温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2017年12月31日

今年も最後はゲゲゲのゲ~!


 「大晦日」 と書いて、「おおつごもり」 とも読むそうです。

 「つごもり」 とは、「つきごもり(月隠)」 の略で、月の光が隠れて見えなくなること。
 元は月の三十番目の日(30日) のことで、転じて、月の終わり(下旬) をいうようになったようです。

 それに “大” の字が付くわけですから、一年の最終日となります。


 今日が、その大晦日であります。
 2017年(平成29年)、最後の日となりました。
 あと数時間で、新しい年を迎えます。

 なんだか、ドキドキしますね。
 ちょっぴり、ワクワクもします。
 なぜでしょうか?
 何か根拠でもあるのでしょうか?

 いえいえ、なーんにもありません。
 でも毎年、年越しは、ワクワク、ドキドキします。
 去り行く年を惜しむよりも、迎える年に期待することが多いからかもしれませんね。

 あっ、あれもしたかった!
 これも、し忘れた!
 あれも、これも、それも、みーんな、来年におあずけです。


 読者のみなさんにとって、今年は、どんな1年間でしたか?
 超ハッピーだった人も、ちょっぴり残念だった人も、リセットして気分一新!
 待望のニューイヤーを迎えましょう!

 と、いうことで、今年も最後は、あの恒例の“ゲゲゲのゲ” で1年を締めたいと思います。
 故・水木しげる先生の 『幸福の七ヶ条』 であります。
 さあ、みなさんもご一緒に、復唱ください。


 <第一条>
 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
 <第二条>
 しないではいられないことをし続けなさい。
 <第三条>
 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追及すべし。
 <第四条>
 好きの力を信じる。
 <第五条>
 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
 <第六条>
 怠け者になりなさい。
 <第七条>
 目に見えない世界を信じる。


 今年も1年間、お付き合いをいただき、ありがとうございました。
 来年もよろしくお願いいたします。
 良いお年を、お迎えください。
                 大晦日 小暮 淳
   


Posted by 小暮 淳 at 18:03Comments(0)つれづれ

2017年12月30日

マロの独白 (34)  オイラの年が来る!


 ♪ もういくつ寝ると お正月
    お正月には散歩して
    ドッグフード食べて 昼寝して
    いつもと変わらぬ お正月 ♪


 こんにちワン! マロっす!!
 ここんちの飼い犬、チワワのオス、11才です。

 読者のみなさん、お久しぶりでやんした。
 しっかし、1年が経つのは、早いっすね。
 今年も、あと1日しかありません。
 ということは、もう2つ寝るとお正月でーーーすっ!

 うれしいなったら、たのしいなぁ~♪

 えっ、なにを浮かれているのかって?
 だって来年は、戌年ですよ。
 しかもしかも、オイラは来年12才になります。
 と、いうことは?

 そうです、オイラは戌年生まれの年男なんでやんす!
 ね、めでたいでしょう!?

 で、で、でね、オイラの大好きなご主人様も、戌年なんですよ!
 ダブルで、すごいでしょ!?
 仲良しなんだなぁ~。
 来年は、きっと良い年になりますよ。
 いえいえ、戌年生まれの犬としては、なにがなんでも戌年に戌年生まれのご主人様の人生をバックアップするでやんす。


 でね、新年を迎えるにあたり、3つの誓いを立てました。

 ① 「無駄に吠えない」
 若い時は、孤独に耐えられたんですけどね。
 最近、部屋にひとりぼっちにされると、ついつい吠えてしまうんです。
 ご主人様には、毎回、「うるさい!」 と叱られています。

 ② 「おやつをねだらない」
 オイラにおやつをくださるのは、ご主人様だけなものですから、ついつい、ご主人様の顔を見ると 「おやつ、おやつ」 と催促してしまいます。
 やはり、そのつど、「あげたばっかりだろ!」 と叱られています。
 今後は、散歩が終わってからと、お留守番ができたときだけにします。

 ③ 「大主人様との散歩復活」
 実は秋以降、大主人様と散歩をしていません。
 というのも、ご高齢ゆえ、大主人様の体力が落ちてきたのと、寒くなってきたので、ご主人様が大主人様の散歩を中止にしたのです。
 でもね、春が来て、暖かくなれば、きっと大丈夫ですよ。
 大主人様だって、元気になって、外を歩きたがるに決まっています。
 その日まで、オイラは待っているワン!


 では、みなさん、良いお年をお迎えください。
 来年も、ご主人様同様、オイラのことも、よろしくお願いいたしまする。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:19Comments(2)マロの独白

2017年12月27日

今年のベスト10


 今年も残り少なくなりました。
 テレビや新聞では、恒例の10大ニュースを発表しています。
 “ニュース” というくらいですから、良い事も悪い事もあるわけです。

 でも、せっかくですから今年1年間を振り返って、良い事だけ選んでみようと思います。
 題して、「2017年 私のベスト10」。
 こんな感じになりました。



 第1位  3つの温泉大使 (5月・7月)

 昨年いただいた 「みなかみ温泉大使」 と 「中之条町観光大使」 に続いて、今年は 「老神温泉大使」 と 「伊香保温泉大使」 と 「四万温泉大使」 に任命されました。
 Old boys, be ambassador.(中年よ、大使になれ) なんていう言葉も生まれました。(ウソです)


 第2位  シリーズ9弾 『金銀名湯 伊香保温泉』 刊行 (5月)  

 2009年から始まった 「群馬の温泉シリーズ」(上毛新聞社刊) です。
 いよいよ天下の名湯、伊香保温泉が出版されました。
 44軒すべての宿の湯に浸かると、知っているようで知らなかった伊香保温泉の魅力が見えてきました。


 第3位  紀伊国屋書店でサイン会 (6月)

 『金銀名湯 伊香保温泉』 の出版を記念して、紀伊国屋書店前橋店様が 「群馬の温泉シリーズ フェア」 を開催してくださいました。
 フェア開催にあたり、「著者来店サイン会」まで開いてくださいました。
 それまでに講演会場でのサイン会というのはありましたが、書店でというのは人生初の体験でした。
 当日、会場に来てくださった読者のみなさま、ありがとうございました。


 第4位  群馬銀行記念講演会 (3月)

 講座やセミナーなどを含めると、年間20~30回の講演活動を行っています。
 一番多いのは、市町村公民館での高齢者を対象とした “温泉教室” です。
 聴講者の数も30~50名ほどです。
 でも、群馬銀行様主催となると違います。約200人!
 翌日の地元紙にも、大きく記事が載りました。


 第5位  NHKBSプレミアム出演 (7月)

 NHKBSプレミアムの人気番組 「ニッポンぶらり鉄道旅」 に、ナビゲーターとして出演し、イケメン俳優の渡邉剣さんと、草津温泉~沢渡温泉を旅してきました。
 さすが全国放送ですね。すごい反響でした。
 山口県に暮らすいとこが、あわてて電話をかけてきました。
 「ビックリしたよ! テレビ見てたら、突然、ジュン坊が出てきてさ」


 第6位  「ミュゼ」 にて企画展&文化講演 (7月)

 中之条町歴史と民俗の博物館 「ミュゼ」 にて、企画展 『世のちり洗う四万温泉』(7月1日~8月30日) が開催されました。
 企画展では僕の作品が展示され、開催にあたり文化講演を行いました。
 この講演会の壇上にて、四万温泉協会より温泉大使に任命されました。


 第7位  群馬のキーパーソン (11月)

 デザイン活動家のナガオカケンメイ氏が編集長を務める観光ガイドブック 『d design travel 群馬』 で、“群馬のキーパーソン” 4人のうちの1人に選ばれました。
 編集長自らが、群馬まで取材に来てくださいました。
 現在、全国の主要書店で絶賛発売中です!


 第8位  第2回公開パネルディスカッション (9月)

 NPO法人 「湯治乃邑(くに)」 を設立して、3年になります。
 意気込みのわりには、なかなか目に見える活動ができていなくて、歯がゆいかぎりです。
 そんな中で、今年もパネルディスカッションを開催することができました。
 ゲストパネラーに、(株)エムダブルエス日高代表の北嶋史誉氏と、みなかみ町観光協会理事長の深津卓也氏を招き、湯治場の復活をテーマに熱く語り合いました。


 第9位  冠連載スタート (5月)

 群馬県が企画し、上毛新聞社が編集・発行する県の広報誌 「グラフぐんま」 5月号から 『温泉ライター小暮淳の ぐんま湯けむり浪漫』 の連載がスタートしました。
 朝日新聞の 『小暮淳の温泉考座』 以来、久々の自分の名前がタイトルに付いた冠連載です。
 公民館や銀行、病院の待合室に置かれていることが多い雑誌なので、たくさんの人が読んでくださっているみたいですね。


 第10位  2人目の孫誕生 (10月)

 1つぐらいはプライベートの出来事を入れておきます。
 長男夫婦にも、男児が誕生しました。
 すでに長女夫婦には小学1年生の男の子がいますから、これで孫が2人になりました。
 あわてても、うろたえても、正真正銘の “ジイジ” です。



 以上、今年の私的ベスト10でした。
 みなさんは、どんな1年間でしたか?
   


Posted by 小暮 淳 at 12:38Comments(2)つれづれ

2017年12月25日

2つの老後


 ご無沙汰していました。
 4日ぶりに、パソコンに向かいました。
 何をしていたのかって?
 はい、恒例の “魔の3日間” を過ごしていました。

 「魔」 なんて言ったら、オヤジに失礼ですね。
 「切磋琢磨」 の “磨” ぐらいにしておきましょうか。
 ひたすら介護の心を磨いておりました。


 ご存知、重度の認知症を患ったオヤジの面倒です。
 また先週末から我が家に連れてきて、寝食を共にしました。

 オヤジは93歳。
 認知症の症状が出てから、かれこれ10年になります。
 最初は、人の名前が判らなかったり、食事をしたことを忘れる程度だったんですけどね。
 加齢とともに記憶が無くなりだして、今では、僕のことさえ誰だか分かりません。
 ていうか、自分に子どもがいるのか、いないのかさえ、分からなくなってしまいました。

 最近は、幻覚が見えるようで、壁に向かって話しかけたり、子どもの頃に返ってしまったりしています。

 目が見えず、耳も聞こえないため、やることがないので、一日のほとんどは寝ています。
 それに伴い、体力が衰え、ついに一人では歩くことも不自由になってしまいました。
 だから、目を離すと、いつも転んでいます。

 「じいさん、何してるんだよ?」
 床に仰向けになって、カメのように手をバタバタさせています。
 これだから24時間、目が離せないのです。


 一方、オフクロは、半寝たきりの車イス生活です。
 脳梗塞と脳出血を立て続けに患い、一時は半身不随となり、言語障害もありましたが、持ち前のガッツでリハビリにはげんだおかげで、とりあえず今は、生きていく上には支障はありません。

 何よりも、オフクロは認知症を発症していませんので、コミュニケーションがとれます。
 これは、ありがたいことです。
 会話ができるということは、介護する側にもストレスがたまりにくいということです。

 身体は不自由ですが、目も耳も正常ですから、ラジオを聴いたり、CDで好きな音楽も聴いています。
 今夏、白内障の手術をしてからは、さらに目が見えるようになり、暇さえあれば読書をしています。
 お気に入りは、西村京太郎のサスペンス。
 話題の芥川賞作家の本なども読んでいます。


 オヤジとオフクロ、実に対照的な老後を送っています。

 ふと、どちらが幸せなんだろうかと思うときがあります。
 五体不満足だけど、好きなことができて、人とコミュニケーションがとれるオフクロと、悩みも無く、考えることも無く、ただ一日中、寝て暮らすボケ老人のオヤジと……。

 介護する側からすると、オフクロのほうが楽なんですけどね。
 でも本人は、「生きていても何の役にも立てなくて申し訳ない」 という負い目があるようです。
 ひきかえオヤジは、誰に何をされても 「ありがとうございます。お世話になります」 と天下泰平の毎日を送っています。


 どっちも、どっちかな?
 人生の終わり方に、正解なんてないのかもしれませんね。
   


Posted by 小暮 淳 at 15:27Comments(3)つれづれ

2017年12月21日

「もう一度」 と 「一度は」


 今年も、旅行会社などの “旅のプロ” という人たちが選ぶ全国の温泉地ランキング 『にっぽんの温泉100選』 が発表されました。
 1位は今年も草津温泉(群馬県) でした。
 これで15年連続の1位です。

 群馬に草津温泉あり! 絶対王者の風格であります。

 ちなみに2位は下呂温泉(岐阜県)、3位は別府八湯(大分県)、4位は指宿温泉(鹿児島県)、5位は有馬温泉(兵庫県)。
 以下10位までは、道後温泉(愛媛県)、由布院(大分県)、登別温泉(北海道)、黒川温泉(熊本県)、城崎温泉(兵庫県) と続きます。
 他の群馬県勢はというと、15位に伊香保温泉、25位に万座温泉、30位にみなかみ18湯、40位に四万温泉が入っています。
 やはり県内外とも、名の知れた温泉地ばかりですね。
 “旅のプロ” といえども、マスコミへの露出が多い有名温泉地ばかりを選んでしまうのでしょうか?


 もう1つ、最近発表された気になるランキングがあります。
 観光に関する調査研究機関 「じゃらんリサーチセンター」 による 『じゃらん人気温泉地ランキング2018』 です。
 この中の 「もう一度行ってみたい温泉地」 でも3年連続、草津温泉が2位になったということです。

 1位は12年連続で箱根温泉(神奈川県)、3位は別府温泉郷と由布院温泉(共に大分県) です。
 やはり、誰もが知っている温泉地が揃いました。

 誰もが知っているということは、テレビや雑誌などマスコミが取り上げる頻度が高いということです。
 有名=行ったことがある
 だから、もう一度行ってみたい
 となるわけでして、行ったことも、聞いたこともない温泉地はランキングに入ることも、ノミネートされることもないわけです。

 でもね、せめて 「一度は行ってみたい温泉地」 というランキングがあったならば、法師温泉や宝川温泉、霧積温泉といった群馬を代表する秘湯の温泉地も上位に名前を出すのではないでしょうかね。


 群馬県内だけでも約100の温泉地があり、全国では3,000ヶ所もあるのですから、そのほとんどは知られていない温泉地ばかりということになります。
 1つでも多くの温泉地を知ってもらい、行ってみて、「もう一度行ってみたい」 と思ってもらえるよう、これからも地道な普及活動を続けていきたいと思います。
   


Posted by 小暮 淳 at 19:03Comments(3)温泉雑話

2017年12月20日

美ヶ原温泉 「ホテル翔峰」


 長野県松本市の美ヶ原温泉に、行って来ました。
 しかも、訪ねたのは 「ホテル翔峰(しょうほう)」。
 9年ぶりのことでした。


 2008年5月、突然、長野県温泉協会から電話がありました。
 内容は、「総会での特別講演講師をお願いします」 というものでした。

 正直、困り果てました。
 断ろうとも思いました。
 だって、僕が初の温泉本を書いたのは、1年以上先の2009年9月のことですからね。
 まだ1冊も温泉の著書がない、無名のライターです。

 なんで、僕なの?

 その後の先方とのやり取りで分かったことは、群馬県温泉協会からの紹介だったということです。
 その年の2月、僕は、群馬県健康福祉部薬務課の主催による 「温泉アドバイザー フォローアップ研修会」 の講師をしていたのです。
 たぶん、そのあたりの情報が長野県まで届いていたのかもしれませんね。

 で、その時、講演会の会場となったのが、美ヶ原温泉の 「ホテル翔峰」 だったのであります。


 今回も僕は、講師として 「ホテル翔峰」 を訪れました。
 といっても、講演会ではありません。
 温泉講座の講師としてであります。
 NHK文化センター前橋教室主催によるこの講座も、今年で9年目を迎えています。


 JR前橋駅と高崎駅で受講生らを乗せたバスは、上信越自動車道~長野自動車道とひた走り、松本ICで降りて、松本市内へ。
 国宝、松本城を車窓に眺めながら、美ヶ原温泉へと向かいました。

 美ヶ原温泉は、美ヶ原高原西麓の丘陵地に湯煙を上げる、湯の原、御母家(おぼけ)、藤井などの温泉の総称です。
 昭和40年頃までは、山辺温泉と呼ばれていました。
 湯開の歴史は1300年前と古く、日本書紀に記されています。
 なかでも湯の原地区は、奈良時代には時の天武天皇により 「束間(つかま)の湯」 と呼ばれ、以来、代々の松本城主の庇護を受けた由緒ある名湯です。


 とかなんとか、講釈を述べながら、バスはホテルへ。
 すぐさま旅装を解き、脱兎のごとく大浴場へ!
 その名も 「束間の湯」 であります。
 大きな内風呂と、露天風呂が2つ。
 1300年の時の流れを感じつつ、弱アルカリ性のサラリと肌を流れる古湯に、身を沈めたのでありました。

 「先生、今年の講座を締めくくるのに、ふさわしい宿ですね」
 「さっき、ロビーから雪を頂いた北アルプスの山々が見えました」

 各々が、今年一年を振り返りつつ、平成29年の “湯納めの儀” を行いました。


 受講生のみなさん、今年も1年間、大変お世話になりました。
 良い年を、お迎えください。
 そして来年も、よろしくお願いいたします。

 たくさん温泉を、めぐりましょうね!
   


Posted by 小暮 淳 at 12:23Comments(0)温泉地・旅館

2017年12月18日

温泉県なのに


 「なんで最下位なんでしょうか?」
 先日の講演会後、質疑応答の場で出た質問です。

 「小暮さんの力で、なんとかしてくださいよ」
 直々に、県内の温泉関係者から電話がありました。

 なんのことかと言えば、先月発表された 『ニッポン美肌県グランプリ』 のことです。
 相変わらず群馬県が、最下位なのです。
 ※(詳しくは、当ブログの2017年11月10日「温泉で美しくなれ!」を参照)


 考えられる理由としては、日照時間が長く、湿気と気温が低く、空気が乾燥している風土であること。
 さらに冬になると 「空っ風」 と呼ばれる強い北風が吹き荒れます。
 肌にとっては、劣悪な環境ということになります。

 ここまでは納得なのですが、1つだけ疑問が残ります。
 47都道府県中、47位は群馬県ですが、なんと! 46位が大分県なのであります。
 そう、どちらも全国屈指の “温泉県” です。

 なぜだ?

 大分県も、群馬同様、劣悪な風土なのでしょうか?
 でも九州ですからね。
 温暖で、雨も多くて湿気があり、肌の環境には大変よろしいように思われるのですけどね。
 しかも、温泉があります!


 で、僕は前述の質問に、なんと答えたかというと、
 「灯台もと暗しで、群馬県民は温泉が身近にあり過ぎて、ありがたみを感じていないのではないか」 と……。

 でも、うがった見方をすると、「温泉に入り過ぎているから」 という答えもありそうです。
 入り過ぎて、肌の脂分と水分を持っていかれてしまったのではないか?(笑)
 強アルカリ性泉の場合、無きにしもあらず、です。

 それにしても、日本を代表する温泉県2つが下位というのも、不思議な話であります。

 なんとかしたいところですが、なんとも理由が分かりません。
 知っている方がいらしたら、ぜひ、お教えください。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:02Comments(3)温泉雑話

2017年12月15日

老神温泉 「金龍園」②


 老神温泉(群馬県沼田市) へ行って来ました。
 前回、祭りにバンドのメンバーとして参加したのが8月ですから、約4ヶ月ぶりになります。
 今回は、温泉大使としての公務であります。

 僕は2015年に 『尾瀬の里湯』(上毛新聞社) という著書を出版しました。
 このとき、1年間かけて老神温泉へ通い、15軒すべての宿を取材しました。
 これが縁となり、老神温泉の観光協会や旅館組合のみなさんと親しくなり、なにかとイベントに呼ばれるようになりました。
 そして今年の5月、名誉ある“温泉大使” の称号をいただいたのでありました。


 昨日は、観光協会主催による忘年会が開催されました。
 それにあたり、協会員や組合員を対象とした講演会が行われ、僕が講師として招かれました。
 今回の演題は、『効能あつき湯の国ぐんま』 であります。

 「脚気(かっけ) 川場に瘡(かさ) 老神」 という言葉は、ご存知ですか?
 これは群馬の北部、利根地方に伝わる温泉の効能です。
 昔から川場温泉(利根郡川場村) は脚気患者が集まり、老神温泉は瘡(皮膚病) に効き目がある温泉場として湯治客でにぎわっていました。

 戦後、経済成長とともに日本の温泉地は、どんどん観光化されてしまいました。
 でも、温泉は湧き続けているのです。
 もう一度、原点にもどって、温泉自体が持つ “湯力(ゆぢから)” を見直してみませんか?
 そんなテーマで、お話をさせていただきました。


 たかだか50分の講話でしたが、乾燥していたこともあり、ノドはカラカラです。
 早く飲みたい! でも、その前に温泉も入りた~い!
 ということで、宴会場となっている 「金龍園」 へ直行!

 知る人ぞ知る、温泉ファンには全国的に有名な宿であります。
 なにが有名かというと、男性専用風呂がありません。
 あるのは女性専用風呂と混浴の大浴場と露天風呂です。

 女性は混浴風呂へ行く場合、女風呂で入浴衣に着替えて移動します。
 男性は男性専用脱衣場から、そのまま混浴風呂へ入りますが、但し書きがあります。
 <婦人が入浴中は、これを腰に巻いてください>
 トランクスのような入浴衣が用意されてます。

 おそるおそる、中をのぞき込みましたが、女性らしき姿は見当たりません。
 先ほどの講演を聴講されていた協会関係者の男性が入っているだけです。
 と、いうことで、腰巻きは付けずに、生まれたままの姿で、堂々と湯をいただくことにしました。

 泉質は、単純温泉とアルカリ性単純硫黄温泉の2種類の浴感を楽しむことができます。
 しかも、加水なし、加温なしの完全放流式です(露天風呂は加温あり)。
 老神温泉の中でも、1、2を競う良質な湯を提供していることで知られる宿です。


 宴会は、ご想像にお任せします。
 毎度毎度のことですが、ビールから焼酎、日本酒と流れ、2次会場のスナックではウィスキーをあおり、カラオケで舞い上がり、最後は宿にもどり、締めに、また日本酒をいただきました。

 老神温泉のみなさん、今年も大変お世話になりました。
 来年もよろしくお願いいたします。
  


Posted by 小暮 淳 at 18:51Comments(2)温泉地・旅館

2017年12月13日

今年の漢字


 今年も1年間の世相を反映する漢字一文字が発表されました。
 「北」 だそうです。

 昨年が 「金」 でしたからね。
 なんとも落差を感じます。
 北朝鮮の脅威におびえた年だったということでしょうか。


 さてさて、僕も恒例の個人的今年の漢字を発表したいと思います。
 一昨年が 「労」、昨年が 「奔」 でしたからね。
 疲れて、走り回ったあげくに、手にしたものとは?
 では、発表です!

 今年の漢字一文字は、「活」 です!


 理由は……
 その前に、ざっと1年間を振り返ってみたいと思います。

 なんといっても今年は、3つの “温泉大使” に任命されたことでしょうね。
 老神温泉大使(群馬県沼田市)、伊香保温泉大使(群馬県渋川市)、四万温泉大使(群馬県吾妻郡中之条町) です。
 昨年、みなかみ温泉大使(群馬県利根郡みなかみ町) と中之条町観光大使に任命されていますから、これで5つの大使を兼務することになりました。

 また今年は、シリーズ9冊目となる著書 『金銀名湯 伊香保温泉』(上毛新聞社) を出版しました。
 それに付随して、テレビやラジオの出演、講演会やセミナーの講師依頼が増えました。

 群馬テレビやエフエム群馬の生放送、NHKBSプレミアムの旅番組にも出演させていただきました。
 また講演会も多く開いていただきました。
 各温泉地のほか、群馬銀行様をはじめ、県内企業からも講師として呼ばれ、温泉の話をさせていただきました。
 ライフワークとして行っている市町村公民館での講座も、年々増えています。

 そうそう、今年は生まれてはじめて、サイン会を行いました。
 新刊 『金銀名湯 伊香保温泉』 の発売を記念して、紀伊国屋書店様が開催してくださいました。
 なんとも照れくさい、初体験でありました。

 変りダネでは、グループサウンズのザ・キャプテンズのレコーディングにも参加しました。
 メンバーとラジオ番組で知り合い、意気投合したのがきっかけです。
 『吾妻線~中之条バージョン』
 ぜひ、聴いてくださいね。
 僕は、コーラスを担当しています。

 テレビやラジオのほか、日経新聞と観光ガイドブック『d design travel 群馬』(ディアンドデパートメント) から取材を受けました。
 群馬の温泉の魅力を全国に知ってもらうことができたと、大変喜んでいます。


 と、いうことで今年の漢字は、活発に活動したということで、「活」 に決めました。

 みなさんの今年は、どんな漢字になりましたか?
   


Posted by 小暮 淳 at 12:01Comments(0)つれづれ

2017年12月11日

3つのキーワード


 「ご両親は、お元気ですか?」
 「えっ?……はい」

 「マロちゃんのファンなんです」
 「あっ、……ありがとうございます」

 「今日も、H へ行かれるんですか?」
 「……、いえいえ」

 最近は初対面の人や、久しぶりに会った知人などから、たびたび、このようなことを言われることが多くなりました。
 なんのことかって?
 熱心な読者様なら、おわかりですよね。


 “両親” とは、認知症のオヤジと車イス生活のオフクロのことです。
 “マロ” とは、我が家の愛犬、チワワのオスであります。
 そして “H” とは、僕らのたまり場、酒処 「H」 のことです。

 すべて、このブログに登場するキャラクターおよびキーワードであります。
 ということは、みなさん、しっかりとチェックされているということなんですね。
 ブログなんて、読まれてナンボですからね。
 ありがたいことであります。

 初対面でも、いきなり両親の介護話やマロのネタから始まれば、コミュニケーションが取りやすいというものです。
 思わぬところで、ブログが潤滑油の役割を果たしているということですね。
 たかがブログ、されどブログであります。


 過日のこと。
 酒処 「H」 のママからメールが来ました。
 「ついに、H を探し当てた客がいた!」
 という内容でした。

 後日、聞いた話によれば、ある日、知人に連れられてやって来たイチゲンの客が、店内を見渡して、僕の本が何冊も飾られていることに気づき、ビックリ仰天して思わず、

 「えーーーっ!」

 と叫び、あわてて外へ飛び出して、看板の店名を確認。
 戻るなり、

 「ここが、“H” だったんですかぁ~~!!!」

 と、また叫んだといいます。
 

 さぞかし、まわりのお客さんたちは、驚いたことでしょうね。
 興味のない人には、なんのことだか、さっぱり分からない話ですもの。

 でも、ママいわく、
 「あまり有名になっちゃうと、困っちゃうな~」
 ですって。
 「だって、うちは昭和で時間が止まっちゃってる時代遅れの店だから」

 いえいえ、だからこそ、たどり着けたときの喜びも、ひとしおなのでありますよ。

 今どきでも、“H” だけの情報では、なかなか、たどり着きませんって。
 それでも、探し当てる読者がいること自体が、“昭和”なのであります。


 読者のみなさま、これからも当ブログを、ごひいきくださいますよう、お願い申し上げます。
  


Posted by 小暮 淳 at 14:42Comments(2)執筆余談

2017年12月09日

冠を正す


 僕は現在、週刊・月刊・不定期を合わせて、6本の連載記事を書いています。
 うち2本が、“冠記事” です。

 冠記事とは、タイトルに筆者の名前が付いている記事のことです。
 「グラフぐんま」(企画/群馬県、編集・発行/上毛新聞社) に 『温泉ライター小暮淳の ぐんま湯けむり浪漫』、「ちいきしんぶん」(発行/ライフケア群栄) に 『小暮淳の はつらつ温泉』 を連載しています。
 今月、『ぐんま湯けむり浪漫』 は第6回、『はつらつ温泉』 は第20回を迎えました。


 ご存知かも知れませんが、新聞や雑誌の記事には2種類あります。
 「無記名」記事と「記名」記事です。
 無記名記事は、新聞社や雑誌社の記者や編集者、専属ライターなどが書いた記事で、文責はすべて発行元にあります。
 一方、記名記事は、特定の作家や著名人に書いていただいた依頼原稿が一般的です。
 最近は、新聞などでは自社の記者が書いた記事の文末に、筆者の名前が掲載されていることが多くなりました。
 たぶん、やりがいと文責を持たせるためだと思いますが。

 無記名記事の場合、文体が三人称の視点で書かれています。
 これに対して記名記事は、一人称で書かれることが多くあります。
 自分の名前を出して書いているわけですからね。
 見たこと、感じたことを、他人の視点を気にせずに書けるわけです。
 一般論ではなく、自論を主張することができます。

 “ナンバーワン” の文章を求めるのではなく、とことん “オンリーワン” の文章に徹することが可能になります。
 いわば記名記事は、ライターにとって理想の仕事といえるかもしれません。

 ただ、オンリーワンには、責任がもれなく付いています。
 間違った情報を書けば、編集社ではなく、筆者に責任は求められます。
 時にはクレームにへこむこともありますが、それでもオンリーワンの仕事をしている充足感は、他では味わえない宝物です。


 僕はよく、「李下の冠」 という中国のことわざを思い浮かべます。
 「李下に冠を正さず」 ともいいますね。
 李(すもも) の木の下では、たとえ冠が曲がっていても、手を上げて直そうとしてはいけない。
 なぜなら、すももを取ったと疑われるからとの意です。
 転じて、他人に疑われるような行動はしないほうがよいということです。

 意味は、まったく異なりますが、なぜか 「冠を正さず」 と 「いずまいを正す」 の語感が似ていることから、頭の中で勝手に 「冠を正す」 という造語を作っているのです。

 「冠を正す」 とは、縁あって冠の称号をいただいているのだから、常に品行方正であれ。
 どこで誰が見ているか、分からないんだぞ!
 と、自分を戒める言葉として使っています。

 これからも、おごらずに、されど臆することなく、オンリーワンの記事を書き続けていきたいと思います。
 読者のみまさま、末永く、ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。
   


Posted by 小暮 淳 at 12:29Comments(0)執筆余談

2017年12月06日

祝! 四万温泉


 今年も 『温泉総選挙2017』(うるおい日本プロジェクト:主催、環境省・観光庁:後援) が、発表されました。
 昨年はリフレッシュ部門で、みなかみ18湯(群馬県利根郡みなかみ町) が見事1位に輝き、群馬の湯力(ゆぢから) を全国に知らしめました。

 そそ、そして今年は、さらなる快挙を群馬勢が成しとげました!
 なななんと、最高賞の地方創生担当大臣賞に、四万温泉(群馬県吾妻郡中之条町) が選ばれたのです!

 おめでとう、四万温泉!
 すごいぞ、群馬!

 それだけじゃありません。
 部門賞の上位には、群馬勢が名を連ねています。

 ●チームで温泉活性化賞/伊香保温泉
 ●リフレッシュ部門4位/みなかみ18湯
 ●ファミリー部門4位/伊香保温泉
 ●女子旅部門2位/四万温泉
 ●女子旅部門4位/伊香保温泉


 みなさん、気づかれましたか?
 そうなんです!
 すべて僕が温泉大使を務める温泉地なんですよ!
 うれしいです!!

 やっぱ、群馬には “湯力” がありますね。
 この調子で、来年もヒートアップいたしましょう!

 GO!GO! 温泉パラダイス!
 YU!YU! 湯の国 ぐんま県!

 
 
 
   


Posted by 小暮 淳 at 12:49Comments(4)大使通信

2017年12月05日

ようこそ、先輩!


 前橋市の南部郊外、田園風景に囲まれた、のどかな住宅地。
 ここに僕ら一家は、23年前に越してきました。

 小学生だった長女も、保育園児だった長男も、すでに成人して家を出て、家庭を持ちました。
 唯一、ここで生まれた次女だけが、まだ同居していますが、来年は高校を卒業します。
 県内での進学を希望しているようですが、いずれ、ここを出て行くのでしょうね。

 PTA役員、子供会長として、子育てをしながら地域の活動にも参加してきました。
 運動会、夏祭り、バス旅行、バーベキュー大会……
 子どもたちは大きくなって巣立って行きましたが、なぜか僕は、いまだに “子供会” の活動をしています。
 正式名は、「前橋市K地区子ども会育成連合会」 といいます。

 気が付いたら、役員をさせられていました。
 もう、自分の子どもは在籍していないのにね。
 先日の日曜日も 「ウォークラリー大会」 が行われ、スタッフとして借り出されました。


 公民館に、ゼッケンを付けた区域内の中学生が大勢集まりました。
 指導に当たる校長先生の姿もあります。

 「もしかしたらN先輩ではありませんか?」
 僕は勇気をふるって、H中学校の校長先生に声をかけました。
 「そうですけど……(少し間を置いて)。えっ、小暮君かい!?」
 「はい! 先輩、お久しぶりです」

 今秋、K地区で開催された市民運動会で、H中学校の校長先生としてあいさつをされたNさんを見かけました。
 その時から、今度お会いしたら、絶対に声をかけようと決めていたのです。
 Nさんは、僕の中学校時代の卓球部の先輩です。
 なんと、45年ぶりの再会であります。


 「小暮君、活躍しているじゃない。本も書いているよね」
 「えっ、僕のこと知っていたんですか?」
 「時々、新聞や雑誌にプロフィールが載っているよね。生まれ年を見て、あっ、小暮君だって思ったよ」

 それから気が付いたら2人は、30分以上も立ち話をしていました。
 まるで日記帳をめくるように、中学を卒業から今日までの互いの人生の道のりを告げていました。

 「で、今はH中学にいるわけ。もうすぐ定年退職だけどね」

 先輩の話によれば、昔は校内暴力で荒れた時代もあったけど、今の子は、おとなしいとか。
 その代わり、登校拒否が多くなったといいます。
 モンスターペアレントによるクレームも、年々過激になっているそうです。

 「定年まで、何事もないといいですね」
 「でもね、教育は守りに入ったらダメなんだよ。常に新しいことを考えていないと」
 「攻撃が、最大の防御っていうことですね?」
 「そのとおりだ」

 その言葉、僕らフリーランスの人間にも当てはまります。
 守るものなどないのだから、ひたすら攻め続けるしかありません。


 ありがとうございます。先輩!
 そして、ようこそ、先輩!
 我が地区へ。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:22Comments(0)つれづれ

2017年12月03日

降臨


 お笑いの世界には、“笑神” と呼ばれる笑いの神様がいるそうです。
 いつものステージなのに、突然、笑神が降りてくると、ドッカン、ドッカン、ネタが受けて、客席が爆笑に包まれます。

 ミュージシャンの世界にも、“音楽の神様” がいるようです。
 120%の演奏ができたり、作曲中に思わぬフレーズが浮かんだり、そんなとき、「あっ、降りてきた!」 と感じるといいます。

 実は、僕らライターの世界にも、神様はいます。


 昨日、群馬県内の某神社へ行ってきました。
 別に、何かを祈願しに行ったわけではありません。
 取材です。

 その神社には、鳥居がありません。
 最初から無かったのではなく、ある事件をきっかけに鳥居が取り外されてしまいました。
 そして境内には、犬の銅像と由来が書かれた石碑が建立されています。
 さらに、その隣には、犬を供養した “石尊様” と呼ばれる祠が祀られています。

 僕は、この伝説の謎を解くために訪れたのでした。


 「何をなさっているのですか?」
 メモを取っているいると、突然、見知らぬ初老の男性が声をかけてきました。
 「取材です。来年は戌年なので、犬の像が建てられた理由が知りたくて……」

 すると男性は、こう言いました。
 「だったら、うちに来ませんか? すぐ、そこですから、お茶でも飲みながら話しましょう」

 最初は何を言っているのだか分かりませんでしたが、男性は、クルリときびすを返すと、石碑の裏側に回り込みました。
 「私は、こういう者です」
 と指さした先には、
 <設立実行委員会委員長>
 と書かれています。

 えっ、本当?
 マジですか~!?

 「詳しい資料もありますし、建立までのいきさつをお話しいたしますよ」


 来た!来た!来たぁぁぁぁ~!!!
 降りて来たーーーっ!

 そう、“取材の神様” っていうヤツですよ。
 渡りに舟、なんていうレベルじゃありません。
 奇跡に近い出会いです。


 「やっぱり、僕はモッテますね」
 同行のカメラマン氏に言うと、
 「ええ、そう思います。過去にもありました。これで2度目ですよ」

 神が、降臨しました。

 あとは、僕の文章しだいということです。
 “文章の神様”
 今度は、あなたが降りて来てくださいね。
    


Posted by 小暮 淳 at 17:29Comments(6)取材百景