2023年11月26日
酒は友となる。
春
──旅をしなさい。
どこへむかってもいいから旅に出なさい。
世界は君や、あなたが思っているほど退屈なところではない。
「確か、あったはず……」
その人の訃報を知ったとき、僕の足は自然と書庫へと向かっていました。
「あった!」
『大人の流儀』 (講談社)
2011年に発行されたエッセイで、シリーズ累計140万部の大ベストセラー。
著者は作家の伊集院静さん。
73歳でした。
あらためて一読しました。
帯カバーには、こんなコピーが書かれています。
≪こんなとき、大人ならどう考え、どう振る舞うのだろう。
「本物の大人」 になりたい
あなたに捧げる、この一冊。≫
購入したのは12年前です。
僕は、50代前半。
すでに数冊の本を書いていました。
脇目もふらず一心不乱に、自分の信じる道を進んでいた時期、だと思っていました。
“迷いのない時代” だったと……
でも、こうして人生の指南書的な本を購入していたことに、今さらながら驚いています。
帯カバーの写真は、腕を組んだ伊集院氏が読者をにらみつけています。
還暦を過ぎたばかりの初老男。
でもカッコイイ!
モテるはずです。
前妻は故・夏目雅子さん、再婚した妻は篠ひろ子さん。
ともに美人な女優さんであります。
(男として嫉妬します)
本文は、4つの章に分かれています。
最初のページをめくると、「春」 から始まります。
・大人が人を叱るときの心得
・不安が新しい出口を見つける
・旅先でしか見えないものがある
……
記憶とは頼りになりませんね。
12年前に読んだ内容は、すべて忘れていました。
今読むと、とても新鮮でスラスラと読めてしまいます。
「そうだ、そうだ」
うなずく箇所が多いのは、僕も歳を重ねてきた証拠でしょうか?
こんな一文をがありました。
現在のSNS上の誹謗中傷の書き込みを予言しているような言葉です。
<自分のことを棚に上げて、正義を振りかざす輩(やから)を嘘つきと呼ぶ。>
心より拍手を送りました。
ご冥福をお祈り申し上げます
夏
──どんな生き方をしても
人間には必ず苦悩が一、二度むこうからやってくる。
そんな時、酒は友となる。
Posted by 小暮 淳 at 11:41│Comments(0)
│読書一昧