2013年05月30日
モンスターが来た!
誰ですかーっ!?
♪なんでこんなに 可愛いのかよ
孫という名なの宝もの♪
なんて、歌ったのは!
5月29日、水曜日。
我が家のリビングに貼られたカレンダーには、大きく漢字一文字で 「か○○」 と書かれています。
まるで、予言された人類滅亡の日のように、家族全員が、この日が来るのを恐れおののいていたのです。
「か○○」 とは、何を隠そう、今年の夏で3歳になる孫の名前です。
「やっぱり、お孫さんて、可愛いですか?」
と他人に訊かれるたびに、僕は、
「ええ、まあ、そうですね……」
なんて、いつも言葉をにごしているのでした。
だって、だって、だってーーーー!
うちの孫は、“モンスター” なんですから!
あの怪物が我が家に来たあとは、まるで竜巻が通り過ぎたよう。
リビングにあるすべてのモノは破壊され、原型を失うのです。
それでも、たまに親(長女) に連れられて、遊びに来るくらいならいいんです。
ムカッときても、まだ 「かわいい」 と思える範疇(はんちゅう) のうちに、連れて帰ってくれますからね。
でも、昨日は違いました!
娘夫婦がコンサートへ行くからとかで、我が家で夜遅くまで “モンスター” を預かることになったのです。
ピンポ~ン
インターホンが鳴っただけで、緊張が走ります。
「ジイジ~」 と言って、飛びついて来るまでは、可愛いのですが、その直後、リビングに入った途端、“モンスター” に変身します。
「お義父さん、お義母さん、よろしくお願いします」
と、頭を下げたムコを見て、ゲ、ゲ、ゲゲゲゲーーーーっ!
け、け、化粧をしている!
ピアスをしている!
胸をさらけ出して、ネックレスをしているーーーーっ!
「おいおい、お前たち、なんだ?」
と問えば、
「今夜のライブ、ビジュアル系だから」
と答えた娘の頭が、ス、ス、スッゲーーーことになっています。
茶髪にワインレッドのメッシュ入り~~!
に、ど派手メイク顔!
これが、ワタシたち夫婦が育てた娘と、その娘が選んだムコであります。
そして、2人の間に産まれたのが、あの “モンスター” だ!
「ああ、行っておいで。たまには、2人だけで羽を伸ばしておいで」
なーんて、心にもないことを言って、2人を送り出しました。
カーーーーン!
戦いのゴングがなったのであります。
でも、僕がリビングへもどったときは、すでに時は遅く、新聞は引きちぎられ、CDが散乱し、プレーヤーはひっくり返っていました。
「ダメーーーーっ!」
と大声を上げながら、台所へ走る家内。
「あああ、かーくん、やめて~!」
という、悲鳴が聞こえます。
行ってみれば、米びつのスイッチが押され、冷蔵庫の扉が開けられていました。
でもね、モノなんて、どーでもいいんですよ。
しょせん、モノなんですから、命はありませんもの。
ただね、我が家には、約1名、いや、正確には1匹ですが、“モンスター” をこの世で一番恐れている方がいるんですよ!
はい、ご存知、愛犬のマロ君(チワワ、6才) であります。
「オイデ、オイデ、イコイコ 」
なーんていう、甘い言葉にだまされて、近寄ろうものなら、とっ捕まって、シッポをつかまれて、グルグルと振り回されるのであります。
だから、マロも孫の顔を見るなり、脱兎のごとくゲージの中に緊急避難します。
・・・が! 引きずり出されます。
結局、最後は満身創痍(まんしんそうい) になりながら、家族に助けを求めるのであります。
もう、目に涙をためて、鼻水をたらし、震えながら、
「おいら、あのチビ、大キライだよ」
と言わんばかりの血相で、逃げ回っています。
ピンポ~ン
2度目のチャイムは、終戦を告げる幸福の鐘であります。
グッタリした僕と家内と、おびえているマロ。自分の部屋に逃げ出した次女を見て、娘夫婦も察しがついたのでしょう。
「お世話様でした。大変だったでしょう。はい、これ、お礼です」
と、家内と次女にはお菓子が、そして僕には缶ビールが・・・。
「ふーーーーーーーっ」
と大きなため息をつきながら、竜巻が通り過ぎたあとの静けさの中で、ビールを飲み干しました。
なぜか、マロだけが、
「おいらには、なにも礼がねーのか?」
と不満顔で、家族の顔を見回していましたとさ。
♪なんでこんなに 暴れるのかよ
孫という名のモンスター♪
Posted by 小暮 淳 at 18:55│Comments(0)
│つれづれ