2023年07月26日
河童は忘れた頃にやって来る
<「ありがとうございやした」 と返してもらった腕を抱えたカッパは、飛び上がりながら川へと帰って行ったが、クルリと振り向くと大きな声で、こう言った。「けど、7年に1度は出てやるぞ!」。>
(『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』 より)
夏休みになり、海や川での水難事故が増えています。
先週、福岡県では痛ましい事故が起きてしまいました。
≪小6女児3人溺れ死亡≫
≪夏休み初日、普段着姿≫
県警や女児らが通う小学校によると、夏休みの初日の21日正午過ぎ、死亡した3人を含む女児7人と男児1人の6年生計8人で川に向かったといいます。
前日の終業式では校長先生が、「子どもだけで川に行かないように」 と呼びかけていました。
テレビの報道番組では識者が、「支流と本流の合流地点では川底がV字にえぐれ水深が増す」 とか、「この時期は農業用水確保のために川を堰き止めるため水かさが増す」 など、川の危険性を説いていましたが、子どもたちは知る由もありません。
遊びに夢中になるがあまり、深みへとはまっていったのでしょう。
もしくは……
最近は見かけなくなりましたが、僕が子どもの頃には、川や沼や池の周りには必ず、こんな看板が立ってました。
『およぐな! きけん』
そして、カッパの絵が描かれていました。
その意味は?
水の中には、魔物が棲んでいるからです。
その魔物は、ふだんはおとなしいのですが、ある日突然、牙をむきます。
それは、7年に1度のこと。
“7年” とは、人間の記憶が消えかかるころ。
忘れた頃に魔物は、人間への戒めのために現れます。
僕が取材した県内の河童伝説が残る川では、今でも水難事故が起こると 「今年は7年目に違いない」 と言って、子どもたちには川遊びをさせないといいます。
暑い夏が続きます。
水の中には魔物がいることを、お忘れなく!
Posted by 小暮 淳 at 11:58│Comments(0)
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