2024年09月03日
トンカツの切り方
突然ですが、蘇部健一という作家をご存知ですか?
僕は知りませんでした。
先日、古本屋の棚で手に取り、そのタイトルに惹かれて読み出しました。
『六枚のとんかつ』 (講談社文庫)
裏表紙には、こんな解説が書かれていました。
<空前絶後のアホバカ・トリックで話題の、第三回メフィスト賞受賞作がついに登場!>
メフィスト賞といえば、「面白ければ何でもあり」 という文学賞の異端児的な賞です。
ミステリー作品が多いのですが、フェア、アンフェアを問わないという選考基準が、なんとも素敵です。
僕も過去には他の受賞作を読んだ記憶があるのですが、なんだったかは思い出せません。
まあ、その程度の作品だったと思います。
ところが……
『六枚のとんかつ』 (短編集) には、してやられました。
とくかく、ナンセンス!
そして下品で、下ネタ満載。
B級コントのようなドタバタ劇。
これって、ミステリーなの?
いや、ギャグ小説でしょう?
と、読者が迷宮していると、突然、挑戦状が届きます。
≪読者への挑戦状≫
さて、ここで私は読者のみなさんへ挑戦する。
でも、この挑発に乗ってはいけません。
相手 (著者) は、アンフェアなアホバカなトリックを仕掛けているのです。
通常の推理小説を解くような思考回路はいりません。
もっともっとバカになり、アホになって、ギャグのセンスを持って回答しなくてはならないのです。
表題作 『六枚のとんかつ』 は、トンカツの切り方を見て、時間トリックを見破るという秀逸な作品。
似たようなタイトルの 『五枚のとんかつ』 も収録されていますが、こちらは衆人環視という密室で起こった殺人事件のアリバイを崩します。
「よくもまあ、こんなことを考えたもんだ」 と感心することしきり。
パズルを解くように楽しめました。
が、みなさんには推薦いたしません。
だって、とにかく下品なんです。
バカバカしいんです。
人によっては、「こんなのはミステリーじゃない!」 と怒り心頭に発し、本を床に投げつけるかもしれません。
(だって、ノベル版ではあまりにも下品すぎる理由からカットされた 『オナニー連盟』 も収録されています)
それでも読んでみたいという人は、自己責任においてお読みください。
ほんと、おバカですよ~(笑)
Posted by 小暮 淳 at 11:58│Comments(2)
│読書一昧
この記事へのコメント
嫌いではない(結構スキ)ジャンルです(笑)興味津々
昔書いてたブログではランキングの「アホ・バカ」ジャンルに投稿していたことを思い出しました。
昔書いてたブログではランキングの「アホ・バカ」ジャンルに投稿していたことを思い出しました。
Posted by たけちゃん
at 2024年09月03日 12:29

たけちゃんさんへ
そうですか、スキですか!
この手のの小説は、下げ済まされそうですが、いえいえ、かなり高度の手法で書かれています。
面白ければ何でもありという、メフィスト賞の姿勢もいいですよね。
そうですか、スキですか!
この手のの小説は、下げ済まされそうですが、いえいえ、かなり高度の手法で書かれています。
面白ければ何でもありという、メフィスト賞の姿勢もいいですよね。
Posted by 小暮 淳
at 2024年09月03日 23:37
