2025年03月02日
中高年の落とし穴
どっぷり、昭和人間ですからね。
当然、この手のタイトルは見逃しません。
石原壮一郎・著 『昭和人間のトリセツ』 (日本経済新聞出版)
速攻買いして、瞬読しました。
でもね、これタイトルが間違っています。
だって、「トリセツ」 って、取扱説明書のことでしょ?
若い人向けに、昭和人間 (中高年) の扱い方について書かれているのかと思ったら、その逆でした。
自己啓発書なんですね。
昭和人間のための令和時代を生き延びるコツが書かれていました。
もっとはっきり言えば、昭和人間が陥りやすい “落とし穴” についての注意喚起であります。
昭和と一口に言っても、長いんです。
64年もありましたからね。
戦前・戦中派は、すでに存命していない方々も大勢います。
どの時代を生きた人たちを、“昭和人間” と呼ぶのか?
本書では、大きく2つに分けています。
高度経済成長の絶頂期だった大阪万博が開催された昭和45(1970)年を境に、それ以前に生まれた人を 「前期昭和人間」、同46年以降に生まれた人を 「後期昭和人間」 と分類しています。
年齢でいうと、今年55歳になる人が分岐点です。
ほほう、そう来ましたか!
ということは、やはり僕は、どっぷり前期昭和人間ということになりす。
著者の石原氏は、昭和38(1963)年生まれですから、全体的に前期昭和人間目線で書かれています。
で、まず本書では、前期昭和人間と後期昭和人間との違いから挙げています。
後期は物心ついたときからカラーテレビがあり、前期は白黒テレビだった。
後期は漫画やアニメが好きなことを公言できるが、前期は子どもが見るものと決めつけている。
後期は男女平等の概念があるが、前期は男尊女卑がベースにある。
などなどです。
で、令和の時代に “落とし穴” に陥りやすいのは、圧倒的に前期昭和人間だと、本書は力説します。
ですよね~!
分かります、分かります。
コンプライアンスの時代ですものね。
「女のくせに」 とか、「女はバカのほうが可愛い」 とか、「まだ結婚しないの?」 とか 、「子どもは、まだ?」 とか……
今の時代では、即アウト! の価値観の中で育った世代ですからね。
そんな前期昭和人間たちが陥りやすい “落とし穴” が満載の一冊です。
くれぐれも申し上げます。
タイトルは 『昭和人間のトリセツ』 ですが、決して若者向けに書かれた昭和人間の取扱説明書ではありません。
中高年のための指南書であります。
特に前期昭和人間のみなさんは、心してお読みください。
胸に手を当てながら……
Posted by 小暮 淳 at 11:24│Comments(0)
│読書一昧