2023年05月31日
バックパッカーのバイブル
ちょうど30年前の今頃。
インド北部の小さな町の安宿の小汚いベッドの上で、僕は一日中、日本から持ってきた文庫本を読んでいました。
『バーボン・ストリート』 (新潮文庫)
著者は、作家の沢木耕太郎氏です。
そして彼は、僕をインドへと導いてくれた人でもありました。
『深夜特急』
その書名を聞いて、胸の奥がジーンと熱くなる人も多いと思います。
1986~94年に出版 (全6巻) された旅文学の傑作といわれる紀行エッセイです。
沢木氏が、まだルポライターだった頃。
ある日突然、仕事を投げ出し、机の中の小銭までももかき集めて旅に出ます。
香港に渡り、陸路で2万キロをバスを乗り継ぎ、ロンドンを目指す長い長い旅。
当時、何者になるかもわからず、フリーターをしていた20代の僕は、この壮絶なロマンあふれる旅にあこがれ、むさぼるように読みました。
あの頃は、そんな若者がウジャウジャいました。
そんな僕らにとって 『深夜特急』 は、“バックパッカーのバイブル” とまで言われました。
出版から約40年が経った今。
当時の僕らと同じく 『深夜特急』 にあこがれて、旅に出た男がいました。
俳優の斎藤工さんです。
自らが監督を務めて映画も撮る、個性あふれる色気のある魅力的な俳優さんです。
そんな彼が現在、毎晩、ラジオで 『深夜特急』 の朗読をしています。
毎晩のことのなので、聴き逃してしまう日もありますが、僕は今、この番組を聴きながらウイスキーを呑むのが日課となりました。
えっ、日本酒じゃないのかって?
やっぱ、『深夜特急』 には洋酒が合うんですよ!
青春時代にバックパッカーにあこがれた人も、そうでなかった人も、そして今まさにあこがれている若者も、まだ聴いてない人は、深夜に音の旅に出かけてみてください。
さあ、今夜も深夜特急は発車しますよ!
『朗読・斎藤工 深夜特急 オン・ザ・ロード』
TBSラジオ 毎週月~金 23:30~23:55放送
※4~9月、全6巻朗読中!
2023年05月30日
アナログの力
僕は、現金派です。
だから財布は、いまでも昭和チックな二つ折りの革財布です。
現金のほかには、数枚の銀行カードとポイントカード、健康保険証……
それと名刺が数枚、くらいです。
その中に、気が付けば必ず入っている一枚の小さな紙切れがあります。
外食チェーン 「かつや」 の100円割引券です。
なぜ、切れることがないのでしょうか?
利用している人は、知ってますよね!
この割引券、エンドレスなんです。
500円以上の食事をすると、必ず会計時に一枚くれるのです。
だから、次に行った時に100円割引券を出しても、その場で、また一枚もらえます。
ゆえに、財布の中には一年中、この割引券が入っています。
これって、すごくありませんか?
そもそも、安い店なんです。
「カツ丼(梅)」 が、520円(税込み572円) で食べられるのに、さらに100円引き!
さらに、それがエンドレスです。
だったら、次は奮発して600円台のメニューにしちゃおうか!ってなりますよね。
この感覚って、絶対に男性を虜にしますって!
しかも、一人で昼食をとる外回り中の男性ならば、財布の中の割引券を見るたびに、誘惑されるはずです。
これって、完全なるサブミナル効果ですよ!
常に潜在意識の中に、カツ丼が描かれていますもの。
ポイントをためるデジタル時代に、あえて紙切れを手渡すアナログ戦略。
「ポイントをためるなんて面倒くさいことは、できるか!」
という昭和気質の殿方には、単純明快でお得なシステムだということです。
なんて書いていたら、トンカツが食べたくなってきました。
これまた、サブミナル効果なんですね。
「かつや」 の戦略にハマりました。
今日のランチは、ちょっと奮発してカツカレーにしようかな!?
だって、100円引きだもんね。
2023年05月29日
今日は何の日?④
今日は5月29日です。
何の日か、ご存知ですか?
「こんにゃくの日」 なんですってね。
「こ(5)んに(2)ゃく(9)」 の語呂合わせのようです。
全国こんにゃく協同組合連合会と一般財団法人日本こんにゃく協会が、1989年に制定しました。
“こんにゃく” と言えば、下仁田名産であります。
われわれ群馬県人には、「上毛かるた」 の札でお馴染みです。
『ねぎとこんにゃく 下仁田名産』
僕は2018年に出版した 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) の中で、「下仁田ネギのルーツを追って」 と題して、なぜ下仁田ネギは 「上毛かるた」 に描かれなかったのか? その謎解きをしました。
でも僕は、それ以前の2014年に出版された 『下仁田ねぎの本』(上毛新聞社) という本の取材・編集をしています。
この本の中で、すでに下仁田ねぎの歴史をたどり、由来となるルーツにたどり着いています。
取材で印象的だったのは、下仁田町の人たちの 「ねぎ」 と 「こんにゃく」 に対するこだわりと愛情の深さでした。
たとえば、料理!
常に、ねぎとこんにゃくがメインなんであります。
「すき焼き」 の主役が、ネギなんですね。
あくまでも牛肉は脇役で、相棒をこんにゃく (しらたき) が務めます。
また、こんにゃく尽くしのフルコースなんていうのも食べました。
オードブルからメイン、デザートに至るまで、すべての食材がこんにゃくでした。
味もさることながら、この徹底ぶりに感服いたしました。
ということで、今夜はこんにゃくを肴に一杯やりたいと思います。
やっぱり冷酒には、「刺身こんにゃく」 ですかね?
ところで今日5月29日には、こんな記念日もありました。
●呉服の日 「ご(5)ふ(2)く(9)」
●幸福の日 「こ(5)うふ(2)く(9)」
●エスニックの日 「エス(5がSに似てるから)ニ(2)ック(9)」
ちょっと苦しいこじつけもありますが、読めないこともありません。
みなさんも探してみてください。
今日は何の日?
2023年05月28日
第三の予言
後にも先にも、たった一度だけ、手相を占ってもらったことがあります。
20代でした。
よく当たると評判の占い師が出した僕の未来は?
①一生、お金に縁がない
➁しかし、人に恵まれる
でした。
あれから40年……
ズバリ! 占いは当たっています。
それも怖いほどの的中率です。
まるで暗示にかかったように、その後の人生は占いに導かれました。
“お金はない” でも “お金で買えないものならある”
それが、“人” だったのかもしれません。
40年間を振り返ると、人生のターニングポイントには、いつも “人” がいました。
そして、辛く、苦しいときにも、必ず “人” が窮地を救ってくれました。
今思えば、お金があっても人に恵まれない人生よりかは、この人生で良かったとも思います。
実は、占いには、3つ目の予言がありました。
この予言が、いまだに謎であり、何のことを言っているのかが分かりません。
第三の予言とは?
③信念をもって続けていることが、40歳を境に全国へと伝播する
まったくもって、意味不明であります。
まず、僕が若い頃から “信念を持っていること” とは何なのか?
自分でも分かりません。
そして何よりも、すでに40歳からは20年以上も経っていますが、全国レベルのことなんて何も起こっていません。
そこで自分なりに、もう少し予言の意図に近づいてみることにしました。
まず、40歳前から現在まで続けていることは、何か?
フリーランスという生き方と、ライターという職業です。
この2つに尽きます。
趣味は?
ありません。
ただ長年、作曲をしたり、ときどきバンド活動はしています。
でも、“信念” を持っているかを問われると、自信がありません。
となると、予言の対象は、フリーライターという職業にありそうです。
当たるも八卦当たらぬも八卦
占いは、あくまでも人生の目安だということも分かっています。
でも、3つのうち2つが当たっていると、3つめも期待してしまうではありませんか!
予言者様、せめて僕が生きているうちに当ててくださいませ。
2023年05月27日
5類の恩恵
「○○公民館でお世話になったNです。この春から××公民館の勤務になりました。また、こちらでも講演をお願いできますか?」
「△△公民館の I と申します。□□公民館から先生のことを紹介されました。ぜひ、うちでも、講演をお願いしたいのですが?」
新型コロナウイルス感染症の位置づけが、5類に引き下げられました。
これにより日本列島に、コロナ禍前の活気が戻りつつあります。
今年のゴールデンウィークは、どこの観光地も、数年ぶりににぎわったようです。
5類の恩恵は、僕にも兆しがあります。
コロナ禍で中止になっていた、講演やセミナーの依頼が入るようになりました。
また、各地の読者に会いに行けるんですね!
著者として、ライターとして、こんなにうれしいことはありません。
県外からの依頼は別として、県内で初めての会場の場合は、極力、打ち合わせを兼ねて、事前下見に出かけるようにしています。
昨日は、高崎市南部のY公民館に行ってきました。
「先生の噂は、かねがね聞いていまして、ぜひ、コロナが明けたら、うちでもお願いしたいと思っていました」
と担当者。
「で、講演のテーマは、温泉でよろしいですか?」
最近は、2回、3回と呼ばれる公民館も多く、テーマは温泉に限らず、民話だったり、地酒だったりしますが、Y公民館では、初めての講演になります。
よって、当然、県内数カ所の温泉大使を務める温泉ライターとしての依頼だと思い、そう訊ねました。
ところが……
「温泉の話もいいんですけど、できれば民話で、お願いできますでしょうか?」
聞けば、自身が拙著 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) の読者とのことでした。
「あの本の中にも、Y町の伝説がありますよね。ぜひ、地元の人も知らない民話や伝説の話をしていただけたらと思います」
Y町は、西上州の中でも民話の宝庫であります。
著書に取り上げていない話が、まだまだあります。
「Y町には面白い話が、たくさんあるんですよ。分かりました、民話と伝説でお受けいたします」
ということで、打ち合わせ終了。
その後、会場となる講堂に案内してもらい、演台やホワイトボードの位置、当日に必要な物などの確認をさせていただきました。
来月、ここで2時間の講話をさせていただけるのですね。
想像するだけで、ワクワクしてきました。
何を話そうか?
あれも、これも、話したいことばかりです。
2時間で収まるだろうか?
そんなことを考えているときが、一番楽しいのであります。
これもすべて、5類に引き下げられたおかげです。
感謝、感謝!
少しずつでが、僕の日常もコロナ前に戻りつつあります。
2023年05月26日
殺生の選択
あなたは、クモ (蜘蛛) を殺しますか?
新聞の片隅に、気になる記事をみつけました。
若い男性からの投稿です。
男性は、彼女の部屋で小さなクモを見つけたといいます。
当然のように、ティッシュで捕まえて退治して、ゴミ箱に捨てました。
すると!
突然、彼女が泣き出したといいます。
理由を聞くと、部屋の中のクモに名前を付けて、「可愛がっていたのに」 と言ったそうです。
みなさんは、どう思われますか?
僕は、こう思います。
男性の配慮が 、ちょっと欠けていたかなと。
「あっ、クモがいる!」
の一声があれば、
「その子は私の友だちなの」
との一言があり、殺生は回避できたと思います。
こんなデータがあります。
「部屋の中にクモがいたら、どうしますか?」
・放っておく 45%
・外に逃がす 31%
・退治する 24%
僕は、放っておきます。
だって、「クモは神仏の使い」 と言われて育ちましたからね。
それと、人間にとっての害虫を食べてくれるとも聞きました。
人間とクモは、昔から共存共栄の互助関係にあった生き物です。
でもね、虫は好き嫌いの個人差がありまよね。
嫌いな人は共存はできませんから、「外に逃がす」 か、もしくは 「退治する」 んでしょうね。
基本、僕は “一寸の虫にも五分の魂” 派です。
が、時と場合と相手に寄りけりです。
危害を加える相手に対しては、戦います。
屋内に限り、蚊とゴキブリだけは退治します。
でも、それ以外の虫は外へ逃がします。
ハエやハチも殺生は、いたしません。
窓を開け放ち、部屋の外へ誘導します。
えっ、蚊は殺して、ハエは逃がすのかって?
ええ、だってハエは僕に危害を加えませんもの!
ゴキブリ?
あいつだけは、許しません。
危害を加えても加えなくても、親の仇のように追い回します。
結局、退治するか、しないかは、個人の好き嫌いなんですね。
2023年05月25日
ピアノはピアノ
「そうだったんですね」
会う早々、知人の男性に言われました。
「えっ?」
「ピアノですよ」
数日前に書いたブログを読んでくれたようです。
高校を卒業した春、僕がピアノ教室に通い出した話です。
※(当ブログの2023年5月21日 「もしもピアノが弾けたなら」 参照)
と思ったら別の知人男性は、僕の顔を見るなり突然、
「♪ もしも~ピアノが弾けたなら~♪」
と歌い出しました。
この人もまた、ブログを読んでくれていたようです。
お二方とも60歳以上です。
何か “ピアノ” というキーワードに思い出があるのでしょうか?
前回のブログにも書きましたが、僕にとってピアノは、あこがれの存在だったのです。
その思いは、今も変わりません。
そんなピアノについて、以前から2つの疑問がありました。
一つは、なぜピアノは黒いのか?
もう一つは、なぜピアノは 「ピアノ」 と呼ぶのか?
先日、そんな疑問が一気に解決しました。
読売新聞夕刊の 『はじまり考』 というコラムてす。
ピアノが日本に入ってきたのは、江戸後期。
その時はまだ、木目調だっといいます。
日本で最初に国産ピアノが造られたのは明治33(1900)年のこと。
日本楽器製造 (現ヤマハ) が製作を始めました。
<日本のメーカーが高い湿度の気候に耐えられるように黒い漆を塗ったところ、高級感と落ち着いた雰囲気が評判になり、世界で普及しました。>
とのことです。
コラムには、もう一つの疑問についても明記されています。
<「ピアノ」 は、1700年頃にイタリアのメディチ家に仕えた楽器製作者・クリストフォリがつくった楽器が起源とされています。当時、似た楽器として 「チェンバロ」 がありましたが、音の強弱を表現するのには不向きでした。それを可能にしたのがピアノです。>
弦をはじくチェンバロとは異なり、ピアノは弦をたたく仕組みなので、強い音 (フォルテ) と弱い音 (ピアノ) を調整できるようになりました。
そしてクリストフォリは、この楽器に 「フォルテ、ピアノの出せるチェンバロ」 と名付けました。
やがて、この長たらしい楽器名は次第に略され、「ピアノ」 と呼ばれるようになったといいます。
ピアノは、弱い音が出せる鍵盤楽器という意味だったのですね。
大変ためになりました。
疑問は解けたけれど、僕のピアノへのあこがれは、いまだ悶々としています。
いつか、ピアノのある生活を送るのが夢です。
自分で弾くのはあきらめましたから、いつか、そばで、ピアノを弾いてくれる素敵な女性が現れることを夢見ています(男性でも可)。
2023年05月24日
スマホ畑にガラ花を
「“G” とは、Generation (世代) のことです。つまり、世代が進むほど通信速度が速くなります」
販売店の女性が、まるで老人を諭すように、分かりやすく懇切丁寧に説明してくれました。
僕は昨日、携帯電話の3G回線サービスが近々終了するというので、機種変更に行ってきました。
えっ、ついに、あのアマノジャクの小暮が、スマホに変えたって!?
ブッブー!
残念でした。
しっかり、4G対応の “ガラケー” に変更してきました。
「電話とメールしか使いませんので」
「では、こちらですね」
と店員が持ってきたのは、色も形もほぼ今までの機種と同じです。
操作の仕方も、ほぼ同じ。
迷うことはありません。
即決でした。
しかも僕は、以前届いていた 「当社指定機種を無料でご提供」 と書かれた限定クーポンを持参していましたから、機種代も無料、さらに機種変更時の事務手数料までもが無料だったのです。
手ぶらで行って、手ぶらで帰ってきました。
なのにポケットの中では、ピッカピカの “4Gガラケー” が揺れていました。
めでたし、めでたし!
(ちなみに、3Gから4Gに1世代アップするだけで、通信速度は10倍になるそうです)
さて、では、なぜ僕は、かたくなにガラケーにこだわるのでしょうか?
その答えは、一つです。
根っからのマジョリティ (多数派) 嫌いだからです。
電車に乗っても、病院の待合室でも、レストランへ行っても、どこもかしこも老若男女問わず、スマホ依存者の群れです。
なんな光景を見るにつけ、ゾッとしている自分がいます。
決して世の中が便利になることは否定しませんが、洗脳はよろしくありません。
「自分は絶対に、スマホ信者にはなりたくない」
異常な街中の光景を見るにつけ、そう、心に念じてきました。
「4Gのサービスも、いずれ終わりがきますか?」
「すぐは来ないでしょうけど、いずれ6Gが出てくればありえますね」
「……」
「大丈夫ですよ」
大丈夫?
店員は、そのあとになんて言おうとしたのでしょうか?
「お客様が生きているうちは」
ですかね?
さあ、みなさん、荒涼としたスマホ畑に可憐なガラ花を咲かせましょう!
2023年05月23日
人間 VS カッパ
「さて、孫兵衛さんは、無事にカッパの魔の手から逃げることができたのでしょうか? それとも、カッパに喰われてしまったのか? この続きは、次回のお楽しみ~!」
紙芝居師の見事な口上に、会場はドッと沸きました。
今月5日、佐波郡玉村町の国登録有形文化財 「重田家住宅」 で開催された街頭紙芝居での一場面です。
僕らは2年前から群馬県内の民話や伝説を紙芝居にして、上演する活動を続けています。
今回の玉村町を舞台にした 「ご当地紙芝居」 は、こんな話です。
『五料のカッパと妙義のカッパ』
文/小暮 淳 (フリーライター)
画/栗原俊文 (イラストレーター、デザイナー)
演/石原之壽 (壽ちんどん宣伝社・座長)
孫兵衛さんという村人が、田んぼで一人、せっせと田植えをしていました。
すると、見かけたことのない若者がやって来て、こう言いました。
「おらにも田植えをやらせてくんろ」
孫兵衛さんも忙しくて、猫の手も借りたいくらいだったので、
「ありがてえ、さっそく手伝ってくんろ」
と言って、その若者に田植えを手伝ってもらうことにしました。
二人は、横にならんで、苗を植えていましたが、なんだか若者の様子がおかしいのです。
時々、孫兵衛さんのすきを見ては、孫兵衛さんの尻のあたりに手を出しては、ひっこめるのです。
孫兵衛さんも最初は「おかしなヤツだな」と思っていましたが、やがて、ハッと気づきました。
<こいつは、カッパだな>
なぜかというと、カッパは人間の内臓を好んで食べるからです。
それも尻の穴から手を入れて、内臓を引っ張り出してしまうと聞いていました。
<さあ、どうしよう?>
孫兵衛さんは、カッパに食われては大変と、内心ビクビクしていました。
さて、結末はいかに!?
ぜひ、続きは、次回7月17日に玉村八幡宮で開催される街頭紙芝居にて、ご覧ください。
※(日時の詳細は、当ブログの2023年5月20日 「夏だ! まんじゅうろう祭り」 を参照)
2023年05月21日
もしもピアノが弾けたなら
「大学に行ったと思って、ピアノを買ってくれないかな?」
高校を卒業した春。
はなから大学受験を拒否し、フリーターの道を選んだ僕は、オヤジに “未来投資” というこじつけをして、ピアノの購入をねだりました。
「何を今さら?」
と思われるでしょうが、僕は、いたって大真面目でした。
僕は中学時代からギターに目覚め、作曲の真似事をしていました。
でも独学なので、譜面を書くことも読むこともできません。
「これは基礎から音楽を学ばなくては」
と思い、18歳にしてピアノ教室へ通うことにしました。
僕はオヤジを説得して、電子ピアノを買ってもらいました。
電子ピアノも、まだ当時は高額で、アップライトタイプの重厚なものでした。
ただアコースティックのピアノと比べると、音量の調節もでき、ヘッドホーンで聴くことができるため、夜中の練習もできます。
何よりも、下手クソな演奏を隣近所に聴かれないで済むのが、最大のメリットでした。
ピアノ初心者の僕は、当然、「赤バイエル」 からの入門になります。
それでも悪戦苦闘の日々でした。
とにかく、指が動きません。
日に日に、挫折感が高まっていきました。
「なんで、もっと練習をしてこないのよ!」
先生に怒られ、へこんで教室から帰るたびに、描いていた未来予想図が色あせていきました。
ピアノ教室に通って、もうすぐ1年が経とうとする頃……
レッスン後、先生から 「話がある」 と言われました。
そして真顔で、こう言い放たれました。
「小暮君、ピアノの才能ないよ!」
ガーーーーーン!
まあ、先生に言われるまでもなく、本人が一番知っているんですけどね。
さらに先生は、言葉を続けます。
「小暮君は、ピアノが弾きたいわけじゃないんでしょ? 作曲がしたいんでしょ? だったら音楽学校に行きなさい」
先生の言葉が、僕の人生の新たな扉を開けてくれました。
かくして僕は、1年遅れの19歳の春に、東京へと旅立って行ったのでした。
そんなわけで、今でも僕はピアノに対して、並々ならぬコンプレックスを抱いています。
とにかく、ビアノが弾ける人が羨ましくて仕方がありません。
最近は、「街中ピアノ」 とか 「駅ピアノ」 と呼ばれるオープンスペースで、誰でも自由にピアノが弾ける場所が増えています。
ピアノの音が聴こえてくると、ついつい足を止めてしまいます。
みんな、上手なんですよね。
学生さんが多いようですが、時にはネクタイ姿のサラリーマンが弾いていたりします。
カッコイイーーー!!!
僕も、こうなりたかった!
と、嫉妬を超えた羨望で、聴きほれています。
僕が尊敬する人の筆頭は、間違いなく “ピアノが弾ける人” であります。
2023年05月20日
夏だ! まんじゅうろう祭り
≪大利根の清き流れに産湯をつかい、義理と人情のためならば、ガブッと焼きまんじゅうを頬張って、悪を憎んで弱きを助け、西、東。姓は 「焼き」、名は 「まんじゅうろう」。甘辛みそダレの股旅野郎とは、おいらのことよ!≫
群馬のニューヒーロー 「焼きまんじゅうろう」。
必殺技は、「あまから剣法みそだれ返し」。
そんな、まんじゅうろうの活躍が紙芝居と落語になって、やって来る!
夢のコラボが実現しました。
まんじゅうろうの誕生は、今から15年前。
前橋市在住の絵本作家・野村たかあき先生により、焼きまんじゅうをテーマにしたキャラクターとして生み出されました。
その時、イラストと一緒に歌詞が手渡され、僕が作曲。
テーマソングの 『焼きまんじゅうろう旅すがた』 は、僕がボーカルを担当するオヤジバンド 「じゅん&クァパラダイス」 によって、県内各地の祭りやイベントで演奏されました。
すると新聞やラジオなどのメディアで注目されるようになり、ついにはCDデビューまで果たしました。
さらに平成9(2009)年11月、新紀元社から出版された 『日本全国ご当地キャラクター図鑑2』 に、群馬のソウルフード 「焼きまんじゅう」 のPRキャラクターとして掲載されるなど、全国区の人気者になりました。
時は流れ、令和3(2021)年秋。
毎月1回、伊勢崎神社 (伊勢崎市) で開催されている 「神社かみしばい」 の演目に、焼きまんじゅうろうが登場!
作・画は、野村たかあき先生。
演じるのは、壽ちんどん宣伝社・座長の石原之壽(いしはらのことぶき)君であります。
第1作の 『焼きまんじゅうろう旅すがた~おきりとおこみの巻』 が上演されると、新聞やテレビの取材が殺到!
その年の暮れには、2作目の 『焼きまんじゅうろう旅すがた~宿場につめてぇ風が吹く』 が上演されました。
すると、この紙芝居が前橋市在住のアマチュア落語家・都家前橋(みやこやぜんきょう)さんの目に留まり、創作落語に生まれ変わりました。
演目は 『焼きまんじゅうろう旅姿~玉村宿の決闘』。
舞台は江戸時代に日光例幣使街道が通り、諸国の旅人でにぎわった玉村宿 (玉村町)。
バクチ場をつくって大儲けをたくらむ 「どどめ一家」 の親分と用心棒たちを、まんじゅうろうがバッタバッタと打ちのめす勧善懲悪の痛快喜劇です。
そんな夢のような共演が来たる7月、玉村八幡宮にて開催されます。
ぜひ、ご家族で、また友人知人をお誘いの上、お越しください。
「玉村ご当地物語 まんじゅうろう祭り」
~すごいぞ! 紙芝居と落語~
●日時 2023年7月17日(月・海の日)
紙芝居/10時、11時、13時、14時
落語/11時30分、13時30分
※屋外開催 (悪天候時は室内)
●会場 玉村八幡宮 境内 (群馬県佐波郡玉村町下新田1)
●入場 投げ銭制 ※ペイペイ可
●問合 壽ちんどん宣伝社 TEL.090-8109-0480
2023年05月19日
クラファン、後半戦へ!
「小暮さんの本は、4冊持ってます。ぜひ、話を聞かせてください」
そう申し入れがあり、昨日、某新聞社の記者より取材を受けました。
話の中心は、先月からスタートしたクラウドファンディングについて。
現在、僕が代表理事を務めるNPO法人 「湯治乃邑(とうじのくに)」 では、日本初の温泉かるた 「ぐんま温泉かるた」 の制作中です。
群馬は “温泉王国”、そして “かるた王国” です。
なのに、温泉かるたが無いなんて、ヘンじゃありませんか?
ということで、構想7年、企画2年の末、ついに昨年夏に全44枚の読み札が完成しました。
同時に、絵札のサンプル画もイラストレーターに描いてもらいました。
あとは制作するのみ!
というところで、大きな壁が立ちはだかりました。
そうです、制作費です。
よって、支援金を集めるべく、クラウドファンディング (CAMPFIRE) を開設しました。
目標額は200万円。
しかし、予想以上の大苦戦をしています。
現状では期間中に、目標額に達するのは絶望的であります。
そんなとき、手を差し伸べてくれたのが、全国紙です。
担当の記者が温泉好きというが、心強いぱかりです。
ここからは、マスコミの力も借りざるを得ません。
現在、群馬県内では 「温泉文化」 をユネスコの無形文化遺産に登録しようという機運が高まっています。
この 「ぐんま温泉かるた」 が完成すれば、活動の大きな後押しができると信じています。
どうか、みなさん!
力を貸してください。
クラファンの募集終了まで、あと残り35日となりました。
温泉の神様のご加護により、逆転満塁ホームランをかっ飛ばしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
2023年05月18日
図書室の怪
一昨日の昼下がりのこと。
朝からなんだか気が重く、思うようにディスクワークが進みませんでした。
こんな日は気分を変えて、外出するのが一番と、散歩がてら近くの公民館へ向かいました。
目的は、公民館に併設されている図書室です。
近々、講演会があり、その資料を探すことにしました。
でも小さな地区公民館の図書室ですから、探す本が見つかるとは限りません。
「なかったら市立図書館か県立図書館へ行けばいい」
そんな軽い気持ちで、ぶらりと訪ねたのです。
この図書室に入るのは、たぶん半年ぶり……
確か最後に来たのは、去年の暮れだったような……
室内のレイアウトは、以前と変わりはありません。
探している資料の棚にも、迷うことなく行けました。
でも、何かがヘンなのです。
レイアウトは同じなのに、なんとなく空気が違います。
平日の午後ということもあり、利用客はまばらです。
閲覧所で新聞を読んでいる老人が1人、小さな子どを連れた若い女性……
カウンターでは女性職員が2人、暇そうにおしゃべりをしています。
なのに、騒がしいのです。
音が?
いえいえ、感じるのは視線です。
誰かに見られているような、それも複数の……
探し物の資料は、ありました。
関連本まで含めると、いつしか僕は7冊も本を抱えていました。
あれ? 何冊まで借りられるんだっけ?
両手に本を抱えながら、貸出カウンターで訊きました。
「10冊です」
「では、これを」
僕は本をカウンターの上に置くと、いつものように 「利用カード」 を提出しました。
職員はカードをスキャンして、僕に返してくれました。
そう、いつものように……
でも!
“いつものように” は、ここまでだったのです。
ここから職員は、意味不明な行動をとりました。
少し重たそうに7冊の本を両手で抱えると、カウンターの上に置かれた白いプレートの上に、ドカッと置いたのです。
なんだ、この白いプレートは?
A4版サイズほどのまな板のような薄っぺらいプレートです。
でも、職員が本を置いた途端、手前のプリンターが作動しました。
ジーーーーーッ、プッ!
な、な、なんと、瞬時に 「貸出票」 が出てきたのです。
見れば、しっかりと7冊分のタイトルと返却期限まで、印字されています。
「えっ、今の何? もしかして、お姉さん、魔法を使いました?」
と訊きたいところでしたが、意に反して、僕の口は、あんぐりと開いたままでした。
やっと口をついて出た言葉が、
「今、スキャンは、してませんよね?」
「はい」
「えっ? ていうことは、その台が読み取ったの?」
「はい」
職員の対応は、素っ気ありません。
「いまどき、あたりまえでしょ」
と言わんばかりです。
「だから昭和の人は、イヤなのよ」
なんていう、心の声まで聞こえて来そうなので、ほうほうのていで僕は図書室を出て行きました。
いゃ~、驚きました!
たかが半年間、行かなかっただけでハイテク化されていました。
しかも、こんな田舎の公民館にある図書室でさえです。
バーコードでスキャンするだけでも画期的だと思っていたんですけどね。
今は、貸し出される本の一冊一冊に、I Cタグが入っているんですね。
そして、あの白いまな板のようなものは、それを読み取るリーダーだっというわけです。
完全なる “未知との遭遇” であります。
まるで未来にワープしたかのようでした。
ああ、怖い怖い!
昭和に帰りたくなった日でした。
2023年05月17日
トリビア温泉
群馬テレビの人気番組 『ぐんま!トリビア図鑑』。
おかげさまで、放送開始から9年目を迎えました。
回数も昨日の放送で、326回を数えました。
これもひとえに、スポンサー様と視聴者様のお陰と心よりお礼を申し上げます。
僕は、この番組のスーパーバイザー (監修人) をしています。
昨日、番組の企画・構成会議がありました。
テレビ局の会議室には、プロデューサー・ディレクター・放送作家ら12名が集まり、毎度ながらの白熱した討論となりました。
僕も末席にて、拝聴させていただきました。
僕の役割は、“ご意見番” であります。
出されたテーマに対して、「あーだ」 「こーだ」 と難癖をつけたり、ヤジったりするのが仕事。
でも年に数回は、自らテーマを提案して、採用されることもあります。
その場合、僕が番組のリポーターを務めます。
昨年の夏からスタートしたシリーズ 「温泉王国ぐんま」。
このシリーズのみ本業 (?) の “温泉ライター” として登場します。
もちろん企画から構成、ロケハンにも参加して、ディレクターや放送作家らと一緒に番組を作り上げます。
シリーズでは今までに、倉渕川浦温泉 (高崎市) や宝川温泉 (みなかみ町)、上牧温泉 (みなかみ町) をリポートしてきました。
そして今回の会議で、第4弾が決定!
群馬が全国に誇る秘湯中の秘湯を紹介することになりました。
これよりロケハンに入り、台本制作となります。
放送は秋頃の予定です。
追って、進捗状況をお知らせします。
ご期待ください。
「ぐんま!トリビア図鑑」
●放送局 群馬テレビ (地デジ3ch)
●放送日 火曜日 21:00~21:15 (毎月最終火曜日を除く)
●再放送 土曜日 10:30~10:45 月曜日 12:30~12:45
2023年05月16日
不思議な寿命
先週、厚生労働省が市町村別の平均寿命 (2020年時点) を発表しました。
これによると最も長寿だったのは、男女ともに川崎市麻生区で、男性84.0歳、女性89.2歳でした。
2~5位は、以下の通りです。
<男性>
横浜市青葉区、長野県宮田村、愛知県日進市、京都府木津川市
<女性>
熊本県益城町、長野県高森町、滋賀県草津市、兵庫県芦屋市
う~ん、2位以下は男女とも全国の市町村がバラバラなのに、なぜ、川崎市麻生区だけ男女ともに最長なのでしょうか?
ただ一つ言えることは、関東以南であるという共通性があるということです。
以北の寒い地域は、上位には入っていません。
ということは、長寿は気候が左右するの?
と思いきや、さにあらん。
これが、ワースト5を見ると驚きの結果が……
ワースト1位は、男女ともに大阪市西成区で、男性73.2歳、女性84.9歳です。
なんと男性は、1位の川崎市麻生区との差が10歳以上もあったのです!
これがワースト2~5位を見てみると……
<男性>
大阪市浪速区、大阪市生野区、青森県東通村、青森県六ヶ所村
<女性>
青森県今別村、青森県田舎館村、青森県大鰐村、青森県むつ市
ほーらね、寒い地方が上位を占めています。
でも、同じ寒い地方でも、なぜ青森県以外の東北地方や北海道はワースト5に入らないのでしょうか?
ということは、気候だけが問題ではないんでしょうね。
食生活や生活習慣といった条件が加わっているのだと思います。
それにしても、なぜ、寒くもない大阪市西成区だけが男女ともに青森県よりも平均寿命が短いのでしょうか?
でも、なんとなく分かります。
気候、食生活以外にも寿命を左右する大きな条件があるのですね。
それは、環境です。
西成区には、通称・ドヤ街と呼ばれる低所得者層が集まる地区があります。
ワースト1の背景には、きっと、そんな環境が反映しているのかもしれませんね。
では、なぜ、川崎市麻生区は男女ともに平均寿命が日本一なのでしょうか?
これについては厚労省も 「明確な要因は分からない」 とコメントしています。
ただ、調べてみると麻生区という所は、多摩丘陵の里山が連なる地区で、坂道が多い街のようです。
よって、住民は足腰が丈夫になり、健康を維持できているという推測もできます。
が、坂の多い街なんて、日本全国どこにだってあります。
なぜ、なんでしょう?
分かる人がいたら、教えてください。
2023年05月15日
東京再会物語<番外> M嬢の誘惑
「明日は12時に新宿で待ち合わせて、一緒にランチをしましょう!」
そうM嬢に誘われて、待ち合わせ場所へ行くと、そのまま駅の雑踏を抜け、路地裏へ連れて行かれました。
“思い出横丁”
路上に張り出した軒下では、すでに昼日中から老若男女が酒を酌み交わしています。
ここが、彼女が僕のために用意してくれた “スペシャルランチ” だったのです。
24年ぶりに訪ねた旧友が営むカレーハウス。
45年ぶりに訪ねた我が青春の喫茶店。
そして、僕のことを 「アニキ」 と呼ぶミュージャンが出演したライブハウス。
これら1泊2日の東京再会ツァーを企画して、ツアーコンダクターを買って出てくれた人が、何を隠そうM嬢だったのです。
※(「嬢」 といっても年齢不詳です。)
M嬢との出会いは、4年前になります。
彼女は、その10年ほど前から僕のことを知っていたようであります。
いわゆる読者様だったのです。
そんな彼女から、ある日突然、出版社に僕あての手紙が届きました。
手紙の内容は、とてもプライベートなことなので、ここでは公表できませんが、とにかく彼女は、一度、直接僕と合って伝えたいことがあるとのことでした。
連絡を取り合い、数か月後。
前橋市内で2カ月に1回開催される 「弟子の会」 に、彼女を招待しました。
「弟子の会」 とは、僕の読者で温泉好きな人たちの集まりです。
彼女は、わざわざ東京から参加してくださったのです。
今回のツアーは、東京在住の彼女ならではの粋な計らいでした。
とにかく、ツアコンとしての腕は完璧でした。
駅を降りたら酒、どこへ行っても酒、朝昼晩、酒酒酒の酒三昧の呑んだくれツアーを企画していてくれました。
弟子ならではの、師匠の好みを知り尽くした憎いツアーです。
そして最終日、彼女は、とっておきのランチを用意してくれました。
「カンパーイ!」
「先生、お疲れさまでした」
「こちらこそ、楽しい2日間だったよ。ありがとう」
「また来てください」
「もちろん、秋くらいにもう一度、ツアーを企画してよ」
まずは生ビールを1杯、2杯……
レトロな居酒屋の店内に 「ホッピー」 の文字を見つけてからは、ただ、ひたすらにホッピーと焼酎を注文し続けました。
「先生、大丈夫ですか? 帰れますか?」
新宿駅構内は、田舎者から見ると、まるでお祭りのような混雑です。
「ああ、楽しかった。ありがとう!」
「お気をつけて」
まだ午後の2時を過ぎたところです。
雑踏の中に、手を振るM嬢の小さな背中が消えていきました。
持つべきものは、弟子ですな。
読者様は、神様なのであります。
ライター冥利に尽きる2日間でした。
2023年05月14日
装丁会議
毎度、比喩的な表現で恐縮です。
僕は、本の出版は “山登り” に似ていると思っています。
原稿を書いている期間が、登山 (上り) です。
原稿がそろった時点が、山頂 (登頂)。
編集者やデザイナーを交えて、書籍の制作が始まった時点で、下山 (下り) となります。
よって、完成 (出版) は、下山後に制覇した山を仰ぎ見た瞬間に似ていると思うのです。
今年になってから、たびたびブログでも新刊の進捗状況を報告してきました。
1月、まだ原稿は全部そろってはいませんでした。
だから登頂前の八合目あたりに居ると記しました。
(2023年1月6日 「ただ今、八合目」 参照)
4月、すべての原稿がそろい、山頂に居ることを報告。
(2023年4月2日 「『あとがき』 によせて」 参照)
その後、出版関係者と打ち合わせをくり返し、ページ割を行い、本文デザインが仕上がり、着実に下山を続けてきました。
ただ、各人の諸事情もあり作業が遅れ、当初の予定であった今春の発売には間に合いませんでした。
ゴールデンウィーク明け、これまでの遅れを取り戻そうと、出版元の会議室に関係者が集まりました。
いよいよ、本の顔である装丁デザイン案であります。
本文の紙質を決めるとともに、表紙、扉、カバーなどの紙質や色が決められました。
そして肝心要の装丁デザインでは、いくつも意見が出ましたが結果、過去にも数々の僕の著書を手掛けているチーフデザイナーのKさんに、一任することになりました。
さて、どんなデザインが出てくるのでしょうか?
著者としては、提案されるまでのワクワクドキドキ感を楽しみたいと思います。
次回、関係者が集まるのは、帯会議です。
これまた、本の売り上げを左右する大事な会議であります。
読者の皆様、もうしばらくお待ちください。
制作が遅れてはいますが、確実に進んでいます。
夏には、出版されるかな?
著者も一緒に待ちたいと思います。
2023年05月13日
老神温泉 「楽善荘」③
相変わらず、けれんみのない、いい湯です。
見事なまでの湯の道がありました。
さすが、湯元の宿です。
昨日と今日、4年ぶりに老神温泉 (沼田市) で蛇みこしが渡御巡行する 「大蛇まつり」 が開催されるというので、行ってきました。
まずは老神温泉大使として、赤城神社にて神主より、ご祈祷を受けました。
老神温泉の中心部、「大蛇まつり」 の出発点でもある赤城神社は、山岳信仰を起源に赤城山の神を祀り、古来、人々の 「守護神」 として信仰されています。
神事の後、一行は温泉街へと下りて、「御神湯守の儀(おんゆもりのぎ)」 を行います。
「御神湯守の儀」 とは、老神温泉をお授けになられた赤城の神様への感謝と、温泉を訪れる人々の無事故と多幸を祈って、赤城神社でご祈祷を受けた御神湯(ごしんとう)を各旅館の湯舟に注ぐという儀式です
僕は、ご厚意により 「湯元 楽善荘」 にて、儀式に立ち会いました。
楽善荘の主人、桑原公美さんと、女将の照子さんとは、2015年に出版した 『尾瀬の里湯』(上毛新聞社) の取材で出会い、その後も何かと縁があり、お付き合いが続いています。
女将さんは開口一番、
「ぜひ、湯に入っていってください」
と言ってくれましたが、まだ儀式の前です。
「いや、神様より先に入るわけにはいきません」
「もちろん、神様の後ですよ」
と言って、笑い合いました。
浴室にて、神主と宿主、氏子らによる 「御神湯守の儀」 が、滞りなく終わりました。
「さあ、どうぞ!」
「では、遠慮なくいただきます」
湯は、やわらかく、無色透明でサラリとした浴感。
そう表現すると、どこにでも見かける普通の単純温泉のように思られがちですが、さにあらん!
単純温泉の王道をゆく、単純温泉であります。
しかも、ただの単純温泉ではありません。
2つの源泉の混合泉なのであります。
8号泉は単純硫黄温泉。
10号泉は単純温泉。
よって、無色透明ながら、ほのかに硫黄泉特有の温泉臭も漂います。
何より、毎度感動するのは、昭和40年代に造られた “湯の道” を知り尽くした浴槽の構造にあります。
湯舟は大きからず小さからず、湯量に見合った絶妙なサイズです。
そして、湯口と湯尻の位置関係。
まさに、芸術であります。
加水なし、加温なし、完全放流式のモデルのような造りです。
また湯の流れが、いい。
美しいほどの湯の道が、たゆたゆと体のまわりを通り過ぎていきます。
湯口側は熱く、湯尻側はぬるめ。
間が、ちょうど適温の40~41℃くらいだろうか。
ただただ、にくい湯なのであります。
<「私は昔から温泉が大好きだったんです。その大好きな温泉に毎日入れるだけで、結婚して良かったと思いますよ。ここの湯の良さは、入っていただけたら分かります」> (『尾瀬の里湯』 より)
初めてお会いした時の女将さんの笑顔は、昨日も健在でした。
ご主人、女将さん、ありがとうございました。
お赤飯と漬物、ごちそうさまでした。
2023年05月11日
「高崎版 ロミオとジュリエット」 を朗読
人の縁とは、不思議なものです。
読者のみなさんは、昨年暮れのこんな話を覚えていますか?
20年以上前に自費で出版した僕の本に偶然出合い、その後、読者となり、仕事で僕の本を朗読したいという申し出が、ラジオパーソナリティーからあったという話です。
(当ブログの2022年12月31日 「こいつぁ~、暮れから縁起がいいわい!」 参照)
彼女の名前は、藤弓真千さん。
フリーナレーターです。
朗読(リーディング) の仕事をしています。
そんな彼女がパーソナリティーを務めるラジオ番組で、今年4月から僕の本の朗読が始まりました。
インターネットラジオ放送局 「ゆめのたね」
東日本第1チャンネルの 『喜ばせ屋の言の葉レシピ』
毎週月曜日 9:00~9:30
ネットラジオが不慣れな方のために、アクセス方法を明記いたします。
① 「ゆめのたね ラジオ」 で検索
② 東日本第1チャンネルをクリック
③ 番組表の月曜日、9:00~9:30をクリック
④ 藤弓真千さんの番組 『喜ばせ屋の言の葉レシピ』 が表示されます
朗読してくださっているのは、『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) です。
先月は第1話 「木部姫伝説」 でした。
そして今月は、第2話の 「佐野の舟橋」 の朗読が始まりました。
「佐野の舟橋」 は、高崎市内を流れる烏川に架かる橋にまつわる悲恋話です。
川を挟んで東の佐野に 「朝日の長者」、西の片岡には 「夕日の長者」 と呼ばれる屋敷がありました。
互いの長者には、那美という美しい娘と小次郎という凛々しい息子がいました。
2人は出会い、恋に落ちますが、互いの親は仲が悪く、恋路の邪魔をします。
ある夜のこと、必死の思いで屋敷を抜け出した那美と小次郎。
ところが、2人を待ち受けていたものとは……
まるで、シェークスピアの名作 『ロミオとジュリエット』 のような話です。
ということで、僕は 「高崎版 ロミオとジュリエット」 とタイトルを付けました。
この話を、藤弓さんは、感情をこめた素晴らしい朗読をしてくださっています。
ありがとうございます。
著者として、この上ない喜びであります。
ぜひ、月曜日午前9時からの 『喜ばせ屋の言の葉レシピ』 を聴いてみてください。
2023年05月10日
4年ぶりに大蛇みこし渡御巡行!
大蛇みこしが帰ってきます!
毎年5月の第2金曜日と土曜日に開催されていた老神温泉 (沼田市) の 「大蛇まつり」。
目玉は、全長30メートルもある巨大な蛇みこしが温泉街をねり歩く、勇壮な渡御巡行です。
が、コロナ禍の3年間は祭り自体は関係者のみで行われましたが、渡御巡行は中止されていました。
今年は、その待ちに待った大蛇みこしが、4年ぶりに温泉街を “蛇行” します。
この 「大蛇まつり」 は赤城神社の例祭で、祭りの由来は伝説に基づいています。
その昔、赤城山の神 (ヘビ) と日光男体山の神 (ムカデ) が戦ったおり、傷ついた赤城山の神が、この地で矢を地面に突き立てると、湯が湧き出したといいます。
その湯につかり傷を癒やした赤城山の神は、陣を立て直し、日光の神を追い返したことから 「追い神」 → 「老神」 と呼ぶようになったといわれています。
今年は、盛大に行われるんでしょうね。
もちろん、僕も 「老神温泉大使」 として神事に参加します。
大蛇みこしの渡御巡行は、事前申し込みにて一般参加ができます。
ぜひ、神の宿る温泉地へ、お出かけください。
老神温泉 赤城神社例祭 「大蛇まつり」
●宵祭り 令和5年5月12日(金)
11:00~12:00 赤城神社神事 (関係者のみ)
12:00~15:00 御神湯守の儀 (関係者のみ)
18:30~22:00 若衆蛇神輿渡御 (雨天決行/参加は要申込)
●本祭り 令和5年5月13日(土)
11:00~12:00 赤城神社神事 (関係者のみ)
12:00~15:00 御神湯守の儀 (関係者のみ)
13:00~15:00 子供神輿渡御 (雨天中止/利根町在住の子ども)
14:00~15:00 蟇目の儀 三々九手挟式 (見学無料)
18:30~22:00 若衆蛇神輿渡御 (雨天決行/参加は要申込)
●問い合わせ・申し込み
老神温泉観光協会 TEL.0278-56-3013