2013年10月22日
別所温泉 「臨泉楼 柏屋別荘」
僕が講師を務めるNHK文化センターの野外温泉講座は、今年で5年目を迎えています。
今年度(4月~9月) の本講座 『群馬の名湯・秘湯めぐり』 は終了して、今月からは追加講座が始まりました。
題して、 『群馬隣県の名湯・秘湯めぐり』 !
そう、群馬のおとなりの県である長野県や栃木県や新潟県の温泉をめぐる講座です。
今日、その第1回が開催され、長野県の別所温泉へ受講生らとバスで行ってきました。
別所温泉へ行ったのは、14年ぶりのこと。
以前、家族で旅館に泊まった思い出があります。
懐かしいですね。
温泉街にバスが入っていくと、忘れていた記憶が、まるでデジャビュのようにポンポンよみがえってくるのです。
「あ、ここだ! 長女と一緒に歩いた路地は・・・」
「そうそう、この外湯に小学生だった息子と入りに行ったんだよな」
な~んてね。
そう、本当にデジャビュのようなんです。
だって、記憶の中の可愛かった娘も息子も、今は影も形もないんですからね。
しばし、風景の中に、かつての我が家の楽しかった時間を見つけていました。
今回、講座でお世話になったのは、明治43年創業の 「臨泉楼 柏屋別荘」。
温泉街の1番奥にある、木造4階建ての純和風旅館です。
そのたたずまいは、宮崎駿監督のアニメのモデルになりそうな、廻り廊下のある楼閣。
さすが、別所温泉を代表する旅館であります。
その昔、川端康成や有島武郎、北原白秋、西条八十、斎藤茂吉など、多くの文人たちを魅了した老舗です。
川端康成は、ここで 「花のワルツ」 という小説を執筆しました。
「偉大なる文人が浴した湯に、我も浴されたーーい!」
ということで、ロビーで小休止をした後、浴室へ。
う~ん、ほのかに香る温泉臭。
湯に体を沈めれば、さらに、その香りが、やさしく体を包んでくれます。
そうです、泉質は無色透明の単純硫黄泉。
群馬県では、数少ない泉質の温泉です。
硫黄の匂いが、なんとも、やすらぎを与えてくれます。
別所温泉に来たら、やはり外湯めぐりは欠かせません。
昼食後は受講生らと、草履(ぞうり)を履いて、温泉街の散策へ。
あいにく、宿から1番近い “真田幸村の隠し湯” と呼ばれる 「石湯」 は定休日。
「では」 と、わずか数十メートル先にある 「大師湯」 へ。
なんでも平安時代に、比叡山延暦寺の座主円仁慈覚大師が、北向観音堂建立のため当地に来錫した際に好んで入浴したため、大師湯と名付けられたのだとか。
入浴料は大人150円と大変お安いのですが、さらに宿で前売りの 「外湯入浴券」 を購入したため、1人100円で入ることができました。
僕には、「温泉は、安ければ安いほど、湯が良い」 という自分流の定義があるものですから、これは期待に胸がふくらみます。
「ここの湯が別所じゃ、一番さ! ここの湯に入らなきゃ、別所に来た意味がねーよ」
なんて、脱衣所で地元のオジサンに言われれば、もう、居ても立ってもいられませんって!
こうなりゃ、“忍法 一気脱ぎの術” を使うしかありません。
アッという間に、スッポンポンになり、湯舟の中に。
うーーーーーーーっ、ブラボー!
これは、たまらんです。
最初は、ちょっと熱めで、ものの1分後にはスーッと染み入ってくる、この絶妙な浴感は、タダ者じゃありません。
宿と同じ源泉のようですが、湯が少し白くにごりを見せています。
また、肌をさすったときのキシキシ感も異なります。
こちらの方が、源泉の湧出地に近いんでしょうかね?
なんだか、湯が若いような気がします。
湯が “元気” です。
「う~ん、いい湯ですね。体が喜んでいるのがわかりまよ」
と、受講生らも大満足の様子。
こんなときが、講師をしていて一番うれしいときなのであります。
もちろん、御多分にもれず、北向観音堂や安楽寺の国宝・八角三重塔なんかも、しっかりと観光してきました。
でも、やっぱり受講生のみなさんは、湯の素晴らしさに感動していましたね。
さて、来月はどこへ?
はい、次回は東隣の県へ行きま~す!
また、元気にお会いしましょうね。
Posted by 小暮 淳 at 22:36│Comments(0)
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