2023年07月28日
博士の庭
もうかれこれ40年以上も昔のことです。
僕は東京都練馬区に住んでいました。
最寄りの駅は、西武池袋線 「大泉学園」。
ある日のこと、駅のホームでバッタリと故郷・群馬の友人と会いました。
高校時代、学校も学年も違うのに、知り合いを通して遊んでいた仲間でした。
「こんな偶然って、あるのだろうか?」
彼もまた、大泉学園に住んでいたのです。
当時、僕は書店でアルバイトをしながら、ミュージシャンを夢見てライブ活動をしていました。
彼もまた、アルバイトをしながら夜間の専門学校に通う苦学生でした。
その日以来、2人は互いのアパートを行き来するようになり、友情を深めていきました。
2人の共通の趣味は、文学。
会えば、酒を呑みながら読書の話で盛り上がりました。
ある日のこと、彼が大学ノートを差し出しました。
「ジュンちゃん、交換小説を書こう!」
「交換小説?」
「そう、面白いと思わない?」
恋人同士の交換日記みたいで照れ臭かったのですが、これが始めると面白い。
テーマと登場人物の設定だけ決め、あとは自分の好きなように自由に書いて、切りのいいところで相手に渡すのです。
「次は、どんな展開になるのだろうか?」
と、彼から返ってくる大学ノートを開くのが楽しみになりました。
成人した男同士です。
駅のホームや電車の中でノートを手渡すわけにはいきません。
ので、書き上げたら互いのアパートを訪ねることにしました。
僕は駅の北口に住んでいましたが、彼は南口です。
今のように携帯電話などない時代のこと。
連絡を取ることもなく、自分の担当分の章を書き上げると、大学ノートを抱えて約30分の道を歩きました。
運よく彼が居ることもあれば、不在の時もあります。
不在の時は、近くで時間をつぶしてから再度、訪ねることにしていました。
その時間つぶしの場所が、植物学者・牧野富太郎博士の庭でした。
「練馬区立牧野記念庭園」
博士が死去した翌年の昭和33(1958)年から開放されている住居跡地です。
庭園を歩き、博士ゆかりの品々が展示してある部屋を見て、時間をつぶした記憶があります。
あの頃も入園無料でしたが、ネットで調べてみたら今でも無料なのですね。
牧野博士がNHK連続テレビ小説のモデルとなり、今話題になっています。
博士の名前を聞くたびに僕は、あの頃の大泉学園の街がよみがえってきます。
同時に、大学ノートに書いたつたない小説までもが……
あの大学ノートは、今どこにあるのでしょうか?
今度、彼に会ったら聞いてみたいと思います。
若いって、無駄が多くて、いいですね。
Posted by 小暮 淳 at 12:48│Comments(5)
│つれづれ
この記事へのコメント
グンブロからの案内メールは、タイトルが「富太郎の庭」となっていますが?
つまたんことですんません。
つまたんことですんません。
Posted by T課長 at 2023年07月28日 13:34
T課長さんへ
はい、投稿の後、改題しました。
それだけのことです。
あしからず。
はい、投稿の後、改題しました。
それだけのことです。
あしからず。
Posted by 小暮 淳
at 2023年07月28日 13:47

NHKらんまん 観てんます!
数日前に、師匠様が私の夢にご出演くだいました
沸騰している陽気の中、お体ご自愛くださいm(__)m
数日前に、師匠様が私の夢にご出演くだいました
沸騰している陽気の中、お体ご自愛くださいm(__)m
Posted by ぴー at 2023年07月29日 11:14
ぴーさんへ
あら、それはそれは光栄なことであります。
夢の中で僕は、ぴーさんに失礼なことはしませんでしたか?
気になるのは、夢の中の僕の印象です。
夢占いによれば、“師匠” が出てくる夢は、人生の道標の象徴だからです。
師匠が明るければ、運気上昇。
イヤな印象であれば、あなたが人間として、まだ未熟なことを暗示しています。
どちらでしたか?
あら、それはそれは光栄なことであります。
夢の中で僕は、ぴーさんに失礼なことはしませんでしたか?
気になるのは、夢の中の僕の印象です。
夢占いによれば、“師匠” が出てくる夢は、人生の道標の象徴だからです。
師匠が明るければ、運気上昇。
イヤな印象であれば、あなたが人間として、まだ未熟なことを暗示しています。
どちらでしたか?
Posted by 小暮 淳
at 2023年07月29日 12:37

えーっと
いつもの明るい雰囲気だった気がします。
人生の道標なんですね!
いつもの明るい雰囲気だった気がします。
人生の道標なんですね!
Posted by ぴー at 2023年08月02日 13:44