2012年11月05日
坂口温泉 「小三荘」③
今月から某紙にて、新連載が始まります。
(まだ企業秘密なので、紙名もタイトルも公表できません)
そのため、今日は朝から初取材に行って来ました。
訪ねたのは坂口温泉(旧吉井町) の一軒宿、「小三荘」です。
今年は、3月に朝日新聞の取材で訪れていますから、8ヶ月ぶり2回目の取材となります。
「もう、あんなに大きく出るんですもの、恥ずかしかったわ~」
と女将の山崎照代さんと、4代目主人の孝さんが出迎えてくれました。
確かに、あの記事では、女将さんの写真が大きく掲載されました。
でも、それだけ反響もあったということで、僕のことを恨んでいる様子はありません。
(写真を撮ったのはカメラマンで、記事を組んだのは新聞社の制作スタッフですから、僕に一切の責任はありませんよ)
館内を歩くと、あちらこちらに僕の書いた過去の記事が、ペタペタと貼られています。
うれしいですねぇ~。
これぞ、ライター冥利に尽きるというものです。
しかも、今は無き、廃刊となっている古~い雑誌の記事までが、ちゃんとカラーコピーをラミネート加工して掲示されていました。
僕が、最初に 「小三荘」 を書いた記事です。
思わず、立ち止まって、かつての自分の文章をじっくりと読んでしまいましたよ。
なんだか、照れくさいんですけど、「ああ、僕の温泉ライターへの原点が、ここにあるんだ」 と、ジワ~っと込み上げて来るものがありました。
こんな古い記事を大切にしていただいて、本当にありがとうございます。
「つい、昨日のことだよ」
温泉の効能について、あれこれ話をしているときでした。
ご主人が、こんな話をし出しました。
大阪ナンバーの車が宿の前に止まり、中から初老の男性がポリ容器を持って降りてきて、「どうしても家内に、ここの湯を塗ってあげたいから、源泉を分けてほしい」 と言ったそうです。
もちろん、ご主人は源泉をポリ容器に詰めてあげたといいますが、理由を聞いて、改めて昔より 「薬師の湯」 と呼ばれてきた温泉の素晴らしさ知ったといいます。
この男性は、子供時代を、この近くで育ったといいます。
あせもや湿疹、かぶれなど、皮膚疾患は、ここの湯で治していたことを思い出したそうです。
現在、奥さんが皮膚病を患っていて、医者に通っても一向に良くならないので、坂口温泉のことを思い出して訪ねて来たのだといいます。
これですよ、これっ!
これぞ、開湯300年を誇る群馬を代表する西上州の薬湯パワーです!
その昔、明治時代までは 「塩ノ入鉱泉」 といわれ、別名 「たまご湯」 と呼ばれていました。
塩気があり、トロンと肌にまとわりつく濃厚な浴感から、そう呼ばれていたようです。
かすかに、腐卵臭がすることも、由来かもしませんね。
今日の湯も、相変わらず、トロトロトロ~ンと、あたかもゲル状の乳液のように、まとわり付いてきましたよ。
滅多に撮影中は入浴しないカメラマン氏も、「これこれ、この感触だよね~」 と言って、今日は存分にその浴感を堪能していました。
“西上州に名薬湯あり” ですね。
Posted by 小暮 淳 at 18:35│Comments(0)
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