温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2024年09月30日

「玉村かみしばい」 スペシャル口演


 大変お待たせしました!
 玉村八幡宮に街頭紙芝居が帰ってきました!

 4月以来ですから、なんと半年ぶりの口演です。
 しかも今回は、スペシャル口演なんです。

 何がスペシャルなのかって?

 興行主の石原之寿(いしはらのことぶき)さんの地元、茨城県から筑波山名物の 「ガマの油売り」 が登場します。
 特別出演してくださるのは、講談師の東鶴さん。
 その巧みな話術を、ぜひ、この機会にご堪能ください。


 もちろん、地元に伝わる民話や創作の紙芝居も上演します。
 また境内では、大人気の昭和レトロな駄菓子やくじ引きなどの縁日あそびが楽しめます。
 友人、仲間、家族でお越しください。
 スタッフ一同、お待ちしています。

 会場では、僕の著書も販売していま~す!



      第8回 『玉村かみしばい』 10月口演
 
 ●日時  2024年10月6日(日)
       11時、13時、14時 (約40分口演)
 ●会場  玉村八幡宮 境内 (群馬県佐波郡玉村町下新田1)
        ※雨天など悪天候時は屋内開催
 ●入場  投げ銭制 ※ペイペイ可
 ●協力  玉村町教育委員会
 ●問合  壽ちんどん宣伝社 TEL.090-8109-0480
  


Posted by 小暮 淳 at 11:52Comments(0)神社かみしばい

2024年09月29日

やっぱ、山廃でしょ!


 <今日の上毛新聞に群馬泉の記事がありましたね。群馬泉ファンとしては、うれしい限りです。>
 一昨日、酒好きの “呑み友” からメールが届きました。


 そーなんです!
 快挙であります!
 「やったー!」 と自分のことのように、僕も小躍りして喜びました。

 新聞によりますと、香港で開催されたアジア最大級の日本酒コンクール 『ORIENTAL SAKE AWARDS (オリエンタルサケアワード)』 で、島村酒造 (太田市) の 「群馬泉 超特選純米」 が、純米酒の旨味濃醇(うまみのうじゅん)の部門でチャンピオン酒に選ばれました。
 群馬県の日本酒がチャンピオン酒になるのは初めてです。

 同アワードの開催は今年で3回目。
 全9部門に143蔵から503点が出品され、各部門の金賞に33点が選出され、その中から 「群馬泉」 がチャンピオン酒に輝きました。


 新聞記事には、チャンピオン酒を手にした6代目の島岡利宣社長の写真が掲載されていました。
 島岡さんとは、過去に2度ほどお会いしています。
 最初は10年ほど前、日本酒の本を出版する企画があり、編集者とともに打ち合わせに伺いました。
 その時、うれしいことに島岡さんは温泉ファンであり、僕の著書を持っていることを知りました。

 2度目は3年前、酒蔵をめぐる新聞記事の取材で訪ねました。
 そのとき、島岡さんから並々ならぬ酒造りへの情熱とこだわりを聞くことができました。


 チャンピオン酒になった部門は、米と米こうじのみで作られた純米酒を審査します。
 この部門で、蔵付きの天然乳酸菌と自然の力を巧みに利用して酵母を育てる日本古来の伝統的な製法 「山廃酛(やまはいもと)」 にこだわった同蔵の日本酒がチャンピオンになったことは、酒好きとしては本当に喜ばしいことであります。

 山廃酛とは、「生酛(きもと)系山廃造り」 のこと。
 山廃とは、 「山卸(やまおろし)廃止」 の略です。
 昔ながらの自然の力を活用した酵母 「生酛(きもと)」 で造る伝統製法の中で、米をすりつぶす山卸という工程を省いた独特な醸造です。
 乳酸菌を人工的に添加する 「速醸(そくじょう)」 が主流の現代でも、あえて多くの手間と時間、経験と技術が必要な手法にこだわり続ける同蔵ならではの醸造が、今回の栄光へとつながりました。

 苦労は報われるということですね。
 島岡社長、おめでとうございます。


 なんて書いていたら、無性に群馬泉が呑みたくなってしまいました。
 「群馬泉 超特選純米」
 直営店や県内の酒販店などで販売しているそうです。

 ちなみに一升3,410円、四合1,727円。
 今晩は、いつもの酒より、ちょっぴり奮発して受賞を祝いますかね。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:58Comments(2)大使通信

2024年09月28日

餅とオーケストラ


 久しぶりに朝起きたとき、夢を覚えていました。
 それも2つ。

 前半に見た夢では、餅を焼いていました。
 山の中の小屋の外。
 七輪で炭をおこし、僕は網の上で餅を焼いています。
 焼きあがると、一枚ずつ、しょう油につけて、のりを巻いて、まわりにいる人たちにふるまっていました。


 朝方見たもう一つの夢は、突拍子もない夢でした。
 僕は、どこかのコンサート会場にいます。
 すると関係者がやってきて、「どうぞこちらへ」 と案内されました。

 なんと、そこはステージの上です。
 しかも僕の背後には、大勢の楽器を抱えたオーケストラの面々が!
 いきなり指揮棒を渡されてしまいます。

 「さあ、困った……。指揮棒なんて振ったことがないぞ~」
 と立ち尽くしていると、突然、勝手に両手が動き出したのです。

 ウッ、ジャジャジャジャーン! ウッ、ジャジャジャジャーン!

 ベートーベンの 「運命」 です。
 そして、演奏終了後、会場からの割れんばかりの拍手を浴びました。


 さて、この2つの夢は、何を暗示しているのでしょうか?

 餅は縁起物で、祝い事、収穫、満足、財産の象徴です。
 運気と精神力の向上を意味しています。

 さらに焼いた餅は、成功や達成感を表し、金運の向上につながるといわれています。
 よって現在、直面している努力や創造性が結実する時期に差しかかっていることを暗示しています。


 一方、オーケストラで指揮をする夢ですが、これまた吉夢のようです。
 問題を積極的に整理し、道が開けるとき。
 リーダーとしての才能を発揮し、活躍することを暗示しています。


 ということで総評です。
 僕は今、絶好調であります!
 運気は上昇中、やることなすことすべてが、思い通りにうまくいっています。

 ただ一つだけ、一向に上昇しないものがあります。
 そう、金運です!
 いくら夢で暗示にかかっても、現実は、なかなか思い通りになりません。


 どうしたら金運って、身につくんでしょうか?
 知っている方がいたら、こっそり教えてくださいな。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:50Comments(0)夢占い

2024年09月26日

なぜ、山奥に貴重な 「ワラ1」 が保存されているのか?


 一冊の本が届きました。

 封筒に貼られた 「ご依頼主」 の欄には、「イカロス出版」 と記載されています。
 イカロス出版?
 聞いたことがあるような……
 でも、すぐには思い出せませんでした。


 鉄道 「謎」 巡礼

 笹田昌宏 著


 ああ、あーーーッ!
 彼です、彼です!
 読者の皆さんは、覚えていますか?
 副業で医者をやっているという、一風変わった作家さんです。
 (2024年4月2日 「本業からの贈り物」 参照)


 彼とは今年3月、群馬県中之条町の意見交換会でお会いしました。
 僕は中之条町観光大使、彼は中之条町ふるさとアドバイザーとして参加していました。
 その晩は、四万温泉に一泊し、酒を呑み、語り合い、意気投合したのでした。

 「新刊が出たら送ります」
 そう言われて、翌朝に別れました。


 彼は鉄道作家なんですね。
 大阪府生まれ、東京在住の彼が、中之条町と関わったのも鉄道が縁でした。
 その縁について書かれたのが、今回の新刊 『鉄道 「謎」 巡礼』 なのです。

 <鉄道には、数多くの「謎」が潜んでいる。乗り降りできない駅から、存在しないはずの展示車両まで、そのジャンルは幅広い。それらの謎には、なぜそうなったのか、必ず理由が隠されており、それらを巡礼してゆくと、予想外のエピソードに行き着いたり、納得の経緯にたどり着いたりする。> (「まえがき」より)


 この本には北海道から沖縄まで、全国の鉄道の 「なぜ?」 が37テーマ収録されています。
 その中に、群馬県の 「なぜ?」 があります。
 この謎こそが、彼が中之条町のふるさとアドバイザーに委嘱された理由なのであります。

 【なぜ、山奥に貴重な 「ワラ1」 が保存されているのか?】
 と題された群馬の謎が、第一章に登場します。
 「ワラ1」 とは、何なのか?

 鉄道ファンでなくともタイトルを見ているだけで、その謎に引き込まれてしまいます。
 興味がある方は、ぜひ、お求めください!
   


Posted by 小暮 淳 at 11:59Comments(0)読書一昧

2024年09月25日

便利×お得=ZERO


 過日観た映画 『もしも徳川家康が総理大臣になったら』 の中で、突然、群馬県庁の昭和庁舎が出てきてビックリしました。
 なんだか近年、やたらと映画やドラマの舞台に群馬県内が登場すると思いませんか?

 テレビ局や制作会社が集まる東京から近いという利便性が大きいと思いますが、それだけではないようですね。
 いわゆるフィルム・コミッショナーという撮影を支援する団体の熱心な誘致活動の賜物のようです。

 今話題の映画 『ラストマイル』 にも、見知った群馬の風景が出てくるというので、遅ればせながら劇場へ足を運んで来ました。


 開始早々、いきなり見たことのある風景が!
 あれ、どこだっけかな?
 あ、遠くに榛名山が見えるじゃんか!
 そーだよ、そうそう、高崎市の 「Gメッセ群馬」 であります。

 主人公の満島ひかりさんと岡田将生さんが出会い、階段を上るシーンは、1階のエントランスホールです。
 そして、多くの派遣社員が出勤するシーンは、2階の展示ホールコンコース。

 行ったことあるぞ! 見たことあるぞ!
 と、テンション上げ上げで画面に釘付けになりました。


 脚本は野木亜紀子さん、監督は演出家の塚原あゆ子さん。
 2人が手掛けたTBSドラマ 『アンナチュラル』 『MIU404』 と同じ世界線上で物語が展開する作品として、話題を呼んでいるのだそうです。
 でも僕は、どちらのドラマも見ていないので、逆に純粋に作品を楽しめたかもしれませんね。

 物語は、世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が次々と爆発するサスペンスです。
 なぜ、狙われたのか?
 犯人の目的は何なのか?

 次第に謎が明かされていくのですが、僕は終始、腑に落ちない何かを感じていました。


 僕はスマホも持たず、ネットショッピングもしません。
 だからでしょうね、現代の物流と配送の世界が、こんなにも “便利” と “お得” の 「お客さまファースト」 に振り回されていることを知りませんでした。
 スクリーンに映し出される物流倉庫の中の風景は、まるで未来の世界でした。
 コンピューター制御により、次々が商品がベルトコンベアーの上を流れていきます。
 1秒の遅れが、何十万、何百万、何千万の損失になるといいます。

 でも、これが令和の今の現状なんですね。


 恐ろしい映画です。
 人間を人間として雇用しない世界
 血が通っていない人間関係に、だれもが疲れ切っている社会

 人と人が手渡しで物を売り買いしていた昭和の商店街の、なんと温かかったことか……

 令和人のみなさん!
 そろそろ、便利とお得な世の中に、ノーって言いませんか!?
  


Posted by 小暮 淳 at 12:18Comments(0)シネマライフ

2024年09月24日

WHITE HAIR ~老いの効用~


 誰だって、老けて見られるよりも若く見られたいと思っていますよね。
 歳を重ねれば重ねるほど、男も女もアンチエイジングへの思いは高まるものです。
 かつては、僕もそうでした。

 でも、ある日を境に、考えが変わってしまったのです。
 そのある日とは、2回ありました。


 一度目は20年以上も昔のこと。
 40代で、僕は温泉のセミナーや講座の講師をしていました。
 まだ、温泉の著書を出版する以前の話です。

 県内の自治体主催による温泉講座のバスツアーが開催されました。
 すでに新聞や雑誌に温泉の記事を書いていた僕が、講師として添乗しました。

 集合場所に一番乗りした僕は、停車していたバスに乗り込もうとしました。
 その時です。
 運転手が言いました。
 「ダメダメ、まだ講師の先生が来てないから乗らないで!」

 自分が、その講師だと告げると運転手は驚いたようで、
 「すみません。温泉の先生だと聞いていたので、もっと年配の方だと思っていました」
 と、平謝りでした。

 思えば、その時の僕はロン毛の黒髪。
 40代半ばより、さらに若く見えていたかもしれません。

 その後も講演会に呼ばれると、幾度となく “若い” という違和感を主催者側に与えることがありました。
 外見からして、“講師” としての威厳が不足していたようです。


 それから10年ほど経った50代半ばの、ある日のこと。
 同級生の画家の個展会場へ行った時のことです。
 久しぶりに会った彼を見て、度肝を抜かれました。

 彼は昔から僕と同じロン毛派ですが、そのサラサラの髪が、なんと! 全白だったのです。
 しかも違和感なく、画家然としていて、貫禄すら感じました。


 その時、彼から言われた一言が、その後の僕の生き方を変えました。
 「ジュンはさ、まだ染めているの?」

 ガ―――ン!
 脳天に響き渡る梵鐘の音。

 だよね、だよね、染めているって分かるよね(汗)
 俺たち、もう50代半ばだものな、黒いほうがおかしいよな(汗)


 以来、僕は月2回行っていた毛染めをやめました。
 そして、やがて僕の頭は白髪になりました。
 すると、どうでしょう?
 やることなすこと、すべてがスムーズに運ぶようになったのです。

 肩の力が抜け、“あるがまま” でいられるリラックス感は、実に気持ちがいい。
 しかも講演やセミナーなどで壇上に立った時の、あの観客に感じた違和感もなくなりました。


 「老いては老いに従え」
 アンチエイジングよりウィズエイジングをお勧めします。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:43Comments(3)つれづれ

2024年09月23日

牧水に魅せられて


 <静岡県沼津市。風光明媚な千本松原の入り口にある乗運寺に行ってきました。ここに歌人の若山牧水 (1885~1928) が眠っています。墓参は長年の夢でした。>
 これは9月14日の読売新聞群馬版に掲載されたエッセイの書き出しです。

 <牧水と弟子のK-君 (門林兵治) は四万温泉に別れを告げ、中之条駅から電車に乗り、正午に渋川駅に着いた。2人はここで別れることになっていたため、駅前の小料理屋にて別杯を挙げた。>
 これは9月20日発行された高崎市のフリーペーパー 「ちいきしんぶん」 に掲載された 『令和版みなかみ紀行 牧水が愛した群馬の地酒と温泉』 の第4話の冒頭部分です。


 依然、僕の牧水熱は冷めやみません。
 いえいえ、以前よりヒートアップしている感じです。

 では、なぜ、そこまで牧水は僕を魅了し続けるのでしょうか?


 群馬県を訪れた文人墨客たちは、あまたといます。
 しかし、その中でも若山牧水は異例中の異例、別格の存在だからです。
 彼は8回も来県し、延べ約60日間も滞在しています。
 そして13編の紀行文と約400もの歌を世に残しました。

 僕は短歌のことは、よくわかりません。
 それでも牧水に惹かれるのは、彼の人となり、人間性、そして何よりも “温泉” と “酒” をこよなく愛したところです。


 群馬県内の温泉大使と地酒大使を務める僕が、牧水に興味を持ち続けるのも当然なことなのかもしれませんね。
 温泉に入って、酒を呑む……
 ただそれだけで、人生を語ることができますもの。

 たぶん僕は牧水に対して、同じ穴のムジナを感じているのかもしれません。


 「ちいきしんぶん」 の 『令和版みなかみ紀行 牧水が愛した地酒と温泉』 では、名紀行文 「みなかみ紀行」 で牧水が訪れた全温泉地をめぐり、たぶん、その晩に牧水が呑んだであろう酒を造った酒蔵を訪ねています。

 牧水と同じ湯に入り、牧水と同じ酒を呑めば、おのずと牧水の心境になれるのではないか?
 そして、時代を大正から令和に移し、令和版の 「みなかみ紀行」 を書いてみたくなったのです。


 シリーズは、いよいよ後半に突入します。
 法師温泉を後にした牧水は、笹の湯 (現・猿ヶ京) ~湯宿温泉 (みなかみ町) ~老神温泉 (沼田市) とめぐり、県境を越えて日光を目指します。

 ご期待ください。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:25Comments(0)執筆余談

2024年09月22日

法師キラリ


 一枚のCDが届きました。

 『山岳昇歌』 オーロラの詩(うた) 山田昇追悼歌


 送り主は、法師温泉 (みなかみ町) 「長寿館」 の会長・岡村興太郎さんでした。
 こんな一文が添えられていました。

 <心境の変化もちょっとあり、このたびCDをつくってみました。(中略) 群馬県沼田高校山岳部出身で、ギター弾き語りの 「いしざかびんが」 さんに歌と演奏 (ギター) と曲の作詞作曲をしていただきました。>


 最初は、なぜ、CDのタイトルが 『山岳昇歌』 なのだろうか?
 法師温泉と関係があるのだろうか?
 と思いましたが、お手紙を読むうちに少しずつ、背景が見えてきました。

 「いしざかびんが」 さんは、群馬県出身・桐生市在住の歌手・ギタリストです。
 お名前は聞いたことはありますが、CDを聴くのは初めてです。


 いしざかびんがさんはCDの歌詞カードの中で、表題作の 「山岳昇歌」 について、このように書かれています。

 <この歌は、平成元年(1989)2月 厳冬の北米マッキンリー山(エスキモーではデナリ山と呼ばれる)に逝った、不世出の登山家・山田昇氏の偉業に感動した、クラシックギタリスト 伊東福雄氏の作詞・作曲によるものであり、サブタイトルとして、オーロラの詩(うた)山田昇追悼歌とも別名がついています。また顕彰の石碑 “オーロラの碑” は、みなかみ町の秘境名湯として名高い、三国峠に近い法師温泉・長寿館の手前800m 名峰 稲包山(いなづつみやま)をながめる左側にケルンとして沼田市のデザイナー塚田修氏考案で制作された。>


 これでやっと、山田昇さんと、いしざかびんがさんと、法師温泉のつながりが分かりました。
 CDの中には、いしざかびんがさんの作詞・作曲による 『法師キラリ』 というオリジナル曲が収録されています。

 収録曲は全15曲。
 他に 『夏の思い出』 『宵待草』 『百万本のバラ』 『なごり雪』 『雪山賛歌』 など、馴染みの曲も収録されています。


 ●お問い合わせ
  法師温泉 「長寿館」 0278-66-0005 いしざかびんが 0277-51-3041



   


Posted by 小暮 淳 at 12:10Comments(0)温泉雑話

2024年09月21日

神の話をしよう


 「散々、大谷翔平の話はしたからね。もう、しないよ」
 新しい客がカウンターに座るたび、僕とママと常連客は、そう告げるのですが、それでもまた店内は大谷翔平話で、ひとしきり盛り上がるのでした。

 いゃ~、マイッタ!
 50‐50 (50本塁打、50盗塁) という史上初の快挙を達成しながら、さらに、その上を成し得る人知を超えた男。
 期待と予想と想像を、見事に裏切ってきます。


 昨日は年に一度の検診日。
 朝食をとらずに、病院へ行く準備をしていました。

 その時です。
 テレビから50‐50達成のニュースが!
 しかも同日にホームラン2本と盗塁2つだなんて!
 ビックリ仰天するも、勇気凛々となり意気揚々と病院へ向かいました。

 もちろん受付の看護師さんとも、会うなり大谷翔平話です。
 「小暮さん、いい日に来ましたね」
 「だよね、俺って持っているかも」
 なんて、大谷翔平の偉業は、みんなを元気に明るくしてくれるのです。


 検診終了後、駐車場の車の中で思いました。
 「そうだ、今日はお祝いだ!」
 と、行きつけの飲み屋のママに、すぐさまメールを送りました。

 <大谷50‐50達成! パソコン復旧記念だーい!>
 と、夕方から店に行くことを告げました。

 すると……

 <もっとスゴいぜ! 51‐51で自記録すぐ更新したんだよ>
 という返信が。

 えっ?
 一瞬、何のことか分かりません。
 51だ?
 確かに家を出るときには、すでに盗塁は51でしたが……
 えっ、もしかして、あの後もホームランを打ったの!?

 1試合に3ホームランってか~!!!!


 そして、冒頭の会話になったのであります。
 6打数、6安打、3本塁打、10打点、2盗塁……
 いったい誰が想像できたでしょうか?

 「彼は、もはや人間ではない」
 とは、アメリカの実況アナウンサーの言葉。
 まさに人知を超えた “神” の成せる業であります。


 たぶん、昨晩は日本中の飲み屋で、繰り返し繰り返し “神” の話がされたことでしょうね。
 いえいえ、世界中かもしれません。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:21Comments(0)酔眼日記

2024年09月20日

長文を読めない令和人


 スマホを持たない僕は、SNSへの依存度は、かなり低いと思います。
 また、その自負もありました。

 ところが!
 いざ、パソコンが壊れると、少なからず自分もネットに依存していたことを知りました。
 ニュースを見る→気になった記事をクリックする→関連動画を閲覧する
 言葉を検索する→関連記事をチェックする→気になったか画像や動画を閲覧する

 ただ、それだけのことなのに、繰り返しているうちに何時間も経っていることがありました。


 パソコンを使えなかったこの1週間、これらの時間が、すべて戻ってきたのです。
 何をするか?
 無趣味の僕には、本を読むことしかできません。
 すると、どうでしょう?
 読める読める、スイスイとページをめくる手が止まりません。

 机の上に積んだままの読みかけの本を読みあさり、それでも読み足りず、本屋へ行って数冊買いこみ、また読み出す毎日。
 気が付いたら、朝昼晩と読書しかしていない日が何日もありました。

 改めて現代人は、情報過多の生活をしていることを痛感しました。


 そんな折、驚くニュースが飛び込んできました。
 文化庁が発表した2023年度の国語世論調査の結果です。
 な、な、なんと!
 「月に1冊も本を読まない人」 が、6割以上もいたというのです。

 この調査では、全国の16歳以上の個人6,000人を対象に、漫画・雑誌を除く書籍 (電子書籍は含む) の1カ月に読む冊数を尋ねる質問を実施。
 結果、「1冊も読まない」 と回答した人が62.6%で、前回(5年前)よりも15.3ポイントも増えています。
 過去の調査では、5割を超えることはありませんでした。


 「えっ!」 と一瞬、驚いてもみましたが、「だよな」 とすぐに納得してしまいました。
 みなさんもお察しの通り、読書率の低下の原因は、スマホの普及率と無関係ではありません。
 読書量が減少した人に理由を尋ねると、「スマートフォンやタブレットなどに時間がとられる」 との回答が43.6%と最も多く、次いで 「仕事・勉強で多忙」 が38.9%でした。
 この傾向は若い世代ほど顕著でした。

 まあ、仕方ないですよね。
 若い人は、みーんな四六時中スマホをいじっていますもの。
 一度身付いてしまった習慣は、なかなか元には戻りません。
 (電車の中で文庫本を読んでいる若い人を、まったく見かけなくなりました)


 と思っていたら、さらに気になった新聞記事を見つけました。
 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 の著者で文芸評論家の三宅香帆さんのコメントです。
 彼女によれば、「読書離れの原因は、日本人の 『長文離れ』」 だというのです。

 これには、やはりSNSの普及が関係しているようです。
 ショート動画や短文に慣れ過ぎているため、読解力や想像力が必要とされる長文を苦手とする人が増えたのではないかと。


 僕は長文が大好きな昭和人間ですからね。
 令和人のような感覚は、理解ができませんけど。
 だからと言って、何でもかんでも否定はしません。

 きっと、長文が苦手な令和人ならではの利点もあるのでしょうね。
 もう少し、令和の世の中を観察したいと思います。
   


Posted by 小暮 淳 at 13:19Comments(0)つれづれ

2024年09月19日

備えあればPCなしでも


 お久しぶりです!
 1週間のご無沙汰でした。

 いやいや、読者様には本当に、ご心配をおかけしました。
 コメントだけでなく、メールや電話でも安否を心配する問い合わせが、たくさんありました。
 が!
 僕は元気です!


 ただ僕は元気なのですが、先週、突然、パソコンが壊れました。
 電源を入れても、ウンともスンとも動かなくなってしまったのです。
 でも、おかげさまで、やっと今日、復旧しました。
 (めでたしめでたし)


 で、仕事のほうは大丈夫だったのかって?
 ハイ、これが、まったく支障がありませんでした。

 しょせんパソコンなんて、ただの機械ですからね。
 いつ何時、前触れもなく壊れるものとして接していましたから。
 大事な資料は全部バックアップを取っていましたし、連載中の原稿もすべて送信済みでした。

 ただ唯一、ブログの更新だけができなかったというだけです。


 ということで、本日より 『小暮淳の源泉ひとりじめ』 再始動いたします。
 今後とも、よろしくお願いいたします。
  


Posted by 小暮 淳 at 16:33Comments(6)つれづれ

2024年09月11日

猛残暑と50-50


 9月だというのに、この暑さは何ですか!?
 これって、残暑?
 当然、暦の上では残暑なのでしょうが、今年は 「残暑」 という言葉がしっくりきません。

 気象予報士も言葉に困っているようで、ついテレビで 「猛残暑」 と発言していました。

 猛残暑?
 聞きなれない言葉ですが、今後、この言葉が定着するかもしれませんね。


 この終わらない暑さにもうんざりですが、もう一つ、毎日モヤモヤしているいることがあります。
 オオタニサンであります。
 前人未到の大記録、50本塁打+50盗塁まで、もうすぐです。

 いつ達成するんだろうかと連日連朝、ネットニュースをチェックしているんですけど、このところ数字が動かないので、モヤモヤしています。
 (と思ったら盗塁が成功! 47になりました)
 Xデーは、いったい、いつなんでしょうか?
 気が気でありません。


 「この暑さが収まるのと、大谷翔平の50-50は、どっちが先だと思う?」
 おばさんたちとの井戸端会議。
 「そりゃあ、大谷翔平に決まってるじゃないの」
 「だよね、さっさと達成させて、少し休ませてやりたいね」
 とは、にわかファンの僕でも同感です。

 が、一日も早く、この猛暑も収まっていただき、体を休めたいものも本音です。
 まだまだ秋は、遠そうですね。

 ご自愛ください。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:01Comments(4)つれづれ

2024年09月10日

無趣味は七難隠す


 もし僕にコンプレックスというものがあるとしたら、それは、趣味がないということです。
 若い頃には、いろんなものに興味と好奇心があり、手あたり次第チャレンジをしましたが、年を重ねるに連れ、趣味と呼べる趣味らしい趣味はなくなってしまいました。

 そのことを、多彩な趣味人として知られる某社の社長さんに話したことがあります。
 すると、ズバッと、こう言われました。

 「小暮さんはさ、仕事が趣味だから」


 これって、ほめ言葉なのでしょうか?
 なんだか急に自分の人生が、陳腐なものに思えてきました。
 だって60年以上も生きて来て、余暇や休日に楽しめることが何一つもないなんて……
 自分は、ただの仕事人間なのか?

 苦肉の末に、出た言葉が、
 「逆ですよ。趣味が仕事になっちゃったんですよ」


 思えば、読書も登山も、温泉や酒蔵めぐりも、民話や伝説を調べるのも、みんな昔は僕の趣味でした。
 でも、いかんせん仕事がライターだったのが、不運のはじまりです。

 好きなことは、のめり込み、面白くてしょうがない。
 やがて、書きたくなってしまうんです。
 そして、書いてしまった 時点で、その趣味は趣味でなくなり、仕事へと変化してしまうのです。


 社長さんは言いました。
 「今までに、仕事にならなかった趣味ってないの?」
 「……」
 なんかあったろうか?
 すぐには、思いつきません。

 が、よくよく考えたら一つだけありました。
 釣りです。
 海釣りも渓流釣りもやりましたが、趣味になるほどのめり込めず、やがて仲間に誘われても行かなくなってしまいました。


 「小暮さん、良かったね」
 「え?」
 「だって、釣りの趣味が続いていたら、きっと本を書いていたと思うよ」
 「本当だ!(笑)」

 良いのか悪いのか、ライターという悲しいサガであります。


 でもね、おかげさまで飽きることのない人生にめぐり合えました。
 無趣味だからこそ、仕事の邪魔をされることなく、好きなことを好きなだけ追求することができるのだと思います。

 無趣味で結構!
 大いに胸を張って、これからも生きて行こうと思います。
 無趣味、バンザーイ!
  


Posted by 小暮 淳 at 11:44Comments(0)つれづれ

2024年09月09日

「神社かみしばい」 9月口演


 大変お待たせしました!
 3カ月ぶりの開催です。

 伊勢崎神社 (伊勢崎市) で毎月開催している 「神社かみしばい」。
 7月と8月は猛暑のためお休みしましたが、今月より再開いたします。

 とはいえ、まだまだ暑い日が続きますので、来社の際は熱中症対策をお願いいたします。
 でも街頭紙芝居の会場は、神社境内の御神木の下。
 木陰を通り抜ける風は、初秋を感じます。


 天高く 紙芝居の秋

 
 地元の民話や創作紙芝居を上演します。
 会場では、駄菓子やクジ引きなど、昔なつかしい縁日遊びが楽しめますよ。

 ぜひ、家族連れで遊びに来てください。
 待ってま~す!
 
 

       「神社かみしばい」 9月口演
 
 ●日時  2024年9月14日(土)、15日(日)
       10時、11時、12時、13時
       ※屋外開催 (悪天候時は室内)
 ●会場  伊勢崎神社 境内 (群馬県伊勢崎市本町21-1)
 ●入場  投げ銭制 ※ペイペイ可
 ●問合  壽ちんどん宣伝社 TEL.090-8109-0480

       ※小暮は15日のみの在社します。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:15Comments(0)神社かみしばい

2024年09月08日

殺人鬼のクンクン


 コミックが原作だったんですね。
 知りませんでした。

 映画 『夏目アラタの結婚』 を観てきました。


 観に行った理由は、主演が黒島結菜ちゃんだったからです。
 地味な子ですが、演技はしっかりしています。
 テレビドラマ 『行列の女神 ~らーめん才遊記~』 を観てからの推しであります。


 さて、今回の映画ですが、終始 “におい” を感じる不思議な感覚がありました。
 黒島結菜ちゃん演じる殺人鬼の 「品川ピエロ」 こと品川真珠は、いつでもどこでもクンクンと鼻を鳴らしています。

 これって、伏線だっんですね。


 ストーリーは、ホラーから始まり、サスペンスの装いで展開し、なーんだ最後はラブロマンスかよ!?
 と、少々ガッカリしながらエンディングロールを眺めていました。

 ところが!
 してやられました!


 ネタバレになってしまうので、これ以上のことは書けませんが、本当のラストで、すべての謎は解けます。
 ので、最後の最後まで気を抜かず、席を立たないで観てくださいね。

 これから観る方は、オープニングから何度も映し出される 「X」(エックス) の文様に注意しながら、ご覧ください。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:10Comments(0)シネマライフ

2024年09月07日

太宰治ゆかりの温泉宿


 「ラジオ、聴いてます」
 先日、県の施設を訪れたとき、職員から声をかけられました。
 うれしいですね。
 どこかで、誰かが、ちゃんと聴いてくださっているんですね。
 ありがとうございます。


 毎月1回、僕はエフエム群馬に生出演しています。
 第2週の水曜日、夕方6時からの 「news ONE」 というニュース番組です。

 温泉ソムリエの資格を持つアナウンサーと、ちょっぴりマニアックな温泉話をしています。
 さて、今月のテーマは?


 「太宰治ゆかりの温泉宿」 と題して、お話しします。
 温泉大国、群馬には昔から多くの文人墨客らが来遊しています。
 夏目漱石、芥川龍之介、川端康成、若山牧水、与謝野晶子……
 名を上げたら、枚挙にいとまがありません。

 でも文豪の太宰治が滞在していたことは、あまり知られていません。
 しかも、2カ所あります。

 しかもしかも!
 川端康成が紹介した宿だったり、井伏鱒二が同行したりと、もう、文学ファンにはたまらない、垂涎もののエピソードがたくさん残されています。

 しかもしかもしかも!!
 どちらの宿でも太宰は、その温泉地を舞台にした小説を執筆しています。
 群馬の温泉地が舞台の、太宰治の小説があるんですよ~!

 文学ファンでなくとも、興奮しませんか!?
 読んでみたいと思いませんか?


 ということで、今回は太宰治と群馬の温泉をテーマに、時間が許す限り、お話ししたいと思います。
 ぜひ、お聴き逃しなく!
 


 ■放送日  9月11日(水) 18:37 頃~
 ■放送局  FM GUNMA (86.3MHz)
 ■番組名  『news ONE』 月~水 18:00~18:55
 ■出演者  岡部哲彦 (アナウンサー)、小暮 淳 (温泉ライター)
  


Posted by 小暮 淳 at 11:32Comments(2)テレビ・ラジオ

2024年09月06日

二度おいしいエコ記事


 「キツネの話、読みましたよ!」
 さっそく電話をくれた知人がいました。

 今日(9月6日)発行の 「ちいきしんぶん」 を見てくれたようです。
 「ちいきしんぶん」 は高崎市内に配布されているフリーペーパーです。
 僕は、この新聞に、ちょっと変わった記事を連載しています。


 小暮淳の取材こぼれ話 「ちょこっと小耳に」

 いわゆる裏話で、取材中に起こった出来事や失敗談などを紹介しています。
 料理で言えば、本来、廃棄されてしまう根っこやヘタなどの部分を調理して、新たな料理として提供しているようなもの。
 無駄のないエコな記事です。

 また筆者としては、一度の取材で2本の記事が書けるのですから、「一粒で二度おいしい」 グリコのキャラメルのようなお得感があります。


 さて、今日掲載された第5話のタイトルは 「浴室に現れたキツネ」。
 座敷わらしが現れるという温泉宿を取材で訪ねた時のこと。
 宿泊客が自由に書き込むノートの中に、キツネの絵を描いた女性がいました。
 そこには、こう書かれていました。

 <浴室の窓にキツネが現れました>

 僕は主人に案内され、キツネが現れるという浴室へ。
 すると……


 このエピソードは以前、ブログにも書きましたので検索してみてください。
 (2024年3月28日 「浴室に浮かぶキツネの姿」 参照) 


 「ちょこっと小耳に」 は、毎月1回のペースで掲載されています。
 また記事のバックナンバーは 「ちいきしんぶん」 のホームページでも閲覧することができます。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:36Comments(0)執筆余談

2024年09月05日

ピンできるチン


 「先生、老後はまかせてください」
 「老後?」
 「はい、私が先生を介護します」


 一昨日、「弟子の会」 の会合に出席してきました。
 とは言っても、ただの呑み会であります。

 8年前、僕の講座や講演に参加した読者たちが集まり、「温泉の話をしながら酒を呑もう!」 ということになり、2カ月に1回、こうして飲み屋に集まっているのです。
 彼ら彼女らは僕のことを、勝手に 「先生」 とか 「師匠」 とか呼ぶものだから、いつしか 「弟子の会」 と名付けられました。


 会員の一人、Kさん (女性) は現在、介護師の資格を取るべく猛勉強中であります。
 「先生、安心してください。最期までお世話しますから」
 とかなんとか言われ、
 「おいおい、大げさな……」
 と言葉をかわしたのですが、よくよく考えてみたら他人ごとではないような気がしてきました。

 だって僕のオヤジは、亡くなるまでの10年間は認知症を患っていましたからね。
 介護する身の大変さは、重々承知しています。
 もし、自分にその時が来たら……と思うと、ゾッとします。

 できるものなら、まわりに迷惑をかける前に、ピンピンコロリとあの世に旅立ちたいものです。


 でも昔は、そう僕が子どもの頃には、まわりに認知症の老人なんていなかったような気がします。
 なんで現代は、こんなにも認知症の老人が増えたんでしょうか?
 これは素人考えなのですが、肉体の寿命が延びているのに対して、脳の寿命が追い付かなくなっているからではないでしょうか?
 まれに100歳過ぎてもボケてない人がいますが、それは異例中の異例のような気がします。

 肉体と脳がともに長生きしてこそ、本当の意味の “長寿社会” だと思うのです。


 「下の世話もしてくれるの?」
 「もちろんです。先生のオムツを交換してさしあげますわ」
 「もしかして、ピンされちゃったりして(笑)」
 僕が親指と中指で輪を作り、はじく真似をしました。

 するとKさんは、
 「ピンできるといいですけどね(笑)」
 人差し指をフニャリと曲げてみせました。

 そうか、脳より肉体の方が先に老いることもあるのですね。
 今から鍛錬を続け、ピンできるような肉体を維持しようと思います。

 Kさん、待っててくださいね。


 ※今日は珍しく下ネタでしたね。読者のほとんどは昭和世代でしょうから、どうか寛容に読み流してくださいませ。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:19Comments(4)酔眼日記

2024年09月04日

なぜかオヤジがウケるんです


 「この話、大好きなんですよ。掲載してもいいですか?」

 1カ月ほど前でした。
 いつもブログを読んでくださっている某団体の代表から電話がありました。
 会報誌に、僕のブログ記事を載せたいということでした。
 もちろん快諾しました。


 そして昨日、その会報誌が届きました。
 A4版、54ページもある立派な雑誌です。
 僕の記事は中ほどに、なんと! 見開き2ページという、まるで特集のような扱いでした。

 「K&Gの真夏休み ~至福の瞬間~」

 そうです、この夏、僕と孫のKが温泉旅に出かけた話です。
 (2024年8月7日 参照)


 実は以前にも、この会報誌に僕のブログが掲載されたことがありました。
 その時のブログのタイトルは 「マイバスに乗って②居酒屋」 でした。
 (2013年8月8日 参照)

 まだオヤジが生きていた頃の記事です。
 僕とアニキがオヤジを連れ出し、居酒屋までバスで移動する話です。
 ただそれだけの話なのに、その時も代表から 「いい話ですね。ぜひ掲載させてください」 と連絡がありました。


 さらに、その2年前には、こんなことがありました。
 突然、さる飲食店の経営者から連絡がありました。
 ブログの読者だといいます。
 「いい話なので、この記事を、ぜひ掲載させてください」
 と。
 話を聞けば、なんでも顧客に配布する冊子を製作しているのだといいます。

 後日届いた冊子に掲載された記事のタイトルは、こうでした。
 「老人とマンドリンの夕べ」
 (2011年11月7日 参照)

 これもまた、生前にオヤジをマンドリンコンサートに連れて行ったときの話です。


 そうなんです!
 この3つの記事とも、すべてオヤジが登場するんですよ。
 前出の代表も今回の記事については、孫ではなく 「お父さんとの話が、いいじゃないですか~!」 と言ってくださいました。

 オヤジが亡くなって、早いもので5年半。
 来年は七回忌です。
 なんだかんだと、生きている時も死んでからも、僕を応援してくれているのですね。

 介護は大変だったけどさ、ありがとね!
 オヤジ……
  


Posted by 小暮 淳 at 11:59Comments(2)つれづれ

2024年09月03日

トンカツの切り方


 突然ですが、蘇部健一という作家をご存知ですか?
 僕は知りませんでした。
 先日、古本屋の棚で手に取り、そのタイトルに惹かれて読み出しました。

 『六枚のとんかつ』 (講談社文庫)


 裏表紙には、こんな解説が書かれていました。
 <空前絶後のアホバカ・トリックで話題の、第三回メフィスト賞受賞作がついに登場!>

 メフィスト賞といえば、「面白ければ何でもあり」 という文学賞の異端児的な賞です。
 ミステリー作品が多いのですが、フェア、アンフェアを問わないという選考基準が、なんとも素敵です。
 僕も過去には他の受賞作を読んだ記憶があるのですが、なんだったかは思い出せません。

 まあ、その程度の作品だったと思います。
 ところが……


 『六枚のとんかつ』 (短編集) には、してやられました。
 とくかく、ナンセンス!
 そして下品で、下ネタ満載。
 B級コントのようなドタバタ劇。

 これって、ミステリーなの?
 いや、ギャグ小説でしょう?

 と、読者が迷宮していると、突然、挑戦状が届きます。


 ≪読者への挑戦状≫
 さて、ここで私は読者のみなさんへ挑戦する。


 でも、この挑発に乗ってはいけません。
 相手 (著者) は、アンフェアなアホバカなトリックを仕掛けているのです。
 通常の推理小説を解くような思考回路はいりません。

 もっともっとバカになり、アホになって、ギャグのセンスを持って回答しなくてはならないのです。


 表題作 『六枚のとんかつ』 は、トンカツの切り方を見て、時間トリックを見破るという秀逸な作品。
 似たようなタイトルの 『五枚のとんかつ』 も収録されていますが、こちらは衆人環視という密室で起こった殺人事件のアリバイを崩します。

 「よくもまあ、こんなことを考えたもんだ」 と感心することしきり。
 パズルを解くように楽しめました。


 が、みなさんには推薦いたしません。
 だって、とにかく下品なんです。
 バカバカしいんです。

 人によっては、「こんなのはミステリーじゃない!」 と怒り心頭に発し、本を床に投げつけるかもしれません。
 (だって、ノベル版ではあまりにも下品すぎる理由からカットされた 『オナニー連盟』 も収録されています)
 それでも読んでみたいという人は、自己責任においてお読みください。


 ほんと、おバカですよ~(笑)
   


Posted by 小暮 淳 at 11:58Comments(2)読書一昧