2018年07月03日
生涯現役
<「こうなったら、自分の人生も、いやいや死に場所だって温泉以外にねえってもんさね(けっこう芝居がかった言い方になってきます)。酒エ飲んだくれて、湯船で息絶えたら、『温泉葬』にしておくんなさい。遺影はもちろん、湯につかっている写真だいねえ……> (木部克彦著 『続・群馬の逆襲』 言視舎 より)
落語家の桂歌丸さんが亡くなられました。
81歳でした。
僕は、一度だけ師匠にお会いしたことがあります。
15年ほど昔のことです。
知人の落語家さんの真打ち昇進祝賀会の席でした。
東京のホテルの大きな会場でした。
もちろん僕なんて末席ですから、師匠の席とは遠く離れていました。
それでも、まわりの誰もが 「あっ、歌丸さんだ!」 と、ざわつくほどのオーラを放っていました。
「息の続く限り、落語家として桂歌丸を見ていただきたい」
生涯、現役を貫いた人でした。
訃報を知って、真っ先に脳裏を横切ったのが、ジャーナリスト・木部克彦氏が書いた一文でした。
氏は著書の中で僕のことを、“まさに「温泉バカ一代」” と形容してくれました。
そして、冒頭の文章で締めくくっています。
師匠と比べたらおこがましいのですが、僕もやはり “生涯現役” でいたいのであります。
サラリーマンではなく、フリーランスという生き方を選んだのも、仕事に定年がないことが理由の一つです。
でも現在、親の介護をしているからこそ、思うのです。
つくづく、生涯現役で人生を終えることは、大変難しいことだと……
それを貫いた師匠の生き方は、ただただ尊敬いたします。
そして、心よりご冥福をお祈りいたします。
Posted by 小暮 淳 at 11:15│Comments(0)
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