温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2024年04月30日

人生失敗定食


 好きな漫画家に、西原理恵子さんがいます。
 あのパワフルで下品な画力、歯に衣着せぬセリフ回し、オチもなく終わるいい加減さにハマっています。

 購読している新聞に掲載されている 『りえさん手帖』 を、毎回楽しみに読んでます。


 こんな回があり、失笑してしまいました。
 いわゆる定年退職後の男性たちを揶揄(やゆ)した話です。

 「人生に遭難したおっさんてさあ」
 「素人のくせに急に土こねて皿焼いたりして」
 「そこに自分で打った蕎麦(そば)入れて出すよね」

 「誰がそんな人生失敗定食、食べたいと思う?」


 素晴らしいセンスだと思いませんか?
 “人生に遭難したおっさん” ですよ!
 “人生失敗定食” ですよ!

 言い当てていて妙であります。


 僕の周りにもいるんですよ。
 急に庭いじりを始めたり、稽古ごとを始めるおっさんたちが……

 何かを一生懸命に探している姿は、けな気ではありますが、ちっとツッコミを入れたくもなります。
 「今になって、探してんのかい!」
 「なんで、今までに探しておかなかったの?」
 ってね。


 でもね、裏を返せば、うらやましいんですよね。
 だって彼らは、悠々自適なんです。
 金も時間も、たっぷりあるから、なんでも手を出せるんですよ。
 飽きたら、また違うことに手を出せばいい。

 だって、人生失敗定食なんですから……


 僕なんか、若い頃から失敗だらけで、もう失敗ができないんですよ。
 どうやって、この人生のつじつま合わせをしようかと、この歳になって必死に考えているんですからね。

 まあ、すべては、アリさんになれなかったキリギリスの負け惜しみなんですけどね。
 金も時間もないので、死ぬまで働くしかないということです。


 あ~、一度でいいから、人生失敗定食が食いてえ~!
  


Posted by 小暮 淳 at 10:08Comments(0)つれづれ

2024年04月29日

サイゴンより愛を込めて


 「この本を買いに来ました」
 わざわざ、そのためだけに高崎市から来たという男性がいました。
 昨日、玉村町 (群馬県佐波郡) で開催されたイベント会場での出来事です。


 『ヨー!サイゴン』 (でくの房)

 この本は、今から25年前に出版したベトナム旅行記です。
 僕の本の中では珍しく、一度も書店で販売されなかった完全なる自費 により出版した著書です。

 それゆえ、我が家には在庫が、たっぷり残っています。


 「だったら売っちゃえ!」
 と、3年前から参加している街頭紙芝居のイベント会場 (伊勢崎市) で、他の著書 (温泉や民話) と一緒に、さりげなく並べていたのですが……

 もちろん、最初は全然、売れませんでした。
 手に取ることさえなく、見向きもされませんでした。

 ところが、昨年の秋ぐらいからです。
 この本が、売れ出したのです。


 なんで?
 どうも、群馬県内の在住ベトナム人が増加していることが理由のようです。
 特に伊勢崎市での人口増加が顕著なようで、街中にはベトナム料理の店が増えているといいます。

 まあ、ベトナムを知る入門書として、買って行かれているようであります。


 「ベトナムへ行ってきました」
 先日、知人女性から唐突に言われました。
 「えっ?」
 「小暮さんの本を読んで」
 「本当に行って来たんですか?」
 「はい、本の中で」
 「なんだ、実際には行ってないんですね?」
 「でも、行って来ました。楽しかった!」

 これぞ、著者冥利というものでしょうね。
 本が持つ使命であります。
 未体験を体験できるのが、読書ですものね。


 まだの人は、ぜひ在庫処分に、ご協力をお願いします。 
  


Posted by 小暮 淳 at 10:02Comments(2)著書関連

2024年04月27日

天国からの贈り物


 《虎は死して皮を残し 人は死して名を残す》


 1通の四角い茶封筒が届きました。
 中には、小さな絵本が入っていました。

 『あいこでしょ』  野村たかあき/作・絵


 昨年7月に他界した絵本作家、野村たかあきさんの絵本でした。
 差出人は、野村さんの奥様です。
 こんな一文が、添えられていました。

 <生前、野村が承諾していた 「ダイソー✕鈴木出版」 とのコラボ絵本ができました。>


 その文面を読んだ瞬間に浮かんだ言葉が、冒頭のことわざでした。
 「作家は死しても、なお作品を残す」 のだと。
 さすがです!


 こんなお話の絵本です。

 女の子がうまに言います。
 「うまさん、うまさん、おにごっこしましょ おにきめ じゃんけん…」
 「じゃんけん ぽん」

 女の子はパー、うまはグー。
 うまの負けです。
 でも、うまは 「おにをやるの いや」 だっていって、ぶたを連れてきました。

 「じゃんけん ぽん」
 うまはグー、ぶたはチョキ。
 「ぶたさんの まけ」
 そしたら、ぶたは 「おにやるの いやだよ」 って、にわとりを誘ってきました。

 いつまで経っても終わらない、堂々巡りの 「あいこでしょ」 が続きます。
 なんとも野村さんらしい、思いやりにあふれた絵本です。


 この絵本は、「月刊絵本」 (鈴木出版) の中で、特に評価の高い作品を選んでミニ版として大創出版より出版されました。
 発売は5月に入ってからで、全国の 「ダイソー」 で販売されます。

 ぜひ、最寄りの 「ダイソー」 にお立ち寄りの際は、手に取ってご覧ください。


 野村さん、ありがとうございます。
 天国からの贈り物、しっかりと受け取りましたよ!
  


Posted by 小暮 淳 at 12:10Comments(0)読書一昧

2024年04月26日

群馬 SAKE TSUGU CUP 2024


 ♪ 4月は 「舞風」 で酒が呑めるぞ 酒が酒が呑めるぞ 酒が呑めるぞ ♪

 ということで、今年もやって来ました!
 オール群馬の地酒 「舞風」
 群馬 SAKE TSUGU CUP 2024
 ファンが選ぶ今年の舞風 Our Best


 何のことかって?
 「舞風(maikaze) 」 とは、群馬県農業技術センター開発の酒造好適米 「舞風」 と県産酵母、県の仕込み水を使用した酒のことです。
 だから、“オール群馬の地酒” なんです。

 先日、Gメッセ群馬で開催された 「第27回 群馬の地酒フェスタ」 の会場にて、今年の 「舞風」 が解禁されましたが、当日は500人以上の人出があり、てんやわんやの状況でした。
 端から呑んだつもりでしたが、途中から味が分からなくなってしまいました。
 時間制限内に量を呑むことだけ考えていたため、味見どころではありませんでした。


 でも、ご安心ください!
 僕は 「ぐんまの地酒大使」 ですからね。
 今年も審査員を仰せつかっております。

 だから昨日、ドーンと宅急便にて、段ボール箱が届きました。
 送り主は、もちろん、群馬県酒造協同組合です。
 そして中身は?

 なんと、今年の 「舞風」 (180ml) が全15本セット!

 これだから大使は辞められません。


 今年のエントリーは、以下の15蔵です。   

 ①町田酒造店 清嘹 純米生酒 舞風 (火入れVar.)
 ②栁澤酒造   桂川 純米酒 舞風
 ③聖酒造    かんとうのはな 純米酒 舞風
 ④柴崎酒造   船尾瀧 特別純米酒 舞風
 ➄松屋酒造   平井城 純米吟醸 舞風
 ⑥聖徳銘醸   鳳凰聖徳 純米吟醸原酒 舞風
 ⑦浅間酒造   秘幻 純米大吟醸 舞風
 ⑧貴娘酒造   風の詩 純米大吟醸 無濾過原酒
 ⑨大利根酒造 左大臣 純米吟醸 舞風 「舞」
 ⑩永井酒造   谷川岳 純米吟醸 舞風
 ⑪永井本家   利根錦 純米酒 舞風
 ⑫近藤酒造   赤城山 純米吟醸 舞風
 ⑬分福酒造   分福 純米吟醸 館林産舞風 五割五分 G2酵母
 ⑭山川酒造   利根川育ち 純米酒 舞風
 ⑮島岡酒造   群馬泉 山廃純米 舞風


 いゃ~、今年も揃いに揃いましたね。
 1日1本呑んでも、すべて採点するのに15日間もかかるのですよ。
 キャー!(うれしい悲鳴)

 では、いよいよ今晩より、今年の 「舞風」 の審査に入ります。
 どの酒蔵の 「舞風」 が My Best になるのか?
 ワクワクしています。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:44Comments(2)大使通信

2024年04月25日

『みなかみ紀行』 がマンガになった!


 たびたびの牧水ネタで恐縮です。

 先日、郵便小包が届きました。
 送り主は、利根沼田若山牧水顕彰会。

 中身は、一冊の本でした。
 『マンガ 若山牧水 みなかみ紀行』


 「謹呈」 と記された一文が添えられていました。
 <今年は若山牧水の 「みなかみ紀行」 がマウンテン書房より出版されて丁度100周年になります。しいやみつのり先生からマンガ 「みなかみ紀行」 を是非世に出したいとのお話を戴き、直ちに役員に計り利根沼田若山牧水顕彰会として出版事業に取り組む事に致しました。(中略) 多くの方々に心温まるご支援を戴くことが出来、漸く無事に出版の運びとなりました。ここに謹んで御礼のご挨拶を申し上げます。>

 僕と顕彰会との出会いは一年前、老神温泉の 「大蛇まつり」 の会場でした。
 老神温泉は牧水ゆかりの地であること、そして僕が老神温泉大使をしていることから交流が始まりました。
 その後、僕は高崎市のフリーペーパー 「ちいきしんぶん」 にて、『令和版 みなかみ紀行 牧水が愛した群馬の地酒と温泉』 を連載開始。
 顕彰会と連絡を取りながら、取材を進めています。


 漫画家のしいやみつのり氏は、すでに 『マンガ 若山牧水 自然と旅と酒を愛した国民的歌人』(大正大学出版会) を著しているだけあり、実に細部にわたり、牧水のエピソードが盛り込まれています。
 文章には、すべてルビがふってあるので、子どもでも楽しく読めます。
 また、若山牧水という歌人を知る入門書としても、おすすめします。

 「短歌って苦手」 という人もいるかもしれませんね。
 僕も、その一人です。
 でも、若山牧水という人間の生き方を知り、魅力を知ると、短歌の面白さも分かってきますよ。

 ぜひ、一読をおすすめします。



 『みなかみ紀行』 出版100周年記念事業
 マンガ 若山牧水 みなかみ紀行
 ~旅と文学と水源を求めて!~

 漫画/しいやみつのり
 発行者/利根沼田若山牧水顕彰会  代表 永井一灯

 定価 [本体1,500円+税] 


 ※若山牧水ゆかりの群馬県内の観光協会、温泉協会にて販売中!
   


Posted by 小暮 淳 at 09:52Comments(2)読書一昧

2024年04月24日

「玉村かみしばい」 4月口演


 早いもので、「玉村かみしばい」 も7回目を迎えます。
 昨年より玉村八幡宮で隔月開催している街頭紙芝居です。

 町長や教育委員会の協力を得て、地元の民話や創作劇を紙芝居にして口演しています。


 たとえば、『焼きまんじゅう旅すがた』 シリーズ (作・画/野村たかあき)。
 シリーズ2作目の 「宿場につめてぇ風が吹く」 の巻は、玉村宿が舞台です。
 ご当地ヒーローの焼きまんじゅうろうが、悪を憎んで弱きを助け、大活躍する勧善懲悪時代劇。
 必殺技は 「あまから剣法みそだれ返し」!
 宿敵、どどめ一家をコテンパンに叩きのめします。

 それと、『五料のカッパと妙義のカッパ』 (文/小暮淳、画/栗原俊文)。
 昔、玉村町五料には、いたずら好きのカッパが棲んでいました。
 一方、妙義山には人間を食べてしまうという凶悪なカッパが棲む淵がありました。
 どちらでも、人間対カッパの闘いが……
 さて、その結末はいかに?


 今月は、3日間開催のGWスペシャルです。
 会場では昭和の駄菓子やおもちゃ、作家の作品や著書なども販売します。
 ご家族やお友達と、ぜひ、昔懐かしい街頭紙芝居をお楽しみください。



       第7回 『玉村かみしばい』 4月口演
 
 ●日時  2024年4月27日(土)、28日(日)、29日(月・祝)
       11時、12時、14時、 (20分口演)
 ●会場  玉村八幡宮 境内 (群馬県佐波郡玉村町下新田1)
        ※雨天など悪天候時は屋内開催
 ●入場  投げ銭制 ※ペイペイ可
 ●協力  玉村町教育委員会
 ●問合  壽ちんどん宣伝社 TEL.090-8109-0480

 ※小暮は28日のみ在社します。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:00Comments(0)神社かみしばい

2024年04月23日

「郷」 と 「東」 と 「108」 の謎


 群馬テレビ、毎週火曜日の夜9時放送 (最終火曜を除く)、『ぐんま!トリビア図鑑』 は、ご覧になっていますか?
 僕は、番組内のシリーズ 「温泉王国ぐんま」 のリポーターをしています。

 おかげさまでシリーズは、第7回を数えます。
 ということで昨日、小雨舞う中、ロケを敢行してきました。


 老神温泉

 奇妙な名前の温泉地だと思いませんか?
 「おいがみ」 と読みます。
 老いた神様がいるのでしょうか?

 番組では、まずは名前の謎から迫ります。


 そして、さらなる謎の数々へ……
 ①1つの温泉地なのに、なぜ観光看板には 「老神温泉郷」 と書かれているのか?
 ②「大蛇まつり」 の大蛇みこしの長さを始め、温泉街には 「108」 の数字にまつわるモノが多いのは、なぜ?
 ③片品川対岸にある2軒の旅館の屋号には、共に 「東」 の字が使われています。その意味は?

 今回も謎の多い、トリビアがてんこ盛りです。
 1つずつ、僕が解き明かしますので、ご期待ください。


 ※この回の放送は、5月14日(火) 21:00~です。
   


Posted by 小暮 淳 at 10:05Comments(3)テレビ・ラジオ

2024年04月21日

死に酒を探して


 歌人・若山牧水終焉の地、静岡県沼津市を訪ねた目的は2つ。
 1つは、墓参り。
 (2024年4月19日 「あくがれの墓参り」 参照)

 もう1つが、記念館を観覧することでした。


 駿河湾に臨む風光明媚な千本浜公園からほど近い、閑静な住宅地に 「沼津市若山牧水記念館」 はありました。
 昭和62(1987)年に開館した小さな記念館です。
 館内には、年譜をはじめ、直筆の歌を書いた短冊や色紙、原稿などが展示されています。

 興味のない人には、一周10分程度で観終わってしまう展示物ですが、牧水ファンにとっては小さなディズニーランドのよう。
 1時間以上もかけて、何度も何度も観返してしまいました。
 もちろん、帰りには、ここでしか購入できない貴重な関連資料を爆買いさせていただきました。


 で、展示物の中で、1つ、気になった表記がありました。
 それは、末期の酒について。

 臨終した際、遺族が牧水の口に含ませたのは水ではなく、酒だったとありました。
 さすが、牧水!
 「死に水」 ならぬ 「死に酒」 をとらせたのであります。


 となれば、その酒が知りたい。
 いや、現存するなら、ぜひ、我も口に含んでみたいと思うのが、ファンの本音であります。

 ということで、現地での聞き取り調査を開始しました。


 午後5時。
 沼津駅前の居酒屋に、初老の男たちが集まりました。

 今回の旅を企画して、群馬から同行してくれたSさん。
 Sさんは青年時代、ここ沼津市の高校に通っていたことがあり、土地勘があったのです。
 そして、彼の同級生4人が、晩餐に駆けつけてくれました。
 みなさん現役の沼津市民です。


 自己紹介もそこそこに、いきなり質問を投げかけました。
 「沼津市内に酒蔵はあるか?」
 「牧水が沼津に暮らした大正~昭和初期にあった老舗は、どこか?」
 「もし現存するなら、何という銘柄の酒なのか?」

 矢継ぎ早の質問に、ズバリ回答してくださったのは、地元で建築会社を経営するWさん。
 「髙嶋酒造の 『白隠正宗』 でしょう」

 髙嶋酒造は、江戸時代中期の創業。
 代表銘柄である 『白隠正宗』 は、明治17年から醸造されている銘柄でした。


 「では、牧水にカンパイ!」

 店にも地酒 『白隠正宗』 は置いてありました。


 感慨無量であります。
 牧水が生前に呑んだかもしれない酒、牧水の 「死に酒」 かもしれない酒。
 口に含むと、ほのかな甘みと芳醇な香りが鼻へ抜けていきました。


 ≪人の世にたのしみ多し然れども 酒なしにしてなにのたのしみ≫  牧水
   


Posted by 小暮 淳 at 10:57Comments(2)取材百景

2024年04月20日

今年の 「舞風」 は、ちょっと違う!


 「舞風(Maikaze)」 とは?

 酒米や酵母、仕込み水など群馬県産にこだわった地酒です。
 群馬県酒造組合では、「舞風」 のおいしさを味わってもらうために、製造する酒造りのルールを定めています。

 ●酒米は、群馬県産酒造好適米 (オリジナル酒米) 「舞風」 を100%使用すること。
 ●精米歩合60%以下の 「特定名称酒」 とすること。 (純米吟醸酒、吟醸酒、純米酒、本醸造酒)
 ●群馬県産の 「酵母」 を使用すること。

 これらの基準を満たした日本酒だけが 「舞風」 のシンボルマークを揚げて販売されます。


 昨晩、群馬県酒造協同組合主催による 『群馬の地酒フェスタ』 が開催されました。
 会場は、高崎市の 「Gメッセ群馬」。
 最初は300人の定員を見込んでみましたが、5年ぶりの開催とあって、当日は500人の参加者がありました。

 大きな会場も、すし詰め状態!
 その誰もがオリジナル猪口(ちょこ)を片手に、出店する蔵元のブースをめぐります。
 その熱気と活気に、僕も負けじとばかりに呑み続けました。


 僕の席は、ステージ前の招待席です。
 そう!
 僕は、「ぐんまの地酒大使」 なんです。

 えっ、なんで、お前なんかが大使をやってるのかって?

 ただの酒呑みなんですけどね……
 なんででしょうね?
 自分でも理由は、よく分かりません。

 好きな酒を呑んで、蔵元をまわり、記事を書いていたら、ある日突然、任命されてしまいました。


 だから酒については、そんなに詳しくはないんです。
 詳しくはないけど、呑むのは好きです。
 好きこそものの上手なれ、です。
 また、類は友を呼びますから、僕のまわりには、超絶に詳しい酒呑み連中が寄ってくるわけです。

 会場では、酒販店や飲食店の経営者、ソムリエ資格を持つ人、日本酒学の講師などなど、プロの酒呑みたちと3時間にわたり、酒談議に花を咲かせてきました。

 で、酒呑みのプロが、口をそろえて言うことにゃ、どうも、今年の 「舞風」 は出来が違うらしい!
 近年にない、仕上がりの良さだと絶賛しきりでした。
 (正直、僕には違いが分かりませんでしたが……)


 ということで、まだ未体験の方は、ぜひ、群馬の米と酵母で作った舞風ブランドを、お試しください。
 五臓六腑に染みわたる美味しさは、僕が保証します。



    『オール群馬の地酒』 「舞風」 一覧

 ➀清嘹 純米 舞風   町田酒造店 (前橋市)
 ②桂川 純米 舞風   栁澤酒造 (前橋市)
 ③かんとうのはな 純米 舞風   聖酒造 (渋川市)
 ④榛名山 純米大吟醸 舞風   牧野酒造 (高崎市)  
 ➄船尾滝 特別純米 舞風   柴崎酒造 (吉岡町)
 ⑥平井城 純米吟醸 舞風   松屋酒造 (藤岡市)
 ⑦鳳凰聖徳 純米吟醸 舞風   聖徳酒造 (甘楽町)
 ⑧秘幻 純米大吟醸 舞風   浅間酒造 (長野原町)
 ⑨風の詩 純米大吟醸 舞風   貴娘酒造 (中之条町)
 ➉左大臣 純米吟醸 舞風   大利根酒造 (沼田市)
 ⑪谷川岳 純米吟醸 舞風   永井酒造 (川場村)
 ⑫利根錦 純米 舞風   永井本家 (沼田市)
 ⑬赤城山 純米吟醸 舞風   近藤酒造 (みどり市)
 ⑭分福 純米吟醸 舞風   分福酒造 (館林市)
 ⑮利根川育ち 純米 舞風   山川酒造 (千代田町)
 ⑯群馬泉 純米 舞風   島岡酒造 (太田市)
  


Posted by 小暮 淳 at 11:25Comments(4)大使通信

2024年04月19日

あくがれの墓参り


 ≪聞きゐつつたのしくもあるか松風の 今は夢ともうつつともきこゆ≫  牧水


 趣味と実益を兼ねた生き方をしてきたおかげで、気が付いたら僕は、群馬県内4つの 「温泉大使」 と 「ぐんまの地酒大使」 を仰せつかっていました。

 “温泉と地酒”
 よく似合います。
 これに “旅” が加われば、なお素晴らしき。

 あくがれ(※)てしまいます。


 そんな生き方をした人に、明治・大正の歌人、若山牧水がいます。
 牧水は明治18(1885)年、宮崎県の生まれ。
 自然と旅と酒を愛し、全国をめぐりました。

 群馬県には8回訪問。
 延べ60日間滞在し、13編の紀行文と約400の歌を残しました。
 最も有名な紀行文が 『みなかみ紀行』 です。


 大変おこがましいのですが、共に湯と酒を愛する者として、いつしか僕にとって牧水は “心の師” となっていました。
 そして、気が付いたら牧水をテーマにした講演や連載を手がけるようになっていたのです。

 「一度、ちゃんと牧水さんにお礼が言いたい」

 その夢が、やっと叶いました。


 静岡県沼津市。
 この街にある千本山乗運寺の境内に、牧水は眠っています。
 昭和3(1928)年9月17日、大酒呑みがたたり、急性腸胃炎兼肝臓肝硬変症のため43歳の若さで永眠しました。

 冒頭の歌は、墓石前に立つ歌碑に詠まれていました。


 「牧水さん、初めてお目にかかります。全国にあまたといるファンの一人です。あなたが愛してくださった群馬県より、はるばる会いに来ました。私は今、あなたが群馬で見て触れて、浸かって呑んだ “温泉と地酒” をテーマに取材を続けている物書きの端くれです。どうか、お許しいただき、寛大なお心で、見守ってくださいますようお願い申し上げます」
 と、墓前で手を合わせました。

 すると、どうでしょう!
 木々を揺らして、一陣の薫風が杜を抜けて行きました。

 「ああ、牧水さん! ありがとうございます」


 風に誘われるようにして僕は、その足で牧水が愛した千本松原を訪ねました。


 ※【憧(あくが)る】 物事に心を奪われて落ちつかない。そわそわする。 (広辞苑より) 
  


Posted by 小暮 淳 at 11:52Comments(0)取材百景

2024年04月16日

温泉もいいけど民話もね


 「なぜ民話の本を書かれたのですか?」
 最近、とみに訊かれる質問です。
 みなさん、僕のことは、温泉専門のライターだと思われているようです。

 読売新聞のコラムにも書いたのですが、温泉ライターを名乗るようになったのでさえ、“たまたま” だったのです。
 フリーライターとして取材を重ねるうちに、温泉地の取材が増えていき、気が付いたら何冊も本を出版していたというだけのことです。

 そして、いつしか 「温泉ライター」 という肩書きが、付けられていました。


 先日のイベント会場で、こんな出来事がありました。
 僕らは、伊勢崎市の神社で街頭紙芝居の口演を行っていました。
 僕らとは、興行主 「壽ちんどん宣伝社」 の座長で、紙芝居師の石原之壽(いしはらのことぶき)くんと、作画担当の画家・須賀りすさんです。
 僕は、地元の民話を題材とした紙芝居の物語の作成を担当しています。

 口演中に紙芝居師が、そのことを伝えたからだと思います。
 終了後、年配の男性が、僕の所へやって来ました。

 「小暮さんって、温泉の小暮さんですか?」
 「はい」
 「ああ、お会いできて光栄です。いつもお世話になっています」

 お世話?
 不思議なことを言うものだと思い訊ねると、なんてことはありません。
 僕の読者で、著書を参考にして温泉めぐりを楽しんでいるのだといいます。


 この男性は、この日、たまたま神社に参拝に来たといいます。
 すると境内で、街頭紙芝居を行っていた。
 何気なく見ていると、「小暮淳」 という名前が出た。
 「あれ? 知っている名前だ」
 と思い、声をかけたようです。

 「小暮さんは、民話の本も書いているんですね。なぜ、民話なのですか?」


 さて、困りました。
 温泉同様、特別な理由なんてありません。
 しいて言うならば、やはり “たまたま” なのであります。

 ただし温泉同様、きっかけならあります。
 それは、古湯と呼ばれる何百年という歴史を持つ温泉地には、必ず 「いで湯発見伝説」 があるのです。
 動物であったり、偉人であったり、湯の数だけ奇想天外、摩訶不思議な伝説が語り継がれています。

 その一つ一つを調べていくうちに、いつしか民話の世界に、どっぷりと浸かっていたということです。


 そんなエピソードをいくつか話すと、男性は至極納得されたようで、「今日はありがとうございました。貴重なお話をありがとうございます」 と深々と礼を言って、帰って行きました。
 もちろん、民話の著書をお買い上げいただきました。

 ありがとうございました。


 温泉もいいけど、民話もね!
 今後ともよろしくお願いいたします。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:38Comments(2)著書関連

2024年04月15日

時が止まった町


 僕が暮らす町には、「堀払い」 という恒例行事があります。

 「堀払い」 とは?
 読んで字のごとく、堀を払う作業です。
 いわゆる側溝に溜まった泥やゴミを除去する清掃活動です。

 昨日は、そんな年に1回の 「堀払い」 の日でした。


 午前8時、長靴をはいて、スコップを手にした老若男女が、町内の1カ所に集まりました。
 その後、班ごとに分かれ、役割分担された側溝に入り、清掃作業が始まりました。

 作業開始、直前のこと。
 「小暮さん、聴いたよ」
 と、隣の班の男性から声をかけられました。

 “聴いた” と言われれば、先週放送されたエフエム群馬のニュース番組に出演した時のことかと思い、「ありがとうございます」 と返しました。
 が、その次に出た言葉に、ビックリ!
 「安住さんが、師匠って呼んでましたね」


 えっ、ええええーーー!!
 いつの話ですか?
 アナウンサーの安住紳一郎さんが、ラジオ番組 『安住紳一郎の日曜天国』 の中で、僕の話をしたのって2年以上も前の話ですよ!

 ていうか、この男性、確か2年前の 「堀払い」 の時も僕に声をかけて来て、同じ話をしました。
 (2022年4月11日 「安住効果の余韻」 参照)

 もしかして、この人、2年前から時間が止まってしまっているのかしらん?


 先日、こんなこともありました。
 自治会費を納めに、班長の家へ行った時のことです。
 奥さんが出て来て、
 「小暮さん、すごいわね。えーと、えーと、なんていう番組でしたっけ?」

 当然、番組といわれれば、僕は昨年出演したフジテレビの 『ホンマでっか!TV』 だと思ったわけです。
 「明石家さんまさんの番組ですか? 観てくださったんですか?」
 と言うと、
 「いえいえ、ほら、アナウンサーの……。そう、安住さんの番組! 小暮さんのことを話していたわよ~!」

 って、やっぱり、それなの?
 その放送って、2022年12月ですよ!
 いまだに町内では、話題になっているんですかね?

 恐るべし、安住紳一郎効果!


 ていうか、この町には安住ファンが多いのか?
 それともTBSラジオしか聴けないのか?

 この町は、完全に時が止まっているようです。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:39Comments(0)つれづれ

2024年04月13日

A I よ、やっちまったな!


 「小暮さんは、まっ先に否定すると思いました」

 何のことかといえば、生成AI (人工知能) のことです。
 1年前、文章を作成する対話型AI 「チャットGPT」 を業務に導入したという出版関係の人との雑談の席でした。


 僕も長年、雑誌の編集業界にいましたからね。
 その業務の大変さは、知っています。
 特に、イベントや街ネタなどの細かい情報の処理は、時間と手間がかかる作業です。
 そのために人を雇えば、人件費がかさみます。

 その点、チャットGPTを利用すれば、同じような文章を数秒で仕上げてくれるのですから、利用しない手はありません。
 しかも、人間のように文句や愚痴は言いません。

 世の中は、ここまで来てしまったのです。
 スーパーの無人レジと同じです。
 人手不足の時代、“便利” には勝てないのです。


 そんな折、AIをめぐる前代未聞の珍事が起こりました。
 AIで作った脚本を声優が朗読するというイベントが、急きょ、中止となりました。

 理由は、簡単です。

 AIは、膨大なデータを学習して、文章を仕上げています。
 ということは、過去の脚本などの著作物を無断で学習している可能性があります。

 「盗作脚本ではないか!」
 という声が上がっても、仕方ありません。

 さらに矛先は、演じる声優たちにも向きました。
 「出演する声優は応援しない」
 「中止すべきだ」
 といった批判的な意見が寄せられ、イベントは中止となりました。


 やっちまったな、AI!

 いずれこんなことが起こるのではないかと、思っていたんですよ。
 だって、すべてにおいて進歩が優先で、何の法整備もせずに世の中が構築され続けているのですから。

 いずれ、声優も要らなくなってしまうのでは?
 そんな心配もしてしまいます。
 だって、声優の声をAIに学習させれば、いいわけですから。


 恐ろしい時代になりました。

 人間にできるとこ、人間だからだきること、人間にしかできないこと……
 進歩の前に、一度、立ち止まって考えた方が、いいんじゃないですかね。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:30Comments(3)つれづれ

2024年04月11日

類はアナを呼ぶ


 昨日放送のエフエム群馬 『news ONE』 は、お聴きになりましたか?

 僕は今月から毎月第2週水曜日に、レギュラー出演することになりました。
 1回1話、温泉エピソードをお話しします。


 で、第1回目のテーマは、「4つある日本三美人湯」 でした。
 ちょっと矛盾していますよね?
 “三美人” なのに、“4つ” あるなんて?
 かなりディープな温泉エピソードを、お話ししました。

 なぜ初回から、こんなにもマニアックな温泉トークをしたのか?
 これには、理由があるんです。


 今までに僕は、テレビやラジオで、いくつものコメンテーターを務めてきました。
 その際、ほとんど局からの要望はなく、話のテーマは毎回、僕が提案するのが常でした。
 というのも、局の人は温泉のことは詳しくありません。
 また、視聴者や聴取者も同様ですから、初心者でも分かりやすい温泉の基礎話を求められたのです。

 よって、番組は変われど、常に、温泉の入門編をくり返し話していました。


 ところが、今回は違います。
 お相手の岡部哲彦アナウンサーは、温泉ソムリエの資格を持つ、大の温泉ファンです。
 打ち合わせの段階から、ハードルを上げてきました。

 たとえば、群馬県内の有名温泉地のネタを提案すると、
 「たぶん、みんさん知ってますよ」
 と却下され、
 「もっと、小暮さんでなければ知らないネタでお願いします」

 「いいんですか? 夕方のニュース番組ですよ?」
 「いいんです!」
 と、川平慈英風に応えるのも、本当は自分が知りたいからなのだと思います。


 案の定、マニアックな温泉ネタを提案すると、
 「へぇー、知らなかった! 今度行ってみます」
 とか、
 「面白いですね~、これにしましょう!」
 と、アナウンサーとしてではなく、温泉マニアの目になっていました。


 ということで、今までにない、温泉好きのトーク番組になってしまいました。
 ま、僕としては構わないのですが、リスナー的には、どうだったのかな?
 ご意見がありましたら、局までお寄せください。

 まさに、「類は友を呼ぶ」 ならぬ、“類がアナを呼んだ” 番組です。


 ※次回放送は5月8日です。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:04Comments(6)テレビ・ラジオ

2024年04月10日

天才は忘れた頃にやって来る?


 大谷翔平、藤井聡太、小暮淳

 さて、この3人に共通するものは、何でしょうか?


 チ、チ、チ、チ……(ストップウォッチ音)
 人間とか、男性とか、イケメンではありません。
 チ、チ、チ、チ、……


 正解は、「睡眠時間」 です。


 大谷選手は、飛行機の移動や遠征先でも、睡眠時間の確保を優先することで知られています。
 藤井名人は、テレビ番組で、「毎日午後11時くらいに寝て、朝の9時くらいに起きることもある」 と言っています。

 ともに約10時間の睡眠時間を取っています。
 天才は、よく眠るのです。


 僕もよく眠ります。
 平均約9時間は、寝ています。

 仕事の都合で、7~8時間の時もありますが、この日は、あまり体調が優れません。
 昼食後に眠くなり、午後に仮眠をとりたくなります。
 やはり、ベストは約9時間です。
 たまに10時超えもありますが、寝過ぎも体がだるくなるので、要注意です。


 みなさんの睡眠時間は、何時間ですか?
 「年齢に応じた適切な睡眠時間」 というのがあるので、紹介します。
 一般的な睡眠時間の平均値は、以下のとおりです。

 ~10歳    約8~9時間
 15~24歳  約7~8時間
 25~49歳  約6~7時間
 65歳~    約6時間
  (厚生労働省 「健康実態調査」 より)

 これを見ると、65歳以上は、たった6時間の睡眠で十分なんですね。
 今の僕には考えられません。
 6時間では、体力も知力も持ちませんって!

 ま、睡眠には個人差がありますからね。
 自分にとって、ベストな睡眠時間を維持することが、健康の基になるんじゃないでしょうか!?


 寝る子は育つといいます。
 確かに、2人の天才は睡眠により、立派に才能を開花しました。

 えっ?
 3人目は比較にもならない凡人だって?
 いえいえ、僕だって幼少の頃は “神童” と呼ばれていたんです。
 大人になってからは、なかなか華が開かず、“大器晩成” と言われ続けてきました。

 前期高齢者となった今、いつでも 「晩成」 を迎える準備はできています。
 ただ問題は、「大器」 かどうか? なんですけど……

 “天才は忘れた頃にやって来る” といいます。
 首を長~くして、待つことにします。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:25Comments(0)つれづれ

2024年04月09日

「神社かみしばい」 4月口演


 早いもので、街頭紙芝居の手伝いを始めて、4年目になります。

 最初は、紙芝居の制作だけだったんですけどね。
 なんだか係わっているうちに、その昭和レトロ感に魅了されてしまいました。


 現在、伊勢崎市と玉村町の2会場で、定期的に開催しています。
 上演作品は、ご当地民話を題材にしたオリジナル紙芝居です。

 たぶん、僕が感じた昭和レトロな雰囲気が、令和の時代でも受け入れられたんでしょうね。
 伊勢崎市も玉村町も、回を重ねるたびに評判になり、新聞やテレビなどの報道陣まで、やって来るようになりました。
 やがて、市長と町長が顔を出すようになり、市議や町議まで足を運んでくれるようになり、ついには教育委員会が協力してくれるまでになりました。


 なぜ、令和の今、昭和の紙芝居がウケるのでしょうか?

 たぶん、そのスローライフな時間の流れにあると思います。
 紙芝居には、ネットやSNSが発達した便利な世の中にない、人と人が顔を合わせ、触れ合う温かさがあります。

 何よりも驚いたのが、子どもたちの反応です。
 どっぷりコンピューターゲーム世代のはずなのに、紙に書いた絵と語りというアナログな娯楽に夢中なんです。
 目をキラキラと輝かせて、毎回やって来る子もいます。


 「おっちゃん、はい、これ!」
 「僕も持ってきた」
 「わたしのも読んで」

 なんと、子どもたちは、自分たちで考えたクイズや紙芝居を画用紙に描いて、持ってくるようになりました。
 会場には、誰一人、スマホでゲームをしている子なんていません。

 時代なんて、関係ないんだ!
 いつの時代だって、子どもたちは、創造性に満ちあふれてる!
 そう、感じざるを得ません。


 大人たちは、昭和の子どもに戻って、来てください。
 子どもたちは、一緒に昭和の遊びをしましょう!

 駄菓子やおもちゃやゲームを用意して、お待ちしています。



       「神社かみしばい」 4月口演
 
 ●日時  2024年4月13日(土)、14日(日)
       10時、11時、12時、13時
       ※屋外開催 (悪天候時は室内)
 ●会場  伊勢崎神社 境内 (群馬県伊勢崎市本町21-1)
 ●入場  投げ銭制 ※ペイペイ可
 ●問合  壽ちんどん宣伝社 TEL.090-8109-0480

       ※小暮は14日のみの在社します。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:16Comments(0)神社かみしばい

2024年04月08日

あさってオンエア! 『news ONE』


 レギュラー番組を担当するのは、9年ぶりになります。


 最初は2011年4月~2012年3月、NHK-FM前橋 『群馬は温泉パラダイス』。
 パーソナリティーを担当しました。

 次は2012年4月~2015年12月、群馬テレビ 『ニュースジャスト6』。
 長きにわたり、コメンテーターをしていました。


 そして、今年4月。
 エフエム群馬の夕方の情報番組に、レギュラー出演することになりました。
 その第1回放送日が、いよいよ明後日となりました。

 お相手は、エフエム群馬アナウンサーの岡部哲彦さん。
 温泉ソムリエの資格を持つ、大の温泉ファンです。
 彼のマニアックな質問に、僕が答えます。


 出演は、毎月2週目の水曜日。
 番組の中盤 (18:37頃)、「news ONE アラカルト」 のコーナーです。

 お楽しみに!



 ■放送日  毎月2週目水曜日 (1回目は4月10日)
 ■放送局  FM GUNMA (86.3MHz)
 ■番組名  『news ONE』 月~水 18:00~18:55
 ■出演者  岡部哲彦 (アナウンサー)、小暮 淳 (温泉ライター)
  


Posted by 小暮 淳 at 10:46Comments(0)テレビ・ラジオ

2024年04月07日

昭和おやじ VS 令和おやじ


 スマホを持たない僕ですが、スマホに囲まれた風景には、もう慣れました。
 最初は、違和感や嫌悪感もありましたが、これも時代の流れです。
 郷に従わないまでも、黙認しています。

 たとえば、駅の待合室や電車の中。
 十中八九の人が、老若男女問わずスマホをいじっています。
 「みんな、何を見てるのだろう?」
 と気にはなりますが、僕は、それを横目に新聞を広げています。

 たとえば、喫茶店やレストラン。
 若いカップルが向かい合いながら、食事をしています。
 が、会話はなく、2人ともスマホに夢中です。
 「せっかくのデートなのに、それでいいの?」
 なんて、お節介な心配をしますが、この光景にも慣れました。
 僕は、文庫本を開きます。


 スマホを見ようが、新聞を読もうが、それは個人の自由です。
 他人に迷惑をかけなければ、誰も文句は言いません。

 でもね、もし、それが、自分に害を被ってきたら、どうしますか?


 いつもの店の、いつもの席で、いつものように至福の酒を楽しんでいる時でした。
 カウンターには、気の置けない常連客が数人。
 僕は、隣の客と、たわいのない世間話をしていました。

 隣の客は同世代。
 “昭和あるある話” が大好きな、昭和 (を引きずった) おやじです。
 いつものように、昭和ネタで盛り上がっていました。

 「そうそう、○○○○の奥さんだよね!?」
 「ええと……、✕✕✕✕✕✕だ」
 「そうそう」
 なんていう他愛のない芸能人の話題です。

 「♪ チャーラララ、……次、何だっけ?」
 ✕✕✕✕✕✕のヒット曲です。
 「♪ チャーラララ? えーと、なんたらかんたら」
 どーでもいいんです。
 思い出せなくても、いいんです。
 所詮、昭和おやじの酒のつまみですから。

 「曲名、何だっけ?」
 「えっ、……」
 「あ~、思い出せない」

 すると、話を聞いていたママが言いました。
 「この、思い出しそうで思い出せないのが、いいんだよね。この間も芸能人の名前が出て来なくてさ、お客さんと大笑いしたのよ」

 それで、いいんです!
 我々、中高年は、この加齢による度忘れをゲームにして楽しんでいるのですから。


 すると、話を聞いていたカウンターの隅にいた客 (同年配) が、なにやらスマホをいじり出しました。
 イヤな予感がします。
 以前にも、お節介な客が、度忘れゲームを楽しんでいた時に、頼みもしないのに勝手にスマホで検索をして、正解を告げられたことがありました。
 これは、御法度!
 絶対に、やってはいけないルール違反です。

 推理小説を読んでいる人に、犯人を教えてしまうようなものです。


 察知した隣の客が、スマホを手にした客に向かって、言いました。
 「調べるのはいいけどさ。こっちに教えないでよ」
 聞こえているのか、いないのか、隅の客は無心にスマホをいじっています。

 「♪ チャーラララ……、何だっけ?」
 昭和おやじたちは、まだ、あきらめていません。

 と、その時です。
 スマホをいじっていた客が、ポツリとつぶやきました。
 「『△△△△△△△』 です」


 シーーーーーーーーーン
 一瞬、イャ~な空気が店内に流れました。

 あ~あ、言っちゃった!
 頼んでもないのに、言っちゃった!


 我々の完全なる敗北です。
 時代を読めない昭和おやじが、令和 (に馴染んだ) おやじに負けた瞬間であります。

 あなたの周りにも、いませんか?
 なんでもかんでも検索してしまう人?

 生きにくい世の中になりました。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:14Comments(0)酔眼日記

2024年04月06日

19歳のユーカラ ~SONGS of KAMUI~


 涙が止まりません。

 上映開始から2時間20分間。
 あふれ出る涙のしずく。
 そして、頬を伝う自分の涙が、温かいと感じました。


 遅ればせながら、映画 『カムイのうた』 (監督・脚本/菅原浩志) を観てきました。


 すべてにカムイ (神) が宿ると信じ、北海道の厳しくも豊かな自然と共存してきたアイヌ民族。
 この物語は、差別と迫害に満ちた民族の史実の歴史です。

 知里 幸惠 (ちり・ゆきえ)
 明治36(1903)年生まれ。北海道登別市出身。
 アイヌ民族である両親の間に生まれる。
 6歳で旭川市内のコタン (集落) に住む伯母のもとに引き取られ、尋常小学校に通う。

 15歳の時、伯母を訪ねて来た言語学者の金田一京助と出会う。
 アイヌ民族の文化を研究していた金田一は、アイヌの口承文学であるユーカラ (叙情詩) を後世に残すため、アイヌ語と日本語が堪能な幸惠に翻訳することを勧める。
 (パンフレットより)


 知里幸惠は、主人公・テルのモデルです。
 演じるのは若手女優の吉田美月喜さん。
 兼田教授役 (金田一京助) を加藤雅也さんが熱演します。

 そして全編にわたり心に響く、ユーカラの調べ。
 文字を持たず、文化を口伝えで伝承するアイヌ民族の唄。

 ユーカラをアカペラで歌う、伯母役のミュージカル歌手・島田歌穂さん。
 その歌唱は、圧巻でした。


 大正11(1922)年9月18日に、翻訳本は完成します。
 しかし、その日の夜、19歳の幸惠は……。


 気が付くと、僕の周りからは、すすり泣く声がします。
 終演後も、鼻をすする音が、あちこちから聞こえてきました。
 歳をとると涙もろくなるといいますが、それだけではないようです。


 ●カルカッタ国際映画祭 (インド) インターナショナル映画部門 最優秀賞作品賞 
 ●モントリオール・インディペンデント映画祭 (カナダ) 優秀作品賞
 ●グランド・シネ・カーニバル・モルディブ (モルディブ) 優秀作品賞
 ●ハーキュリー・インディペンデント映画祭 (スペイン) 優秀作品賞
   


Posted by 小暮 淳 at 13:02Comments(2)シネマライフ

2024年04月05日

大和魂が震える日


 昔、オヤジは巨人が負けると喜んで、長嶋がホームランを打つと喜んでいました。

 矛盾しているように思われますが、当時は珍しくなかったようで、そんな野球ファンがたくさんいました。
 いわゆる、“アンチ巨人の長嶋びいき“” という人たちです。


 でも今になって、その気持ちが分かるような気がします。
 僕は、野球オンチです。
 生まれてこの方、野球の観戦はおろか、テレビ中継さえ、ちゃんと見たことはありません。

 そう、大谷翔平の存在を知るまでは……


 昨日、その大谷翔平が米大リーグ・ドジャースの移籍後初の第1号ホームランを打ちました。
 その映像を観て、感極まり、目頭を熱くしている自分がいました。

 これって、何ですか?

 たぶん、日本中で野球オンチのにわかファンが、同じ気持ちになったんじゃありませんかね。
 「野球は、よくわからないけど、大谷は好き」
 という、なんとも不思議な連帯感が生まれています。

 いうなれば、そのスポーツのことは何も知らないけれど、オリンピックの日本代表選手を応援しているときの心情です。
 こんなとき、僕は自分が日本人であること確信します。

 大和魂なんですね。


 大谷という日本を代表する選手が、野球の本場アメリカで、一流の選手たち相手に、バッタバッタとホールランを打つ。
 昭和のプロレスやキックボクシングの観戦を思い出します。

 行け、力道山!
 行け、沢村!

 そして今は、打て、大谷!


 野球には興味がないけれど、これからも大谷翔平を応援します。
 だって、大谷が活躍した日は、魂が震えるんですもの。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:19Comments(2)つれづれ