2024年11月30日
四万温泉が1位! なんで?
<きっかけは、この年 (2000年) の4月に群馬県が実施した 『ぐんま温泉紀行』 だった。ペア2000組を県内19カ所の温泉旅館に優待する企画で、県内および首都圏から5万通を超える応募があり、このうち 「泊まりたい温泉」 として四万温泉がトップとなったのである。常に国内旅行の人気投票で第1位となっていた草津温泉がダントツになると予想されていただけに、誰もが結果に驚いた。>
( 『あなたにも教えたい四万温泉』 より)
このとき僕は、“四万温泉の逆襲” が始まったと感じました。
そして、この本を書きました。
あれから約四半世紀。
その後、着実に知名度を上げてきた四万温泉。
コロナ禍、「かるたでは知っているけど、行ったことがなかった」 群馬県民たちが一挙に押し寄せ、知名度とともに好感度も上昇しました。
そして今回、その証左ともいえるランキングが発表されました。
地元紙の上毛新聞が、「お薦めの温泉」 についてアンケートを行ったところ、県内部門で2位に大差をつけて四万温泉が最多の票を集めたと、発表しました。
以下が、上位5位までの温泉地です。
1.四万温泉 (中之条町)
2.草津温泉 (草津町)
3.万座温泉 (嬬恋村)
4.伊香保温泉 (渋川市)
5.磯部温泉 (安中市)
四万温泉を選んだ理由について、投票者からは、こんな声が寄せられていました。
「温泉から眺める自然の景色が良い」 「ちょうど良い泉質」 「四万ブルーの奥四万湖がきれい」 「コンパクトな温泉街は情緒がある」……
では、半世紀前のアンケートでは、どんな意見が多かったのでしょうか?
<中之条町の 「ツインプラザ」 において 「外から見た四万、内から見た四万」 というテーマでシンポジウムが開かれ、私もパネリストとして出席した。この時、参加者からは 「開発せずに、このままの自然を大切にしてほしい」 「看板の設置は景観を損ねないように」 「不便が四万の良さ」 「地元の人ととのふれあいがある」 など、さまざまな意見が出された。また来場者から寄せられたアンケートで一番多かった声が、「何もない良さ」 だった。>
( 『あなたにも教えたい四万温泉』 より)
いかがですか?
大温泉地にはない、素朴な湯治場風情が残っている四万温泉が、現代人の癒やしとなっているようですね。
著書は、こんな 「まえがき」 から始まります。
<四万には、コンビニがありません。四万には、信号機がありません。四万には、歓楽施設がありません。でもここには、青く澄んだ川の流れと、こんこんと湧き出す豊潤な温泉、そして何百年もの間、湯とともに暮らしてきた素朴な人たちが生きています。>
そして帯に、僕は直筆で、こう書きました。
<何もないとは、なんて素敵なことだろう>
まだの人は、一度、四万温泉を訪れてみてください。
「上毛かるた」 の札の意味が、分かると思います。
2024年11月29日
9→7大温泉地へ、なぜ?
群馬県は2028年の 「温泉文化」 のユネスコ無形文化遺産登録に向け、来年1月6日~2月4日、7大温泉地をめぐってもらう企画 『ぐんま温泉街道』 を展開します。
報道によれば、こんな内容です。
●期間中、県内温泉各地で有料のプレミアムイベントが開かれる。
●県内100カ所程度の温泉旅館や入浴施設を1回ずつ楽しめるデジタルチケットを販売する。
●チケット購入者が自由に乗り降りできる専用バス 「湯めぐりバス」 を万座温泉と老神温泉間で特別運行する。
と、まあ、こんな内容です。
詳細は、特別サイトでお調べください。
では、“7大温泉地” とは?
発表によれば、草津、伊香保、水上、四万、磯部、老神、万座でした。
えっ、いつから7大温泉地になったんですか?
というのも、以前は確か、群馬県の主要温泉地は9カ所だったはず。
そう、あと2つは、どこへ行ってしまったの?
みなさんは、知っていますか?
あと2つとは、やぶ塚温泉 (太田市) と川原湯温泉 (長野原町) です。
さみしい限りですが、落選は仕方ないのかもしれません。
やぶ塚は、コロナ以降、大型旅館の廃業がありました。
川原湯は、ダム建設による移転により、旅館の数が減少してしまいました。
もはや、両温泉地とも 「大」 とは呼べません。
ユネスコ遺産登録に向けて、群馬県の温泉地が活気を得て、にぎわうことは大変よろこばしいのですが、温泉ファンとしては複雑な思いです。
陽の当たる温泉地と、陰になる温泉地……
明暗が分かれてしまうことに、一抹の不安を抱いています。
2024年11月28日
鬼も笑う2つの特典
今年も、だいぶ押し迫ってきました。
来週は、もう師走です。
そろそろ、今年の総決算をする時期になりました。
と、思っていたら、“鬼が笑い” 出しました。
「来年の事を言えば鬼が笑う」
なんて言いますが、僕的には大歓迎であります。
ここに来て、立て続けにバタバタと、講演の依頼が飛び込んで来ました。
それも、あまり今までにはなかった依頼先です。
1つは、博物館。
もう1つは、文化センターです。
どちらも大きな会場なので、今からとっても楽しみです。
どちらもの依頼も、お受けしたのですが、日程やテーマなどは、まだ未定です。
これからの打ち合わせで決めるのですが、問題はテーマです。
依頼は受けたけど、さて、講演内容は?
現在、僕の講演内容は、大きく分けて2つ。
著書のある 「温泉」 と 「民話」 です。
でも依頼主の希望によっては、「地酒」 や 「介護」 をテーマに話をしたこともあります。
マニアックなところでは、「歌人・若山牧水」 「テレビ出演の裏話」 なんていうテーマもありました。
まあ、大方は 「温泉」 か 「民話」 なんですけどね。
で、「温泉」 と 「民話」 をテーマにした講演では、それぞれ特典 (サプライズ) を用意しています。
「温泉」 では、講演の最後に、カラオケに合わせて、オリジナルの温泉ソングを歌います。
「民話」 では、地元民話のオリジナル紙芝居を口演します。
毎回、このサプライズに大変よろこんでいただいています。
さて、来年は、どんな町のどんな人たちと触れ合えるのでしょうか?
鬼さんと一緒に、笑いながら新しい年を迎えたいと思います。
2024年11月27日
ちょっとバスに乗って
“バスに乗れば、見慣れた町が知らない町になる”
このところ、バス乗車にハマっています。
といっても、遠出をしているわけではありません。
いわゆるコミュニティバスといわれる市内を循環するバスです。
全国、どこの街にもあるのでしようが、僕が暮らす前橋市には 「マイバス」 というコミュニティバスが走っています。
たぶん、「マエバシ」 → 「マイバス」 をかけているんでしょうね。
(実際、ネイティブ前橋っ子は、「マイバシ」 と発音します)
市内を走る 「マイバス」 は、JR前橋駅を起点に東西南北の4つの循環路線があり、さらに、すべての循環路線に 「右回り」 と 「左回り」 があります。
だから、とっても便利なんです。
僕が暮らしている地域には、「東循環」 が走っています。
1時間に 「右回り」 と 「左回り」 が1本ずつと、決して多くはないのですが、一度利用すると、その便利さと快適さ、面白さにハマってしまいます。
まあ、利用するきっかけは、ヒザの関節を痛めて治療中ということからでした。
多少の歩行はできますが、長距離の自転車はこげないし、車では飲酒ができません。
ということで、バスでの移動手段を日々の生活に取り入れました。
たとえば、たびたびブログにも登場する酒処 「H」。
最寄りのバス停は、東循環の最北にあります。
そして我が家から一番近いバス停は、東循環の最南にあります。
ので、「右回り」 に乗っても 「左回り」 に乗っても、乗車時間はほぼ同じなんです。
と、このことに気づいた日から、僕の “バス旅” は始まりました。
コミュニティバスを利用したことある人なら知っていると思いますが、とにかく料金が安い!
どこから乗って、どこで降りても料金は一律。
で、なんと、「マイバス」 は100円なんです!
今時、100円で旅ができるなんて、これを利用しない手はありません。
これまた “コミュニティバスあるある” なんですが、一般の路面バスでは絶対に通らない住宅街や抜け道のような小路を通るということ。
「おいおい、ここを無理やり曲がるかね~」 「うぉ~、マニアックな所を入るな~」
と、ちょっとしたスリルとドキドキ感が楽しめます。
またアナウンスも、いかしています。
「マイバス」 では、子どもの声なんです。
「次は○○センター前。お降りの方は、停車ボタンを押してください」
これがバス停によって、男の子だったり、女の子だったり。
声質も、低学年だったり、高学年だっり、いろいろで飽きません。
なによりも子どもの声って、癒されますよね。
たぶん、市内の小学生に録音させたのでしょうね。
グッドアイディアです。
そして、なによりも僕が感心したのは、そのアナウンスの付加情報です。
「○○医院にお越しの方は、こちらでお降りください」
なかには、「××食堂へ行かれる方は、こちらが便利です」
なんて、気の利いたアナウンスもあったりして。
「へ~、知らなかった~」
と感心しきりです。
思えば、見慣れた風景って、実は自分の生活圏の中にしか存在しないんですよね。
しかも、知っているつもりの景色でも、日々、自動車でスーッと通り過ぎているだけだったりします。
でもバスから見える風景は違います。
ゆっくりと走り、時々停車し、ふだん利用しない生活路にまで入って行きます。
僕は毎回、後部座席に乗ります。
なぜかって、高い位置から見える街並みって、見知った風景でも、いつもと違って見えますもの。
それと、人間観察。
これが一番楽しみです。
実は僕、ちょっぴり偏見を持っていました。
利用する人は、年寄りばかりだろう……と。
でも、違いました。
学生もいれば、親子連れ、ビジネスマン風の人もいます。
それと車イスの方も利用します。
そんな時、運転手さんは素早く運転席から降りて、最前列の座席を折りたたみ、スペースを確保してから、乗降口にスロープの板を渡します。
その手際の良さに、プロの仕事を感じました。
いかがです?
車社会の世の中だからこそ、たまには、いつも通る同じ街をバスに乗って移動してみませんか?
きっと、知らなかった、たくさんの発見があると思います。
2024年11月26日
「今のこども」 として
先日、群馬県小中高生新聞感想文コンクールの最優秀賞と優秀賞の発表があり、地元紙に各部門 (小学校低学年の部、小学校中学年の部、小学校高学年の部、中学校の部、高校の部) の作品が掲載されました。
どの部門の作文も、よく書かれていて、感心しきりです。
「新聞離れ」 がいわれるようになって久しいですが、いえいえ、みなさん熟読玩味しています。
もしかしたら、大人たちのほうが新聞離れしているのでは? と思うくらいです。
ただね、取り上げているテーマに無理があるのでは? という作品もありました。
認知症やいじめ、米不足、空き家問題、フードロスなど、親や先生に選んでもらったテーマを背伸びして書いているような。
そんななか、「おっ、この子の視点はすごい!」 と思った作品がありました。
優秀賞を受賞した前橋市の小学校5年生の女の子の作文です。
『これって本当? 記事への疑問』 と題し、新聞で読んだ記事に対して 「今の子ども」 として独自の意見を述べています。
<ある学校で、水道の蛇口から水を、じか飲みすることができない子どもがいて、先生が驚いたという記事がありました。ふだんから水筒で水を飲むことになれたその子どもは、水道の蛇口からどうやって水を飲んでいいのか方法が分からない、という内容でした。>
結局、その子どもは、先生からもらっさたコップを使い、水を飲んだといいます。
このことについて新聞記事は、<昔と今は変わった> <時代の変化やコロナの影響> <昔の子どもならできたことが、今の子どもにはできない> という世代間のギャップとしてまとめられていたそうです。
これに対して、彼女の視点は違いました。
<水を飲むときにコップがなければ(手で)水をすくって飲んだり、蛇口を上向きにして直接水を飲むことは自然のことだと思っていました。>
と、「今の子ども」 でも水が飲めることを告げています。
蛇口から水が飲めないのは、世代の違いではなく、経験の有無だと。
さらに彼女は、こんなエピソードにも触れています。
<小さい時から外で遊ぶ経験が少ない子どもが、親からボールを渡されて公園で 「自由に遊んでいいよ」 といわれたところ、なにもできずに 「どうすればいいの?」 と聞き返したそうです。>
これも世代の違いではなく、経験の有る、無し、だと言い切ります。
「○○がないと○○できない」 「指示がないと動けない」 子どもたちが増えていることは事実のようです。
でも、それは、大人が子どもに体験させないから?
昔の子どもできたことは、「今の子ども」 もできるはず。
「今の子ども」 は、経験の場がないだけ。
最後に彼女は、新聞に対して、チクリと苦言を申します。
<わたしは、「今の子ども」 として新聞の記事にあと1つ、個人ごとの経験のちがいについてふれてくれればよかったのにな、と思いました。>
あっぱれ!
2024年11月25日
ギプスは若さのバロメーター
先週、ヒザに3回目の注射を打ちました。
3週間前、左脚に痛みを感じて、整形外科医院を受診しました。
すると 「変形性膝関節症」 と診断され、その日以来、毎週通院しています。
「その後、いかがですか?」
「ええ、だいぶいいです。ヒザを曲げるのも、伸ばすのも痛みはありません」
先生の問診に答えました。
「歩くのは? 階段の上り下りは、いかがですか?」
「はい、ゆっくりですが歩けます。階段もなんとか左足をかばいながら上っています。下りのほうが、ちょっと怖いですけど……」
「痛みは?」
「時々、ヒザの内側が」
すると先生は、MRI で撮ったパソコンの画面を見ながら、ていねいに説明してくれました。
ヒザの軟骨が、すり減っていること。
じん帯が、伸びてしまっていること。
そして、こんなことを言いました。
「本当はね、ギプスをしたほうがいいんですけどね」
「?」
「でも、年齢を考えると……」
ええええ―――っ!!!
年齢?
どど、どういうことですか~!?
「ギプスをしたほうが治りは早いんですよ。でも小暮さんの年齢だと外した時に、筋肉のもどりが悪いんです」
ぎぇぎぇぎぇ―――っ!!!
そ、そ、それって、老人ということですか~?
ガックシ……
悲しいかな、ギプスをできない体になっていたんですね。
ああ、20代に事故で骨折した時の、あのギプスが懐かしい。
カンバック、ギプス!
ギプスは “若さのバロメーター” であることを知りました。
ということで、現在は、運動治療を続けています。
いわゆるリハビリです。
イスに座って、足をゆっくり水平に伸ばし、ゆっくりと下ろします。
イーチ、ニー、サーン………キュー、ジューウ
と片足ずつ、10回。
これを朝昼晩、3セット行います。
ちっくしょー!
ギプスなんかに頼るもんか!
自力で治してみせるぞ!
我が闘病生活は始まったばかり。
がんばります!
2024年11月24日
キーワードは世代を超えて
<つくづく、歳は重ねてみるものだ>
と以前、書きました。
(2024年11月18 日 「磯部温泉 小島屋旅館➄」 参照)
あの時同様、また親子ほど歳の離れた青年 (?) が、遠方より僕を訪ねて来てくれました。
しかも 「小暮さんと吞みたいから」 と、車ではなく、わざわざ新幹線と在来線を乗り継いで、前橋くんだりまで。
その情熱と熱意に、ただただ脱帽です。
彼は、僕の読者でもあり、温泉マニアです。
過去には、僕が講師を務めるイベントにも参加したことがあるといいます。
「あのとき、本にサインをいただきました」
と言われ、そういえば……と、おぼろげながら彼の顔を思い出しました。
では、そんな彼が、なぜ、公の場ではなく、個人的に僕に会いに来たのか?
彼を、そこまで突き動かしたものは?
酒を酌み交わしながら、雑談から徐々に核心に触れて行きました。
そして最終的に彼の口から出た言葉は、「本を出したい」 とのこと。
しかも、広く浅い全国版の本でではなく、僕のように単一県の温泉地を徹底して網羅した本を出版したいというのです。
正直、驚きました。
無謀だとも思いました。
だって、彼が書こうとしている県は、僕が書いた群馬県よりも温泉地数が多いのです。
いや、多いなんていうレベルではありません。
倍はあります。
僕は現在、群馬県の温泉に関する本を9冊、出版しています。
それでも群馬県内の全温泉地の全宿は、網羅しきれていません。
10年以上もかかって、これが現状です。
酒の力もあり、もしかしたら彼には、だいぶ厳しいことを言ってしまったかもしれません。
苦言を浴びせたかもしれません。
それは、“本を世に出す” ということは、生半可な気持ちでは成し遂げられないからです。
それでも、自分の人生をかけて、夢を叶えたいというのなら……
との前提で、話をしました。
これからが、彼のイバラの道です。
でも、好きなことなら、できるはず。
たった一度の人生です。
心に迷いがないなら、チャレンジする価値はあると思います。
夜も深まった頃、ほろ酔い気分で、駅で彼を見送りました。
T君、がんばれ!
キーワードは 「温泉」。
このキーワードは、世代を超えて人と人を結び付けてくれるようです。
温泉の神様に、感謝!
2024年11月23日
今日の読売新聞 「温泉と伝説 密接な関係」
今年2月からスタートした読売新聞群馬版での不定期連載。
今日 (11月23日) の読売新聞に、4回目のエッセイが掲載されました。
今回のテーマは 「温泉と伝説」。
なんで温泉ライターの僕が、民話や伝説に興味を持ち、著書まで出版したのか?
その出合いと、温泉との密接な関係について書かせていただきました。
実は民話や伝説には、先人たちの知恵が、いっぱい詰まっているんですね。
妖怪や化け物が登場する怖い話もありますが、温泉の伝説には、現代人が学ぶべきことが多々あります。
エッセイでは、「なおし湯」 や 「上がり湯」 「仕上げ湯」 、また2つ以上の泉質の異なる温泉に入る 「合わせ湯」 を紹介しました。
何気なく、観光目的で訪ねている温泉地や入っている温泉には、たくさんの伝説や民話が隠れています。
ぜひ、今度、温泉地へ行ったら、ちょっと地元の人に聞いてみてください。
きっと、その温泉が、何倍にも好きになると思いますよ。
新聞離れが加速しているといいます。
それでも 「されど新聞」 です。
まだまだ、たくさんの人が読んでいます。
だって、講演会場では 「新聞、読んでますよ」 と声をかけてくれる人が、結構いますもの。
中には、新聞の切り抜きを持参して、会場に来る人もいます。
そんなとき僕は、「ああ、ライターという仕事をしていて、良かったなぁ~」 と、つくづく思います。
次回の掲載は、いつでしょうか?
年内かな? 年明けかな?
さて、何について書きましょうか?
楽しみにしていてください。
2024年11月22日
魔法の言葉
新聞に、こんな四コマ漫画がありました。
バッターボックスに立つ選手。
空振り!
「スランプなんだよな」
次も空振り!
「スランプなんだよな」
するとチームメイトが、こう言います。
「野球始めてからズーッとじゃないか!?」
「うん」 と言って、うなだれる選手。
チームメイトが叫びます。
「そういうの、スランプって言わないの!」
もう、おかしくて、おかしくて、その日は、思い出しては笑っていました。
“スランプ” とは、「不振」 「不調」 のこと。
いい時もあるけど、悪い時もある。
人は、そんなとき、スランプという言葉を使います。
これって、人生に当てはめてみると、さらに笑えます。
やる事、なす事、すべてが、うまくいかない人。
就く仕事、就く仕事、長続きせず、転職をくり返している人。
起業したけど、会社をつぶしてしまった人。
みんな、“スランプ” のせいにしてしまえば、いいんです。
「才能がないんじゃない」 「根性がないんじゃない」
ただ、スランプなだけ。
そう思えば、気が楽になります。
だって、スランプだという自覚がある人は、好調の時が来ることを信じている人です。
これ、まさに自尊心です。
では、その時は、いつ来るのか?
人生は、最後の最後まで分かりませんって!
いつ、なんどき転機が訪れるのか分からないのです。
今、スランプに陥っているみなさ~ん!
思いっきり、バットを振りましょう!
だって、バットを振らなければ、ボールには当たらないんですよ!
振り続けていれば、いつか、人生の逆転満塁ホームランを打つかもしれません。
2024年11月21日
第2回 「出前講座」 開催
群馬県立歴史博物館 「友の会」 運営委員からのお知らせです。
僕は運営委員もしていますが、時々、講師としても登場します。
昨年度からスタートした 「出前講座」 も、その一つ。
前回、昨年11月に開催した 『温泉ライターに学ぶ四万温泉あれこれ』 では、高崎と前橋からバスを出し、車中では僕が講話をし、現地では四万温泉協会事務局長が案内をしました。
宿では、入浴と昼食を楽しみ、温泉街の散策をして、色づく秋の一日を満喫しました。
さて、「出前講座」 は、今年度も開催いたします。
開催日は、来年2月初旬 (土曜日)。
場所は、群馬県北部の秘湯の温泉宿。
と、情報を出し惜しみしているのは、昨日の運営委員会議で決定したばかりだからです。
でも、すでに旅館と観光協会、バス会社には連絡済みですので、これより広報作業に入ります。
詳細の発表は、来月中旬の予定です。
参加費は1万円程度で、バス代、昼食・入浴代が含まれています。
さらに特典として、僕の著書が進呈されます。
募集告知は、「友の会」 会報および新聞、ブログにて行います。
お楽しみに!
2024年11月20日
本屋さんへ行こう!
東京都在住の読者 (60代男性) から、こんなことを言われました。
「私はネットでは本を買いません。小暮さんの本も、近くの書店に注文しています」
ありがたいお言葉ですが、彼は、こうも続けました。
「本屋さんを、これ以上、無くしたくないんです」
まさに令和の現在では、街の本屋さんは壊滅的な危機に見舞われています。
希少価値ゆえに、「リアル書店」 なんて呼ばれるほどです。
スマホでピッっと、ネットで便利に簡単に、探している本が手に入る時代です。
街の本屋さんは、駄菓子屋同様、昭和の産物なのでしょうか?
こんなデータがあります。
全国の書店数の推移です。
2003年には20,880店あった書店が、2023年には10,918店と減少しています。
なんと! 20年間で約半分になってしまったのです。
ちょっと計算してみてください。
すると、なななんと! 1日に1.3店のスピードで消滅していることになります。
これにより全国には 「無書店自治体」 というのが発生しています。
いわゆる書店が一軒もない市区町村のことです。
その数、なななんと! 27.9%!
3市区町村に1つは、無書店自治体なのです。
では、なぜ昭和の時代には考えられなかった現象が、平成から令和にかけて急速に進んでしまったのでしょうか?
答えは明確です。
書店で本が売れなくなったからです。
では、なぜ?
ネット販売が主流になったから?
どうも、それだけではないようです。
一番の理由は、「読書離れ」 です。
平成の世から 「活字離れ」 という言葉はありましたが、ついに 「読書離れ」 = 「長文離れ」 が始まってしまったのです。
あるリサーチによれば、「1カ月間に1冊も本を読まない人」 が6割を超えたといいます。
(当ブログの2024年9月20日 「長文を読めない令和人」 参照)
便利だけが原因ならば、ネット販売に移行するだけです。
でも、本自体が売れなくなっているのですから致命的な問題です。
“便利な社会” は、読書自体を “面倒くさいもの” に追いやってしまいました。
ただただ、悲しい現象です。
読んで残そう、紙の本。
みなさ~ん、本屋さんへ行きましょう!
2024年11月19日
自信のゆくえ
先日、知人男性 (50代) から、こんな相談を受けました。
「若い頃は根拠のない自信があったのですが、今は衰えの自覚や環境の変化で、以前のような根拠のない自信が感じられません」
う~ん、彼は、とっても真面目なのですね。
真面目がゆえに、そのことに気づいてしまったのです。
「根拠のない自信」
夢や野望を抱いたことのある人なら、誰しも一度は感じたことがあると思います。
僕もあります。
しかも僕の場合、若い頃だけでなく、40歳を過ぎても信じていました。
「根拠のない自信」 って、ある種の “まじない” なんですよね。
「自分はできる」 という暗示でもあります。
ところが、この暗示が、ある日突然、効かなくなる時がやって来ます。
僕は、こう解釈しています。
「根拠のない自信」 って、消耗品なんじゃないかと。
若いときは、“未知のエネルギー” に満ちあふれています。
簡単に言えば、残りの人生が多いということ。
残りの人生が多いということは、未知の部分が多いということで、大いに可能性を期待できます。
そして、そこには自分を信じる力 「信念」 が生まれます。
「30歳までには、なんとかなるだろう」
ところがダメだった場合、挫折を感じます。
同時に、根拠のない自信も消え失せます。
「いやいや、40歳までには、なんとかなるさ」
それでも、あきらめない人には、この 「根拠のない自信」 が、より所になります。
そして、40歳を迎えます。
僕の場合、それでも、あきらめ切れませんでした。
ところが、ある日、気が付いたら 「根拠のない自信」 が劣化して、ボロボロになっていました。
「根拠のない自信」 って、消耗品だったのですね。
耐久年数があったのです。
補充とメンテナンスを、おこたっていたことに、初めて気づきました。
本来なら加齢とともに、少しずつ 「根拠のある自信」 と交換するべきだったのです。
手応え、やりがい、達成感などです。
僕がメンテナンスを始めたのは、50代になってからでした。
遅いですよね。
遅いけど、気づかないよりはマシでした。
今でも僕の中に 「根拠のない自信」 はあります。
でも若い頃とは、ちょっと違います。
50代で一度、リセットして、再起動したので、以前よりクリアに将来を見すえることができるようになりました。
根拠はないけど、当てずっぽうではない。
自信よりは、確信に近いかもしれません。
いずれにせよ、「根拠のない自信」 にはメンテナンスが必要です。
迷い、悩んでいる人は、あきらめる前に一度、リセットすることを、おすすめします。
作詞家の秋元康氏は、こんなことを言っています。
<人は根拠のない自信を持つことが大事。根拠があったら、それが崩れた時に自信を失ってしまうから>
2024年11月18日
磯部温泉 「小島屋旅館」④
つくづく、歳は重ねてみるものだと思います。
2022年秋に発足した 「M会」。
さる温泉ソムリエのオフ会に出席した際に、知り合った温泉フリークたち。
彼ら彼女らから声がかかり、特別顧問ようなポジションで、毎回、M会のオフ会に呼んでいただいています。
会のメンバーは、僕を除いて6人。
群馬県民2人、他県民4人。
年齢も40~60歳代と、幅広い構成です。
代表のMさんは、僕とは親子ほど歳が離れています。
それなのに年配者の僕に対しても、分け隔てなく接してくれます。
感謝をするとともに、つくづく 「歳は重ねてみるものだ」 と思います。
真面目(?)に、コツコツ(?)と生きてれば、こうやって次世代の人たちが面倒をみてくれて、かまってくれて、一緒に遊んでくれるんだもの(笑)。
会の開催は年2回、群馬県内の温泉地を訪ねています。
今までの開催地は、四万温泉、草津温泉、老神温泉、尾瀬戸倉温泉。
どの温泉地も会場は、知る人ぞ知る小さな家族経営の宿ばかりです。
温泉好きは、知っています。
湯が良くて、料理がおいしくて、そして安い宿を!
最後の “安い宿” というのが肝です(1万円以下)。
彼ら彼女らは、そんな宿をたくさん知っています。
で、一昨日、5回目のM会が開催されました。
今回の会場は、磯部温泉 (安中市) の 「小島屋旅館」 です。
ん~、見事です!
宿の選択に、間違いはありません。
「磯部に泊まるなら小島屋」
と温泉通には、つとに知られている老舗旅館であります。
明治12(1879)年創業、現在は直系の7代目女将が切り盛りをしています。
もちろん僕も過去に、取材等で何度もお世話になっています。
だから湯がいいことも、料理がおいしいことも十分に知っています。
でも、今回は、もっと楽しみにしていることがあったんです。
それは、パン!
そうなんです!
今年1月、女将さんが焼くパン工房 『やどパン』 が、旅館内に併設オープンされたのです。
以前、ブログにも紹介したので、すでに食べた人もいると思いますが、実は僕は、まだ食べてなかったのです。
(2024年1月4日 「磯部温泉 小島屋旅館③」 参照)
いやいや、驚きました!
見てると、オープンとともに、次から次へと客がやって来ます。
察するに、温泉地の泊り客ではないんですね。
わざわざ、このパンを目当てに、磯部温泉に来ているようです。
さっそく僕も、買って食べました。
名物は、温泉マークの焼き印が押されたオリジナルの 「おやきパン」 です。
中身は 「つぶあん」 「野沢菜」 「きんぴら」 の3種類。
僕は 「野沢菜」 をいただきましたが、おいしかった!
でもね、「おやき」 ではありません。
「おやき風」 のパンなんです。
だから食感は、ふんわり、モチっとしています。
一番人気は 「きんぴら」 のようで、すぐに売り切れてしまいました。
他にも、みそパン、ぶどうパン、バターブレッド、チーズパン、キーマカレーパン、ウィンナーエピ……などなど。
小さなパン屋さんだから、女将の気分次第で、不定期でいろいろなパンが登場します。
ので、毎日来る客が多いらしいですよ。
店舗は、旅館の別館をリニューアルした玄関の向かい。
路地に面した窓から販売するキッチンカースタイルです。
ぜひ、磯部温泉に行った際は、お立ち寄りください。
女将さん、やったね!
長年の夢が叶ったね!
すごいよ!
カッコイイよ!
また、買いに行きます。
「やどパン」
●営業/10時~売り切れまで
●定休/水曜・土曜
●場所/群馬県安中市磯部1-13-22 (磯部温泉)
●問合/TEL.027-385-6534 (小島屋旅館内)
2024年11月16日
逃げるが勝ち
<つらいときは、逃げてもいいんだ―――。
そんな認識がだいぶ広がりをみせている。命より大事なものなど、この世にはない。つらいときは、誰にも気兼ねすることなく、その状況からの脱出をはかるべきである。>
( 「はじめに」 より)
思えば、僕の人生も逃げてばかりでした。
学校の勉強と規則から、社会の常識と偏見から、家族の束縛と責任から……
そして、今でも世間のしがらみから逃げ続けています。
でもね、僕の逃避癖なんて、かわいいものですよ。
文豪たちに比べればね。
真山知幸・著 『逃げまくった文豪たち』 (実務教育出版)
まあ、笑っちゃいます!
勉強、学校、恋愛、家族、仕事、お金……
とにかく、逃げて逃げて逃げまくる文豪たちに、開いた口が塞がりません。
完全に社会人失格の面々。
でもね、文豪たるもの、そのくらい我がままじゃなければ、名作を世に残せないといことなんですね。
たとえば、石川啄木は、自分の結婚式をドタキャンして、逃亡します。
5日後に、一人で式を挙げた妻の前に、ひっこり顔を出します。
ところが妻は啄木に、こう言うんですね。
「私はあくまでも愛の永続性を信じたい」
まー、良くできた妻です。
でも凡人は、マネしないほうがいいですね。
たとえば、壇一雄は、自殺願望の強い友人の太宰治を置いて、逃げます。
寒い晩のこと。
店で呑んだ後、いつものように2人はアパートで、呑み直しながら、「自殺するなら、どんな方法が簡単か?」 について語り合います。
結果、酩酊状態の2人は、ガス管をくわえて寝てしまいます。
途中で壇は目が覚め、太宰を置いて、自転車で女のところへ逃げてしまうんですね。
この時、太宰は助かったのですが、太宰は太宰で、壇を置いて逃げたことがありました。
これが有名な 「熱海事件」 です。
壇は太宰の妻に頼まれて、熱海の旅館まで、お金を届けるのですが、2人は大酒を呑んで、遊女屋にくり出して、金を使い果たしてしまいます。
これでは、せっかく壇がお金を届けた意味がありません。
話し合った結果、今度は太宰が東京へ金を借りに行くことになり、壇が旅館に残りました。
ところが、太宰は、そのまま戻らなかったといいます。
のちに、この事件が 『走れメロス』 を書くきっかけになったといいますから、何が功を奏するか分かりませんね。
本書では、こんな45人の文豪たちの逃亡劇が、満載です。
夏目漱石、志賀直哉、芥川龍之介、島崎藤村、田山花袋、森鴎外、江戸川乱歩、幸田露伴、坂口安吾、室生犀星、萩原朔太郎、中原中也、宮沢賢治……
もう、みんなみんな、逃げて、逃げて、逃げまくります。
でも、この本の秀逸なところは、巻末に、まるで付録のように付いている 「逃げなかった文豪たち」 なんですね。
「文豪=だらしない」
そんなイメージとは、ほど遠い、真面目で、勤勉で、責任感があり、最後まで逃げなかった文豪たち。
彼らのほうが、よっぽどヘンタイなのかもしれませんけどね。
興味を持った人は、ぜひ、ご一読を!
2024年11月15日
宇宙人の忘れ物
中之条町観光大使からのお知らせです。
というか、先日、呑み会で大変盛り上がったテーマなので、ぜひ、紹介します。
突然ですが、「チャツボミゴケ」 って、知っていますか?
漢字では 「茶蕾苔」 と書きます。
コケの一種で、ウロコゴケ目ツボミゴケ科に属します。
なんといっても、このコケの特長は、その自生している環境にあります。
強い酸性の温泉水が流れる場所のみ育ち、世界中にある約1,800種のコケの中で、最も耐酸性の強いコケなんだそうです。
ふつうの生物ならば生きられない環境に自生しているのですから、ほぼエイリアンのような生き物ですね。
日本国内で自生しているのは、群馬県中之条町(旧六合村) と九州熊本の阿蘇だけ。
中之条町には、日本最大級のコロニーが形成されています。
(平成29年2月に国の天然記念物に指定されました)
僕が 「チャチボミゴケ公園」 を取材で訪れたのは、20年以上も前のことです。
当時はまだ公園として整備されていませんでした。
かつての 「群馬鉄山」 という鉱山の採掘跡地だったんです。
特別に許可を得て、敷地内に入った記憶があります。
「穴地獄」
それが当時の名称でした。
露天掘りによる “窪み” に自生するチャツボミゴケが、緑色のビロードの絨毯を敷き詰めたように、あたり一面を覆っている風景は、まるで他の惑星に不時着したよう。
足元を流れる酸性泉の川から立ちのぼる硫化水素臭が、一層、“地獄感” を高めています。
名の由来は、動物が落ちると出られなくなって死ぬからとのことでした。
「あんな地獄の環境でも生きているチャツボミゴケって、地球外生物じゃねぇ?」
「うん、エイリアンだな」
「じゃあ、なんで地球にやって来たんだろ?」
「そりゃ、宇宙人が連れて来たのさ」
「何のために?」
「ペットなんじゃねぇ?」
「そうか! 帰るときに忘れて行ったんだな」
「あれは、宇宙人の忘れ物だったんだ!」
と一同、納得した次第です。
現在は公園として整備され、誰もが散策できるようになりました。
本州唯一、最大規模の “緑の絨毯” が広がる幻想的な宇宙的光景は、息をのむほど美しく、圧巻です。
まだ未体験の人は、一度、「宇宙人の忘れ物」 を目撃してください。
チャツボミゴケ公園
●場所/群馬県中之条町大字入山13-3
●開園/4月~9月 (8:45~15:30) (10月~11月 8:45~15:00)
●休園/12月~4月下旬 (冬季閉園)
●料金/600円 (小学生以下無料)
●問合/チャツボミゴケ公園 TEL.0279-95-5111
2024年11月14日
歩行弱者になって分かったこと
「変形性膝関節症」
そう診断されて1週間が経ちました。
昨日、ヒザに2回目の注射を打ってきました。
1カ月以上前のある日のこと。
突然、左ヒザに痛みを感じるようになりました。
最初は、ヒザを曲げるときと伸ばすときに、痛みが走るくらいでしたが、日を追うごとに、ジッとしていても痛み、やがて歩行すら困難になってしまいました。
意を決して専門医を受診すると、冒頭の病名を告げられた次第です。
(2024年11月6日 「老化じゃないってさ」 参照)
治療の成果もあり、おかげさまで今は、だいぶ痛みはやわらいで、ぎこちないまでも、幼児のヨチヨチ歩きくらいはできるようになりました。
それでも不便はしています。
何といっても、難所は階段です。
僕の仕事部屋は、我が家の2階です。
なので、ついつい、上り下りを避けて、外出を避けるようになってしまいました。
だって、我が家の階段には、手すりが付いてないんですもの。
ああ、「手すりが欲しい!」 と、つくづく思っています。
それでも仕事は続けているので、どうしてもというときは外出しています。
まぁ、今の車はオートマですからね。
左足は使いませんので、運転は可能です。
(クラッチのあった時代ならアウトでした)
それでも出先では、難儀しています。
やはり、階段です。
スロープがある施設では、段差のないスロープを利用しています。
(あれって、車イスのためだけじゃなかったんですね)
一番助かっているのは、トイレです。
今さらながら洋式トイレって、本当に便利で、実に体に優しいトイレだと、感心しながら感謝しています。
もし、和式だったら?
と思うと、ゾッとします。
(トイレで排せつできずに、毎日、う●こまみれになっていたと思います)
で、ある疑問が浮かびました。
えっ? てことは、昭和の時代、いや、それ以前の日本人は、足の悪い人は、どうやって排せつしていたのだろうか?
(便器をまたいで、立ったまましたの?)
どなたか知っている人がいたら、こっそり教えてください。
ということで、歩行弱者になって分かったことが、たくさんありました。
まさに 「ケガの功名」 で、人生には、何一つ、無駄がないということですね。
辛抱強く、治療に専念したいと思います。
2024年11月12日
Never give up!
なんて世の中は、無情なのだろう。
ある日の新聞の 「おくやみ欄」。
105歳の老女と3歳の男児が、同じページに記載されていました。
年の差、102歳。
それでも同じ一生です。
91歳で他界したオフクロに、生前、こんなことを訊いたことがありました。
「人生って、長いんかい? 短いんかい?」
するとオフクロは、しばらく考えてから、こう答えました。
「長いっていえば長いし、短いっていえば短いね」
まるで禅問答のようですが、きっと、これが正解なんでしょうね。
一生の長さなんて、みんな違うんだもの。
そう言えば、僕が敬愛する文人たちは、みんな短命でした。
若山牧水44歳、坂口安吾49歳、夏目漱石49歳、萩原朔太郎56歳、田山花袋58歳……
石川啄木なんて、26歳です。
人生100年時代の今なら、彼らの倍近くは生きられます。
生きられるのは生きられるのですが、それで、いったい何を残せるのか?は疑問です。
人生は、長ければいいというものでもないような気がします。
文人たちのように、太く短く生きるのか?
名もなくとも、細く長く生きるのか?
その人の人生の長さを決めるのは、たぶん神様です。
神様が 「コイツは、もう十分に生きた」 と思えば、死を告げます。
逆に 「コイツは、まだまだ、やることがあるだろう」 と思えば、生かされます。
ということは、生きていることには意味があるということです。
やることがあるのです。
逆に歴史に名を残す偉人たちの多くは、早熟なゆえに人生の前半で 「やること」 を見つけてしまい、成しとげてしまったということでしょうか?
いずれにせよ、神様が判断を下すその日まで、Never give up!
2024年11月11日
熱くなけりゃ、湯宿の湯じゃねえ!
<源泉の温度は約62度。加水せずに浴槽へ流し入れているため、もちろん熱い。「熱くなけりゃ、湯宿の湯じゃねえ」 と地元の人が口をそろえて言うくらい、熱い。>
( 『群馬の小さな温泉』 より)
今日は 「みなかみ温泉大使」 からのお知らせです。
湯宿温泉 (みなかみ町) という小さな温泉地を知っていますか?
「ゆやど」 じゃありませんよ!
「ゆじゅく」 と読みます。
ファンからは漫画家、つげ義春が愛した温泉地として、“聖地” となっています。
また、マラソンの瀬古利彦選手が、合宿していた温泉地としても知られています。
えっ?
かなりマニアックだって!?
ですね、まあ、知る人ぞ知る秘湯ということです。
が、国道沿いにあるため “秘湯感” が、まったく無いのが残念なところです。
ところが、その残念なところに目を付けた人たちがいました!
住民有志による団体 「ゆじゅくリノベ」 です。
メンバーは、みんな移住して来た人たちなんですね。
「温泉旅館と飲食店が数軒あるのみで、空き家が目立つ」
「温泉地として気づかずに通り過ぎてしまうほど静か」
という欠点さえも、彼らは忖度なくPRに活用しています。
そして、ウェブサイト 『のぼせる湯宿』 を立ち上げました。
ネーミングが、しびれるじゃありませんか!
「のぼせる」 ですよ。
「熱くなけりゃ、湯宿の湯じゃねぇ!」 という地元の人の声が聞こえてきます。
自虐もまた、これ長所なり。
いえいえ、彼らにはネガティブな要素も、新鮮で魅力的に映るんですね。
実は、このタイトルには 「湯宿の魅力に、のぼせ上ってください」 というメッセージが込められているとか。
記事の内容も、プロのライターを使わずにメンバーが、見たまま、感じたままを飾らない表現で書いているのが、いいですね。
なせ、群馬に移住したのか?
なぜ、それも湯宿温泉なのか?
これからも彼らの “外からの目” と “内からの目” に注目したいと思います。
2024年11月10日
コペル君との再会
<コペル君は中学二年生です。ほんとうの名は本田潤一、コペル君というのはあだ名です。>
そんな 「まえがき」 から始まります。
『君たちははどう生きるか』
令和の現代では、ほとんどの人が宮崎駿監督の同名映画を思い浮かべるでしょうね。
宮崎監督もリスペクトを公言しているので、ご存じの人も多いと思いますが、タイトルの元ネタは昭和12(1937)年に出版された小説です。
吉野源三郎・著 『君たちはどういきるか』 (岩波文庫)
を半世紀ぶりに再読しました。
もちろん映画も観ました。
でもね、原作ではないと分かっていてもタイトルが同一という概念に引きずられてしまい、違和感が先行して僕には理解不能でした。
(当ブログの2023年7月27日 「僕はどう生きてきたか」 参照)
一方、小説の 『君たちはどういきるか』 には、強烈な記憶があります。
僕は、主人公のコペル君と同じ中学生の時に読みました。
ちなみに 「コペル」 というのは、コペル君の叔父さんが、コペルニクスになぞって付けた名前です。
それだけコペル君は好奇心旺盛で、様々な物事に疑問を抱き、それらを自分のなりの推理をして、解き明かそうとします。
その指南役が、叔父さん (コペル君のお母さんの弟) です。
半世紀以上も前に読んだ本なのに、今でもキョーレツに残っているシーンがあります。
それは、叔父さんが話すニュートンの話です。
ご存じニュートンは、リンゴが木から落ちるのを見て万有引力を発見しました。
では、どうやって発見したのか?
叔父さんの話が、そそります。
リンゴはニュートンの目の前に、高さ3~4メートルから落ちました。
凡人には 「リンゴが落ちた」 だけに過ぎませんが、ニュートンは、その高さを、どんどん伸ばして行きます。
10メートル、100メートル、200メートル……
やはり、リンゴは落ちます。
ところが何万メートルをさらに超えて、月の高さまで伸ばして行くと……
すると、リンゴは落ちてこないことに気づきました。
「なぜだろう?」
このようにニュートンは推理を重ねていき、万有引力を発見します。
ワクワクした記憶が、よみがえりました。
この歳になって僕は、またコペル君に会いました。
縁とは不思議な物で、あの頃は同学年だったコペル君は、今は50歳も年下になっていました。
そして相変わらず彼は、悩み苦しみ、泣きながらも、叔父さんやお母さん、友だちに支えられながら生きてました。
コペル君、また会えたね!
僕は、ずいぶんと大人になってしまったけど、君の気持が痛いほど分かったよ。
人は歳を重ねても、迷うときは迷うし、苦しいときは苦しいんだよね。
だからコペル君同様に、これからも僕は悩み続けます。
「どう生きるか」 ってね。
名作とは、時代を超えても色あせないものです。
2024年11月09日
露天風呂には危険がいっぱい!
この国には、春と秋がなくなってしまったんでしょうか!?
ついこの間まで夏だと思っていたのに、突然、この寒さです。
秋を感じる間もなく、防寒具と暖房機器の登場です。
まあ、あの死にそうな酷暑に比べれば、寒さのほうが耐え忍べますから、僕的には冬は嫌いではありません。
ただ冬は、夏の熱中症以上に危険が潜んでいます。
そう、ヒートショックです!
寒い冬、暖かな部屋からトイレや浴室などへ移動すると、血圧が急に上昇して、脳梗塞や心筋梗塞を起こす恐れがあります。
また入浴による急激な血圧の低下により、脳貧血を引き起こし、風呂から出た瞬間に立ちくらみやめまいを生じて転倒して、ケガをする原因にもなります。
これが、ヒートショックです。
知っていましたか?
実は全国で年間約1万7,000人の人が、入浴中にヒートショックで急死しています。
この数は、なんと! 交通事故死の4倍に値します。
とくに僕が声高に注意したいのは、温泉好きのみなさんに対してです。
真冬の露天風呂に入るのはやめましょう!
なに? どうしても露天風呂に入りたいって?
露天風呂がなければ温泉じゃないって?
まあ、そういう人たちは、死を覚悟して入っていただくしかないのですが、防衛策は無きにしも非ずです。
ということで次回、僕が出演するエフエム群馬 『news ONE』 では、「ヒートショックに御用心!」 というテーマで、冬場の温泉の入り方についてお話しします。
ぜひ、ご聴取ください
■放送日 11月13日(水) 18:37 頃~
■放送局 FM GUNMA (86.3MHz)
■番組名 『news ONE』 月~水 18:00~18:55
■出演者 岡部哲彦 (アナウンサー)、小暮 淳 (温泉ライター)