目の依頼を受ける場合は、地酒の話をしています。
ということで、初めての会場からの依頼は、十中八九が “温泉” であります。
なのに今回の△△公民館は、初回でありながら “民話” を希望してきたのです。
もちろん、お受けしましたが、なんだか不思議な気持ちになりました。
民話の話が、面白い?
確かに温泉に比べると、創作の部分が多くなるのが民話や伝説の話です。
カッパや天狗や座敷わらしなど、妖怪や幽霊の話も飛び出します。
また、物語がありますから、村人などになりきって、演じることもできます。
きっと、そんな奇想天外な創り話が “面白い” と思われているのかもしれませんね。
<99%のウソと1%のマコト>
<舞台があるかぎり謎は解ける>
これは、演題に付いているサブコピーです。
講演では、僕がまず、民話や伝説、言い伝え、迷信などの例を話します。
果たして、この話は、何を伝えようとしているのでしょうか?
今度は、会場のみなさんが考える番です。
さあ、一緒に謎を解いてみましょう!
となります。
やっぱり、なんだか面白そうですね。
まあ、民話でも温泉でも地酒でも、なんでも結構。
必要とあらば、どこへでも馳せ参じまする。
お電話、お待ちしていま~す!