2024年09月24日
WHITE HAIR ~老いの効用~
誰だって、老けて見られるよりも若く見られたいと思っていますよね。
歳を重ねれば重ねるほど、男も女もアンチエイジングへの思いは高まるものです。
かつては、僕もそうでした。
でも、ある日を境に、考えが変わってしまったのです。
そのある日とは、2回ありました。
一度目は20年以上も昔のこと。
40代で、僕は温泉のセミナーや講座の講師をしていました。
まだ、温泉の著書を出版する以前の話です。
県内の自治体主催による温泉講座のバスツアーが開催されました。
すでに新聞や雑誌に温泉の記事を書いていた僕が、講師として添乗しました。
集合場所に一番乗りした僕は、停車していたバスに乗り込もうとしました。
その時です。
運転手が言いました。
「ダメダメ、まだ講師の先生が来てないから乗らないで!」
自分が、その講師だと告げると運転手は驚いたようで、
「すみません。温泉の先生だと聞いていたので、もっと年配の方だと思っていました」
と、平謝りでした。
思えば、その時の僕はロン毛の黒髪。
40代半ばより、さらに若く見えていたかもしれません。
その後も講演会に呼ばれると、幾度となく “若い” という違和感を主催者側に与えることがありました。
外見からして、“講師” としての威厳が不足していたようです。
それから10年ほど経った50代半ばの、ある日のこと。
同級生の画家の個展会場へ行った時のことです。
久しぶりに会った彼を見て、度肝を抜かれました。
彼は昔から僕と同じロン毛派ですが、そのサラサラの髪が、なんと! 全白だったのです。
しかも違和感なく、画家然としていて、貫禄すら感じました。
その時、彼から言われた一言が、その後の僕の生き方を変えました。
「ジュンはさ、まだ染めているの?」
ガ―――ン!
脳天に響き渡る梵鐘の音。
だよね、だよね、染めているって分かるよね(汗)
俺たち、もう50代半ばだものな、黒いほうがおかしいよな(汗)
以来、僕は月2回行っていた毛染めをやめました。
そして、やがて僕の頭は白髪になりました。
すると、どうでしょう?
やることなすこと、すべてがスムーズに運ぶようになったのです。
肩の力が抜け、“あるがまま” でいられるリラックス感は、実に気持ちがいい。
しかも講演やセミナーなどで壇上に立った時の、あの観客に感じた違和感もなくなりました。
「老いては老いに従え」
アンチエイジングよりウィズエイジングをお勧めします。
Posted by 小暮 淳 at 12:43│Comments(3)
│つれづれ
この記事へのコメント
私もご存じの白髪ですが染めたことはなかったです。全白目指していたのですが(笑) 意外に進まず中途半端です。
つい先日「老人力」という言葉を知りました。
前回、いつ染めたっけ?と思ったら、それはもの忘れではなく「忘却力」という能力がついた。
年とって動きが遅くなったなと感じたら、それは「ゆっくり力」がついたと。
あるがままがいいですね。
つい先日「老人力」という言葉を知りました。
前回、いつ染めたっけ?と思ったら、それはもの忘れではなく「忘却力」という能力がついた。
年とって動きが遅くなったなと感じたら、それは「ゆっくり力」がついたと。
あるがままがいいですね。
Posted by たけちゃん at 2024年09月24日 13:41
あるがまま、なすがまま、ですね。
Posted by おー at 2024年09月24日 20:12
たけちゃんさんへ
「老人力」
赤瀬川原平さんですね。
もし、まだなら一読をお勧めします。
おーさんへ
ナスがママなら、パパがキュウリという言葉もあります(失礼)。
「老人力」
赤瀬川原平さんですね。
もし、まだなら一読をお勧めします。
おーさんへ
ナスがママなら、パパがキュウリという言葉もあります(失礼)。
Posted by 小暮 淳 at 2024年09月24日 22:29