2013年02月22日
上牧温泉 「辰巳館」⑥
献残焼(けんざんやき)。
その昔、高貴な人に献上した物のおすそ分けを焼いて食べたことから名が付いたという、上越地方の郷土料理です。
川魚や地鶏、旬の野菜などを炭火で焼きながら食べます。
辰巳館の名物なんですね。
一昨年の秋のことです。
こうやって炭火を囲んで、志を語り合ったのは……
その日の午後、みなかみ町観光協会の会議室で、僕とディレクターと出版元の部長と協会の役員たちが顔を会わせ、侃々諤々(かんかんがくがく) と意見を交わしていたのであります。
協会と出版元とのお見合いは成立したのですが、大きな問題が残りました。
それは、みなかみ町には18の温泉地があり、75軒もの宿泊施設があるということです(※みなかみ町観光協会加入旅館)。
到底、1冊の本には納まりきれません。
「だったら、上下2巻で出版しましょう!」
と、突然、沈黙を破った出版部長の発言に、一同、あ然!
正直、僕は、そんな前代未聞の案が通るとは思いませんでしたよ。
だって、もしGOサインが出たとしても、当然、1年では旅館を回りきれませんって。
「来年の秋に上巻、翌年の春に下巻でいかがでしょう?」
ま、ま、まさかーーーーッ!
実際に取材をして原稿を書く著者の身にもなってよ~~!
と、あせっていたら、意に計らんや、満場の拍手が鳴り響いていたのであります。
そして、その晩。
関係者が辰巳館に集まり、1年半後の完成を目指して、赤々と燃える炭火の前で献残焼を食べながら、長丁場となる戦への決意を固め合ったのでした。
「ありがとうございます。もう少しですね。過ぎてしまえば、あっという間ですが、1年半前のあの日は、この日が来るとは信じられませんでした」
と、4代目主人の深津卓也さん。
深津さんは、観光協会の役員でもあります。
上下あわせて、75軒の取材。
そして昨晩は、74軒目の取材で上牧温泉の 「辰巳館」 を訪れました。
本当は、昨日が75軒目で、祝杯を上げる予定だったのですが、1軒だけ取材日の番狂わせがあり、来週へ延期になってしまったのです。
それでも、もう頂上は見えたも同じです。
「カンパ~イ!」
「ご苦労さまでした」
「次は、出版記念パーティーですね」
チロチロと炎を揺らしながら燃える炭火に当たりながら、山の幸を肴に、竹筒に入った日本酒をチビリチビリとやりだしたのでした。
あと、1軒・・・
もうすぐ、長い旅が終わります。
Posted by 小暮 淳 at 18:39│Comments(2)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
朝なので珈琲で祝杯( ^^) _旦~~
九州的には、『まだまだいくばい!』ってかんじですね。
九州的には、『まだまだいくばい!』ってかんじですね。
Posted by ぴー at 2013年02月23日 09:37
ぴーさんへ
コーヒーでの祝杯、ありがとうございます。
でも、最後まで気は抜けません。
終わり良ければ、すべて良し!
きっちりと、いい仕事をしまっせ!
コーヒーでの祝杯、ありがとうございます。
でも、最後まで気は抜けません。
終わり良ければ、すべて良し!
きっちりと、いい仕事をしまっせ!
Posted by 小暮 at 2013年02月23日 15:56