温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2019年12月31日

原点回帰 ~平成から令和へ~


 思えば今年は、平成から令和へと改元された大きな時代の節目の年でした。

 ついつい目先のことばかりに振り回され続けた1年だったので、世の中のことに無頓着になっていたような気がします。
 それでも今年は、時代の節目を感じる大きな出来事が、たくさんありました。


 なんといっても度重なる台風の上陸で、全国で甚大な被害が出ました。
 また高齢者ドライバーによる相次ぐ死亡事故。
 SNSを利用した誘拐事件の多発。
 両親や親の交際相手から暴力を受けて、犠牲となる幼い命。
 京都では、アニメスタジオが放火され、未来ある多くの若い命が失われました。

 かんぽ生命の不正、ゆがむ長期政権、国会議員の逮捕など、この国の行く末が危ぶまれるニュースが多い中、国民が歓喜した出来事といえば、アジア初開催のラグビー・ワールドカップでの日本チームの大活躍です。
 「ワンチーム」 は、今年の流行語大賞にもなりました。


 そんな中、僕が最も注目したニュースがありました。
 それは、コンビニエンスストアの時短営業です。
 ついに、“24時間神話” の魔法が解けたようです。

 日本で最初にコンビニが誕生したのが昭和48年(1973) ですから、魔法の効力は半世紀と持たなかったことになります。


 なぜ、このニュースに敏感に反応するのかといえば、僕はかつてコンビニの店員をしていたことがあるからです。
 今から36年前のことです。
 それも群馬県初のコンビニチェーンです(セブンイレブンではありません)。
 まだ 「コンビニ」 という略語すらない時代のことです(新聞記事等は、CVSと略していました)。

 そして消費者には、なかなか “24時間営業” という人知を超えた労働時間を信じてもらえない時代でした。
 ※(当時のエピソード等は、当ブログの2019年4月6日 「街は眠りたい」 を参照ください)


 人間は、便利を1つ手に入れると、大切なものを1つ手放すといいます。
 人間が人間らしく生きていられた時代が、なつかしく思えてきたのかもしれませんね。
 今なら、まだ間に合うと……

 令和は、“原点回帰” の時代なのかもしれません。


 今年も一年間、お付き合いいただき、ありがとうございました。
 来年もよろしくお願いいたします。
 良いお年、素敵お正月をお迎えください。

                       令和元年  大晦日
   


Posted by 小暮 淳 at 12:57Comments(0)つれづれ

2019年12月30日

順不同の10大出来事


 例年ですと年末に、その年の 「私的10大ニュース」 というのを発表しているのですが、今年は大きな “別れ” が3つもありまして、振り返れば、その3つの出来事に振り回された1年でした。

 ので今年は、父親と母親と愛犬の死が、順不同のトップ3とさせていただきます。

 でも、1年365日は長い!
 3つの出来事に振り回されながらも、いろいろな事がありました。
 これまた順不同ではありますが、思いつくまま4~10位までを記載してみます。


 <イベント・ライブ> 
 ●1月
 三重県四日市市の銀行にて出張講演。「温泉はもっと楽しめる」 と題して、新人研修セミナーの講師をしました。我が人生で最長の3時間というハードな内容でした。
 ●5月
 ヤマダグリーンドーム前橋にて、来年開催される大型観光企画 「群馬デスティネーションキャンペーン(DC)」 のプレレセプションに “歌手” として呼ばれ、約50人の温泉旅館の女将さんたちの踊りをバックに、群馬の温泉応援歌 『GO!GO!温泉パラダイス』 を熱唱しました。ゲストは、群馬観光特使の中山秀征さんと井森美幸さん。
 ●11月
 僕が代表を務めるNPO法人 「湯治乃邑(くに)」 の第4回公開パネルディスカッション 「湯治場の復活を考える」 を高崎市にて開催。今年のゲストパネラーは、渋川伊香保温泉観光協会会長の大森隆博さんでした。

 <任命・受賞>
 ●4月
 群馬県酒造協同組合より 「ぐんまの地酒大使」 に任命され、高崎市のホテルで開催された委嘱式に出席しました。これで “大使” と名の付く役職は6つになりました。
 ●12月
 観光ガイドブック 『d design travrl』 より、「群馬県らしい人部門」 に認定され、受賞しました。県内で4人のうちの1人です。

 <著書関連>
 ●7~8月
 昨年出版した 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』 の表紙画展を開催。戸田書店高崎店にて、イラストレーターの栗原俊文氏の原画と、表紙の装丁ができるまでのパネル展示をしました。来年も巡回展を続けます。
 ●9月、10月
 今年は講演の多い年でしたが、うち2回は民話をテーマにした講話でした。温泉の話も楽しいのですが、民話や伝説の謎学話も話していて、とっても楽しいことに気づきました。


 以上、取りとめもなく、思いつくままに挙げた今年の主な出来事でした。

 さて、いよいよ今年も、もう2つ寝るとお正月です。
 どんな新しい年が、やって来るのでしょうか?
 ワクワクしながら迎えたいと思います。
  


Posted by 小暮 淳 at 13:18Comments(0)つれづれ

2019年12月29日

素敵な御歳暮


 「もらってうれしい物」 の第1位は、ダントツ “酒” であります。
 酒ならば、ビールでも日本酒でも焼酎でも、何でも大歓迎です。

 2番目にうれしい物は?
 “活字” であります。
 活字であれば、新聞でも雑誌でも何でも好きなのですが、やっぱり、もらってうれしい物となれば、“書籍” ということになります。

 ただ、書籍ならば何でも、うれしいわけではありません。
 ズバリ、その人が書いた “著書” です。
 著書であれば、ジャンルは問いません。
 たとえ、自分にとって苦手なジャンルでも、僕のことを思って、くださった本ですから、僕もその人を思いながら読む楽しみが生まれます。


 素敵な御歳暮が届きました。
 熨斗(のし) は付いていませんでしたが、<日頃お世話になっております小暮様に> という一文が添えられていましたから、たぶん、これは御歳暮だと思います。

 包みの中身は、著書でした。


 贈り主は、僕がお世話になっているテレビ番組の構成作家さんです。
 氏は、とても博識で、番組の会議以外でもメールのやりとりをしながら、僕に適切な助言をしてくださいます。
 時には、「その資料ならば、○○図書館にあります」 という、こと細かな情報まで。

 そんな氏の最新刊のタイトルは、『鎌倉街道 平成に歩く』。
 自称、「歴史勉強家」 「街道勉強家」 の氏が、群馬県高崎市から神奈川県鎌倉市までの約140kmを、約1年かけて自分の足で踏破した記録です。

 氏いわく、「迷ったら、足に聞け!」

 この言葉は、埋没している街道を探すときに必要となった感覚だといいます。
 鎌倉街道には、完全に消えている道筋がいくつもあり、何度も足が止まります。
 そんなとき、一筋裏の道をのぞくと、街道の香りを感じる道が見つかるのだといいます。


 僕の取材スタイルも、基本は徒歩です。
 “アンチ車派” で、可能な限りは電車とバスを乗り継ぎ、自分の足で探します。

 この著書は、そんなこだわりを満たしてくれる1冊です。
 そして著者は、歴史の跡を探しながら、街道風情を楽しみながら、ただひたすらに鎌倉を目指して歩き続けます。


 歴史ファン、街道ファン、ウォーキングファンに、おすすめいたします。

 ●『鎌倉街道 平成に歩く』 さきたま出版会
  塩澤 裕・著 2,200円+税
   


Posted by 小暮 淳 at 12:31Comments(2)つれづれ

2019年12月28日

H納め


 読者のみなさん、勘違いしないでくださいね。
 「H」 は、「エッチ」 ではなく 「エイチ」 と読みます。

 そう、ご存じ、僕らのたまり場、酒処 「H」 のことであります。


 今年も押し詰まってきました。
 大そうじは、まだ何も手をつけていませんが、それ以外の年内予定は、すべて終えました。
 喪中ハガキは、出しました。
 新年号の連載原稿も書き上げました。

 あれもこれもメモ用紙に書き出しては、消し込んで、「これで今年は完璧だ!」 と思った途端、ある忘れ物に気がつきました。
 そうです!
 “H納め”です。

 嬉しいこと、楽しいこと、悲しいこと、疲れたとき、落ち込んだとき、自分をほめてあげたいとき、いつだって僕をやさしく受け入れてくれる 「H」 への、今年最後のごあいさつが終わっていませんでした。

 ということで、寒風吹く中、「H」 ののれんをくぐったのであります。


 「今年も一年、大変お世話になりました」
 一番乗りでカウンターに腰を下ろすと、ママの開口一番は、
 「たぶん、ジュンちゃんの読者だと思う人が来たよ」
 「読者?」
 「たぶんね。この本を見て、『ここだったのか!』 って、ニヤニヤしていたもの」

 店内には、僕の著書が数冊、展示されています。

 「たぶんって、その人に訊かなかったの?」
 「だって、貸切の団体さんの一人だったから」


 以前、ブログにも書きましたが、“HのHは秘密のH” なのであります。
 確かに 「H」 は、店名の頭文字ではあるのですが、まさかここが 「H」 だとは、店に入るまでは誰も気づかないようです。
 しかも、イチゲンさんは、なかなか入りにくい小さな小さなお店なのです。

 「地元の人でもね、ここに店があることを知らない人が、けっこういるんだよね」
 と、ママは笑います。
 だからこそ、たどり着いた時のよろこびも、ひとしおなんでしょうね。

 一度、カウンターに座ったら、誰もがママと店と常連客のファンになってしまいますもの。


 「今年もお世話になりました。はい、乾杯!」
 「こちらこそ、カンパーイ!」
 僕とママと2人だけの忘年会が始まりました。

 が、それは束の間です。

 やがて、1人、2人、……3人、4人と常連客が顔を出して、あっという間に今宵もカウンターは満席です。


 みなさん、来年も楽しく飲み明かしましょうね!
 カンパーーーーーイ!!!!!
  


Posted by 小暮 淳 at 12:14Comments(0)酔眼日記

2019年12月27日

あぶない話


 「ここだけの話ですよ」
 そう小声で言いながら、僕は唇に人差し指を持っていきます。
 これは講演やセミナーなどで、時々使う話術の1つであります。

 “ここだけの話”

 そう、新聞、雑誌、著書には、絶対に書けない話というのがあります。
 いわゆる取材で出合った 「あぶない話」 です。

 たとえば、有名人や芸能人がお忍びで泊まりに来る宿、難病が治ったという神がかりな湯、消毒や衛生面にかかわる話、旅館の裏事情、犯罪や事故、タブーなどなど、モラルやプライベートに関する事柄は、一般メディア では紹介できません。
 これらの話を唯一、披露できるのが “ライブ” なのです。


 今より若い頃、取材で仕入れた面白いネタを何でもかんでも書いて、新聞社や雑誌社に送っていたことがありました。
 でも、さすがに相手は編集のプロです。
 「信憑性がない」 「裏が取れていない」 「薬事法に抵触する」 といった理由から、たびたび原稿がボツになりました。

 でも根も葉もないウソではありません。
 温泉地では、そんな話が、まことしやかに伝わっているのです。
 いつか書きたい!
 書けないのならば、話したい!

 そんな僕の願いを叶えてくれたのが、講演やセミナーなどの直接、読者と触れ合える場でした。


 過日、講演を終えて、会場の隅で荷物の片づけをしている時でした。
 中年の女性から声をかけられました。

 「とっても楽しかったです。ありがとうございました。はい、これはファンレターです」
 と、封筒を手渡されました。
 講演中に書いたようで、手紙には、その日の話の内容についてのコメントがビッシリと書かれていました。
 そして最後に、こんな、ひと言が書き添えてありました。

 <これからもっと、あぶないお話を拝聴したいです。楽しかった!>

 これぞ、ライブの醍醐味ですね。


 来年も、たくさんの町へ出かけて、一人でも多くの人に温泉の魅力を語り伝えたいと思います。
 もし、僕が唇に指を当てて、小声になったら、ぜひ、お聴き逃がしなく!

 あぶない話の、はじまりです。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:31Comments(2)講演・セミナー

2019年12月26日

Good-by 2019


 今年も余すところ、1週間を切りました。
 みなさんにとって、どんな年でしたか?

 毎年発表される 「今年の漢字」。
 今年は、「令」 でした。
 令和元年だから 「令」 というのも、あまりにも直球でヒネリがなくて、拍子抜けした人も多かったのではないでしょうか?

 振り返れば、風害や水害など、相変わらず天災による被害が多かった日本列島でした。
 「災」 の字が思い浮かびますが、実は昨年が 「災」 だったのですね。
 2年連続、同じ漢字というのもいただけないという理由なのかもしれません。


 さて、そろそろ僕も恒例の 「今年の漢字」 を発表しなくてはなりません。
 昨年は「話」 でした。
 一昨年が 「活」、その前の年が 「奔」、4年前が 「労」 でした。
 疲れて、走り、動き回り、やっと語り始めた人生でした。

 でも人生は、いつなんどき、どのように展開するのかは、誰も知るよしもありません。
 それが運命や宿命ならば、避けて通ることはできません。

 今年ほど、悩まずに 「今年の漢字」 を決めた年もありませんでした。

 今年の漢字は、「別」 です。


 2月に父親を、5月に母親を、そして9月に愛犬を見送りました。
 大きな別れが、いっぺんに、やって来た年でした。

 ただ救いは、これらの別れに対して、微塵も後悔がないということです。

 若い頃に犯した “親不孝” は、10年にわたる “介護” という刑期により、呵責は取り除かれました。
 また愛犬に対しても、最期まで添い遂げ、この手の中から旅立たせることができました。

 オヤジ94歳、オフクロ91歳、マロ13才
 見事な一生をまっとうしたと思います。


 さて、6日後には新しい年を迎えます。
 来年は、出合いの多い年でありますように!
    


Posted by 小暮 淳 at 11:21Comments(0)つれづれ

2019年12月24日

思わぬクリスマスプレゼント


 < 『dマークレビュー』 の受賞、おめでとうございます。>
 突然、賞状が贈られてきました。


 みなさんは、覚えていますか?
 2年前、2017年11月に出版された観光ガイドブック 『d design travel 群馬』(発行/D&DEPARTMENT PROJECT) で、僕が 「群馬のキーパーソン」 に選ばれ、記事として掲載されたことを。
 「温泉は群馬の宝もの」 というタイトルで、僕の活動が見開きで大きく紹介されました。

 記事には、こんなことが書かれていました。

 1.群馬県内5ヵ所の “名湯観光大使”。
 タウン誌の編集長を経て、現在温泉ライター。
 知見と思わず出かけたくなる紹介文とで、温泉にまつわる著作を9冊刊行。

 2.元ミュージシャン。
 ライブや講演も行う “温泉アーティスト”。
 その名も 『GO!GO!温泉パラダイス』。
 歌詞には、もちろん法師温泉や四万温泉など。

 3.NPO法人 「湯治乃邑(くに)」 を立ち上げ、群馬県の温泉を守っている。
  源泉一軒宿の再興など、リハビリや介護施設と連携し、温泉本来の湯治機能を現代に伝える。

 
 あらためて読み返してみると、なかなか照れくさい内容ですが、しっかり取材されています。
 インタビュー当日は、真夏の猛暑日でした。
 わざわざ東京から前橋くんだりまで、編集者とライター、そして編集長までが訪ねて来てくださったのを覚えています。
 ※(当ブログの2017年9月3日 「される側の心理②」 を参照)

 そして本では、僕のことを 「群馬のキーパン」 の1人として紹介してくださいました。


 <群馬県らしい人部門 小暮淳>
 47都道府県を舞台に、“その土地らしさ” を選び出すトラベルガイドブック 「d design travel」 が認定。

 賞状には、そう書かれていました。


 思わぬクリスマスプレゼントが届きました。
 ありがとうございます。

 湯の国ぐんまの “群馬県らしい人” として、これからも大いに群馬の魅力を発信していきたいと思います。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:08Comments(2)温泉雑話

2019年12月23日

300万の生活費


 ♯忘年会スルー

 近年は、あからさまに忘年会を拒否する若者が増えているようですね。
 会社が強制する忘年会は、やはり “パワハラ” の一種なのでしょうか?
 確かに、上司の説教や同僚のグチがオンパレードの飲み会ならば、遠慮したいものです。


 僕の場合、フリーランスになってからが長いので、組織からの強制的な忘年会というのは、もう何十年とありません。
 仕事関係にしても、気の知れたクリエーターたちとの飲み会ですから和気あいあいです。
 ただ、ここ数年は、いろいろな役職をいただいているので、初めてお会いする人たちと酒を酌み交わす場が増えました。
 その日一夜のことなので、どんな人と出会ったとしても、たいがいは、その後の付き合いはありません。

 後日、名刺の束を見て、「この人、誰だっけ?」 と思い出せない人たちばかりです。
 ただ、先日は、キョーレツにインパクトのある人との出会いがありました。


 某会合とだけしか申し上げられません。
 「小暮さんに紹介したい人たちがいます」
 とだけ告げられ、知人に連れられて参加しました。

 集まったのは、老若男女が10名ほど。
 知り合いは、その知人だけでした。
 大きなテーブルを囲んで、自己紹介の後、宴が始まりました。

 どんな、いきさつだったのかは忘れましたが、男性陣は女房のグチ話で盛り上がっていました。
 「まったく、亭主をなんだと思っているんだ」
 「俺の言うことなんか、聞きやしないよ」
 なんていう他愛ない内容でした。

 すると、隣の席の男性が、僕に耳打ちするように言いました。
 「女房なんて、300万もくれておけば、何も文句なんて言いませんよ」

 「えっ? 300万?」
 「そうですよ、月に300万も生活費を渡せば、いいだけの話です」

 月だーーーーっ!!! 年の間違いじゃないのか?
 こいつは、何者なんだ?

 こっそりと、先ほど交換した名刺を見ると、どうも不動産関係の会社の社長さんのようですが、名刺を裏返してみて、納得しました。
 ビーーーッシリとグループ会社の名前が並んでいたのです。
 でも、お顔を見れば、まだお若いようです。

 「ハハハハ、でしょうね。私には、できませんけど」
 と言葉を返すのが、精一杯でした。


 後日、友人に、このことを話すと、
 「だろうね。うちのカカアだって月々300万ももらえば、オレにあんな態度はとらないよ」
 と腐っていました。そして 「まさに、格差社会だ」 とも。

 でもね、僕は、こうも思いました。
 月々300万円あれば、現在かかえている家庭内の悩みは解消されるかもしれません。
 でも、きっと新たな、お金では解決できない悩みやトラブルが生まれるのではないでしょうかね。

 いえ、絶対そうです!
 そうでないと貧乏人は、いつまで経っても金持ちに勝てませんもの!

 負け惜しみかもしれませんけど……
 (ああ、月々300万円の生活費なんて、宝くじを当てるより難しそうです)
   


Posted by 小暮 淳 at 11:50Comments(3)つれづれ

2019年12月22日

のんびり突っ走れ!


 ロック界のスーパースター、矢沢永吉さんがインタビューで、こんなことを話してました。
 「60歳を過ぎると、人生は真っ二つに分かれる。のんびり生きようとする人と、そのまま突っ走る人。もちろん俺は、後者だけど」
 古稀を迎えた現在でも、第一線で活躍する永ちゃんならではの言葉です。


 はて、自分は?
 と問えば、やはり 「突っ走るしかない」 のであります。
 ただし、スーパースターとは事情が違います。

 本音を言えば、“のんびり” と生きていたい。
 でも現実が、それを許してくれません。

 童話 「アリとキリギリス」 になぞれば、僕は完璧にキリギリスです。
 若い頃から未来を夢見たことはあっても、将来を考えたことがありませんでした。
 カッコつけて言わせてもらえば、「今を夢中に生きる」 の連続でした。
 その時々を、おもしろ楽しく過ごすことばかり考えていました。

 そして気が付いたら、この年齢になっていました。
 だからスーパースターが言うような “60歳” という線引きもありません。
 ただ、ひたすらに、今歩いている人生(みち) を、これからも歩き続けるしかないのです。


 でも、今までのようには行かなくなっています。
 “老い” という壁が立ちはだかっています。

 スーパースターは言います。
 「耳は遠くなるし、目は見えなくなる。それを楽しんじゃうのよ」
 さすが、YAZAWA BIG!


 そこで僕は考えました。
 2つの生き方のイイトコ取りは、できないものかと?

 肉体は、のんびりと。
 精神は、突っ走る。


 人生100年時代の生き方が、問われています。 
  


Posted by 小暮 淳 at 12:02Comments(0)つれづれ

2019年12月21日

納話


 今週、前橋市内のホテルで、さる法人会が主催するセミナーがあり、講師として温泉の話をしてきました。
 「おはようございます」
 マイクを握り、第一声を発した途端、声がーーーー!!!!

 あれ?
 声が思うように出ません。
 かすれています。
 少々風邪気味ではありましたが、こんなことは初めてです。
 それでもなんとか、ハスキーボイスのまま、約1時間のセミナーを無事終えてきました。

 これにて、2019年に予定されていたすべての講話を終了いたしました。


 思えば今年は、例年になくノドを酷使した一年でした。
 講演、講座、セミナーと名が付く会場へ足を運んだ回数は、34回もありました。
 その他、イベントやライブなどの出演を入れると40回を超えます。

 特に今年は、来年群馬県で開催される大型観光イベント 「群馬デスティネーションキャンペーン」 のプレイヤーということもあり、群馬の応援ソングを歌っているシンガー(?) としても、多くのステージに立たせていただきました。

 やっぱり、ノドを酷使した年だったようです。


 でも、その分、いろんな土地へ行けたし、たくさんの人たちにも出会えました。
 近くでは、我が家から自転車で行ける距離にある公民館での高齢者向け講座から、遠くは、三重県四日市市の銀行で開催された新人研修のためのセミナーまで、“遠近混交” のバラエティーに富んだ講話内容で、飽きることがありませんでした。

 また今年は、昨年 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) を出版したこともあり、民話をテーマとした講演を頼まれた会場が2ヶ所ありました。
 テレビやラジオで民話の話をする機会が増えたのも今年からです。
 温泉の話も楽しいのですが、民話や伝説などの不思議な話も大好きなので、こちらも大いに楽しませていただいています。


 さて、今年も残り少なくなりました。
 来年は、どんな場所で、どんな人たちと出会えるのでしょうか?
 とても楽しみです。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:31Comments(0)講演・セミナー

2019年12月20日

七不思議の再放送


 <どんな土地にも年輪があり、古き良き暮らしがあった。
  大合併で、記憶が日々に遠のいてゆく群馬県。
  そこには、今残さなければならない遺産がある。
  二度と聞けなくなる証言がある。>

 こんなナレーションで始まる群馬テレビの 『ぐんま!トリビア図鑑』。
 低音の渋い声で語るのは、伝説のロックバンド、元BOOWYの松井常松さんです。

 僕は、この番組のスーパーバイザーを務めていますが、時々、番組にもナビゲーターとして登場しています。
 その時の役柄は、“ミステリーハンター”。
 県内の不思議でユニークな謎を追い続けています。


 今週の火曜日に放送された最新トリビアでは、旧黒保根村に伝わる七不思議を紹介しました。
 <牛石、亀石、かんたん石、水晶山、土門、弘法水、円座栗>
 いったい、これらは何を意味するのでしょうか?

 番組を観た人は、すでにお分かりですね!
 えーーっ、うっかり、観るのを忘れてしまったってーーーッ!!!!

 でも、ご安心ください。
 再放送があります。
 ※(番組中に流れる 「ガメラのマーチ」 は必聴ですぞ!)
 見逃した人は、ぜひ、ご覧下さい。



     令和の世に語り継がれる七つの不思議~黒保根編~
 ●放送局  群馬テレビ(地デジ3ch)
 ●再放送  12月21日(土) 10:30~10:45  12月23日(月) 12:30~12:45
  


Posted by 小暮 淳 at 11:25Comments(0)テレビ・ラジオ

2019年12月18日

馬頭温泉 「南平台温泉ホテル 観音湯」


 “元祖 美人の湯”
 その刺激的なコピーに誘われました。

 元祖があるなら、本家も始祖も発祥もあるのだろうか?
 そもそも 「美人の湯」 とは、なんぞや?


 日本には 「三大美人の湯」 といわれる温泉があります。
 川中温泉(群馬県)、龍神温泉(和歌山県)、湯の川温泉(島根県) です。
 この3つの温泉に、共通の泉質はありません。
 では、なぜ、この3つの温泉が 「美人の湯」 と呼ばれるようになったのでしょうか?

 出典は大正~昭和にかけて発行された 『温泉案内』(鉄道省編) という冊子にあります。
 これに 「色を白くする湯」 という項目があり、3つの温泉地の名前が掲載されています。
 決して “美人になる湯” と書かれているわけではありません。

 でも昔から肌の美しさは、美人の条件に欠かせないものでした。
 そこで、美白→美肌→美人となったようです。


 その “元祖” だといいます。
 いかがな湯なのでしょうか?
 ということで昨日は、僕が講師を務める野外温泉講座にて、その検証のために馬頭温泉(栃木県) へ行ってきました。

 最初に源泉を掘り当てたのは、ホテルの創業者でした。
 昭和48年(1973) のことですから 「日本三大美人の湯」 よりは、だいぶ後発の温泉地だといえます。
 それでも “元祖” にこだわるのは、そのアルカリ度の高さゆえなのでしょう。
 水素イオン濃度を示すPH値は、9.6です。
 群馬県内の温泉でいえば、真沢(さなざわ)温泉(みなかみ町) と同レベルの高濃度です。
 真沢温泉も地元では、「美人の湯」 と呼ばれています。
 ※(群馬県内には、さらに高濃度のアルカリ性温泉があります)


 「うわ~、ウワサどおりのヌルヌルですね~!」
 受講生たちは湯舟の中で、体をさすりながら、はしゃぎます。
 「真沢の湯に近いですね」
 とは、古参の受講生。
 さすがです!
 ピッタリとPH値まで一致しています。

 「先生、私が誰だか分からないでしょう? キレイになり過ぎて!」
 湯上がりに女性の受講生が、すり寄ってきました。
 「あっ、本当だ! あんまり若くて美しくなっちゃって、気づきませんでしたよ(笑)」

 でもね、必ずしも 「美人の湯」 = 「若返りの湯」 ではありませんからね。
 美しい人は、より美しく。
 そうでない人は、それなりにです。


 さて、今年も1年間、この講座では県内外の名湯・秘湯をめぐって来ました。
 来年は、どんな湯にめぐり合えるのでしょうか?
 楽しみにしています。
  


Posted by 小暮 淳 at 16:11Comments(0)温泉地・旅館

2019年12月16日

さよなら時間泥棒


 “スマホ断ち” をしている人 (男性・30代) の話を聞きました。

 彼は、それまでのスマホ使用時間が、1週間で27時間を超えていたと言います。
 ある日を境に、電話とメール機能以外は、スマホに触れないことにしました。
 そしたら、なんと! 1週間の使用時間は、たったの7分だったそうです。

 失った時間が、1日に3時間半以上も戻って来たことになります。

 大きな変化が、2つあると言います。
 1つは、奥さんの帰りが遅い日は、いつも外食をしていたそうですが、仕事帰りにスーパーに寄って、自炊をするようになりました。
 もう1つは、読書です。
 1年間で1~2冊だった読書量が、すでに1ヶ月で3冊の本を読んだと嬉しそうに話します。

 「不便ではないですか?」
 の問いに、
 「スマホを持つ前に戻っただけです。ネット検索や重要なメールのやりとりは、仕事場のパソコンでできますから」
 と彼は、“スマホ断ち” のススメをしています。


 その昔、洗濯は、たらいと洗濯板を使って、手で洗っていました。
 それが洗濯機の登場により、大変楽になりました。
 その昔、用件の伝達は、直接会いに行くか、手紙を出すしか方法はありませんでした。
 それが電話機の登場により、自宅に居ながらにして用を足すことができるようになりました。

 それだけではありません。
 冷蔵庫やガス湯沸かし器、クーラー、ファクシミリ、電子レンジなどなど、便利になることにより私たちは、それまでに費やしていた膨大な時間を手に入れてきました。
 便利になるとは、そういうことだったのです。

 ところが、ここに来て、真逆の現象が起きています。
 便利さが、人間から時間を奪っています。

 いま、“スマホ断ち” をする人たちが増えています。
 盗まれた時間を取り戻すために……


 僕はガラケーなので、10年前も今も、なんにも変わっていませんけど。
   


Posted by 小暮 淳 at 17:52Comments(5)つれづれ

2019年12月15日

湯の国ぐんまは絶好調!


 なんだかんだ、あーだこーだと草津町の話題が、週刊誌やテレビのワイドショーをにぎやかしているようですね。
 「草津温泉は、大丈夫ですか?」
 なんて、揶揄して言う人がいますが、

 だいじょーぶ、です!!!

 草津温泉は、イコール草津町ではありません。
 町長が誰であれ、町議がどんな人であれ、湯がある限り “天下の名湯” は不滅なのであります。


 先日、宿泊予約サイト 「じゃらんnet」 を運営するリクルートライフスタイル(東京都) による 『じゃらん人気温泉地ランキング2020』 が発表されました。
 これによれば、「もう一度行ってみたい温泉地」 で草津温泉が5年連続の2位になりました。
 ※ちなみに1位は14年連続で箱根温泉(神奈川県)。
 草津温泉は、「一度は行ってみたい『あこがれ温泉地』」 でも5年連続で3位に入っています。

 では、他の群馬県勢はランクインしているのでしょうか?
 はい、4つの温泉地が大健闘をしています。
 ベスト50位以内に入ったのは、伊香保温泉(渋川市) が23位、万座温泉(嬬恋村) が27位、四万温泉(中之条町) が41位、みなかみ18湯(みなかみ町) が48位で、いずれも順位を上げています。

 さすが、“湯の国ぐんま” であります!
 あっぱれ、温泉大国群馬県!


 ところで、みなさんは気づかれましたか?
 手前味噌にはなりますが、この上位5つの温泉地のうち、僕は3つの温泉地の 「温泉大使」 を務めています。
 伊香保温泉と四万温泉とみなかみ18湯です。

 しかも四万温泉のある中之条町の 「観光大使」 でもあり、“みなかみ18湯” の名付け親でもあります。
 だもの、この群馬県勢の躍進は、我が子たちが全国に認められたようで、うれしくて、うれしくて……


 いよいよ来年は、群馬が舞台となる大型観光イベント 「群馬デスティネーションキャンペーン(DC)」 が開催されます。
 全国の温泉好きのみなさーん、湯の国ぐんまに、いらっしゃ~い!
  


Posted by 小暮 淳 at 10:50Comments(0)大使通信

2019年12月14日

街を渡る酔っぱライター


 今年4月、僕は群馬県酒造協同組合より 「ぐんまの地酒大使」 に任命されました。
 任命されるきっかけとなったのが、高崎市のフリーペーパー 「ちいきしんぶん」(発行・ライフケア群栄) に不定期連載している 『群馬の地酒 ほろ酔い街渡(ガイド)』 という旅エッセイでした。

 このエッセイは、ただの酒蔵紹介ではありません。
 必ず試飲をするため、車では行きません。
 電車とバス、徒歩で訪ねます。

 これだけだと、ただの “タダ酒飲み” に思われそうですが、さにあらん!
 まだ続きがあります。

 酒蔵で試飲をした後、その試飲した酒が置かれている高崎市内の居酒屋へ移動します。
 もちろん移動手段は、電車とバスと徒歩です。
 途中に入浴施設があれば立ち寄り、ひと汗流して、湯上がりのビールで喉をうるおします。

 いざ、夜の街へ!

 街から街へ、酔っぱらいながら取材をするので 『ほろ酔い街渡』 とネーミングしました。


 昨日は久しぶりに、このエッセイの取材に出かけてきました。
 場所は、県南西部の街の中。
 最寄の駅から歩いて、蔵元を目指しました。

 代表より創業からの歴史や酒造へのこだわりを聞いた後、お約束の試飲タイムへ!
 代表のはからいにより、試飲のレベルを超えた量の新酒をグラスで一杯!
 かんらかんら! 五臓六腑に染み渡ります。

 テンション上げ上げのまま、電車に飛び乗り、日没前に高崎市内の居酒屋へ。
 迷わず、同銘柄の日本酒を注文。
 メニューはおまかせで、「この酒に合う肴を」。


 酔えば酔うほどに、頭が冴えて、文章が浮かび上がってきます。
 まるで、ジャッキー・チェンになったよう。
 酔えば酔うほど強くなる 「酔拳」 ならぬ、ライターの必殺技 「酔筆」 であります。


 2軒目からは、もう仕事ではありません。
 同行のカメラマン氏と肩を組みながら、夜の街へと消えましたとさ。
 めでたし、めでたし。

 ※次回 「ほろ酔い街渡」 は、新年1月10日発行の 「ちいきしんぶん」 に掲載されます。
    


Posted by 小暮 淳 at 11:19Comments(0)取材百景

2019年12月13日

ぬるくとも効能あつき湯


 「先生のお名前を、どこかで拝見したことがあると思ったら、私が持っている民話の本の著者でした。今日は、民話ではなく、温泉のお話をしていただきます」
 と、館長から紹介がありました。

 昨日は高崎市内の公民館で、女性のみを対象とした講演を行ってきました。


 今年も残りわずかとなりました。
 公私共にあわただしい年でしたが、講演やセミナーの講師として呼ばれることの多い年でもありました。
 振り返れば、県外への出張セミナーあり、企業の研修あり、団体や自治体からのイベント出演ありと、多忙ながらも充実した楽しい年でした。

 講師として呼ばれた会場で、一番多かったのは市町村や地区の公民館です。
 その規模は、さまざまです。
 畳の部屋で10数名を対象に座談会のように話すこともあれば、大きなホールで何百名の聴講者を相手に話すこともありました。
 そんな中で今年一番、印象に残った会場があります。

 真夏に行った県内中部の某公民館での講演です。
 気温は35度越えの猛暑日でした。
 会場に着くなり、職員が駆け寄って来ました。

 「申し訳ございません! 館内のエアコンが故障してしまいました」

 ということで、会議室の窓を全開にして、4台の扇風機を回しながらの講演となりました。
 講師は汗だくになりながら、タオルで顔を拭き拭き。
 受講者は、ペットボトルで水分補給しながらのガチンコ対決です。

 そんな中で温泉の話をしても、まったくもって説得力がありません。
 誰も温泉に入りたいとは思いませんものね。

 そこで、とっさに講義の内容を変更しました。
 「夏に入りたくなる温泉があります。それは “ぬる湯” です」

 “ぬる湯” とは、40度以下の体温と変わらない低温の温泉のことをいいます。
 昔から 「持続浴」 とか 「微温浴」 と呼ばれる長時間入浴する湯治療法に用いられてきました。
 ぬるい湯は長く入浴ができるため、温泉の薬効成分が肌から吸収されやすく、皮膚病などに効く温泉が多いのも特徴です。

 また長湯により血行が良くなり、老廃物や疲労物質が排出されるため、精神の鎮静作用が高いといわれています。
 ノイローゼやヒステリーなどの効能を表示している温泉もあります。

 ところが、この “ぬる湯” は現在、絶滅の危機に瀕しています。
 微妙な温度のため、客からのクレームを恐れて加温してしまう宿が多いからです。
 だから、頑として “ぬる湯” を貫いている宿は、湯に歴史があり、昔ながらの湯治場風情が残り、腕の確かな湯守(ゆもり) がいる宿だといえるでしょう。


 さてさて、今年も暖冬だとは言われていますが、それでも師走の声を聞いた途端、朝夕はめっきり寒くなりました。
 一年で最も温泉が恋しくなる季節の到来です。

 まだ年内に講演の依頼があります。
 でも話のテーマは “ぬる湯” ではなく、体の芯から温めてくれる “熱の湯”に変更したいと思います。

   


Posted by 小暮 淳 at 10:38Comments(2)講演・セミナー

2019年12月11日

宝川温泉 「汪泉閣」⑦


 「グラフぐんま」(企画/群馬県、編集・発行/上毛新聞社) というグラビア雑誌をご存知ですか?
 たぶん、群馬県民なら一度は見たことがあると思います。
 県内の銀行や公共施設には、必ず閲覧用に置かれている雑誌です。

 僕は、この雑誌に2年前から 『ぐんま湯けむり浪漫』 という記事を連載しています。
 最新の12月号で、第24回を数えます。
 そして、迎える新年号は?

 「県から、雪の露天風呂シーンが欲しいとの要望がありました」
 との相談が、前回の打ち合わせ時に担当編集者からありました。
 長年、雑誌の編集に係わっていますが、この“季節感の要望” というのが、一番の悩みのタネであります。

 そう、月刊誌にしろ、季刊誌にしろ、取材するのは発行の数ヶ月前なのです。
 「桜の写真が欲しい」 と言われても、取材するときは完全につぼみの状態です。
 雪だって、この暖冬では期待できません。
 ので、取材日を引っ張って、引っ張って、現地の様子をうかがっていました。

 そしたら先週、「みなかみ町で積雪15cm」 の報告が入りました。
 「だったら、さらに奥の豪雪地帯で知られる藤原地区なら30cmは積もっただろう!」
 とスケジュールを組んで、本日、宝川温泉へと行ってきました。

 ところが……

 暖かい!
 持参したコートを一度も着なかったぐらい暖かいのです。

 そして案の定、どこを探しても雪はありません。
 遠く眺める谷川岳が、わずか山頂部分に雪化粧をしているだけです。

 ということで、グラビアのカメラマンには後日、出動していただくことにして、僕と編集者、そして地元の観光協会職員に同行してもらい、取材を進めることになりました。


 宝川温泉といえば、“天下一” と称される巨大露天風呂です。
 4つある露天風呂の総面積は、約470畳分!
 そのスケールは、川と見まがう大きさで、かつて温泉評論家たちが選ぶ 「全国露天風呂番付」 で、“東の横綱” の地位にに輝いたことがあるほどです。

 でも、“天下一” と称される理由は、大きさだけではありません。
 このサイズの露天風呂が、加温なしで、完全放流式(かけ流し) であることです。
 それができるのも温度と、そして毎分約1,800リットルという恵まれた湯量があるからであります。


 入浴シーンの撮影は、2番目に大きい(120畳) の 「摩訶の湯」 で行いました。
 いつもは、著者1人での入浴が多いのですが、今回は同行した観光協会職員の男性にも一緒に入ってもらいました。

 すでに、ご存じの方もいるかもしれませんが、ここの露天風呂は混浴(1つ女性専用あり)ですが、今年から男性も 「湯浴み着」 の着用が義務付けられました(女性は3年前から)。
 僕は今までの取材では、いつも全裸だったので、なんとも違和感のある撮影でした。

 でも今のご時世、外国人観光客も増え、スマホによる盗撮が多発している現状を考えると、仕方がないのかもしれませんね。
 温泉ファンとしては、さみしい限りであります。
 いずれ日本から(着衣なしの純然たる)混浴文化が消えてしまうのではないかと……


 日本の温泉文化の未来に憂いながらも、無事、取材を完了!
 今日も宝川温泉は、外国人のカップルやファミリーで、いっぱいでした。

 クール・ジャパン!
 (宿泊客の4割が外国人とのことです)

   


Posted by 小暮 淳 at 21:58Comments(0)温泉地・旅館

2019年12月10日

オリンピックの前の年


 4年に1度といえば、たいがいの人は 「オリンピック」 と 「うるう年」 を思い浮かべると思います。
 でも僕は、それプラス 「明寿大学」 という言葉が出てきます。

 明寿大学とは、前橋市が開催している高齢者を対象とした4年制の学習教室です。
 学生数は、400人を超えます。
 僕は8年前から、この大学の講師を務めています。

 講義は1~4年生まで一堂に集めて行うため、授業を受け持つのは4年に1度。
 オリンピックの前の年に、壇上に立っています。


 今年が、ちょうど4年に1度の年でした。
 昨日、前橋市中央公民館の多目的ホールにて、約400人の受講生を前に、2時間にわたる講演をしてきました。

 「みなさんにお会いするのは初めてだと思いますが、このステージに上がるのは、今回で3回目になります。もし、私の話を聞くのが2度目だという人がいたら、その方は留年した人です」
 ドッと笑いが沸いて、つかみは上々。
 あっという間に、2時間が過ぎ去りました。


 思えば前回(4年前) の講演では、後日、ご丁寧に前橋市よりお礼の手紙をいただきました。
 その手紙には、20人を超える受講生からの感想文が同封されていました。
 <たくさんの温泉の知識をありがとうございました>
 <先生のお話を聞いて、ますます温泉が好きになりました>
 などなど、読んでいて嬉しくなる内容ばかりでした。

 中には、こんな感想もありました。
 <先生が作詞された歌、楽しく歌うことができました>
 これは、僕が作った群馬の温泉応援ソング 『GO!GO!温泉パラダイス』 のことです。
 10年以上前から講演やイベントで披露しています。

 いよいよ来年は、群馬が舞台となる大型観光イベント 「群馬デスティネーションキャンペーン」 が開催されます。
 その公認温泉ソングとしても歌われています。
 ので、今回も講演の最後に、群馬のマスコットキャラクター 「ぐんまちゃん」 が描かれたハッピに着替え、歌いながら群馬の温泉をPRして来ました。


 終了後、控え室に戻ると、
 「大変お疲れさまでした。とっても楽しい講義だったと、みなさん喜んでいます」
 と担当職員。
 「それは良かった。汗だくになって熱弁した甲斐がありました」
 「ぜひ、次回もお願いいたします」
 「はい、4年後ですね」
 「ええ、オリンピックの前の年です(笑)」

 僕が講演の最初に話した、“4年に1度、オリンピックの前の年に現れる講師” の話を覚えていてくださったようです。


 4年後、世の中は、どう変わっているのでしょうか?
 温暖化は、さらに進んでいるのでしょうか?
 子どもへの虐待、ネットによる犯罪、いじめ、自殺……
 気になることばかりです。
 でも、確実に高齢化は進んでいることでしょうね。

 そして僕も……
 次回は、まだ大丈夫でしょうが、もしかすると8年後は……

 壇上から下りて、受講者側の席に座っているかもしれませんね。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:10Comments(3)講演・セミナー

2019年12月08日

B・J & Y


 毎週、日曜日の朝を楽しみにしています。

 現在、新聞の朝刊を2紙、購読しています。
 販売店のサービスのようで、日曜日になると 「新聞でよみがえる不朽の名作マンガ」(スポーツニッポン新聞社) というタブロイド盤の週刊マンガが、一緒に折り込まれてきます。

 過去には 『課長 島耕作』 や 『キャプテン』 などが入ってきました。
 ふだんはマンガなど一切読まない僕ですが、新聞形式となると、ついつい読み出し、続きが気になり、愛読してしまいます。
 あくまでも、ついでの付録のようなもので、「とりあえず読む」 にとどまり、それがメインで夢中になって読むことはありませんでした。

 ところが!

 な、な、なくと、先月から手塚治虫の 『ブラック・ジャック』 の連載がスタートしました。
 『ブラック・ジャック』 といえば、マンガ少年ではなかった僕にとっては、数少ないコンプリート作品です。
 今でも書庫には、蔵書として全巻揃っています。

 なので、読もうと思えばいつでも読めるのですが、なかなか現在の日常の中では、そんな時間は訪れません。
 そんなときに突然、飛び込んで来た週刊の 『ブラック・ブラック』 です。
 日曜日の朝は、真っ先にページをめくるようになりました。

 今日の週刊3号の第1話は、「ピノコ再び」。
 名医、ブラック・ジャックの手により、畸形嚢腫(きけいのうしゅ) として生まれ、バラバラだった肉体が復元されて誕生したピノコの、おてんば話です。
 なつかしさから、夢中になって読みました。


 『ブラック・ジャック』 の連載が、週刊少年チャンピオンで始まったのは昭和48(1973)年でした。
 僕は中学3年生です。
 当時、小学校~中学校が一緒で、仲の良かった同級生にY君がいました。
 彼とは、マンガの貸し借りをしたり、また互いにマンガを描いて遊んだ幼なじみでした。

 そんな彼と学校の帰り道、将来の夢について語り合ったことがありました。
 「オレさ、ブラック・ジャックのような医者になりたいんだ」
 と言った言葉を、今でも鮮明に覚えています。

 もちろん、法外な報酬を要求する無免許医師になりたいということではありません。
 貧富の差に関係なく、困っている人を助ける医者になりたい、とのことでした。


 あれから月日は流れて数十年……

 50代になったY君と何年か前に、クラス会で再会しました。
 僕の開口一番は、「今、何してる?」 でした。
 当然、期待していた返事は 「医者」 でした。

 でも、違いました。
 もらった名刺には、某国立大学の研究室名が書かれていました。
 「難しそうな研究だね?」
 「ガンだよ」
 「すごいじゃないか! やっぱり、ブラック・ジャックになったんだ!」
 「いや、医者にはならなかった。ただの研究者だよ」

 後で知ったことですが、その部位のガン研究では、かなりの権威だということです。


 初志貫徹!
 ブレずに生きている彼を、僕は同級生として誇りに思っています。

 そして、毎週日曜日になると、彼のことを思い浮かべています。

 元気かい? Y君
 次回のクラス会で会えるのを楽しみにしています。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:19Comments(0)つれづれ

2019年12月06日

100人に1人


 毛虫、ゴキブリ、カマドウマ、らっきょう、セロリ、ブリーフ、ネクタイ、権力、組織…………
 世の中には嫌いなものが、あまたとあります。
 その中でもワースト5に入る大嫌いなものが、胃カメラです。

 まあ、大好きという人もいないでしょうが、とにかく僕は苦手です。
 過去に何回か経験していますが、毎年は行っていません。
 なんだかんだと理由をつけて、主治医の誘惑から逃げ回っています。

 でもね、いよいよ、逃げられなくなりました。
 「60歳過ぎて、まだ、やってないじゃないですか! 知りませんよ、後悔しても」
 なんて、毎月の問診のたびに、おどされていたのです。

 「分かりました。やりますよ、やります! ただし今回も鼻用のカメラで口からですからね!」
 と啖呵を切って、予約を入れました。

 その健診日が、今日でした。


 “鼻用のカメラで口から”
 これが僕の胃カメラのスタイルです。

 経験のある人ならお分かりでしょうが、最近は医療技術が進歩して、鼻から細い管を通して胃の内部が撮影できるようになりました。
 今は、こちらが主流です。
 口から行うより刺激が少なくて、不快な思いをしないとのことなので、僕も以前、試したことがありました。

 ところが、これがNG!

 鼻孔が狭過ぎて、管が入らなかったのです。
 「珍しいね。極まれにいるんだよね。100人に1人ぐらい」
 「僕は100人に1人の特異体質なんですか!?」

 結局、鼻用のカメラを使って、今回も口から入れて検査を行ったのでした。


 「あらら…」
 胃カメラを操作しながら、突然、医者がしゃべり出しました。
 「ゲェ(えっ)?」
 「画面、見えるかい?」
 モニターを見ろ、と言っているようですが、僕はそれどころではありません。
 涙は出るし、ヨダレは垂れるし、七転八倒中です。
 「グァグァグァグァ(ダメです)」

 “逆流性ナンチャラ” という言葉が聞こえました。

 「お酒、やめるんだね」
 「ゲェーーー(えーーー)!」
 「これじゃ、胃もたれしているでしょう?」
 「ゲゲ(ええ)」
 「じゃあ、やめるんだね」
 「グァグァグァ(イヤです)」

 そしたら、「無理にしゃべらなくていいよ」 ですって。
 話しかけてきたのは、先生からですからね!


 検査後、診察室にて。
 「だいぶ胃の入口が荒れてますよ」
 と言いながら、紙に胃の絵を書き出しました。
 「ここが、こーで、ここが、こーなっているんだよ」
 「はい」
 「だからね、お酒はやめましょう!」
 「イヤです!」
 
 ここから僕の反撃が始まりました。
 「先生、僕は 『ぐんまの地酒大使』 なんですよ。地酒大使が酒をやめるわけには、いかないでしょう!!!!」
 すると先生も分かってくださったようで、
 「はい、それでは自己責任でお願いいたします。お大事に」
 と、診察室から追い出されてしまいましたとさ。


 酒を取るべきか? 健康を取るべきか?

 でもね、100人に1人くらい、医者の言うことを聞かない患者がいてもいいんじゃないですかね。
  


Posted by 小暮 淳 at 20:00Comments(3)つれづれ