2023年05月31日
バックパッカーのバイブル
ちょうど30年前の今頃。
インド北部の小さな町の安宿の小汚いベッドの上で、僕は一日中、日本から持ってきた文庫本を読んでいました。
『バーボン・ストリート』 (新潮文庫)
著者は、作家の沢木耕太郎氏です。
そして彼は、僕をインドへと導いてくれた人でもありました。
『深夜特急』
その書名を聞いて、胸の奥がジーンと熱くなる人も多いと思います。
1986~94年に出版 (全6巻) された旅文学の傑作といわれる紀行エッセイです。
沢木氏が、まだルポライターだった頃。
ある日突然、仕事を投げ出し、机の中の小銭までももかき集めて旅に出ます。
香港に渡り、陸路で2万キロをバスを乗り継ぎ、ロンドンを目指す長い長い旅。
当時、何者になるかもわからず、フリーターをしていた20代の僕は、この壮絶なロマンあふれる旅にあこがれ、むさぼるように読みました。
あの頃は、そんな若者がウジャウジャいました。
そんな僕らにとって 『深夜特急』 は、“バックパッカーのバイブル” とまで言われました。
出版から約40年が経った今。
当時の僕らと同じく 『深夜特急』 にあこがれて、旅に出た男がいました。
俳優の斎藤工さんです。
自らが監督を務めて映画も撮る、個性あふれる色気のある魅力的な俳優さんです。
そんな彼が現在、毎晩、ラジオで 『深夜特急』 の朗読をしています。
毎晩のことのなので、聴き逃してしまう日もありますが、僕は今、この番組を聴きながらウイスキーを呑むのが日課となりました。
えっ、日本酒じゃないのかって?
やっぱ、『深夜特急』 には洋酒が合うんですよ!
青春時代にバックパッカーにあこがれた人も、そうでなかった人も、そして今まさにあこがれている若者も、まだ聴いてない人は、深夜に音の旅に出かけてみてください。
さあ、今夜も深夜特急は発車しますよ!
『朗読・斎藤工 深夜特急 オン・ザ・ロード』
TBSラジオ 毎週月~金 23:30~23:55放送
※4~9月、全6巻朗読中!
Posted by 小暮 淳 at 11:25│Comments(0)
│読書一昧