2015年04月15日
いってらっしゃ~い!
「じいさん、今日はお泊りの日だからね。9時までに用意をすませて、下に降りてきてくれよな」
そう、声をかけに実家の2階へ上がって行くと・・・
ポロシャツとベストを着て、ニット帽をかぶったオヤジが、シャキッと立っているではありませんか!
布団も、ちゃんと畳んであります。
「ストーブ切ったか? こたつは?」
「切ったよ」
「じゃあ、いつでも準備はOKだな?」
「オーケーよ」
今朝の僕とオヤジの会話です。
一見、ふつーの、愛想のいい、手のかからない老人に見えるんですけどね。
認知症というのは、なかなか他人には理解できないものです。
だって、この時点で、すでに1時間を要しているのですから。
幼稚園児より、手がかかります。
「じゃあ、お迎えのバスが来るまで、下のイスに座って待ってておくれ」
「オーケーよ」
その間に僕は、朝食の洗い物を済ませて、連絡ノートを記入します。
4月15日(水) はれ
体温 36.6度
朝食 有
排便 有
連絡事項 特になし
やがて、「おはようございまーす!」 と元気な介護師さんの声が玄関先に響きます。
「ほら、じいさん、来たよ。靴を履いて」
「オレは、なんにも持たなくていいのかなぁ~?」
「いいんだよ、俺が持ったから!」
そう言って、僕は着替えやら、薬やら、お泊り道具一式が入ったバッグを介護師さんに手渡しました。
「いってらっしゃ~い!」
僕は、オヤジをを乗せたバスに手を振りました。
そして、大きなため息を1つ・・・
さあ、ここからは俺の時間だ!
新聞を読んで、本を読んで、次は昼寝だな。
僕の1日が始まりました。
Posted by 小暮 淳 at 11:30│Comments(0)
│つれづれ