2013年02月19日
湯宿温泉 「ゆじゅく金田屋」③
2年前の2月より、僕は朝日新聞の群馬版に隔週で 『湯守の女房』 という連載を書いています。
これは、温泉旅館に嫁いだ女性(女将) を取材して、その波乱万丈な人生や孤軍奮闘する日常を紹介する記事です。
現在(2月13日掲載)までに、37軒の宿、42人の女将さんと若女将を紹介しました。
※(過去に掲載された記事は、当ブログ内の「お気に入り」から閲覧することができます)
昨年の2月からは、『湯守の女房』の連載1周年を記念して、番外編 『おやじの湯』 の連載を隔月にてスタートしました。
これは、読んで字のごとく、“おやじ” こと宿の主人= “湯守” を取材した記事です。
でも、ただ話を聞いて記事を書くのでは、『湯守の女房』 の女将さんがご主人に替わっただけて芸がありません。
そこで考えたのが、「湯浴み対談」であります。
男同士、裸になって温泉に入り、湯の中で対談をするという前代未聞の企画です。
日本広しといえども、たぶん、こんな記事を連載しているのは、朝日新聞だけじゃないでしょうかね!
筆者と湯守の、ガチンコ温泉談義であります。
こちらも先月までに、6人の “おやじ” たちを素っ裸にして、その入浴シーンを新聞紙面に紹介しました。
群馬県内の温泉地には、まだまだ、たくさん名物 “おやじ” が隠れていますぞ!
明治元年創業の湯宿温泉 「金田屋」 の5代目主人、岡田洋一さんも、その1人。
僕は3年前に初めてお会いしたときから、その風貌と人柄に魅せられてしまったのです。
さらに、酒を飲んで語り合ったら、これまたウマが合ってしまい、ますます惹(ひ)かれてしまいました。
何より興味を抱いたのは、その破天荒で波乱万丈な人生です。
老舗旅館の長男に生まれながら、放浪癖があり、世界中を飛び回っていました。
アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア・・・・
訪ねた国は、約20カ国!
それも1人でてはなく、奥さん(現・女将) も一緒です。
2人で世界を旅しながら放浪して、結局、実家である旅館に戻ってきたのは39歳だったといいます。
もう、話が面白くて、グイグイと引き込まれてしまいましたよ。
取材であることを忘れてしまったくらい、僕には興味深いアウトローな人生話でした。
「世界中を旅して、一番感じたことは何ですか?」
と、最後に僕が質問すれば、
「地球は丸いってことだね。確かに体で感じたよ」
とは、お見それしました!
今でも宿には、ご主人と同じ価値観を持った、同じ匂いのする、自然を愛する人たちが集まって来るそうです。
「湯宿温泉はね、還暦温泉っていうんだ」
「還暦ですか?」
「ああ、この湯は60年前に三峰山に降った雨が、今日、湧き出て来たんだよ」
湯の中で、主人が僕に教えてくれました。
「じぁあ、この湯は、僕が生まれる6年も前に降った雨なんですね」
「そういうこと。不思議だよね、温泉ってさ」
そう言って笑った、ご主人の笑顔に、またしても魅せられてしまいました。
Posted by 小暮 淳 at 22:02│Comments(2)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
慌ただしい寒さと、生活で(笑)やっとパソコンに触り、ブログ読んで癒されましたーーー
地球は丸い、温泉は不思議
ぼーっと妄想タイム、、、地球の丸さの上で生きてますね
地球は丸い、温泉は不思議
ぼーっと妄想タイム、、、地球の丸さの上で生きてますね
Posted by ぴー at 2013年02月20日 12:00
ぴーさんへ
そーですね。
丸い地球に湧く、不思議な温泉。
ときどき、人間の無力さを感じます。
だからこそ、温泉を愛してやまないのでしょうね。
そーですね。
丸い地球に湧く、不思議な温泉。
ときどき、人間の無力さを感じます。
だからこそ、温泉を愛してやまないのでしょうね。
Posted by 小暮 at 2013年02月21日 01:00