2025年03月20日
読めない理由
そういえば以前、知人男性 (50代) が、こんなことを言っていました。
「もう何年も本を読んでいません」
“何年も” “いません” ということは、彼は以前は読んでいたということです。
なぜ、読まなくなってしまったのか?
彼は、こう答えました。
「仕事が忙しくって、家に帰ると、もう何もしたくないんです」
では、何をしているのか?
問うと、「寝るまでボーっとスマホを見ている」 と言いました。
令和人の 「読書離れ」 が進んでいます。
ある調査では、「1カ月に本を1冊も読まない」 と答えた人が、60%を超えたといいます。
なぜ、現代人は本を読まなくなってしまったのか?
その理由が知りたくて、こんな本を読みました。
昨年の新書売り上げ1位、30万部のベストセラーにもなった、三宅香帆・著 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 (集英社新書) です。
まず、本のタイトルにヒントがありました。
著者は、「読まなくなる」 のではなく、「読めなくなる」 と言い切っています。
本書では、明治・大正・昭和・平成・令和と時系列で、その時代の労働環境と読まれてた本の傾向を紹介します。
いったい、いつから日本人は本を読まなくなったのか?
その謎を、徹底的に追います。
確かに、スマホの普及が 「読書離れ」 に拍車をかけたことは間違いありません。
最近の世論調査では、「読書が減った理由」 のトップ (48%) は 「スマートフォンを使う時間が長くなったから」 と答えています。
でも、それだけでしょうか?
僕同様に、著者も疑問を投げかけます。
だって、スマホが普及するはるか昔、そう、僕の記憶が正しければ、すでに昭和の終わり頃から若者の 「活字離れ」 は騒がれていました。
やがて平成になり、SNSの普及とともに 「読書離れ」 という言葉が誕生しました。
ということは、世の中が便利になればなるほど、「活字離れ」 「読書離れ」 が加速するということです。
ちょっと、おかしくありませんか?
便利になれば、本来なら時間の余裕が生まれるわけです。
なら、読書好きな人は、さらに読書量が増えるはずです。
では、なぜ、さらに本が読めなくなってしまうのか?
本書では、タイトルの 「働いていると」 をキーワードに、令和の労働環境についても鋭くメスを入れます。
興味のある方は、ぜひ、「読書離れ」 の謎を解いてみてください。
「なるほど!」 と納得します。
Posted by 小暮 淳 at 10:54│Comments(0)
│読書一昧