2024年12月13日
猿ヶ京温泉 「旅籠 しんでん」 ~農園から届く山の幸~
過日、新聞の片隅に小さな記事を見つけました。
<しんでんや旅館 破産開始を決定>
「もしや」 と思い記事を読むと、やはり、そうでした。
猿ヶ京温泉 (みなかみ町) の 「旅籠 しんでん」 でした。
2012年9月、僕は 『みなかみ18湯』 の上巻を出版しました。
この本では、水上温泉 (みなかみ町) の11軒の宿と、猿ヶ京温泉の23軒の宿を取材しました。
「旅籠 しんでん」 のページは、こんな書き出しです。
<猿ヶ京は奥が深い温泉地である。「湯の町」 と呼ばれる中心地と国道をはさんだ赤谷湖岸のエリア、旧三国街道沿いの 「民宿通り」 に大きく分かれるが、さらに枝道を入り込んだ場所にも、あたかも一軒宿のようにポツンとたたずむ旅館がある。国道から離れ、一本道を山へ向かって上りつめた先に 「しんでん」 はある。>
「家族だけでやっている宿ですから特別なことはできませんが、その分、心を込めた手作り料理で、お客様をお迎えしています」
と、女将から話を聞いた日が、ありありと思い浮かびます。
宿の自慢は、自家農園から届く山の幸。
野菜や山菜はもちろん、米までも自給自足による田舎料理です。
僕は湯上りに、地元猿ヶ京産のそぱ粉を使用した、打ちたてのそばをいただきました。
残念でなりません。
新聞には、コロナ禍で利用客が大幅に減少したことと、設備投資のための借入金の返済負担が理由として記されていましたが……。
今年だけでも、いったい何軒の温泉宿が閉館してしまったのか?
旅館経営者の苦労が、ひしひしと伝わる記事でした。
入って残そう! 群馬の温泉
Posted by 小暮 淳 at 11:06│Comments(0)
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