温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2013年02月28日

もう1つの温泉講座


 先日、4月から開講するNHK文化センターの温泉講座のお知らせをしましたが、僕は、もう1つの講座でも講師をしています。
 前橋カルチャーセンターの野外教室 『温泉ライター 小暮淳と行く 気ままな湯けむり散歩』 です。

 こちらは2010年から開講している温泉講座で、当時は前橋駅の北口にあったイトーヨーカドー内にセンターがあったため 「ヨークカルチャーセンター」 と呼ばれていました。
 現在は、前橋駅南にあるショッピングモール「けやきウォーク前橋」内に移転したため 「前橋カルチャーセンター」 と名称を変更しています。

 講座で使用するバスも、けやきウォークから発着しますので、以前に比べると、とても便利になりました。
 もちろん、車も無料で1日駐車することができます。


 NHKの講座は群馬県内の温泉限定ですが、こちらは群馬県および隣県の温泉地を訪ねます。
 また、講座のタイトルに “湯けむり散歩” と付いていますので、周辺の景勝地や温泉街を一緒に歩きます。

 今年度も、魅力あふれる温泉地をピックアップしました。
 ぜひ、ご興味のある方は、お問合わせください。
 ※(事前説明会も開催しますので、気軽にご参加ください)


     <日程>
 ●3月17日(日)  説明会 14:00~
 ●4月18日(木)  会津東山温泉(福島県)
 ●5月16日(木)  別所温泉(長野県)
 ●6月 6日(木)  那須湯元温泉(栃木県)
 ●7月 4日(木)  宝川温泉(群馬県)



    温泉ライター 小暮淳と行く
    『気ままな湯けむり散歩』

 ●講師    温泉ライター 小暮淳
 ●講座日   4月~7月(上記日程参照)
 ●受講料   各 2,625円(バス、入浴、昼食代は別途)
          ※入会金5,250円(永久会員)。70才以上は無料。
 ●問合・申込  前橋カルチャーセンター TEL.027-223-5121
           (前橋市文京町 けやきウォーク前橋2F)
  


Posted by 小暮 淳 at 17:46Comments(0)講座・教室

2013年02月27日

向山温泉 「宮前山荘」


 75分の75

 ついに昨日、みなかみ町の18温泉地75宿を “湯破” しました!


 振り返れば、長かったような、今となれば短かったような約1年半の温泉行脚(あんぎゃ) でした。

 “終わらない旅はない”
 僕は、出版のための温泉取材をするたびに、いつも、心にそう言い続けています。

 今年に入り、残り10軒を切ってマジックが点灯してからの長かったこと!
 でも、言葉どおり、75軒の全取材が無事に終わり、その長い旅も終わりました。

 いよいよ、これよりラストスパートの執筆活動に入ります。
 順調に執筆が進めば、4月下旬には発売されます。

 本のタイトルは・・・『みなかみ18湯 〔下〕』
 ※(上巻はすでに既刊)

 これにて、上巻34軒 + 下巻41軒 = 75軒 のみなかみ町全温泉宿を世に出すことになります。
 ※(みなかみ町観光協会加入旅館)

 取材で出会ったすべての人に感謝申し上げます。
 ありがとうございました。


 で、75軒目の取材に伺ったのは、水上温泉郷にある向山温泉の一軒宿「宮前山荘」であります。
 それはそれは雪深い、奥利根スキーパーク(旧・奥利根国際スキー場) 内にある自家源泉を保有する温泉民宿であります。

 宿の創業は、スキー場オープン(1972年) の翌年とのこと。
 それ以前は、先代が林業や農業を営んでいました。
 その頃の名残が、旧館の2階に残されています。
 お蚕農家だった母屋の太い梁(はり)が、天井よりも低い位置に貫いているのです。

 「泊まられるお客様は、みなさん珍しがりますよ」
 と、2代目主人の真庭寛さん。
 昨晩は、宿と温泉の歴史について、お話を聞きました。

 先代が昭和54年に、待望の温泉を掘削。
 湧き出た源泉に「宝珠の湯」と名づけ、奥利根民宿で唯一の温泉民宿が誕生しました。
 その湯は、pH9.3のアルカリ性単純温泉。

 湯の中で手足をなでると、ヌルンと心地よく肌をすべります。
 また湯舟から手足を出すと、ワックスを塗ったようにサーッと湯の玉が気持ち良いほどに弾かれていきます。

 なるほど。
 古いパンフレットの効能に “お肌の若返り” と書かれていましたが、納得であります。


 こちらの宿は、今シーズンより宿泊は素泊まりのみ。
 と、いうことで昨日は、訪ねる前にカメラマン氏と食料を買い込んで行きました。
 これはこれで、楽しいのであります。

 風呂上りのビールは・・・

 なんと、窓の外に積った雪の中から取り出します。
 缶ビールも日本酒も瓶ごと、雪の中に突っ込んで置いたのであります。

 キーーーーーーーン と冷えたビールにて、まずは乾杯です!

 「大変お疲れさまでした」
 「これにて、みなかみ町の全取材完了!」

 カンパ~~~イ!


 終わらない旅は、ないのであります。

 昨晩は、夜の更けるまで、互いの労をねぎらい合いました。
   


Posted by 小暮 淳 at 18:11Comments(2)温泉地・旅館

2013年02月25日

あなたは、だんだん買いたくなる~!


 「ごちそうさま」「おいしかった」「また来ます」
 そんな言葉がうれしくて、何十年とフライパンを握り続けている店主がいます。

 世の中の物価が上がっても、料金据え置きで、黙々と料理を作るガンコおやじ。
 好きですねぇ~!
 「金じゃ、ねーんだよ。客の喜ぶ顔が見たいだけさ」
 なーんて、シビレテしまいます。

 モノを作るっていうことは、そういうことなんですね。
 そのモノを買った人の喜ぶ顔を見るために、作り続けているんです。
 よーく、分かります。
 僕も、モノを作って生きているはしくれですから。

 でもね、ライターって職業は、なかなか商品を買ったり、喜んだりする瞬間に立ち会えないんですよ。
 「新聞の連載、いつも読んでいます」 って言われても、すでに過去形です。
 「本、持ってます」 と言われても、買った現場は見ていない。

 だから、無性に “ライブ” にあこがれてしまうんです。
 僕が音楽活動を続けているのも、お客さんの反応が直に届く “ライブ” 感に魅せられているからかも知れません。


 1997年11月。
 僕は、初のエッセー 『上毛カルテ』(上毛新聞社) を出版しました。

 うれしさのあまり、自分の本の売れ行きを確かめに、足しげく本屋へ通ったものです。
 「あっ、昨日より何冊減っている!」
 な~んてね。

 どんな人が買っていくんだろう?

 そう思ったら、買っていく瞬間が見たくて、居ても立ってもいられません。
 何時間も本屋でねばったことがありましたが、その時はついに “読者” と会えませんでした。


 それから12年後。
 ついに、その瞬間は、やって来ました!

 偶然にも、市内某書店に立ち寄ったときのこと。
 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) を手にとって眺めている男性と遭遇。
 なかなか本を置きません。

 まさか、この人は、全部読んでいるんじゃないだろうな~?
 と思えるほど、食い入るように眺めています。

 僕が、グルリと店内を一周して戻ってきても、まだ読んでいます。
 これは、やばい!
 こんだけ立ち読みする人は、買わないかもしれない。
 こうなったら、念力を送るしかありません。

 <さ~、あなたはだんだん、その本を持ってレジへ向かいたくなる~>

 すると、どうでしょうか!
 本当に、すーっと歩き出して、レジへと向かって行ったではありませんか!

 思わず、「ありがとうございます」 と声を出しそうになってしまいました。

 うれしさのあまり、その人がレジを済ませるまで、書棚の陰からズーッと眺めていましたよ。
 歳はいくつなのかな? お住まいはどこなのかな? 温泉が好きなのかな? って。
 しまいには、「あ、僕が著者です。お買い上げありがとうございます」って、声をかけようかと思ったくらいです。

 それくらい、あのときは感動しました。


 そして、今日。
 ふらりと、同じ書店に立ち寄りました。

 あの日と違い、今では店内の2カ所に僕の本が置かれています。
 郷土本コーナーと旅本のコーナーです。
 その後、4冊の本を出していますから、丸々1つの棚が僕の本で埋め尽くされていて、遠くからでも目立ちます。

 近づいてみると、初老の婦人が 『あなたにも教えたい 四万温泉』(上毛新聞社) を手にとって見ています。
 あの日と、同じ光景であります。
 僕は、また念じ始めました。

 <さ~、あなたはその本を持ってレジへ向かいたくなる~>


 しかし残念ながら、2度目の奇跡は起こりませんでした。
 婦人は、本を元の棚に置くと、その場から離れてしまいました。

 でも、いいんですよ。
 手にとっていただいただけで。

 ライブで、読者に触れられたんですから・・・


 でもね、
 <さ~、あなたは、もう一度今の場所に戻り、さっきの本が買いたくなる~>
 と、念力を送っておきました。

 さて、あの婦人は、その後、僕の本を買いに戻って来たのでしょうか?
   


Posted by 小暮 淳 at 20:49Comments(0)著書関連

2013年02月24日

NHK温泉講座 今年も開講!


 僕が講師を務めているNHK文化センター前橋教室の温泉講座が、今年も4月から開講します。

 この講座は2009年に 『ぐんまの温泉遺産を訪ねる』 という講座名でスタートした野外講座で、今年で5年目を迎えます。
 2010年 『探訪!ぐんまの源泉一軒宿』、2011年 『探訪!ぐんまの小さな温泉』、2012年 『続・探訪!ぐんまの小さな温泉』と名前を変えて開講されました。
 今年度は 『群馬の温泉・秘湯めぐり』 と題して、新たな温泉地をめぐります。

 今講座でも、前橋駅と高崎駅がバスの発着所となります。
 (僕は前橋駅から乗り込みます)
 今年も道中、みなさんと温泉話を楽しみたいと思います。


 おかげさまで、この講座は人気があり毎回、キャンセル待ちの状態が続いています。
 今回の募集にあたっても、継続者多数につき、若干名の募集となります。
 ご興味のある人は、センターまでお問合せください。

  <日程>
 ●3月12日  説明会(10:00~)
 ●4月23日  四万温泉
 ●5月28日  白根温泉
 ●6月25日  坂口温泉

 ●7月23日  上の原温泉
 ●8月27日  万座温泉
 ●9月24日  たんげ温泉
  ※都合により予定地が変更になる場合もあります。



  2013年野外講座 『群馬の温泉・秘湯めぐり』

 ●講  師   フリーライター 小暮淳
 ●講座日   4月~6月/7月~9月
 ●定  員   22名 (小型バス利用)
 ●受講料   各3回 10,080円
 ●諸経費   各3回 22,050円
          (バス、入浴、休憩、昼食代等込)
  ※当講座は会員制です。
    受講する方は会員としての登録が必要です。

 ●申込受付   電話/2月25日(月) 午前10時~
           窓口/2月26日(火) 午前10時~
 ●問合わせ   NHK文化センター 前橋教室
            (群馬県昭和庁舎3階)
           TEL.027-221-1211    
  


Posted by 小暮 淳 at 17:33Comments(9)講座・教室

2013年02月23日

せんべい屋は毎日せんべいを焼く


 2010年2月13日からですから、早いもので丸3年が過ぎました。

 なんのことかといえば、このブログの開設日です。

 おかげさまで開設以来、なんとか日々更新しています。
 昨日までに更新した回数は、960回。
 ほぼ毎日、書いてきたことになります。

 これも、ひとえに読者様のおかげと、心より感謝申し上げます。


 セミナーや講演会場、取材先や飲み屋でも、知らない人から 「ブログ読んでます」 と声をかけられることが多くなりました。
 「お母様の具合はいかがですか?」 とか 「明日はテレビ出演ですよね」 なんて声をかけられると、「なんで知ってるの?」 と一瞬、ドキッとしますが、よく考えてみれば、僕がみんなブログに書いていることなんですよね。

 それだけ熱心に、このブログを読んでくださっているわけですから、ありがたい話です。


 最近は、「毎日よくブログが続きますね」 とか 「毎日よく書くことがありますね」 などと言われます。
 たいがいは、ブログをやっている方だったりするのですが、なかには 「毎日書くコツを教えてください」 などと訊かれることもあります。
 でも、無意識に日課としてやっていることなので、コツも何もありません。
 しいて言うならば、「これも仕事ですから」 としか言いようがないのです。


 “せんべい屋は毎日せんべいを焼く”


 僕はライターだもの、毎日、机に向かって何がしかの文章を書いています。
 その中でもブログは、クライアントのいない気の楽な執筆作業ですから、ストレス解消と気分転換に書かせてもらっています。

 また、フリーランスで1人で仕事をしている身としては、このブログが広報活動をしてくれる腕のいい営業マンの役割もはたしてくれています。
 講演会やセミナー、コラム執筆などの仕事は、このブログを通して僕を知り、依頼してくることが多くなりました。

 それと、先日のライブのようにイベントなどの告知をすれば、たくさんの人が会場へ遊びにやって来てくれます。
 このブログの効用たるや、あなどれませんぞ!


 と、いうわけで4年目に突入した 『小暮淳の源泉ひとりじめ』 を、今後ともよろしくお願いいたします。
   


Posted by 小暮 淳 at 17:01Comments(5)執筆余談

2013年02月22日

上牧温泉 「辰巳館」⑥


 献残焼(けんざんやき)。

 その昔、高貴な人に献上した物のおすそ分けを焼いて食べたことから名が付いたという、上越地方の郷土料理です。
 川魚や地鶏、旬の野菜などを炭火で焼きながら食べます。

 辰巳館の名物なんですね。


 一昨年の秋のことです。
 こうやって炭火を囲んで、志を語り合ったのは……

 その日の午後、みなかみ町観光協会の会議室で、僕とディレクターと出版元の部長と協会の役員たちが顔を会わせ、侃々諤々(かんかんがくがく) と意見を交わしていたのであります。

 協会と出版元とのお見合いは成立したのですが、大きな問題が残りました。
 それは、みなかみ町には18の温泉地があり、75軒もの宿泊施設があるということです(※みなかみ町観光協会加入旅館)。
 到底、1冊の本には納まりきれません。


 「だったら、上下2巻で出版しましょう!」
 と、突然、沈黙を破った出版部長の発言に、一同、あ然!

 正直、僕は、そんな前代未聞の案が通るとは思いませんでしたよ。
 だって、もしGOサインが出たとしても、当然、1年では旅館を回りきれませんって。

 「来年の秋に上巻、翌年の春に下巻でいかがでしょう?」

 ま、ま、まさかーーーーッ!
 実際に取材をして原稿を書く著者の身にもなってよ~~!
 と、あせっていたら、意に計らんや、満場の拍手が鳴り響いていたのであります。


 そして、その晩。
 関係者が辰巳館に集まり、1年半後の完成を目指して、赤々と燃える炭火の前で献残焼を食べながら、長丁場となる戦への決意を固め合ったのでした。


 「ありがとうございます。もう少しですね。過ぎてしまえば、あっという間ですが、1年半前のあの日は、この日が来るとは信じられませんでした」
 と、4代目主人の深津卓也さん。
 深津さんは、観光協会の役員でもあります。

 上下あわせて、75軒の取材。
 そして昨晩は、74軒目の取材で上牧温泉の 「辰巳館」 を訪れました。
 本当は、昨日が75軒目で、祝杯を上げる予定だったのですが、1軒だけ取材日の番狂わせがあり、来週へ延期になってしまったのです。

 それでも、もう頂上は見えたも同じです。

 「カンパ~イ!」
 「ご苦労さまでした」
 「次は、出版記念パーティーですね」

 チロチロと炎を揺らしながら燃える炭火に当たりながら、山の幸を肴に、竹筒に入った日本酒をチビリチビリとやりだしたのでした。


 あと、1軒・・・

 もうすぐ、長い旅が終わります。
  


Posted by 小暮 淳 at 18:39Comments(2)温泉地・旅館

2013年02月20日

『誕生日の夜』 朗読DVD


 今日は午後から半日、市内の某スタジオにて、絵本 『誕生日の夜』 の朗読DVD制作の収録に立ち会ってきました。

 もちろん、立ち会ったわけですから、僕が主役ではありません。
 僕は、ただの原作者であります。

 朗読したのは、絵本の挿画を描いてくださった画家の須賀りすさんです。

 りすさんは、画家でありますが、アマチュア劇団の役者でもあり、アマチュアチンドンクラブの奏者でもあります。
 とにかく、マルチな女性なんです。
 で、その彼女が、最近、もう1つ、新たな顔を見せてくれたんです。

 朗読家です。

 熱烈な “りすファン” の人は、もうすでにご存知かもしれませんが、彼女は昨年の秋からエフエム群馬で、番組を持っています。
 毎週火曜日に放送されている 『しょーと しょーと』 という10分番組で、絵本の朗読をしているのであります。
 なんて、多彩な人なんでしょうね(昔はバンドでドラムも叩いていたそうです)。


 で、話は 『誕生日の夜』 に戻ります。
 このブログでも、昨年の1月に連載をしたところ、大変反響をいただきました。
 また、県内のボランティア団体からは、小学校等で 『誕生日の夜』 の読み聞かせをしたところ、子どもたちが涙を流しながら聴いていたとの手紙をいただきました。
 ※(詳細は当ブログ2012年3月8日「『誕生日の夜』が小学校で・・・」を参照ください)

 「だったら、絵本の挿画を描いた須賀りすさんが朗読したオリジナル版のDVDを制作したら?」 という声が上がったため、昨年より実行委員会を発足して、制作会議を重ねてきました。

 で、本日、晴れてスタジオ収録日を迎えたのであります。


 いゃ~、ラジオの放送を聴いて、彼女の朗読のウマさは知っていましたが、生で聴くと、トリハダものですぞ!
 僕は原作者でありながら、ラストのお父さんとケーキ屋の店長さんとの会話のやり取りなんて、嗚咽(おえつ)泣きしそうでしたよ。
 涙は出るし、鼻水はたれるし、収録の邪魔にならないように声を殺して聴いているのに必死でした。
 それほどに、感情のこもった名朗読でした。

 テイク1、テイク2、テイク3、と収録。
 これから編集作業に入ります。

 春には完成して、みなさんのもとへお届けすることができると思います。
 須賀りすさんの個展会場や絵本原画展、朗読会にて販売される予定です。
 また、動画サイト等での公開も予定しています。

 ぜひ、楽しみにお待ちください。
 ※ 『誕生日の夜』 は当ブログ内 「カテゴリ」 より、全文を閲覧することができます。



   須賀りすさん出演の朗読ラジオ番組

 ●放送局   エフエム群馬 (86.3MHz)
 ●番組名   『しょーと しょーと』   
 ●放送日   毎週火曜日 午後3時45分~55分
  ※須賀りすさんの担当は偶数月になります。
   


Posted by 小暮 淳 at 22:13Comments(2)誕生日の夜

2013年02月19日

湯宿温泉 「ゆじゅく金田屋」③


 2年前の2月より、僕は朝日新聞の群馬版に隔週で 『湯守の女房』 という連載を書いています。
 これは、温泉旅館に嫁いだ女性(女将) を取材して、その波乱万丈な人生や孤軍奮闘する日常を紹介する記事です。
 現在(2月13日掲載)までに、37軒の宿、42人の女将さんと若女将を紹介しました。
 ※(過去に掲載された記事は、当ブログ内の「お気に入り」から閲覧することができます)

 昨年の2月からは、『湯守の女房』の連載1周年を記念して、番外編 『おやじの湯』 の連載を隔月にてスタートしました。
 これは、読んで字のごとく、“おやじ” こと宿の主人= “湯守” を取材した記事です。
 でも、ただ話を聞いて記事を書くのでは、『湯守の女房』 の女将さんがご主人に替わっただけて芸がありません。
 そこで考えたのが、「湯浴み対談」であります。

 男同士、裸になって温泉に入り、湯の中で対談をするという前代未聞の企画です。
 日本広しといえども、たぶん、こんな記事を連載しているのは、朝日新聞だけじゃないでしょうかね!
 筆者と湯守の、ガチンコ温泉談義であります。
 こちらも先月までに、6人の “おやじ” たちを素っ裸にして、その入浴シーンを新聞紙面に紹介しました。


 群馬県内の温泉地には、まだまだ、たくさん名物 “おやじ” が隠れていますぞ!
 明治元年創業の湯宿温泉 「金田屋」 の5代目主人、岡田洋一さんも、その1人。

 僕は3年前に初めてお会いしたときから、その風貌と人柄に魅せられてしまったのです。
 さらに、酒を飲んで語り合ったら、これまたウマが合ってしまい、ますます惹(ひ)かれてしまいました。

 何より興味を抱いたのは、その破天荒で波乱万丈な人生です。

 老舗旅館の長男に生まれながら、放浪癖があり、世界中を飛び回っていました。
 アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア・・・・
 訪ねた国は、約20カ国!
 それも1人でてはなく、奥さん(現・女将) も一緒です。

 2人で世界を旅しながら放浪して、結局、実家である旅館に戻ってきたのは39歳だったといいます。


 もう、話が面白くて、グイグイと引き込まれてしまいましたよ。
 取材であることを忘れてしまったくらい、僕には興味深いアウトローな人生話でした。

 「世界中を旅して、一番感じたことは何ですか?」
 と、最後に僕が質問すれば、
 「地球は丸いってことだね。確かに体で感じたよ」
 とは、お見それしました!

 今でも宿には、ご主人と同じ価値観を持った、同じ匂いのする、自然を愛する人たちが集まって来るそうです。


 「湯宿温泉はね、還暦温泉っていうんだ」
 「還暦ですか?」
 「ああ、この湯は60年前に三峰山に降った雨が、今日、湧き出て来たんだよ」

 湯の中で、主人が僕に教えてくれました。

 「じぁあ、この湯は、僕が生まれる6年も前に降った雨なんですね」
 「そういうこと。不思議だよね、温泉ってさ」
 そう言って笑った、ご主人の笑顔に、またしても魅せられてしまいました。
  


Posted by 小暮 淳 at 22:02Comments(2)温泉地・旅館

2013年02月18日

カルチャーショックを受けながら


 ♪ラ~ブレター フロム オーストラリア~♪

 などと、今日は一日中、字余りの替え歌を口ずさんでおりました。
 親バカで、申し訳ありません。


 今朝、郵便ポストを開けると、パラリと落ちた一枚の絵ハガキ。
 青い海と青い空・・・
 海水浴を楽しむ人たちが写っています。

 おおおっ、もしかして、これは!エアメールでは???

 と、ハガキをひっくり返してみると・・・
 見覚えのある、汚い文字が踊っているではないか!


 <カルチャーショックを受けながら、ガンバっています。>


 うるり、うるうる・・・
 そうかそうか、頑張っているのか・・・
 ウルリ、ウルウル・・・

 読者は、もうお分かりでしょうが、10日前に僕の愚息が、親の反対も受けず、親の援助も受けずに、ただひたすらに金を貯めて、遠い南の国へと旅立って行ったのであります。
 ※(当ブログ2013年2月8日「旅立て、R!」参照)

 “親はなくても子は育つ” と言いますが、親はいるのに金がなくても、子は育って行くんですね。
 うれしいような、淋しいような、複雑な思いで、しばらくハガキを見ていました。

 <カルチャーショックを受けながら>
 ことのほか、この言葉が、グルグルと僕の頭の中をめぐっています。

 20年間、親元で暮らし、金以外の不自由は知らず、平和に平凡に生きてきた彼にとって、初めての海外生活は、それはそれは刺激的なはずであります。
 見るモノ、聞くモノ、触れるモノ、感じるモノすべてが、新鮮で、かつ驚きの連続だろうと思います。

 それでいいんですよ。
 若いときに、どれだけ刺激を受けて、驚いて、興奮したかによって、その後の人生は大きく変わるのですから!

 いいぞ、いいぞ!
 R(息子の名前)よ、どんどんカルチャーショックを受けて、見聞を広げるのだ!
 ショックの数だけ、未来の可能性が増えるというものよ!


 思い出します。
 僕も20代に、初めての海外旅行をしました。
 それも、船で行きました。

 大阪湾から鑑真(がんじん)号に乗り、東シナ海を渡り、中国を目指しました。
 3日目の朝、海の色が深い青色から、まるでミルクコーヒーを流し込んだような茶色に変わっているではありませんか。
 揚子江であります。
 これが川だとは、到底信じられない大きさに、ただただ船のデッキで呆然と眺めていたことを覚えています。

 上陸したのは、“魔都” 上海。
 約30年前のことですから、今の上海とは、まったく違う顔をしていました。

 まさに、魔都と呼ぶにふさわしい、古くて怪しい街並みと、通りを埋め尽くすおびただしい数の中国人の群れに、足がすくむほどのカルチャーショックを覚えました。


 「オーストラリアから帰ったら、次はタイへ行きたいんだ」
 出国の日、駅まで送る車の中で、彼は僕にそう言いました。

 「おう、行け行け! どこへでも行きたいところに行って来い。ただし、金は出さんぞ!」
 「分かってる。またバイトして貯めるから」

 すまんなぁ・・・
 金を出さない代わりに、キミのやることに一切の口も出さんよ。
 それで、良しとしてくれたまえ。

 若者の特権は、“自由”なんだから。
 キミには、自由をあげよう。
 それが、僕から君の人生への贐(はなむけ)だと思ってくれ。


 ♪ラ~ブレター フロム オーストラリア~♪
   


Posted by 小暮 淳 at 20:57Comments(2)つれづれ

2013年02月17日

雪と湯けむりとライブの宴


 ♪雪、雪、雪 …… また雪よ~ 月夜野には七つの雪が降るとか~♪

 なーんて替え歌を歌いながら、北へ向かったのであります。

 関越自動車道は月夜野インターから先は、雪のため通行止め。
 それほどの大雪が降っていました。

 昨日の午後、会場となる月夜野温泉 「みねの湯つきよの館」 へ。
 我がスーパーローカルオヤジバンド 「KUWAバン」 の今年最初のライブが行われました。


 宿に着くと、いきなり目に飛び込んできたのは、ポスターに貼られた “チケット完売” の文字。
 「完売したっていうのは、本当だったんですね」
 と、僕の第一声。
 「そーなんですよ。定員60名分は早々に売り切れてしまい、追加で立ち見が20枚。計80名分売れたんですけど、この雪ですからね。全員は来られないでしょうね」
 と、バンドメンバーを出迎えてくれた女将の都筑理恵子さん。

 すでに玄関ロビーには、ビールやつまみを売るワゴンが設置されていて、ヤル気満々の様子であります。
 完全に、お祭りモードに突入しています。

 ならばと、我々も大広間でステージのセッティングをしながら、缶ビールを1本。
 う~ん、たまりません!
 窓の外は、見渡す限りの銀世界。

 「雪見ライブなんていうのも、オツでいいですなぁ~」
 とかなんとか言いながら、リハーサルをいつものようにサクサクっと終えて、ビールをもう1本。
 「本番で、歌詞が飛ばない程度にしておきましょうね!」
 と、誰ともなしに声をかけ合います。


 午後5時30分。
 開演!

 演奏する曲は60~70年代の懐かしのフォーク&GSソングです。
 会場の客層も、ドンピシャの年代であります。
 アリス、かぐや姫、井上陽水などのヒット曲からグループサウンズメドレーまで、全14曲を披露。

 最後は、オリジナルご当地ソングの 『みなかみひとり』 と、群馬の温泉応援ソング 『GO!GO!温泉パラダイス ~湯の国群馬県篇』 を会場の皆さんと歌って、楽しくフィナーレを迎えました。

 ステージが終わると、たくさんの方が声をかけてくださり、著書にサインをしたり、一緒に記念写真を撮らせていただきました。
 うれしいですね。
 このブログを見て来られた読者の方も、大勢いましたよ。。


 と、いうことで、夜は女将のはからいで、読者との懇親会を開いていただきました。

 前橋市から来てくださったSさんご夫妻。
 沖縄出身で現在は群馬在住のMさん。
 わざわざ、さいたま市から来てくださったGさん。
 Gさんの友人で名古屋出身のBさん。

 みなさん、楽しい宴をありがとうございました。
 温泉の話も、いっぱいできて、さながらオフ会のようでしたね。

 こうやって、ブログを通じて、たくさんの読者の人たちに出会い、お知り合いになれることを幸せに感じます。
 「ああ、ライターやってて良かったなぁ~」
 「ああ、ライブ活動をやってて良かったなぁ~」
 と、つくづく思いました。


 最後は、みんなで浴室の電気を消して、“雪あかり風呂” を堪能しました。


 大雪の中、たくさんの方に来ていただき、本当にありがとうございました。
 また女将さんをはじめ、つきよの館スタッフのみなさん、大変お世話になりました。

 イベントに携わったすべての人たちに、心より感謝いたします。 
  


Posted by 小暮 淳 at 21:06Comments(7)ライブ・イベント

2013年02月15日

湯檜曽温泉 「なかや旅館」


 温泉旅館は、進化しています。


 昨日は午後から湯檜曽(ゆびそ)温泉にて、取材活動。
 そして夜は、女将さんのご厚意により 「なかや旅館」 に泊めていただきました。

 宿を訪ねるのは初めてですが、3代目女将の阿部直美さんにお会いするのは2回目です。
 以前、イベントで、ご一緒しました。

 「今度、取材に伺います。よろしくお願いします」
 と、あいさつすると、
 「はい、お話は聞いております。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
 と、満面の笑みをたたえながら、僕を見つめてくださったのであります。

 えっ、見つめたんじゃなくて、見ただけだって?
 う~ん、そうかも知れませんが、僕には見つめながら微笑んだように思えたんですよ。
 そのくらい、笑顔が素敵な女将さんです。

 僕も、これだけ各地の温泉旅館を回っていますから、美人の女将さんには、ずいぶんとお会いしています。
 それはそれは、目が覚めるような美人女将もいましたよ。
 でもね、笑顔が美しい人となると、そうはいません。
 数えるほどです。

 で、「なかや旅館」の女将さんは、その笑顔がバツグンに可愛い人です。
 きっと、常連の中には、女将さんの笑顔に惹(ひ)かれて通ってくる客も多いんでしょうね。

 えっ、僕ですか?
 はい、初めてお会いしたときから、大ファンになってしまいました。


 しかし宿とは、聞くと、見るとは大違いですぞ!
 「なかや旅館」 のイメージは、小ジャレてて、若い人に人気があって、「天空の湯」 と呼ばれる星空に手が届きそうな露天風呂がある宿・・・。
 実際、旅館もキレイで、センスはいいし、若いお客さんも多いいし、高い所に絶景の露店風呂はありました。
 でもね、それだけじゃないんです。

 驚きました!

 徹底した “赤ちゃん大歓迎の宿” なんですよ。

 僕も以前に、「赤ちゃんプラン」 を打ち出している旅館をいくつか取材したことがありました。
 でも、そのほとんどが “赤ちゃんも泊まれる宿” 程度だったんですね。
 なかには、プランを作ったものの、集客が思わしくなくて、止めてしまった宿もあります。

 ところが、ここには・・・

 キッズルームがあります。
 ベビー用品を無料貸し出ししています。
 料理に赤ちゃんメニューがあります。
 そのほか、部屋にはベビーソープ、湯船の温度計、赤ちゃん用綿棒、つめ切りなどなど……

 僕が驚いたのは、トイレに赤ちゃん用トイレまであったことです。

 そして、極めつけは、ベビー専用の浴槽が館内に4ヵ所もあることです。
 もちろん、露店風呂にもあります。

 「私が子育てをしていて、一番ストレスがたまるその世代のママたちが、気兼ねなく行ける温泉旅館が少ないことに気づいたからです」 と、女将が15年前に考えたプランなんですって。

 いゃ~、取材中も、本当に赤ちゃんを連れた若い夫婦が、何組もやってきましたよ。
 なかり、都会のヤングママ層には広まっているようです(駐車場の車は県外ナンバーがほとんどでした)。


 現在、温泉旅館はどこでも、顧客の高齢化が深刻な問題となっています。
 「うちはリピーター率80%だよ」 と言っている宿も、実は先代からの常連客で70歳以上の人たちがほとんどです。
 間違いなく、あと何年かすれば、このリピーター率は下降線をたどります。

 次世代、次々世代の顧客確保が必至であります。

 そんな現状の中で、ここ 「なかや旅館」 は、確実に “未来の顧客” をつかんでいると言えそうです。


 たぶん、女将さんの笑顔に、赤ちゃんもママも、安らぎを覚えるのかもしれませんね。
 いや、一番癒やされているのは、パパたちかな?
   


Posted by 小暮 淳 at 18:53Comments(5)温泉地・旅館

2013年02月13日

万里の長城を越えて


 “縁は万里の長城を越えてやって来る”

 これは、古い中国のことわざです。
 縁のない人は、袖(そで)が触れ合っても行き違う。
 でも、縁ある人は、万里の長城を越えてでも会いに来るという意味です。

 覚えていますか?
 先月、僕が26年ぶりの再会をした話を・・・
 K君とは、28歳のときに、中国の杭州という町で会いました。
 そのK君と、奇跡の再会をしたのが、先月の6日のことでした。
 ※(当ブログ2013年1月7日「好久不見了!」参照)


 「カンパーイ!」
 「好久不見了(ひさしぶり)で、いいのかな?」
 「1ヶ月ぶりだから、好久不見了でいいでしょう」
 なーんて言いながら、2度目の日本での宴の夜を迎えました。

 場所は我らがたまり場、酒処 『H』。

 なんとも不思議であります。
 こうして、馴染みの飲み屋のカウンターに、2人並んで酒を酌み交わしているなんて・・・

 誰が、あの日、あの時、26年後に、こんな日が訪れるなんて思ったでしょうか?


 「よかったら僕も北京まで行きますから、切符を買ってあげましょうか?」
 たまたま杭州駅の窓口で、中国語がつたない僕の後ろに並んだK君。

 縁がなかったら、袖ふれあっても、その後、行き違っていたはずです。

 縁は “万里の長城を越えた” としか思えません。


 昨晩は、ちょうど僕が出演したNHKラジオのオンエア日でした。
 ママも常連客も、みんな僕のブログを読んでいて、心得ていました。
 「ラジオの放送は何時からでしたっけ?」
 「8時5分からです」
 そう僕が言ってから、ママは料理をしながら何度も何度も時計を気にしています。

 <ゲストは温泉ライターの小暮淳さんです>

 とパーソナリティの亀渕昭信さんが名前を紹介すると、「ウォ~」 と店内の客が喚声を上げました。


 カウンターの上では、常連客が差し入れた日本酒が回ります。
 「今日ね、鹿教湯(かけゆ)温泉へ行ってきたんですよ。これは、おみやげ」
 と、信州の純米酒が、きりこ細工のグラスに、ドボドボと気持ちよく注がれます。

 「では、もう一度、出会いにカンパ~イ!」

 決して、距離の問題ではなく、こうやって人と人が出会い、時を共にして、笑い合っていることすべてが、一期一会の奇跡のような出会いなんでしょうね。

 いい酒、、いい友、いい店、そして、良き人生に乾杯であります。


 さて、今年は何人の人が、万里の長城を越えて会いに来てくれるのでしょうか?
   


Posted by 小暮 淳 at 20:33Comments(2)酔眼日記

2013年02月11日

冬でもポッカポカ “あたたまりの湯”


 立春を過ぎて、暦の上では、もう春ですが、実際の季節は、まだまだ寒さの厳しい冬であります。
 どうしても、恋しくなるのが温泉ですね。

 では、家の風呂と温泉とでは、何が違うのか?

 ズバリ! あたたまり方が違います。
 そして、湯冷めをしにくいというのが、温泉の特徴です。

 そのなかでも、極めて保温効果が高いことから、“あたたまりの湯” とも “熱の湯” とも呼ばれている温泉があります。
 泉質で言えば、「塩化物泉」 です。
 旧泉質名を 「食塩泉」 といいます。

 読んで字のごとく、塩分を含んだ温泉です。
 だから、口に含むとしょっぱいので、誰でもすぐに分かります。

 この塩分が、皮膚に付着して、発汗を抑えるため保温効果があるのです。
 まさに、寒い冬におすすめの温泉です。

 でも、食塩泉は、珍しい温泉ではありません。
 群馬県内でも、広く分布しています。
 そして、全国でも単純温泉と並んで多い泉質となっています。

 でもね、昔は単純温泉のほうが圧倒的に多かったんですよ。
 どうしてか、分かりますか?

 はい、答えは、自然湧出泉が多かったからです。
 成分による分類ではなく、温度によって認められる単純温泉が、温泉として利用しやすかったんですね。
 含有成分の濃度は低くても、温度が高いことが温泉として重宝されていました。

 平成になってからは、掘削技術が飛躍的に進歩して、地中深いところに眠っていた古代の海水を汲み上げることができるようになったため、一気に食塩泉が増えました。
 また、源泉の温度が低くても、ボイラー技術が進歩したため、温めて入れるようになったということも大きな要因だと思います。
 ですから、平野部の日帰り温泉は、ほとんどが、この泉質です。


 でも群馬には、昔から塩分の多い温泉が湧いていました。
 そして、先人たちは、ちゃんとその温泉に 「塩」 の字を付けています。

 八塩温泉、塩ノ沢温泉・・・
 小野上温泉だって、以前は塩川温泉でした。


 と、いうことで、僕がコメンテーターを務める次回の群馬テレビ 「ニュースジャスト6」 では、冬でもポッカポカにあたたまる塩分の多い温泉を紹介いたします。
 ぜひ、ご覧ください。



 ●放送局   群馬テレビ(地デジ3ch)
 ●番組名   「ニュースジャスト6」
          NJウォッチのコーナー
 ●放送日   (月)~(金) 18:00~18:45
 ●出演日   2月18日(月)
 ●テーマ   冬でもポッカポカ “あたたまりの湯”
            ~熱をにがさない温泉~
   


Posted by 小暮 淳 at 21:54Comments(2)温泉雑話

2013年02月10日

好きなことと上手なこと


 “好きこそ物の上手なれ” などと言います。

 好きでやることには、熱も入るし、勉強や工夫もするので、自ずと上手になるという意味です。
 そもそも、好きであることが、そのことについての天分があるということです。

 僕の周りを見ても、料理が好きな人は料理が上手いし、ギターが好きな人はギターが上手です。
 上手になりたかったら、まずは、そのモノを好きになることが最低限不可欠のようであります。

 スポーツにしても、音楽にしても、芸術にしても、イヤイヤながらやっていて上手な人はいませんものね。

 <好き=上手>は、確かに成立するようですが、その好きなモノが仕事になっている人となると、極端に稀少な人となってきます。
 <好き=上手=仕事>は、誰もが描く理想! あこがれであります。

 と、いうことは、必ずしも<上手=仕事>にはならないということです。
 好きなモノは上手になるけど、上手なモノが仕事になるとは限らない。
 ここに、アマチュアとプロの大きな壁があるわけですね。


 では、逆は、また真なのでしょうか?

 “上手こそ物の好きなれ”

 う~ん、必ずしもそうじゃないような気がしますね。
 「仕事で仕方なくやっていて、技術はあるけれど、好きじゃない」 なんて人は、いそうです。
 要は、食べていくために上手になった人たちです。

 でも、なかには、「最初は仕事で覚えて上手になったんだけど、だんだん面白くなって好きになっちゃった」 てなこともありますよね。
 <仕事=上手=好き>のパターンです。
 この人は、好きなモノを仕事にしたんではなく、仕事が好きなモノになったんですね。


 で、僕は、自分はいったいどのパターンなんだろうか?と、ここ数日間考えていました。
 だって、人から 「いいですね、小暮さんは、好きなことを仕事にして」 とか 「小暮さんは、趣味が仕事なんだか、仕事が趣味なんだか分かりませんね」 なーんて言われることが多いんですよ。
 そのたびに 「えっ、そうだろうか?」 と、自問自答してしまうのです。

 だって、好きなことを仕事にしたつもりも、趣味を仕事にしたつもりもありませんもの。
 ただ、ライターという仕事も、温泉というテーマも “興味” がありました。
 興味があるから仕事にして、好きになって、多少他人よりも上手になったというわけです。

 <仕事=好き=上手>のパターンをたどりました。

 ですから、よく趣味と間違われるのは、興味があるものをテーマに選んで仕事にしてしまうので、楽しそうに遊んでいると勘違いされやすいのかもしれません。


 先日も、家内と金のことで口論になりまして、キレた家内が、
 「本当に、仕事しているの?」
 と先制口撃を仕掛けてきました。
 「見れば分かるだろう!こんなにも飛び回っているじゃないか!」
 と言い返せば、
 「お酒飲んでいるだけじゃない」
 と、ズバッと急所を突いてきました。

 だから言ってやりましたよ。
 「それが仕事なんだ!」
 ってね。

 そしたら、なんて言ったと思いますか?
 「その仕事、私が換わりましょうか?」
 ですって。

 てやんでぇ~、換われるものなら換わってみろってんだい!
 と言い返してやろうと思ったのですが、止めました。
 だって、本当に換わられてしまったら、僕は明日から失業ですからね。


 ところで、みなさんは、仕事が好きですか?
      


Posted by 小暮 淳 at 21:23Comments(5)つれづれ

2013年02月09日

全国放送だぜぇ~!


 本当に誰が聴いているか分からないものです。


 先月、1月11日にFMぐんまの 「G☆FORCE」 という番組に僕が出演したことは、このブログにも書きました。
 オンエア当日は、たくさんの人からメールや電話をいただき、またブログの読者からもコメントをいただきました。
 あの時は、改めて 「ああ、こんなにもたくさんの人が聴いてくださったんだ」 と、FMぐんまの聴取率の高さに驚きました。 

 でも、まさか、その後に、こんな展開が待っているとは、誰が予想できたでしょうか・・・。


 先日、NHKラジオの構成作家という人から電話がありました。
 「小暮さんが出演されたエフエム群馬の番組が大変面白かったので、ぜひ、番組で取り上げたいのですが、よろしいでしょうか?」
 という内容でした。

 もし、突然、こんな電話をもらったら、僕も何のことか分からずあわてていたでしょうね。
 でも、事前にエフエムぐんまのディレクターから連絡が入っていたものですから、戸惑う事もなく、お話しすることができました。

 で、僕が出演することになったのは、NHKラジオ第1の 『亀渕昭信のにっぽん全国ラジオめぐり』 という番組です。
 亀渕昭信さんといえば、元ニッポン放送のパーソナリティじゃありませんか!
 あの伝説の深夜放送 『オールナイトニッポン』 のDJをしていた方ですよ。
 これはこれは、光栄の極みであります。

 番組では、亀渕昭信さんが日本全国の民放ラジオ局を回り、地元の名物番組を紹介しています。


 まあ、出演といっても、すでに一度、エフエムぐんまで放送された 「G☆FORCE」 の中の 「人間力向上委員会」 というコーナーで話した内容が、そっくりそのまま流れるらしいんですけどね。

 でも、今回は全国放送だぜぇ~!

 全国の温泉ファンのみなさ~ん、そして全国にいる友人・知人・親類縁者のみなさ~ん!
 このチャンスに、聴いてくださいね。



 ●放送局   NHKラジオ第1(594KHz)
 ●番組名   『亀渕昭信のにっぽん全国ラジオめぐり』
 ●放送日   2013年2月12日(火) 午後8時05分~8時55分
  


Posted by 小暮 淳 at 17:13Comments(5)温泉雑話

2013年02月08日

旅立て、R!


 以前、このブログで、息子の留学費用が11万円足りないという話を書いたことを、覚えていますでしょうか?
 ※(2012年11月4日「貯金箱の中の夢」参照)

 あの後、ほうぼうで 「ブログ読んでますよ。息子さん、留学するのにお金が足りないんですってね」 と声をかけられました。
 なかには、「11万円なら、私がお貸ししましょうか?」 とまで言ってくださった殊勝な人もいました。

 ありがたい話です。

 でもね、息子は頑張りましたよ。
 あれからアルバイトを頑張って頑張って、ついに11万円を自分で作りました!
 ※(いきさつについては、2013年1月9日「父からの詫び言」参照)

 そして、本日。
 自らの力で、オーストラリアへ旅立って行きました。


 数日前のこと・・・
 「8日は、何時に行くんだ?」
 「前橋駅から12時20分の成田行きのバスに乗る」
 「じゃあ、送ってってやるよ」
 「仕事、大丈夫なの?」

 親バカなんでしょうか。
 出発日が知らされた何カ月も前から、その日は仕事を入れずにおいてあったのです。

 そして、今日・・・
 朝、起きると、すでに家内は仕事へ、次女は学校へ行っていませんでした。
 いつもは昼近くまで寝ている息子が、リビングで1人、何やらプリントとにらめっこをしています。

 「おはよう。早いな?」
 と声をかけると、
 「ああ、目が覚めちゃった」
 と緊張をしている様子。

 「何しているんだ?」
 と問えば、
 「うん、持ち物のチェック」
 と言う。
 しかも、キャリーバッグを開けたり締めたり、何度も何度も同じことを繰り返しています。
 誰に似たのか、小さい頃から神経質なところがある子なんです。

 「パスポートと現金があれば、あとはなんとかなる。向こうへ行ってから買えばいいんだよ」
 と、ついついおせっかいなことを言ってしまう僕。
 「ああ、そうするよ」
 と返事をしてからも、また最初からチェックをしなおしている姿に、いとおしささえ感じてしまいました。


 永遠の別れでもないのに、なぜか、息子の小さい頃の姿が次から次へと浮かんで来るのです。
 長女の後を泣きながら付いて回っていた、あのチビのR(息子の名前) が、よくぞ、ここまで大きくなってくれた……
 と、僕もただの人の親なんですね。
 気が付いたら、息子を助手席に乗せた車のなかで、不覚にも目頭が熱くなってしまいました。


 「じゃあ、行って来る」
 そう言って、バタンと車のドアを閉めたとき、言い知れぬ寂寞感に包まれました。

 通りを渡り、駅へと向かう息子の後ろ姿に、「行って来い」 と声にならない言葉をかけるのが精一杯でした。


 ♪旅立てジャック 自由には地図がない
   旅立てジャック 靴には羽がない
   だけどジャック 心には道がある♪

     by 吉田拓郎 『旅立てジャック』 より
   


Posted by 小暮 淳 at 20:32Comments(0)つれづれ

2013年02月07日

赤岩温泉 「誠法館」②


 秘湯とは、必ずしも深山幽谷の人里離れた地にある温泉とは限りません。
 “人に知られていない温泉” という意味では、国道沿いにあっても秘湯です。

 僕は以前から、赤岩温泉(みなかみ町須川)の一軒宿 「誠法館」 は、群馬の秘湯の1つだと思っています。


 「いやいやいや~、お久しぶりです!」
 相変わらず血色のいい顔に、満面の笑みをたたえながら、出迎えてくださいました。
 ご主人の冨沢房一さんです。
 拙著 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社) の取材以来ですから、お会いするのは約3年ぶりになります。

 この笑顔、この笑い声。
 懐かしくもあり、うれしくもあり、元気までもらえそうな気分になる人です。

 でも、なんだが足がお辛そうで・・・
 「ああ、もう歳だからね。こっちも今年から辞めちゃったんだよ」
 と、銃を撃つマネをしました。

 そうなんですよ。
 ご主人は、この界隈では名だたるハンターなんです。
 前回、訪ねたときは、ハンター仲間の話や狩猟の話をたくさん聞きましたっけね。

 今回は、温泉の湧出秘話を、たっぷりお話してくださいました。


 大正時代のこと。
 板割職人をしていた房一さんの祖父が、裏山で木を切り出して、担いで下りようとしたとき、足を滑らしてスッテンコロリン転がった。
 起き上がろうと、手を突いた水たまりが温かい。
 「おお、ここには湯があるぞ!」 と、手掘りで掘削を始めた。

 でもね。なにせ手掘り(かずさ掘り) ですから、そんなに深くは掘れませんって。
 80メートルまで掘って、出てきたお湯は17度とぬるかったようです。

 執念とは恐ろしいものです。
 祖父は、その後、材木商で金を稼いで貯めて、再度チャレンジをします。
 昭和36年、見事、現在の源泉を掘り当てました。

 宿の営業は、昭和40年から。
 祖父の遺志を継いで、房一さんが温泉宿を始めました。
 「祖父は旅館の完成を見ずに他界してしまいましたが、温泉には死ぬまで入っていました」


 深イイ~!話では、ありませんか!

 “湯の数だけ 歴史がある” のですね。


 源泉名は 「太子の湯」。
 木工職人の守護神として崇(あが)められている聖徳太子にちなんで、祖父が命名したとのこと。
 源泉の湧出する敷地内には、高さ約3メートルもある聖徳太子の石像が祀られています。
 これも、祖父が建立したものです。

 “宿の数だけ 物語がある” のです。


 そして秘湯は、国道沿いにもあるのです。
  


Posted by 小暮 淳 at 19:09Comments(2)温泉地・旅館

2013年02月06日

湯宿温泉 「旅館 みやま荘」


 湯宿(ゆじゅく)温泉の全宿制覇!


 開湯1200年の歴史を持つ湯宿温泉には、現在、6軒の温泉宿があります。
 21代目を名乗る老舗旅館の 「湯本館」 をはじめ、「太陽館」 「大滝屋」 「常盤屋」 「金田屋」 。
 そして、最後に残った 「みやま荘」。
 湯宿温泉で、一番新しい旅館です。

 最後の1軒。
 これで、湯宿温泉の全宿の全湯を制覇することになります。
 ついに、その日が来ました。

 昨日は昼から、みなかみ町の旧新治村地区に入り込み、取材を続け、夜は 「旅館 みやま荘」 に泊めていただきました。


 一番新しい宿といっても、昭和42(1967)年の創業です。
 現主人の籾山隆志さんの祖父の実弟が、旅館を始めました。

 “みやま荘”

 どこにでもありそうな、ありふれた旅館名ですよね。
 でも、この名前には、実に楽しい言葉遊びが隠されているんです。

 「初代の名前が、籾山荘七っていうんです」
 正直な話、そう言われただけでは、分かりませんでした。

 「これが、創業時の看板です」
 と、主人が玄関ロビーに掲げられた古い横書きの看板を指差しました。
 「旅館名の頭に “も”、最後に “七” の字を付けて読んでみてください」

 も ・ み ・ や ・ ま ・ 荘 ・ 七

 なーるほど!
 創業者の名前の頭と最後の字を取っただけなんですねぇ~!

 これは、面白いネーミングです。


 初代創業者は、定年まで学校の校長先生をしていました。
 退職後に、地元の湯宿温泉で温泉宿をやるのが夢だったといいます。
 きっと、若い頃からこの言葉遊びに気づいていて、旅館を始めたら絶対に付けようと考えていたに違いありません。
 素敵な話じゃありませんか!


 旅館は平成17年に全面改装をしているため、外観も館内もとってもキレイです。
 その時に建てた浴室棟は、贅沢(ぜいたく) な総ヒバ造り。
 木の香りに包まれた湯小屋風風呂は、完全かけ流し。

 そして、そして、何よりも ビ、ビ、ビックリしたのは、宿泊料金です。
 なんと、1泊2食が5,850円~!
 それも、食事は部屋食に、二度ビックリ!


 いやいや、群馬の温泉は奥が深いのであります。
 知っているようで知らない温泉旅館が、まだまだありますぞぉ~!

 やっぱり、1軒の温泉宿に行っただけで、その温泉地を知ったつもりになってはいけませんね。
 すべての宿、すべての湯に触れて、初めて、その温泉地が見えてくるものなのかもしれません。

 これだもの、温泉ライターをやめられませんね。
   


Posted by 小暮 淳 at 18:23Comments(2)温泉地・旅館

2013年02月04日

尻焼温泉 「関晴館」③


 「関晴館」 と聞いて、尻焼温泉を思い浮かべた人は、通ですね。
 花敷温泉では?と思った方、なかなかのマニアです。
 どちらが正解か?と言えば、どちらも正解ですが、現在は尻焼温泉にしか 「関晴館」 はありません。

 平成21年に花敷温泉の 「関晴館」 が廃業。
 翌22年の六合(くに)村と中之条町の合併を機に、尻焼温泉の 「関晴館別館」 が 「関晴館」 を名乗っています。
 ※(関晴館の歴史については、当ブログ2010年5月13日「尻焼温泉 関晴館・旧別館」と2011年8月24日「尻焼温泉 関晴館②」を参照ください )


 僕が最初に尻焼温泉の関晴館を訪れたのは3年前に出版した拙著 『ぐんまの小さな温泉』(上毛新聞社) の取材でした。
 その時は4代目若主人の関安典さんに、お話を聞きました。

 2度目は、その翌年。
 NHK文化センターの温泉講座で、お訪ねしました。
 季節が夏だったので、宿の風呂以外にも、水着を持参した受講生らは、名物の野天川風呂に入りました。

 そして今日は、3代目女将の関ますみさんに会いに行ってきました。
 昭和元年に、現在の場所に祖父が別館を建てたいきさつ。
 長野原町生まれの女将が、故・3代目主人と出会い、旅館に嫁ぐまでのいきさつ。
 花敷温泉の本館の廃業、そして別館からの改名・・・

 温泉旅館とは、訪ねれば訪ねるほど、話を聞けば聞くほど、
 まさに “宿の数だけ物語がある” ものです。


 今回訪ねて、何よりもうれしかったのが、ロビーで僕の著書を2冊も売ってくださっていたことです。
 だって、前述の 『群馬の小さな温泉』 に加え、ここの宿が掲載されていない 『ぐんまの源泉一軒宿』 までもが売られていたんですよ。
 これって、女将さんと若主人の懐の大きさが見えてうれしいじゃないですか!
 自分のうちだけを宣伝するんじゃなくて、群馬の温泉宿全体をPRしてくれているのですから。
 頭が下がります。


 さてさて、取材が終われば温泉です。
 それも、自慢のかけ流し風呂。
 何が自慢かって、その豊富な湯量ですよ。
 毎分294リットル!
 しかも、源泉の温度は54.6度という、真冬でもアツアツの高温泉です。

 この時季、大きな露天風呂を加温も循環もせずに、かけ流しにできる温泉宿は、なかなかありませんよ。
 それも、半端ない量の湯が、ザバザバとオーバーフローされながら、そのまま長笹沢川へと流れ落ちて行きます。

 実は今回、初めて女風呂に入りました。
 ていうか、現在は時間によって内風呂も露天風呂も男女が入替制になっていますが、以前は別々だったのです。
 女風呂ほうが風呂は小さいのですが、露天風呂の位置が男風呂と違うんです。
 急な階段を下りた川床に造られているんです。

 これは、もう露天ではなく、完全なる野天なのであります(そのため河川の増水時には冠水します)。

 一度、入ってみたかったんですよ!


 いやいや、手を伸ばせば届きそうな距離に川面があるではないですか。
 ちょっぴり、怖かったりもしますが、これこそが野天風呂の醍醐味です。

 関晴館へは行ったことがあるけど、まだ未体験という男性のみなさん!
 ぜひ、今度はこちらの風呂も体験してみてくださいね。

 病み付きになること、間違いありません。
   


Posted by 小暮 淳 at 22:03Comments(5)温泉地・旅館

2013年02月03日

マロ君、現る。


 6年前の、ちょうど今頃でした。
 年番の仕事で、地区の公民館にいたときです。
 ※(年番については、一昨日のブログ「我は神の子なり」を参照ください)

 1本のメールがケータイに入りました。
 送り主は、家内です。

 <犬がいるよ>

 犬? なんのことだ?
 意味が分かりません。
 どこにいるんだ?
 まったく、意味不明です。

 何かの間違えかもしれないし、別に急ぎの用件でもなさそうだ。
 そう思って、返信もせずに放っておきました。


 その晩、家に帰って、驚いたのなんのって、僕は腰を抜かしそうになりました。
 家の中に、犬がいたのです。

 「だから犬がいるよって、メールしたでしょう!」
 と言われても、納得がいきません。
 だって、僕は根っからの犬嫌いなんですから!


 長女のときも、長男のときも、「犬を飼いたい」 と言われ、「ダメだ!」 と一蹴に伏してきました。
 7年前、次女がみたび 「犬を飼いたい」 と言い出したときも、「お父さんが犬嫌いだからね」と家内がなだめていましたから、まさか、こんな事態が起きるとは夢にも思っていませんでした。

 どうも、今度ばかりは、僕1人を敵に回して、家族全員で強行突破に出たようです。
 でも、僕の犬嫌いは筋金入りですからね。
 小学校1年生のときに、友人の家の犬に噛まれて以来の “犬アレルギー” です。
 どんなに小さな犬でも、可愛いと思えません。
 いえいえ、大きさではなく、オバQと同じで(古い!) とにかく怖いのです。

 「どうしたんだ、この犬は?」
 僕の犬嫌いは家族全員知っていますから、よそからもらってくるわけがありません。
 「当たったのよ」
 と、涼しい顔で答える家内。
 「当たっただぁ~~?」

 なんでも次女にせがまれてペットショップへ行ったら、1等から3等までは本物の犬が当たる福引をやっていたんだそうです。
 「私が当てたんだよ、2等!」
 と、うれしそうにはしゃぐ次女。
 「おいおい、オレが犬嫌いと知って、福引をやったのかよ?」
 と家内を攻めると、
 「だって、当たるとは思わなかったのよ。当たっちゃったものはしょうがないじゃない。可愛いわよ、チワワ」

 チワワだ?
 犬嫌いでもチワワぐらいは知っているが、テレビのCMに出てくる目がクリクリっとした愛くるしい顔のチワワとは、似ても似つかないブサイクな顔をしている。
 目は小さいし、鼻は白いし、しかも、その鼻に鼻クソみたいなシミがある。
 髪の毛が、やたらに長いのも気に食わん。

 「チワワじゃねーだろ、これ?」
 「ちゃーんと血統書付よ。チワワのロングコートっていうんですって」

 「ダメだ! すぐに返してきなさい!」
 と、僕はゲージのなかにいる茶色の毛むくじゃらの生き物を指さして言いました。
 「なんで~、可愛いじゃない。お父さんだって、毎日いれば可愛くなるよ」
 と、必死に説得を始める次女。

 その日は、そのまま2階の仕事部屋に閉じこもってしまいました。
 翌朝、階下へ降りて行くと、誰もいません。
 でも、犬はいます。

 家族はみんな、仕事と学校へ行ってしまい、僕と毛むくじゃらだけの生活が始まりました。
 これが、愛犬マロ君との出合いです。
 茶色の毛だからマロンのマロ。
 また、平安時代の公家のように目の上に白い斑紋があるので、麻呂のマロ。
 結局、僕が名付け親になってしまいました。


 犬って、犬嫌いの人がわかるみたいで、最初は全然僕になつかなかったのですよ。
 でも、必然的に1日の中で一緒にいる時間が一番多いのが僕だということもあり、気が付いたら一番僕になついていました。
 エサをくれて、散歩へ連れて行ってやり、一緒に昼寝をしてやけば、どんな犬だってなつきますよね。

 で、6年経って、犬嫌いは治ったのかって?
 とんでもない。依然、犬は大嫌いです。
 僕は猫派人間です。

 えっ、マロ君ですか?
 あいつは犬ではありません。
 犬の格好をした我が家の次男ということで、僕の脳は処理しています。
 あしからず。
   


Posted by 小暮 淳 at 20:30Comments(2)つれづれ