2017年12月25日
2つの老後
ご無沙汰していました。
4日ぶりに、パソコンに向かいました。
何をしていたのかって?
はい、恒例の “魔の3日間” を過ごしていました。
「魔」 なんて言ったら、オヤジに失礼ですね。
「切磋琢磨」 の “磨” ぐらいにしておきましょうか。
ひたすら介護の心を磨いておりました。
ご存知、重度の認知症を患ったオヤジの面倒です。
また先週末から我が家に連れてきて、寝食を共にしました。
オヤジは93歳。
認知症の症状が出てから、かれこれ10年になります。
最初は、人の名前が判らなかったり、食事をしたことを忘れる程度だったんですけどね。
加齢とともに記憶が無くなりだして、今では、僕のことさえ誰だか分かりません。
ていうか、自分に子どもがいるのか、いないのかさえ、分からなくなってしまいました。
最近は、幻覚が見えるようで、壁に向かって話しかけたり、子どもの頃に返ってしまったりしています。
目が見えず、耳も聞こえないため、やることがないので、一日のほとんどは寝ています。
それに伴い、体力が衰え、ついに一人では歩くことも不自由になってしまいました。
だから、目を離すと、いつも転んでいます。
「じいさん、何してるんだよ?」
床に仰向けになって、カメのように手をバタバタさせています。
これだから24時間、目が離せないのです。
一方、オフクロは、半寝たきりの車イス生活です。
脳梗塞と脳出血を立て続けに患い、一時は半身不随となり、言語障害もありましたが、持ち前のガッツでリハビリにはげんだおかげで、とりあえず今は、生きていく上には支障はありません。
何よりも、オフクロは認知症を発症していませんので、コミュニケーションがとれます。
これは、ありがたいことです。
会話ができるということは、介護する側にもストレスがたまりにくいということです。
身体は不自由ですが、目も耳も正常ですから、ラジオを聴いたり、CDで好きな音楽も聴いています。
今夏、白内障の手術をしてからは、さらに目が見えるようになり、暇さえあれば読書をしています。
お気に入りは、西村京太郎のサスペンス。
話題の芥川賞作家の本なども読んでいます。
オヤジとオフクロ、実に対照的な老後を送っています。
ふと、どちらが幸せなんだろうかと思うときがあります。
五体不満足だけど、好きなことができて、人とコミュニケーションがとれるオフクロと、悩みも無く、考えることも無く、ただ一日中、寝て暮らすボケ老人のオヤジと……。
介護する側からすると、オフクロのほうが楽なんですけどね。
でも本人は、「生きていても何の役にも立てなくて申し訳ない」 という負い目があるようです。
ひきかえオヤジは、誰に何をされても 「ありがとうございます。お世話になります」 と天下泰平の毎日を送っています。
どっちも、どっちかな?
人生の終わり方に、正解なんてないのかもしれませんね。
Posted by 小暮 淳 at 15:27│Comments(3)
│つれづれ
この記事へのコメント
介護はある日突然終わります
おくる側のワタシの感じたことは、話ができなくなることが、こんなに寂しいんだなです
あの時の、あの言葉を支えに生活しています。
あんなに大変で離婚も覚悟したのに…
おくる側のワタシの感じたことは、話ができなくなることが、こんなに寂しいんだなです
あの時の、あの言葉を支えに生活しています。
あんなに大変で離婚も覚悟したのに…
Posted by ぴー at 2017年12月26日 12:13
う~~~ん!
思わず唸ってしまいました。
私75歳、妻は74歳です。
2年前の夏に21年間住んだ渋川から娘の勧めで
2世帯住宅に住んでいます。
私も小暮さんのお母さんを見習ってみようと思います。
ついこの間までは感じなかったことを、今はとても身近に感じてしまいます。
お父さんとお母さんがいつまでもお元気でお過ごしされることを
心から願っています。
思わず唸ってしまいました。
私75歳、妻は74歳です。
2年前の夏に21年間住んだ渋川から娘の勧めで
2世帯住宅に住んでいます。
私も小暮さんのお母さんを見習ってみようと思います。
ついこの間までは感じなかったことを、今はとても身近に感じてしまいます。
お父さんとお母さんがいつまでもお元気でお過ごしされることを
心から願っています。
Posted by 気まぐれ爺さん at 2017年12月26日 12:14
ぴーさんへ
よく聞く話ですね。
介護できる幸せを、かみ締めています。
生きていてくれればこそ、できることですから。
気まぐれ爺さんへ
ありがとうございます。
あと何年続くか分かりませんが、今までしてきた親不孝に対しての罪滅ぼしをしたいと思います。
まだまだ足りませんけど……
よく聞く話ですね。
介護できる幸せを、かみ締めています。
生きていてくれればこそ、できることですから。
気まぐれ爺さんへ
ありがとうございます。
あと何年続くか分かりませんが、今までしてきた親不孝に対しての罪滅ぼしをしたいと思います。
まだまだ足りませんけど……
Posted by 小暮 淳
at 2017年12月27日 10:36
