2016年08月31日
超高齢町民
「いつもいつも、親孝行で感心ですね」
オヤジの手を引いて町内を散歩していると、時々出会う婦人から声をかけられます。
歳の頃は……
これが、なんとも年齢不詳の女性なのです。
高齢だとは思うのですが、手押し車も杖も使わず、肌のツヤも良く、背筋が伸びていて、姿勢が良い。
70代後半から、行って80代半ばだろうと思っていました。
「おばさんこそ、いつも元気ですね」
「私はね、ジッとしているのがキライだから。どこへでも1人で行っちゃうのよ」
「お若いですね」
「ありがとうございます。でも来月、100歳になるのよ」
ひゃ、ひゃ、ひゃ~く~~!!!
一瞬、我が耳を疑いましたよ。
よっぽど、隣のオヤジのほうが老けて見えますもの。
8歳も年下なのにね。
実家のある前橋市K町は、超高齢化が進んでいるとは聞いていましたが、今の100歳って、こんなにも元気なのですか!?
あまりに驚き過ぎて、僕が大口を開けて固まっていると、
「確か、そこのSさんは私より1つ年上の卯年だから、今年101歳じゃないの?」
“そこの” と指さした先の家は、実家の真ん前のうちです。
「えっ、あのおばさん、100歳超えているんですか~~!!!!」
もう、僕の大口は開いたまま、閉じられなくなっていました。
だってSさんは、いつも庭の草花の手入れをしていて、「いいお日和で」 なんて声をかけてくれている人なんですから……。
ショック!
オヤジは92歳、オフクロは89歳。
僕の両親だって、十分長寿だと思うんですけどね。
上には上が、いるものです。
しかしオヤジは認知症、オフクロは車イス生活です。
どんな世界にも、個体差というものがあるんですね。
2016年08月29日
『心の譜』 連載スタート!
2ヶ月ほど前のこと。
突然、群馬県温泉協会長で法師温泉 「長寿館」 社長の岡村興太郎さんから電話がありました。
「小暮さん、助けてよ~!」
「急に、どうしたんですか?」
「上毛新聞から取材を受けることになっちゃって」
「いいじゃないですか、受ければ」
「それが、1回じゃないんだ。連載なんだよ」
「なおさら、いいじゃないですか! 群馬の温泉の現状を読者に知ってもらいましょうよ!」
ということで、いよいよ、今日から待望の連載がスタートしました。
タイトルは、『心の譜』。
第1回の記事は、法師温泉の歴史と長寿館の概要に触れ、岡村会長の紹介がされています。
そして最後は、
<まずは、長寿館の物語の原点である創業者について話したい。>
と結ばれていました。
これから長い長い温泉のドラマが始まるわけですね。
たぶん、僕が取材では拾えなかった詳細な歴史やエピソード話が、たくさん飛び出してくるんでしょうね。
もう、今から明日の朝刊を読むのが楽しみでなりません。
温泉ファンの皆さんは、ぜひ、チェックしてみてください。
連載は、50話くらい続くらしいですよ。
2016年08月28日
夏・点描
8月某日
例年だと7月になると遊びに来るカブトムシ。
今年は遅くて、お盆近くになって、やっとやって来ました。
それも一匹、そして一度だけ。
2階の仕事場の網戸で、しばらくジッとしていました。
が、ふと気が付くと、もういませんでした。
ちょっぴり淋しい夜でした。
8月某日
我が家の庭のヒマワリが、先日の台風接近で、2本倒れてしまいました。
残りは、5本。
すでに花びらは散って、種の詰まった重たい実が、頭をたれています。
昔、中国を旅したときに、現地の人がヒマワリの種を食べていることを思い出しました。
「フライパンで乾煎りするだけでいいのよ」
と、年配の婦人から作り方を教わりました。
ヒマワリの種とビール、とっても合いそうですね。
今から収穫が楽しみです。
8月某日
マロとの散歩コースの途中に、イチジク畑があります。
最近はイチジクをあまり見かけないので、いつも気にかけて実の成長を見ています。
先日、たまたま作業をしている農夫がいたので、声をかけました。
「昔は、どこの家の庭にもありましたよね。最近は、めっきり減りましたね」
「イチジクは、手入れが大変だからね。ほれ、こいつが悪さするんだよ」
と、つまみ上げたのは、大きなカミキリムシでした。
「カミキリムシじゃないですか! 子どもたちが喜びますよ」
「ところが最近の子どもは、虫取りをしなくなっちゃったんだよ」
僕らの子どもの頃は、男の子はみんな昆虫採集をしていましたけどね。
同時に害虫駆除もしていたわけで、大人たちの役にも立っていたんですね。
8月某日
夜、自転車でコンビニへ買い物に行った帰り道。
中学校の塀の上に、生き物を発見!
ネコ? いや、それにしては尻尾が長い。
イタチだろうか? いや、それにしては体が大き過ぎる。
自転車のライトをはずして、光を照らしてみると……
おおおおーーー!!!
鼻筋が、白い!
ハクビシン(白鼻心) じゃ~~!!
ハクビシンはジャコウネコ科の哺乳類で、そもそもは東南アジアに広く分布する動物。
日本では移入されたものが、野生化しているといいます。
テレビのニュースなどでは見て聞いて知っていましたが、まさか、こんなにも身近なところに棲んでいたとは……。
びっくりするやら、感動するやらで、しばらく見つめ合いながら観察をしていました。
みなさんは、どんな夏を過ごしていますか?
2016年08月26日
欲求の向く先
“高畑裕太容疑者、逮捕”
一報をケータイのニュースで知ったのは、温泉講座の帰りのバスの中でした。
すぐに車内は、その話題で持ちきりとなりました。
「群馬のホテルだって?」
「どこだろう?」
「私の泊まっているホテルだったりして」
「帰ったら、報道陣だらけかもよ」
県外から参加している受講生もいるため、そんな会話が飛び交ったのでした。
バスは、渋川市から前橋市へ。
県庁前の国道50号を通過した時です。
「あっ、報道陣だ!」
受講生の1人が叫びました。
僕は一瞬のことだったので見逃しましたが、某ホテルの前でレポーターらしき女性がマイクを持って、カメラの前に立っていたといいます。
「えっ、こんな小さなホテルだったの!」
「前橋だったんだ……」
「やだやだ、また悪いことで前橋が有名になっちゃうなんて」
今回の温泉講座は、思わぬエンディングで幕を下ろしました。
翌日からテレビや新聞は、この事件の報道一色であります。
裕太容疑者は、ご存じNHK大河ドラマにも出演中の女優、高畑淳子さんの長男です。
七光りといえども、二世タレントの中では群を抜いてドラマやバラエティーで活躍している俳優でした。
ちょっと“天然” ではありますが、面白いキャラだと、僕も一目置いていた役者さんだったのです。
罪名は、強姦致傷。
許されない、とても重い犯罪です。
「欲求を抑え切れなかった」
これが犯行動機だったようです。
バカに安易な理由ですが、それにしては失ったモノは大き過ぎます。
映画撮影ストップ、ドラマ差し替え、舞台代役……
「自覚がなさ過ぎる」
そんな声が、テレビのワイドショーから聞こえてきますが、そもそも彼に “自覚” があったのでしょうか?
もし、夢にまで見た役者の世界であるならば、“欲求” は仕事へ向かっていたはずです。
日本テレビ 「24時間テレビ」 のパーソナリティーやNHK大河ドラマの親子共演など、七光りでは収まらないほどの活躍を棒に振ったわけですからね。
自覚はなかったと思います。
それらを失ってまで手に入れようとした“欲求” ってなんだったんでしょうか?
とうに、そのテの “欲求” が枯渇してしまった僕には、皆目分らない事件であります。
2016年08月23日
本白根温泉 「嬬恋プリンスホテル」③
「先生、やっぱり髪を染めたほうがいいよ」
このところ、講座で受講生から、そう言われることが多くなりました。
そのココロは?
“晴れ男” の妖力が落ちたからです。
僕は2008年から丸8年間、NHK文化センターの野外温泉講座の講師をしています。
毎月ですから、すでに100ヶ所近くの温泉地を講座で訪ねているわけです。
でも、そのうち雨に降られた日は、ほとんどありませんでした。
ところが……、今年度は、やたらと雨にたたられているのです。
「先生が髪を染めるのを止めたからだよ」
講座では、そんなウワサが、まことしやかに流れるようになっていました。
さてさて、そんな逆風の中で迎えた本年度の第5回講座。
今日、向かったのは本白根温泉(群馬県吾妻郡嬬恋村) の 「嬬恋プリンスホテル」 です。
ここだけは、何がなんでも晴れてもらわないと困ります。
だって、全国でも珍しい “露天風呂しかない宿” なんです。
なんでか?
それは絶景が売りだからです!
標高1,126m(いいフロ) の高原からは、浅間山や四阿山~本白根山の山並みを望む大パノラマが広がります。
だもの、もし、雨だったら……
講師として、受講生たちに合わせる顔がありません。
ところが天気予報では、台風9号が大接近!
しかも火曜日に、ドンピシャ上陸かも!?!?
なんていう状況で、講座開講以来初の “中止” もありえることに!
ああ、神様、仏様、薬師如来さま~!
我に、ふたたび “晴れ男” の妖力を授けたまえ~!
と、この数日間は、祈り続けていたのであります。
そして、迎えた当日。
見事に晴れました!
台風一過の青空です。
「先生、面目躍如ですね」
「もう大丈夫です。これで完全に “晴れ男” の妖力が戻りました」
「では、髪の毛もそのままで」
そう言って、湯舟の中で受講生たちと笑い合ったのであります。
「カンパ~イ!」
湯上がりは、恒例の生ビールで高原の夏を存分に満喫したのでした。
めでたし、めでたし。
晴れ男、復活!
2016年08月22日
今日の産経新聞
『「湯の国ぐんま」全国にアピール』
大きな見出しが付いたインタビュー記事が、今日の産経新聞群馬版に掲載されました。
「上州この人」 というコーナーです。
カラー写真に、プロフィールも付いています。
写真のサイズも、タテ10.5cm×ヨコ7.9cmと破格の大きさです。
たぶん、今まで掲載された新聞記事の中では、最大じゃないでしょうか!
写真の中では白髪頭のニチャケタおじさんが本を手に、こちらを見つめています。
<いま新聞を開いて、淳ちゃんとにらめっこをしています>
そんな友人からのメールが届いたほど。
それくらいインパクトのある写真です。
そして手にしている本は、4年前に出版した 『みなかみ18湯』(上毛新聞社) の上巻です。
なんで最新刊ではなく、以前の著書を手にしているのかといえば、インタビューのきっかけが 「みなかみ温泉大使」任命だったからです。
でも記事では、温泉の魅力から現況、活動の今後まで幅広く書かれています。
「みなかみ温泉大使」 という地方の小さな町からのスタートですが、そのウェーブは徐々に県内から県外へ伝播しようとしています。
記事の中で僕は、記者の質問に、こんなふうに答えています。
──群馬は国内屈指の温泉県ながら、そのアピール度が弱いと感じる
「群馬のブランドイメージが低いのは、あれもこれもとアピールするのが裏目に出ている。思い切って 『群馬には温泉しかない。湯の国ぐんま!』 と訴える戦略をとっていいと思う」
良くぞ、書いてくださいました!
「群馬は温泉 “しか” ない」
その危機感が、群馬のブランドイメージを高めるのであります。
記者さん、ありがとうございました。
2016年08月21日
マロの独白⑰ 犬忘症
こんにちワン!
マロっす。
ここんちの飼い犬、チワワのオス、10才です。
暑い日が続きますが、読者のみなさんはお元気でしたか?
オイラは、ちょっぴりへこんでいます。
暑さのせいもありますが、それだけではありません。
このところ、ご主人様に怒られてばっかりなんすよ。
たとえば、トイレ問題。
以前にも話しましたが、暑いこの時季は留守番のとき、オイラは風呂場にゲージを移されます。
タイル張りで、ひんやりと涼しくって、とっても快適なんです。
ところが……
ご主人様が帰って来ると、オイラはうれしくって、風呂場から飛び出します。
すると決まって “うれション” がしたくなるわけです。
※(犬を飼ってる人は知ってますよね。うれしくてしてしまうオシッコのことです)
いつもなら、ちゃーんとゲージにもどってするんですけど、そのゲージの場所が一瞬、分らなくなってしまうのです。
つい、習慣でリビングの窓際へ走っていくのですが、そこにない!
「あれ、あれれれ~?」
と迷っているうちに、我慢ができなくてジョーーー!!!
「マロ! どこでしてるんだっ!」
ご主人様が気づいたときには、あとの祭りです。
「トイレは、そこじゃないだろ! ゲージは風呂場だよ」
「あっ、そうだった!」
情けないやら、申し訳ないやら、雑巾を持ち出してカーペットを拭いているご主人様の後ろ姿を見るたびに、落ち込んでしまいます。
「マロ、おまえ、健忘症か?」
「……」
「いや、犬だから犬忘症か! 急にボケたな」
「すみません」
「毎回じゃないか!」
「ごめんなさい」
でも、その後、ご主人様は必ず、こう言うのでございます。
「まっいっか。オレも他人のこといえないし。トイレに “おしっこたらすな” の貼り紙されているものな」
分ります、分ります。ご主人様の気持ち!
お互い、還暦間近の初老の男同士ですもの。
記憶は遠ざかり、下の具合も年々ゆるくなっていくのであります。
ご主人さま~、これからも寄り添って生きていきましょうね。
よろしくワン!
2016年08月19日
ヒマワリの恩返し
僕は10年ほど前から、講演活動を行っています。
企業や団体、公民館など依頼主はさまざまです。
研修目的だったり、高齢者のための生涯教育の一環だったりと、その目的もさまざまです。
でもテーマは、一貫して“群馬の温泉” について話させていただいています。
そして、講演の最後は必ず、お約束の唄を歌います。
『GO!GO!温泉パラダイス』
群馬の温泉を知ってもらおうと僕が作詞・作曲した “ご当地ソング” です。
歌詞には、群馬県内の27ヶ所の温泉地名が出てきます。
1つでも多くの温泉を覚えてほしいという願いを込めて作りました。
この唄はCDにもなっていて、踊りのDVDも出ていますが、一般には販売されていません。
「どうしても欲しい」 という方のみだけに、実費でお譲りしています。
今日、高崎市の新町公民館にCDを届けに行って来ました。
ヒマワリの花を見ていたら、思い出したのです。
※(昨日のブログ 「赤い札 青い札」 を参照)
5月に新町で講演をした際に、公民館の関係者から 「CDは出ていないのですか?」 と声をかけられたことを……。
そして、このヒマワリの種は、その時に公民館でいただいたものだったことも……。
そう気づいたら、居ても立ってもいられなくなり、南へ車を走らせました。
公民館の入口には、ヒマワリがつぼみを付けていました。
「このヒマワリは、新町のボランティア団体が東日本被災地の復興支援活動として配った種から育てたヒマワリなんですよ」
と館長さん。
「すると、うちのヒマワリも東北から来たヒマワリなんですね」
「ええ、三陸海岸の陸前高田市です」
太陽に向かって、大輪の花を咲かせるヒマワリ。
我が家の庭で、今日も元気に咲き誇っています。
被災地から届いた “命のリレー”。
いつか、ヒマワリの恩返しに、東北へ唄を歌いに行けたらと思います。
2016年08月18日
赤い札 青い札
我が家の庭には、7本のヒマワリが大輪の花を咲かせています。
どれも丈は、すでに僕の身長より高く、一番大きな花は30cmほどに成長しました。
夏空の下、元気一杯に咲き誇っているヒマワリの花を見上げていると、遠い日の夏休みがよみがえってきます。
「こーぐれくーん、あーそーぼー!」
宿題をしていると、外から友だちの声が聞こえます。
僕は、今すぐにでも遊びに行きたくて、うずうずしているのですが……。
「ごめんね。ジュンは今、勉強中なのよ」
そう言って、オフクロが友だちを帰してしまいます。
とても悔しいのですが、でも、その逆もあるのです。
いつからだったのでしょうか?
一学期の終わり、夏休み前になると、クラス全員が札を作ることになりました。
片面に赤い色紙、もう片面には青い色紙を貼ります。
短冊のような札の上に、穴を開けます。
「いいですか。勉強中は赤い札を出すんですよ。勉強が終わったら青い札にしておきます」
先生に言われるままに、全員が夏休みが始まると、家の玄関に札を吊るしました。
「ああ、赤い札だ! せっかく来たのになぁ~」
「○○くんち、青い札だったぜ! ヤツは遊べるよ」
そんなゲームのような毎日が、1ヶ月間続くのでした。
基本的に、午前中は赤い札、午後に青い札が出ている家が多かったと記憶しています。
「午前中の涼しいうちに、宿題を済ませちゃいなさい!」
誰もが、そう親に言われていたからだと思います。
当時(50年近く昔)、真夏でも30℃以上になる日なんて、何日もなかった時代です。
日差しのまだやわらかい午前中は、とてもしのぎやすかった記憶があります。
カタコトと首を振る扇風機
時おり聴こえる風鈴の音
ツクツクボウシの声
絵日記、縁側、朝顔、蚊取り線香……
遠い日の夏休み
なんで、あんなにも楽しかったのでしょうね。
2016年08月16日
マグマ大使にあこがれて
「もしかすると “温泉大使” って、全国で小暮さん1人かもしれませんよ!」
みなかみ町観光協会より電話がありました。
「本当に?」
「ええ、ネットで検索しても他の人は出てきませんね」
まあ、日本で1人の大使かどうかの証左は別にしても、おかげさまで「みなかみ温泉大使」 に就任してからは、なんだかんだと方々からお声が掛かるようになりました。
昨日は、産経新聞社より取材を受けました。
大使就任までの経緯や現在の活動、今後の予定など、たっぷり1時間半ものインタビューでした。
記事は、8月21日(日) の群馬版 『上州この人』 に掲載予定とのことです。
また、次の2つのイベントにも講演での出演が決定しています。
●『ツーリズム EXPO JAPAN 2016』
会期/2016年9月22日(祝)~25日(日)
会場/東京ビッグサイト
●『オトナ博 2016』
会期/2016年10月9日(日)・10日(祝)
会場/ニューサンピア高崎
詳しい日時等は、決まり次第ご報告いたします。
これもすべて、大使効果であります。
思えば、子どもの頃にあこがれた 「マグマ大使」。
いつか僕も地球の平和のために、悪と闘うのだ!と……。
地球の平和とまではいきませんが、せめて群馬の温泉のためには闘っていこうと思います。
温泉もマグマが温めてくれた地球からの恵みですからね。
2016年08月14日
画家からの便り
20代は、“なんでも見てやろう!” と放浪と挫折を繰り返した 「体験」 の時代。
30代は、好きな世界に飛び込んで夢を追った 「経験」 の時代。
40代は、自分の力を試したくて挑戦を続けた 「実行」 の時代。
そして迎えた50代は、その実績を活かして 「表現」 を始めたのだが……。
はたと、思ってしまったのです。
失ったモノはなかったのか?
気づけば、その50代も、あと2年しかありません。
やり残したことよりも、失ったモノ、得られなかったモノの多さに、今さらながら愕然とします。
たとえば、金。
同級生たちは、そろそろ定年を迎えます。
それなりの勤続への代償を受け取り、“第二の人生” という名の悠々自適な生活を送り出します。
うかつ、でした。
ついつい目の前の楽しい人生に夢中になるがゆえ、将来のことを何ひとつ考えずに、この年齢まできてしまいました。
さー、どうするべ?
今さら考えても遅いことなのですが、人並みに落ち込んでいたのであります。
すると、そんな僕を知ってか知らずか、1通のメールが届きました。
同じく人生に夢中になるがあまり、将来設計を忘れた男。
画家を生業としている旧友からです。
<還暦近い歳でも管理職じゃなくて、現役で仕事ができることは嬉しいことだと最近よく思います。(中略) 長い目で見れば、これから稼いで、みんなと同じになるんじゃないかなって。これから稼ぎましょう>
なんとも心にしみる便りであります。
「これから稼ぎましょう」 に夢をあきらめない力強さを感じます。
それには、健康第一!
互いに100歳まで生きて、元を取ろうじゃありませんか。
人生は、これからが勝負だぜよ!
2016年08月12日
真夏のミステリーツアー
ふだんは雑文書きのフリーライター、でも温泉好きが高じて温泉ライターとも呼ばれ、そして、あるときはテレビやラジオのコメンテーター、また番組のアドバイザーを名乗り、その陰でオヤジバンドのボーカリストなんかもしちゃいます。
しかし、その正体は?
実は、数々の謎や不思議を解き明かす “ミステリーハンター” なのです!
ということで、ミステリーハンターとしての初仕事をしてきました。
毎週火曜日の夜9時から群馬テレビで放送されている 『ぐんまトリビア図鑑』。
僕は、この番組のアドバイザーをしていますが、次回はリポーターとして、みなさんをミステリーの世界へご案内します。
僕のアシスタントとして一緒に恐怖体験してくれたのは、キャスターの安蒜幸紀さん。
彼女の恐怖におののく姿は、必見ですぞ!
番組では、県内のミステリースポットを3ヶ所めぐります。
・お化け坂の白い家
・あの世とこの世を結ぶ橋
・妖怪が眠る墓石
ご期待ください!
●放送局 群馬テレビ(地デジ3ch)
●放送日 2016年8月16日(火) 21:00~21:15
●番組名 『ぐんまトリビア図鑑』
第55回 トリビア・ミステリーツアー
●出演者 小暮 淳 (ミステリーハンター)
安蒜幸紀 (キャスター)
2016年08月10日
伊香保温泉 「ホテル きむら」
伊香保温泉は、ワンダーランド!
訪ねれば訪ねるほど、巡れば巡るほど、知れば知るほど、ますます、もっと先を見たくなります。
僕は現在、ライフワークのように毎週、伊香保温泉を歩いています。
昨日は、ロープウェイに乗って、温泉街を一望する物聞山(ものききやま) の山頂へ。
標高976mの見晴展望台からは、絶景の大パノラマを堪能!
前橋市内は猛暑でも、ここは別天地です。
高原の午後を満喫してきました。
山から下りれば、もちろん待っているのは温泉です。
昨晩は、3代目主人の木村幸久さんのご厚意により、「ホテル きむら」 に泊めていただきました。
「ホテル きむら」 は、ロープウェイから降りて、右に行った最初の宿です。
玄関の入口に、大きなセピア色した写真が貼られているのに気づきました。
昭和初期の伊香保石段街の風景で、富岡製糸所の女工さんたちが大勢写っています。
目を凝らして、よーく見ると、女工さんたちが立つ石段の脇に、看板が写っています。
「湯宿 木村利平客室」 と読めます。
説明書きには、<時の流れを物語る貴重なケヤキ彫り看板はフロントの壁面に現物が飾られている> とあります。
もちろん、フロントに立った僕の第一声は、
「その看板、見せてください!」
昭和40(1965)年、先代が現在地に移転し、現在の「ホテル きむら」 が誕生したとのことです。
4階の大浴場にある展望露天風呂は、畳敷きの樽風呂という珍しい造り。
子持山や小野子山の稜線を西陽が照らす夕景を眺めつつ、サラリとした 「白銀(しろがね) の湯」をのんびりと浴みました。
湯から上がれば、目指すは1つ!
1分でも早く、食事処にたどり着き、生ビールを注文すること。
「カンパイ! お疲れさまでした」
と、カメラマン氏と祝杯を上げていると……
「レディース&ジェントルメ~ン!!」
とステージのどん帳が上がり、マジックショーの始まりです。
子ども連れの多い夏休み期間中は、毎日、ショーがあるのだとか。
それも大掛かりな、イリュージョンマジックです。
美女の胴体がバラバラになったり、箱に入れられた女性と外の男性が一瞬に入れ替わったり、絵に描かれたハトが突然本物になって飛び出したり……。
子どもでなくても、ハラハラドキドキしながら見ちゃいましたよ。
だって、ふだんはテレビの中でしか見たことのないマジックが、実際に目の前で起きているのですからね。
お子さんたちには、いい夏休みの思い出になったことでしょうな。
小さな宿から大きなホテルまで、石段街から大自然まで、いろいろあって伊香保は楽しいのです。
2016年08月08日
アイツが許さない
♪ 何回目かの記念日が 今年も明日やってく
もう一つ歳を重ねるわけだね 祝ってなんかくれるなよ ♪
( 『誕生日』 by 吉田拓郎)
おかげさまで今日、58回目の記念日を迎えました。
と、いうことは……。
長年、お付き合いいただいている読者は、ご存知かと思いますが、毎年、誕生日になると “アイツ” がやってきます。
そう、“20歳の自分” です。
今朝も目覚めた時から、ずーっと、背後霊のように僕に張り付いています。
「よっ、久しぶり! 38年後のオレは、元気にやってるかい?」
「まぁな」
「あれ、白いものが急に増えたね? 苦労、しているわけ?」
「いや、髪の毛を染めるのをやめただけだ。若ぶるのもやめた。歳相応に生きることにした」
「ふ~ん、で、どうよ。オレの夢は順調かな?」
「可もなし、不可もなしっていうところかな」
38年前、僕は20歳の自分と約束をしたのです。
「生きざまは変えない」 と。
たとえ、どんな事情があっても、道を変えてしまった未来があったら、その時は 「いつでも殴りに来い」 と。
♪ ひけ目を感じているけれど 違った奴が一人居てもいい
あいつもこいつもどいつも同じなら 人間やってる気がしない ♪
でも、20歳の僕は生意気で、しかも理想論を振りかざしてくる。
大人の事情や家庭の事情なんて、到底、理解してくれない。
「要は、やるか、やらないかでしょう!」
と、情熱だけをぶつけてくるのです。
あれから何十年と生きてきたわけですから、今の僕のほうが経験も知識も豊富なはず。
正しい考え方だって、できているはずです。
でも、アイツは許してくれません。
「ああ、オレって、その程度の人生しか歩めないのかよ」
と、上から目線で攻め寄ります。
きっと僕は、彼のことが恐くて仕方がないのですね。
すべてを見透かされていそうで……。
♪ あいつは変わった時代も変わったと 話している奴 臆病なんだよ
自分の心を確かにしておこう 20歳の頃もきっとそうだった ♪
あと半日、僕はアイツと過ごします。
また1年間、会わずに済むように。
今の自分をさらけ出して、納得して過去へ帰ってもらえるように。
2016年08月06日
祭りだ! ライブだ! 花火大会だ!
夏、真っ盛り!
今年も、やって来ます!
老神温泉(群馬県沼田市利根町) で開催される 『とねふるさと風のまつり』。
この祭りは、老神の武尊(ほたか)神社境内にある 「お諏訪さま」 の祭り。
お諏訪さまは、風から農作物を守ってくれる神様です。
さわやかな風が吹くことを祈って、毎年8月の終わりに開催されています。
昨年、僕は老神温泉の全宿を取材して、『尾瀬の里湯』(上毛新聞社) を出版しました。
そんな縁もあり、今年もこの祭りに参加します。
昼間は、神輿が温泉街を練り歩き、お祭り広場では屋台が集まり、メインステージでは終日、歌謡ショーが開催されます。
地元の郷土芸能や高校生による吹奏楽の演奏、ご当地アイドル 「あかぎ団」 も出演しますよ。
そしてそして、我らがスーパーローカルオヤジバンド 「KUWAバン」 も登場します!
しかも、昼・夜の2ステージ!
懐かしのオールディーズやグループサウンズ、もちろんオリジナル曲もたっぷり披露します。
そして、我々が歌い終わった途端、カウントダウンとなり、ファイナルの大花火大会が始まるのです。
とても感動的な夏の祭典なのであります!
湯上がりに、浴衣姿で、ビール片手に、遊びに来ませんか?
待ってまーす!!!
『とねふるさと風のまつり』
●日時 2016年8月21日(日) 13:30~21:00
●会場 沼田市利根老神多目的広場 ※入場無料
・KUWAバン 15:30~ 19:30~
・花火大会 20:00~
●問合 利根町観光協会 TEL.0278-56-2111
2016年08月05日
群馬の温泉に行こう!
首都圏のみなさん、こんにちは!
はじめまして、「みなかみ温泉大使」 の小暮です。
今度、みなさんを群馬の温泉に案内することになりました。
よろしくお願いいたします。
と、いうことで僕が長年、講師をしているNHK文化センター前橋教室の野外温泉講座が、いよいよ県外へ進出することになりました。
これは、僕が今年の4月に群馬県みなかみ町の温泉大使に就任したことを記念して企画された、スペシャル講座であります。
これを期に、ぜひ、県外のみなさんに、群馬の温泉の魅力を知っていただきたいと思います。
たくさんの方々の参加をお待ちしています。
『群馬の温泉に行こう!』
2016 シリーズ① みなかみ
~温泉大使が直伝! 名湯・秘湯の楽しみ方~
●日程・行き先(全3回) 10月17日(月) 宝川温泉
11月14日(月) 谷川温泉
12月12日(月) 湯宿温泉
●講師 小暮 淳 (みなかみ温泉大使、温泉ライター)
●集合・解散 ソニックシティビル前 (JR大宮駅西口より徒歩5分)
●受講料(3回) NHK文化センター会員 10,368円 一般 11,340円
※バス代・入浴代等別途 各回 12,000~15,000円
●定員 25名 (最少開講人数15名)
●持ち物 事前配付資料、筆記用具、入浴道具、飲み物 ※昼食付き
●問合・申込 NHK文化センター前橋支社 TEL.027-221-1211
主催:NHK文化センター前橋教室 後援:みなかみ町観光協会
2016年08月03日
伊香保温泉 「ホテル松本楼」 「洋風旅館 ぴのん」
松本楼といえば、「10円カレー」 で知られる東京・日比谷公園にある老舗レストランの 「松本楼」 が有名です。
でも、全国には同じ名前の旅館や食堂はあまたとありますから、別段、気にしてはいませんでした。
それでも話は聞いてみるものですね。
「ええ、私の曽祖父が大正時代に修業をしていた店なんです。伊香保に帰って店を出すときに、のれん分けをしてもらったと聞いています。偶然にも苗字が松本だったということもありまして」
と、若女将の松本由起さんが歴史を紐解き出しました。
西洋料理の店 「松本楼」 は、伊香保温泉街でも評判を呼び、大変に繁盛したといいます。
戦後、高度成長の波に乗り、観光ブームがやって来ます。
昭和39年(1964)、彼女の祖父母が屋号を継いで現在の場所に旅館をオープンしました。
わずか16室の小さな宿でした。
旅館の歴史っていうのは、面白いものですね。
一朝一夕には成し得ない、その時代、時代での年輪を重ねて、新たな歴史を造り上げていくのです。
3代目の由起さんが、本場のホテル業を学んだイギリス留学の経験を生かし、「伊香保にない施設」 「自分が泊まりたい旅館」 を作りたいと平成9年にオープンさせたのが洋風旅館の 「ぴのん」 でした。
「“ぴのん” 聞きなれない言葉ですが、何語ですか?」
「PINON は、スペイン語で 『松ぼっくり』 のことなんですよ。松本の松、松本楼の松。なによりも曽祖父が大正時代に築いた洋食店のイメージを再現したかったんです」
昨日僕は、とても贅沢な取材をしてきました。
若女将のご厚意により、本館と姉妹館の両方を自由に利用させていただきました。
風呂と夕食は、松本楼。
宿泊と朝食は、ぴのん。
それ以外にも、坂を上ったり下りたり、行ったり来たりしながら、2日間たっぷりと和と洋のもてなしを満喫してきました。
もちろん、温泉もすべての風呂に入ってきましたよ。
どちらの宿にも 「黄金(こがね)の湯」 と 「白銀(しろがね)の湯」 の2つの源泉が引かれていますから、まさに温泉三昧の2日間でした。
湯の数だけ歴史があり、宿の数だけ物語があります。
2つとして同じ湯、同じ宿はありません。
だから、取材って楽しいのです。
2016年08月01日
さらば、ウルフ!
永六輔、大橋巨泉と次々に昭和のテレビを彩った巨星たちが逝ってしまい、このところ落胆していました。
ら、昨晩、突然、ニュース速報で訃報のテロップが流れました。
「えっ」 と声を上げたのは、きっと僕だけではないはずです。
日本全国で、「えっ」 のウェーブが起きていたことでしょうね。
「小さな大横綱」 と呼ばれた、元横綱 「千代の富士」 の九重親方であります。
その精悍な顔立ちから 「ウルフ」 のニックネームで愛された、まさに昭和の大横綱でした。
享年61歳。
死因は、すい臓がんでした。
永六輔も大橋巨泉もショックでしたが、お2人とも80歳を過ぎていました。
もっともっとテレビやラジオで活躍して欲しかったけど、年齢を考えると 「遅かれ早かれ人は死ぬんだ」 と、自分なりに死を受け入れていました。
でも、ウルフは若過ぎる!
いくら病気だったとはいえ、永さんや巨泉さんは、何度も病から生還したじゃありませんか!
たった1度の闘病で逝ってしまうなんて、ウルフらしくないぞ!
今、僕の頭の中では、若かりし頃の僕と暮れなずむ東京の街が、走馬灯のようにめぐっています。
甘酸っぱい、青春の香りとともに……。
1978,年の夏。
音楽の道を目指して、僕は東京で暮らし出しました。
ひょんなことで知り合った女性がいました。
横浜生まれの横浜育ち。
その垢抜けた風貌に、群馬の田舎から出てきた青年は、すぐに恋をしてしまいました。
新宿、渋谷、原宿、吉祥寺、そして横浜……
毎週のようにデートに出かけました。
でも、1つだけ、僕には馴染めない彼女の趣味があったのです。
それは “相撲” でした。
しかも、熱狂的な千代の富士ファン!
どんなに楽しいデートも、「あっ、相撲が始まっちゃう!」 と、場所中は夕方までしか会えません。
やがて親しくなって、僕のアパートに来るようになっても、場所中は夕方からテレビに釘付けです。
気が付いたら、まったくの相撲音痴だった僕も、相撲ファンになっていました。
だから僕にとっては、千代の富士=横浜の彼女、なんですね。
そして、千代の富士が初優勝した年('81) に、僕らは別れました。
さらば、ウルフ!
青春をありがとう!
ご冥福をお祈りいたします。