2013年10月09日
花敷温泉 「花敷の湯」
『 山桜夕陽に映える花敷きて
谷間に煙る湯にぞ入る山 』
建久3(1192)年、源頼朝がイノシシ狩りの際に湯を発見し、その時に詠んだとされる歌です。
“花敷” という温泉名も、この歌から名づけられたといいます。
と、いうことで、久しぶりに群馬県中之条町(旧・六合村) に湧く秘湯、花敷温泉の一軒宿に泊まってきました。
かつて、ここには3軒の旅館がありました。
1軒、また1軒と姿を消して、現在では 「花敷の湯」 だけが湯と歴史を守り継いでいます。
創業は、昭和39(1964)年。
先代が 「花敷温泉ホテル」 を開業しました。
ところが・・・
主人が若くして亡くなってしまったため、しばらくは休業状態が続いていました。
今から約20年前に、息子で現主人の山田豊さんが、2代目を継承。
「囲炉裏の御宿 花敷の湯」 として、リニューアルオープンさせました。
僕は、過去に何度も取材で訪れているのですが、今回初めて、じっくり泊まって、のんびり湯に入って、ゆっくり料理をいただいてきました。
やっぱり、ここの魅力は、貸切の露天岩風呂でしょう!
「たぶん全国でも、もっとも古い露天風呂の1つだと思います」
と主人。
昭和30年代に崖の途中に造られた、なんともレトロな湯舟なんです。
話によれば、源泉の権利を持っていた先代が、村の人たちのために造ってあげた混浴の共同湯だったとか!
その後、崖の下に現在の共同湯(地元の人しか入れません) を造ったため、旧・花敷温泉ホテルの所有になったとのことです。
浴室から崖の下を覗き込むと、下から石段が上っているのが分かるんですよ。
当時の共同湯だったころの名残りなんですね。
まさに、「22世紀に残したい群馬の温泉遺産」 であります。
ひと風呂浴びたら、作務衣(さむえ) に着替えて・・・
この作務衣というのが、ミソです!
客室には、浴衣もあるんですけど、作務衣も置いてあるんです。
どちらも選べます。
で、お迎えのマイクロバスに乗って・・・
えっ、どこへ行くんだって?
はい、食事処です。
宿から約800メートル離れたところに、別邸 「囲炉裏の庵(いおり) 」 があるのです。
そこへ、主人自らが送迎してくれます。
ま~、圧巻ですよ!
先代が木材商を営んでいただけのことはあります。
樹齢1千年ともいわれる山桜や山栗の巨木が、ニョキニョキと200畳の日本家屋の中に生えているのです。
と思ったのですが、これが柱です。
この大きな柱に囲まれた囲炉裏端で、「深山懐石料理」 をいただきました。
川魚、和牛、地鶏、野菜を炭火で焼きながら、冷酒をいただく至福の時!
特筆すべきは、すべての料理が地の食材を使っていること。
一切、海のモノはありませんでした。
海へ行ったら海のモノを・・・
山へ来たら山の物を・・・
あー、群馬って、美味しい山の幸がたくさんあるんだな~!
と、しみじみ思った夜でした。
ご主人、取材協力ありがとうございました。
Posted by 小暮 淳 at 18:43│Comments(0)
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