2024年04月07日
昭和おやじ VS 令和おやじ
スマホを持たない僕ですが、スマホに囲まれた風景には、もう慣れました。
最初は、違和感や嫌悪感もありましたが、これも時代の流れです。
郷に従わないまでも、黙認しています。
たとえば、駅の待合室や電車の中。
十中八九の人が、老若男女問わずスマホをいじっています。
「みんな、何を見てるのだろう?」
と気にはなりますが、僕は、それを横目に新聞を広げています。
たとえば、喫茶店やレストラン。
若いカップルが向かい合いながら、食事をしています。
が、会話はなく、2人ともスマホに夢中です。
「せっかくのデートなのに、それでいいの?」
なんて、お節介な心配をしますが、この光景にも慣れました。
僕は、文庫本を開きます。
スマホを見ようが、新聞を読もうが、それは個人の自由です。
他人に迷惑をかけなければ、誰も文句は言いません。
でもね、もし、それが、自分に害を被ってきたら、どうしますか?
いつもの店の、いつもの席で、いつものように至福の酒を楽しんでいる時でした。
カウンターには、気の置けない常連客が数人。
僕は、隣の客と、たわいのない世間話をしていました。
隣の客は同世代。
“昭和あるある話” が大好きな、昭和 (を引きずった) おやじです。
いつものように、昭和ネタで盛り上がっていました。
「そうそう、○○○○の奥さんだよね!?」
「ええと……、✕✕✕✕✕✕だ」
「そうそう」
なんていう他愛のない芸能人の話題です。
「♪ チャーラララ、……次、何だっけ?」
✕✕✕✕✕✕のヒット曲です。
「♪ チャーラララ? えーと、なんたらかんたら」
どーでもいいんです。
思い出せなくても、いいんです。
所詮、昭和おやじの酒のつまみですから。
「曲名、何だっけ?」
「えっ、……」
「あ~、思い出せない」
すると、話を聞いていたママが言いました。
「この、思い出しそうで思い出せないのが、いいんだよね。この間も芸能人の名前が出て来なくてさ、お客さんと大笑いしたのよ」
それで、いいんです!
我々、中高年は、この加齢による度忘れをゲームにして楽しんでいるのですから。
すると、話を聞いていたカウンターの隅にいた客 (同年配) が、なにやらスマホをいじり出しました。
イヤな予感がします。
以前にも、お節介な客が、度忘れゲームを楽しんでいた時に、頼みもしないのに勝手にスマホで検索をして、正解を告げられたことがありました。
これは、御法度!
絶対に、やってはいけないルール違反です。
推理小説を読んでいる人に、犯人を教えてしまうようなものです。
察知した隣の客が、スマホを手にした客に向かって、言いました。
「調べるのはいいけどさ。こっちに教えないでよ」
聞こえているのか、いないのか、隅の客は無心にスマホをいじっています。
「♪ チャーラララ……、何だっけ?」
昭和おやじたちは、まだ、あきらめていません。
と、その時です。
スマホをいじっていた客が、ポツリとつぶやきました。
「『△△△△△△△』 です」
シーーーーーーーーーン
一瞬、イャ~な空気が店内に流れました。
あ~あ、言っちゃった!
頼んでもないのに、言っちゃった!
我々の完全なる敗北です。
時代を読めない昭和おやじが、令和 (に馴染んだ) おやじに負けた瞬間であります。
あなたの周りにも、いませんか?
なんでもかんでも検索してしまう人?
生きにくい世の中になりました。
Posted by 小暮 淳 at 12:14│Comments(0)
│酔眼日記